目が覚めたらそこは地下世界だったとさ   作:CoCoチキ

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 今回は独自解釈ありです


五十三話 ガスターズテーマ

 

 「今度する時はパピルスも一緒に料理したい…」

 「だったら今度は燃えない家かあまり火を吹き出さないコンロが良いかもね〜」

 「お前が諦めたら誰があの火災事故を止められる」

 

 多分トリエルさん。と言うかトリエルさんしか止められなさそう。

 

 「それじゃあホットランドに…あれ?」

 

 行こうと声を掛けようとしたら突然視界がぐにゃりと歪んで足がふらつく。

 

 「……やっぱり、疲れてたのかな。流石に進むのを急ぎ過ぎてた気はするし…ねぇ、二人とも、やっぱり一度スノーフルに戻って休憩しよう…か?」

 

 あれ?ここ、どこ?ウォーターフェルなのは分かるんだけど。私、さっきまでアンダインの家に居たよね。

 

 「それにフリスクちゃんとキャラはどこに?一緒に居たはず…お〜い!二人とも〜!聞こえるか〜い!」

 

 『あなたはフリスクを呼んだ………声は届いていないようだ』

 

 届いてない?つまり今の一瞬の間に二人と逸れたってことなの?サンズのショートカットの影響……じゃないか。だったら甲高い音が聞こえるし。

 

 「…とにかく今は二人と合流しよう。もしかしたら私が介入した事によるバグかもしれない」

 

 それに、ここに居るとなんだか気持ち悪い…さっきから視界がぐにゃぐにゃと眩暈が酷い

 

 

 「…っ……しっかりして。ここで気絶するのは一番ダメなパターンだから」

 

 頭を一回振ってから歩き出す。先を見ても長い一本道が続いてるだけで終わりが見えないけれど。ここにずっと居るよりはマシ。

 

 「お〜い!フリスクちゃん!キャラ!どこに居るの!」

 

 『あなたは呼びかけた………声は届いていないようだ』

 

 私だけが離されたのかな。

 

 「…ダメ、頭も痛くなってきた。気を失う前に早くここを抜けよう」

 

 なんだか耳鳴りもするようになってきたしあんまり長いはしちゃいけない場所だったのかも。

 

 視界が歪む中、歩き出そうとすると何か出っ張りのようなモノに手が触れた。

 

 「?……ドアノブ、それに、灰色の扉…なんだったけ。物凄く見覚えがあるんだけど…頭痛が酷くて分かんないや」

 

 えっと、確か隠しキャラの誰かが居たはず。名前は…オコメ?

 

 「…なんか違うな。えっと、え〜っと『ガチャ』うわぁ!?」

 

 魚の小骨が喉に刺さったみたいなもどかしさがあって後少しで思い出せそうなところでドアが勝手に開いて灰色で真っ暗な部屋に倒れ込んだ。

 

 「いたた。お?頭痛が治ったし気持ち悪いのも無くなった」

 「…初めまして…とでも言っておこう」

 「あ!オコメ…じゃなくて、ガスター博士!」

 

 思い出した思い出した!この扉はガスター博士が居る部屋に繋がってる場所だ。あれ?ってことはここ次元の狭間?

 

 「えっと、私は」

 「新崎皐月…だろう?知っているとも」

 「え…なんで」

 「君をここに呼んだのは私だからね」

 

 あ〜そっか、ここに呼んだのなら知ってるか〜でも博士が私をここに呼んだ理由って何だろう。私が外からの存在だから?

 

 「初めての試みだったが…上手くいったようでなにより」

 「待って待って。話に全然ついていけない!」

 「ふむ……私が君にプレゼントした“タマシイ“と肉体はどうかな?元の肉体と遜色ない感覚だと思うが」

 

 なんて?私がプレゼントしたタマシイと肉体?何言ってんのこの人。

 

 「わ、私を呼んだって…まさか。この世界に呼んだってこと?」

 「如何にも…この繰り返される世界を先に進める為に…」

 「繰り返されるって…そんなのフリスクちゃんしかセーブ&ロードが使えないんだから私なんかを呼んだって」

 「本当にそうだろうか?よく、思い出してほしい、君は今までの冒険で覚えがあるはずだ」

 

 あ、でも、私が抱いたモノは『忍耐』と『不屈』だから『決意』には程遠いんじゃ?

 

 「何も強い思いと言うのは『決意』に限った話ではない。君も見て来たのなら知っているだろう。アズゴア王がどうやって人間のタマシイを奪ったのか」

 「…私の事はどうやってこの世界に連れて来たの?」

 「簡単に言うならば長い長い繰り返しの末に私は君たちの電子機器を通して…君たちの世界に干渉する手段を手に入れた…それを用いて君のタマシイの一部をこちらに呼び寄せたのだよ」

 

 え………え?サラッと凄い事言ってない!?電子機器を通してタマシイを呼び寄せたって…一部?

 

 「じゃあ私は本物の私じゃない?」

 「その問い掛けにはノーと返させてもらおう。君は紛れもなく新崎皐月であり、そのタマシイは君のモノだ」

 「なんだかややこしくなってきた」

 

 私は本物だけど新しいタマシイをプレゼントとしたとか言ってるしでもそのタマシイの私のモノだって言ってるし…訳わかんない!

 

 「ゲーム機を通じて私たちの世界を体験した者はやや信用に欠ける。虐殺を行った者など論外だ。しかしこの世界を知らない人間は呼べる筈もなく。故に私は私と同じ外より観測する者に目を付けた…その中でも善良であり、この世界を好んでいる人物を探し続けた」

 

 博士は複数ある手のうちの一つを顎に当て、私に視線を向ける。

 

 「それが、私?私以外にも居たよね?同じ人が。私、プレイヤーになったらGルートに行かない自信がない。好奇心に負けてプレイするのが目に見えてるんだよ?」

 「もし、たらればの話は必要ない…今、この世界で君が選択して来た慈悲と言う事実が私の考えの正しさを証明している」

 

 そんないつ変わるかもしれない不確かな物に博士は賭けたってことかな。

 

 「そして、一つ訂正する事があるならば…君はあの少女のカウンターとして呼んだのではない…プレイヤーに対するカウンターとして呼んだのだ」

 「ンン?より意味が分からなくなったよ?」

 「これは未だ検証の最中ではあるが。巻き込んでしまった君には知る権利がある」

 

 博士がそう言い指をパチンと鳴らすとゲーム機が幾つも降ってきた。今からゲームでもするの?

 

 「君たちはこの電子機器を通して私たちの世界を垣間見る…ならば、君たちプレイヤーに代わる存在が居ればどうだろう?」

 「どうだろうって…それは、その世界、と言うかそのゲーム機には既にその人のデータがあるから態々勝手に触ってまで遊んだりしない…あ!」

 「その通り、その機器を共有でもしない限り、その電子機器には手付かずのデータがあるだけ…ループをしないと言う事だ」

 

 つまり私はそのセーブデータの持ち主代わりってこと?この世界は誰も知らないセーブデータで、他の世界からは独立した場所?

 

 「今はまだこの世界のコードは見つけられていない。理屈自体は正しいと言えるだろう」

 

 博士に会う為に必要なFUN値みたいな数値が私が居ることでプレイヤーに見つかってない。私はプレイヤーたちに対するフィルター?難しくて頭から煙出そう。

 

 「…これだけは教えて、新しいタマシイと肉体ってどう言う事?」

 「……君をこちらに呼び寄せるにあたって課題があった。一つ、タマシイ全てを呼び寄せてしまっては現実世界の君が死亡すること。二つ、君が活動する為の器が存在しないこと。私はそれを“リセット“された世界で収集し、再構築した」

 

 えっと、タマシイと体をGルートとかPルートみたいな終わった世界で集めた。で合ってるのかな。

 

 「タマシイは君と最も性質の近い物を集め、器は様々な世界に存在する人間のコードから。それらを掛け合わせることで“新崎皐月“に最も近い器を再構築したのだ。その器に君のタマシイを合わせることで今の君が存在している」

 

 キャラメイクみたいなことして私の体を作ってそこに私のリアルのタマシイをぶち込んだと…。

 

 「このマッドサイエンティストォ!」

 「ふむ?こちらの都合で呼び出したお詫びを兼ねて君の手荷物も用意したのだがお気に召さなかったかな?」

 「当たり前でしょ!それってリアルな方の私タマシイ欠けちゃってる状態ってことじゃんか!」

 「それなら安心したまえ、君の中の料理レッスンに関する記憶が欠損するだけだ。実害はない」

 「なにその微妙にピンポイントな状態!?」

 

 まさかの母さんとの料理レッスンだけ!?ある意味実害出てるよ!

 

 「バタースコッチシナモンパイが食べたいと言っていたしお互いWin-Winだろう?」

 「Win-Winな筈ないでしょ!貴方を炊飯器で美味しく炊いてあげようか!!」

 「はっはっは!私はご飯よりも手軽で美味しいカップ麺の方が好きだね!」

 「逃げるなぁ!!」

 「はっはっはっはっはっは!」

 

 さっきまでのシリアスを返せ!この博士!絶対に炊き立てご飯にしてやるぅ!

 

 「ほらほら私はこっちだよ?」

 「むわあああ!その瞬間移動ズルでしょ!」

 「能力の有効活用だとも、今の私には足が無いからね」

 「このこのこの!」

 

 おもちゃのナイフを取り出して魔法を使う容量で青いナイフを飛ばして逃げ道を塞ぐ。なんだか出来そうだったからやったら出来た!

 

 「ゼー…ゼー…なんで逃げれるの」

 「さて、久しぶりに誰かと会話が出来て実に有意義だったが。そろそろ君は戻った方が良い…あの少女が心配しているだろうからね。さようなら、そしてまたいつか会おう。新崎皐月くん」

 

 博士がまた指をパチンと鳴らすと景色が一瞬でスノーフルの出口に変わった。多分、休憩の話も聞いててここに送ってくれたんだと思う。

 

 「は〜、正直、色々言いたいことはあるけど、母さんたちに心配掛ける事がないって言うのはありがたい情報かも。だって私はあっちでも生きてるんだし……あれ?じゃあこれってタマシイが一部だけ転生してるから半転生?なんか語呂が悪いな…ま、いっか!」

 

 いつかオコメ博士は炊き立てにするとして今はフリスクと一緒にゆっくりしたい。

 

 −−−この後、パピルスの家の前でフリスクと合流して二人にどこに居たのか聞かれたけど。変な場所に居たとだけ言うとキャラには可哀想な者を見る目で見られた…なんでぇ?

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