初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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 家で何かないかなあと探していたらタッグフォースが発掘されて楽しかったので書いてみました。



小学生編
今日からデュエリスト!


 僕の名前は粉眠! 友達からはコナミと呼ばれている。

 今日からデュエルモンスターズを始める小学3年生!

 

 これから公園で待ってる友達とデュエルをしに行くんだ!

 

「デッキよし。電卓よし。じゃあ…行ってきまーす!」

 

 気を付けて行ってくるのよというお母さんの言葉を背に僕は家を飛び出した。

 

 家から公園まで走って5分くらい。

 コウキ、もう待ってるかな?

 

 僕はこれから始まる遊びに想いを馳せながら全力で公園まで駆けていった。

 

「あ! いたいた。ごめーん! 待たせちゃった?」

「おせーぞコナミ!」

 

 公園には僕のクラスメイトの早瀬コウキがベンチに座って僕のことを待ってくれていた。

 

 いけないや。ちょっと待たせたようで怒っちゃってる。

 

「ごめんごめん。そんな怒らないでよ。…………さっそくだけどさ、デュエルしよう!」

「おう。ようやくお前もカード買ってもらえたんだよな。待たせやがって」

 

 先日僕は、お父さんたちから初心者用のスターターデッキを誕生日プレゼントとして買ってもらった。

 これで僕も念願のデュエリストの仲間入りができたってことで、いつも一緒に遊ぶコウキに嬉々として電話で伝えていた。

 

「へへ、これ見てよ! 誕生日だからってことで初心者用デッキを一つ買ってもらえたんだ!」

「おお~よかったじゃねえか! それじゃあデッキはあるみたいだし。…………やるか!」

 

 そう言ってコウキは手持ちのデッキを掲げ、シャッフルした後ベンチの上に置いた。

 デッキを手に入れたばかりで慣れていない僕は習うようにゆっくりとデッキをシャッフルし、カードが傷つかないようにそっとベンチに置いた。

 

「「デュエル!!」」

 

 先攻後攻はじゃんけんをして、僕が勝ったため先行を貰って始めることにした。

 

「先行は僕が貰うね! ドロー! 僕はデビル・クラーケンを攻撃表示で召喚! カードを一枚伏せてターンエンド!」

 

 

《デビル・クラーケン》 攻撃力1200 守備力1400

 

 

「ほ~、ルールはきちんと覚えてきたんだな。コナミのくせに伏せカードも出すとは。まあいいさ、んじゃ俺のターンドロー!」

 

 デュエルモンスターズはずっと前から始めたかったカードゲームだ。

 だから、デッキを持っていなかった時から予習だけは欠かさなかった。

 

 そのため物覚えの悪い僕だけど、基本的なルールだけは問題なく覚えている。

 

「ふふん、当然! お父さんに言って事前に教えてもらってたからね。基本的なことは大丈夫だよ」

 

 僕の両親はカードゲームに興味はなかったから一緒に覚えるって感じだったけど、何度もビデオを見直したりすることで覚えることはできた。

 

 だからスターターデッキで使用できる範囲のカードで間違えることは…………ないはず。

 

「そうかい、なら…手加減はしないぞ? 俺はモンスターを裏守備表示で伏せてターンエンドだ」

「僕のターンだね、ドロー!」

 

 コウキのフィールドには守備表示モンスターが一枚だけ。伏せカードもないし、ここはガンガン攻めるぞ!

 

「僕はトビペンギンを攻撃表示で召喚!」

 

 

《トビペンギン》 攻撃力1200 守備力1000

 

 

「モンスターを増やしてきたな。コナミ、くるか?」

「もちろん! デビル・クラーケンで守備表示モンスターを攻撃!」

 

 僕が攻撃宣言をすると、コウキはモンスターを表にして自信たっぷりに言った。

 

「残念だったなーコナミ。俺のモンスターはナイト・リザード。お前のモンスターじゃ突破できないぜ」

 

 

《ナイト・リザード》 攻撃力1150 守備力1300

 

 

「あー! くそー100ポイント足りなかったかあ。じゃあターンエンド」

 

 コウキが伏せていたモンスターは守備力が1300もあり、僕の召喚したモンスターでは突破できないモンスターだった。

 しかも100ポイントとはいえさっそくダメージを負ってしまうなんて。

 

 ぬ~攻撃力が高いモンスターが欲しいなあ。

 

 

《コナミ》 残 LP 3900

 

 

 僕は電卓の数字を4000から3900にしながらコウキにターンを渡した。

 

 コウキの場には守備モンスターが1体だけだけ、それに攻撃力は僕のモンスターの方が上。

 次のターンで大ダメージということは多分ないはずだ!

 

「うし、俺のターン!…コナミ、俺の勝ちだな」

「え?」

 

 どうやらコウキはドローしたカードを見て自分の勝利を確信したようだ。

 にやりと笑いながら勝利宣言をしてきた。

 

 僕のフィールドには2体もモンスターがいるのに勝利宣言なんて、何を引いたんだろう?

 よっぽど強いモンスターでも引いたんだろうか…………。

 

「前のターンでモンスターを破壊できなかったことを後悔しろよ? 俺はナイト・リザードをリリースして半魚獣・フィッシャービーストを攻撃表示で召喚!」

 

 

《半魚獣・フィッシャービースト》 攻撃力2400 守備力2000

 

 

 コウキはナイト・リザードを墓地に送り、上級モンスターであるフィッシャービーストをフィールドに出してきた。

 

 アドバンス召喚!?

 しまった! 上級モンスターを召喚されてしまった!?

 

「半魚獣・フィッシャービースト…………攻撃力2400! すごい!」

 

 半魚獣・フィッシャービースト。

 まさしく緑色の魚人のイラストが描かれたモンスターは上級モンスターらしく攻撃力が2400と高く、僕のどんなモンスターよりも強かった。

 

「そうだろう? それじゃあバトルだ! フィッシャービーストでトビペンギンを攻撃!」

「そうはさせないよ! 僕は伏せていたカードを発動! 攻撃の無力化! 効果は相手のバトルを無効にしてバトルフェイズをさせる! これで僕のモンスターは破壊されない!」

 

 僕は伏せていた攻撃の無力化でフィッシャービーストの攻撃を凌ぐことに成功した。

 

 よし、これでモンスターとライフポイントは守ることができた。

 あとは次のターンでフィッシャービーストに対処できるモンスターを引くだけなんだけど…………。

 

「ほ~? これを防ぐとは、初めてにしてはやるじゃないか。だがなコナミ、フィッシャービーストが相手じゃ、もうどうしようもないだろ?」

「ッ…………くっそ~」

 

 コウキの言う通り僕の手札にはフィッシャービーストを倒せるようなモンスターはいない。リリースして出せるようなモンスターカードもだ。

 この状況を打開できるようなカードを来てくれることを祈りながら僕はデッキからカードを引いた。

 

「僕のターン…ドロー!」

 

 引いたカードは………ウンディーネ。星3で攻撃力1100の通常モンスター。

 だめだぁ。とてもフィッシャービーストには勝てない。

 

「僕はモンスターたちを守備表示で召喚してターンエンド…………」

 

 僕は肩を落としながらコウキにターンを回した。

 

 2ターン目で上級モンスターを召喚してくるなんてひどいよコウキ…………。

 

「おいおいまだ負けわけじゃないだろ? そんな肩を落とすなよ。俺のターンドロー!」

 

 くそーコウキの奴勝ち誇ってやがる。むかつくぐらい、いい笑顔しやがって~。

 僕もコウキみたいに調子に乗ってみたいー!

 

「ダメ押しだあ。暗黒の海竜兵を攻撃表示で召喚!」

 

 

《暗黒の海竜兵》 攻撃力1800 守備力1500

 

 

「うっ攻撃力1800。また強いモンスターを」

「どうだ? 攻撃力2400に1800の2体。サレンダーしてもいいんだぞ?」

 

「冗談。サレンダーなんてしないさ! どんとこーい!」

 

 

       ・

       ・

       ・

 

 

 その後頑張って粘ってはみたけれど、一度作られた盤面を覆せるような逆転のカードを引くことは叶わず。

 僕の初戦は敗北に終わった。

 

「あ~楽しかったー! 明日もデュエルしようね!」

 

 日が暮れてきて夕方。帰らないと行けない時間だ。

 初めてのデュエルに敗北した後も、僕とコウキは夢中になって何度もデュエルして勝ったり負けたりを繰り返し続けた。

 

「それはいいけどよ~。やっぱり同じデッキを使ってるとちょっと飽きてくるな」

 

「ああー! やっぱり同じデッキだったんだ。フィッシャービーストが僕のデッキにも入っていたし途中からそうなのかもとは思っていたけれど…………」

 

 僕も途中から気づいてはいたけれどやっぱりコウキのデッキは僕と同じデッキだったのか。

 道理で同じカードばかり見ると思っていたよ。

 

 そうなると気になるのが僕よりずっと早くに始めていたはずのコウキが、なんで僕と同じスターターデッキを使ってるのかってところなんだけど。

 

「でもなんで? コウキは僕より早くデッキ買ってもらえてたんだし、もっと色々なカード持ってるんじゃないの?」

「ん~? あ~それはだな~」

 

 コウキは少し頬を赤くしながら言うべきか言わざるべきかを悩んでいるようだった。

 

 そんな悩むほどに言いづらい内容なんだろうか?

 気になる…………。

 

「内緒だ!」

 

 コウキは笑いながら言った。

 

「ええ~! なんでさ!」

「いいだろ? 別にそんなこと」

 

 その後、何とか秘密を吐かせようとする僕と秘密にしたいコウキの鬼ごっこが開始されたが、最後までコウキは秘密を話すことはなかった。

 

 教えてくれてもいいだろうに、ケチだなあコウキは…………。

 

「というかお前はなんでフィッシャービーストを見たとき、初めて見たようなリアクションだったんだよ。デッキの内容確認しなかったのか?」

「いや~興奮してて、知ってはいたんだけどね。つい初めて見たようなリアクションをしちゃったんだ」

 

 公園からの帰り道、僕たちは今日の出来事を振り返りながら歩いていた。

 そうして歩いていると、空を見上げていたコウキは振り返りながら僕に向かって言った。

 

「さてコナミ。俺たちは晴れて今日からデュエリストの仲間入りを果たしたわけだが、ここでお互いの夢を決めようぜ」

「夢?」

 

「そう、夢! 大切だろう? ちなみに、俺の夢は将来プロデュエリストになって世界中の人々を俺のデュエルに夢中にさせることだ。すごいだろ! みんなが俺のデュエルに夢中になるんだ!」

 

 「俺は見る人すべてを虜にするようなデュエリストになりたい」と興奮しながら語るコウキを見ながら、自分の夢が何なのかを考えていた。

 

 僕はずっとテレビやビデオでデュエルをする人たちを見ながら早く僕もデュエルがしたいとばかり思っていて、夢とか将来とかあまり考えたことはなかった。

 

 だから改めて足を止めて考えてみる。

 

 僕の夢、目標…………。

 そうして考えていると思い浮かぶ光景は全てのデュエリストの頂点にいる武藤遊戯さんの姿だった。

 

 僕も遊戯さんみたいなかっこいいデュエリストになりたい。

 だから僕の夢は…………。

 

「夢は、やっぱり武藤遊戯さんみたいなかっこいいデュエリストになりたいなあ」

「武藤遊戯さんって、あのキングオブデュエリストの?」

「うん」

 

 お前まじかよって感じの表情をしながらコウキが僕を見ている。

 

 そんな顔で見なくても、夢なんだからどれだけ大きくてもいいじゃいか…………!

 

「はぁ。わかってるよ。無謀だって言いたいんだろ? でも夢って聞かれて思うのが遊戯さんがデュエルしてる光景なんだ。僕もいつかもっと、も~~っと! 強くなって遊戯さんとデュエルして、いつかキングオブデュエリストになりたいんだ!」

 

 今日デュエルを始めた僕が持つには余りにも無謀な夢を語る自分を恥ずかしく思いながら必死に僕はコウキに言葉を連ねる。

 

「無理無理。お前がなれるわけないって」

「え~~~! そんな否定しなくても。コウキだって大概無謀な夢じゃん。世界中ってところがさ」

 

「うるせえ! まあ夢だしな。何でもいいか! お互い頑張ろうぜ!」

「うん! 明日も強くなるためにデュエルだ!」

 

 夢と呼ぶにはあまりにも浅はかな、しかし確かな憧れをもってそれがいつか叶うことを祈りながら、僕たちは家路への道を走っていった。

 

 僕はコナミ。夢はキング・オブ・デュエリスト。

 今日からデュエリストになった小学3年生だ!

 

 

 





 タッグフォースプレイ中PSPすごいキュルキュル音がする。
 こんなに音してたんだなあ。
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