「ん〜きっとトリエルさんは地下に下りてったね!地底の下にさらに地下、なんか変なの!」
あ、トリエルさんみっけ。
「…お家に帰る方法が知りたいのね?……この先に遺跡の出口があります。その向こうは地底の世界…一度出たらもう中へは戻れません」
うん、そうだね。
「これから私は、その出口を壊します」
「…そっかぁ、それはちょっと困るかも」
トリエルさんの方が少しビクッとした。
「もう二度と、誰もここからいなくならないように、良い子だからお部屋に戻っていなさい」
「…トリエルさん、私たちにその気がないのはもう分かってるよね?」
トリエルさんは答えてくれない。そのまま先に進んで行った。
「…ねぇ、サツキ…これは正しいことなのかな?」
「…正しいか、正しくないか、そんなの誰にも分かんないよ。自分の相手も納得出来るなら正しい、そうじゃないなら正しくない。正しさなんて人それぞれ。本当の意味での正しさなんてどこにもないさ」
少なくとも、私はこれを正しいことだと思ってる。良いか悪いかを抜きにね。
「要するに、自分が納得できるか出来ないかだよ。分かるかな?」
「…なんとなく」
私は前に進んでいく。
「…ここに落ちた人間は皆同じ運命をたどる…私は、この目で何度も見てきました。…ここへ来て…ここから出ていって…そして死んでしまう。あなた達は何も知らないの。この遺跡から出たら、あなた達は彼らに…アズゴアに…殺されてしまうわ」
「……それでも私たちは出るよ」
例え帰る場所がなくてもね。
「これはあなた達を守るためなの…分かって頂戴…お部屋に戻るのよ」
ほんとトリエルさんってば優しいよね〜愛情深いって言うかなんと言うか。そんな感じ!
「止めても無駄よ。これが最後の警告です」
最後の最後まで私たちを気に掛けてくれてる。
「フリスクちゃん、きっと私たちは戦わないといけない、最悪…トリエルさんが傷付くかも…どうする?戻るのなら今のうちだよ?」
「……ううん、進む。そして、ママも説得して納得してもらう!」
うん、良い決意だね。それでこそ主人公だ。
「じゃあ行こうか!」
私たちはトリエルさんを追いかけて扉の前に辿り着く。
「…どうしても……出ていくと言うのね」
「…えぇ、約束をしたので」
トリエルさんの声が少し震えている。感情を押し殺しているんだろう。
「そう…あなた達も他の人間たちと同じなのね。なら残る手段は一つしかない」
目を閉じて深呼吸をする。大丈夫、いつものようにやれば良いのさ!
「私を納得させてごらんなさい、あなた達の強さを証明するのよ」
−−−トリエル・ドリーマー…この世界の、優しいボスモンスターだ