「僕のターン、ドロー!」
アメリカで出会った宝玉獣という希少なカードを扱うヨハン・アンデルセンくん。十代君と同じ純粋な心を持つ彼とのデュエルが始まった。
宝玉獣というのがどのようなデッキで彼がどれほどのデュエリストかはわからないけれど、十代君と同じタイプだと言うなら様子見は必要ない。ハナから全力で行くッ!!
「よし、一気に行くよ! 僕は手札から融合を発動! 手札のE・HERO オーシャンとフォレストマンを融合! 第1のプラネットモンスター、E・HERO ジ・アースを融合召喚!!」
「おおっ! いきなり出してくれるのか!!」
スタジアムのライトに照らせた上空から海と大地のHEROであるオーシャンとフォレストマンが一つになり、白い筋肉質の体に地球を背負う大きな背中を見せるジ・アースが召喚された。
《E・HERO ジ・アース》 攻撃力2500 守備力2000
「スゲーこれがジ・アースか! カッコいい! 生で見れて感動もんだぜ!!」
「へへ、そこまで言ってくれると僕としても嬉しくなるよ。でも、まだまだ僕のターンは続くよ! 僕はさらにアームズ・ホールを発動! デッキの一番上のカードを墓地へ落とす代わりにデッキから装備魔法を手札に加える。僕は黒いペンダントを手札に加えて、ジ・アースに装備させる!」
アームズ・ホールにより手札に加えられた黒いペンダントはジ・アースの首にかけられその攻撃力を500ポイントアップさせた。
《E・HERO ジ・アース》 攻撃力3000 守備力2000
「いきなり攻撃力3000とはな。様子見なしってのは嬉しいぜ。全力上等!!」
「いいや、僕の全力はまだまだこれからだよ。僕はさらに、僕は墓地のE・HERO オーシャン、フォレストマン、さらにアームズ・ホールにより墓地へ送られた島亀を除外する!」
「3体のモンスターを除外する? そうか、この召喚方法は!」
「そう、僕は手札から第3のプラネットモンスター、The blazing MARSを特殊召喚する!!」
既に場にいるジ・アースの隣に大地が脈動するような熱線を天へと噴出させながら巨大な竜の頭部を下半身に持つMARSは召喚された。
それをヨハンくんはキラキラと目を輝かせながら見ていた。
《The blazing MARS》 攻撃力2600 守備力2200
「はは、1ターン目から最上級モンスターであるプラネットモンスターが2体も召喚されるなんてな。流石星に選ばれたデュエリストだぜ、コナミ!!」
「僕はこれでターンエンドだよ。ヨハンくん、僕は僕にできる全力を見せた。君も見せてくれ、君の全力を!!」
「おうっ! 頼むぜみんな、俺のターンドロー!」
楽しそうに、ワクワクした表情をしたヨハン君がデッキからカードを引いた。
宝石が体についた未知なるカードを扱うデュエリスト。お互いの精霊を見せあった時、そこにいた全てのモンスターが見たことのないモンスターたちだった。
どんな効果を持っているのか、そのモンスターたちでどう戦うのか楽しみでならない!
僕もまたヨハン君と同じようにワクワクを隠せない表情でその一挙手一投足を見ていた。
「よーし、お前が見せてくれたように、俺の家族でお前の全力に応えるぜ! 俺は手札から宝玉獣 サファイア・ペガサスを召喚!!」
「早速来るか、宝玉獣!!」
ヨハンくんがカードをディスクに置いた瞬間、純白の体に白い翼の生えた馬、伝説上の生き物であるペガサスが召喚された。
その額にはまっすぐ伸びた美しい蒼色の角が生えている。あれが恐らく、サファイア・ペガサスの宝玉という名前の所以なのだろう。
《サファイア・ペガサス》 攻撃力1800 守備力1200
『ほう、プラネットモンスターが2体も召喚されている。ヨハン、厳しい状況のようだな』
「ああ、1ターン目から最上級モンスターが2体も登場だ。俺たちも全力で行かないと勝てないぜ」
『任せておけ、いかに手強い相手であっても、私たちなら敗けはせんさ』
召喚されたサファイア・ペガサスがヨハンくんと話している。時折思うのだが、人の言語を話せる精霊とそうではない精霊の違いは何なのだろうかと思う時がある。
僕のゴラ・タートルや十代君のハネクリボー。彼のルビー・カーバンクルのような小動物的な精霊は一様に話せないのかもしれない。
体の大小で決まると言うのもおかしな話だと思うけどね。まあ、今はどうでもいいことか。デュエルに集中しよう。
「俺は、サファイア・ペガサスの効果を発動するぜ! デッキから宝玉獣を1体、永続魔法カード扱いとして魔法・罠ゾーンに置く!」
「魔法カードとしてモンスターを置く?」
「俺は、デッキから宝玉獣 アメジスト・キャットを選ぶ!」
ヨハンくんの場に、紫をした宝玉が光を放ちながら置かれた。それは美しく、宝玉の名に恥じないものだった。
(宝玉獣モンスター。永続魔法として扱うモンスターがいるなんて、そんなカードは初めてだ。しかしモンスターとして扱わない以上、攻撃も生贄にもできない。どんな戦術を組んでくるんだろうか)
僕はその美しさに思わずは~っと感嘆の声を上げながらその宝玉の美しさと初めて見る効果に目を輝かせていた。
「さらに宝玉の開放をサファイア・ペガサスに装備! 攻撃力を800ポイントアップさせる!」
《サファイア・ペガサス》 攻撃力2600 守備力1200
「MARSに攻撃力が並んだか!」
「まだまだ行くぜ! 俺は宝玉の契約を発動! 俺の場の魔法カードとなっている宝玉獣を特殊召喚する! こいっアメジスト・キャット!!」
「そうか。そういうことか……そういうことができるのか!!」
彼の場に置かれていた紫色の宝玉が光り輝きひび割れ、その中から桃色の体をした大きな猫が召喚された。その首下には宝玉獣の特徴である宝玉の一種であるアメジストが付いている。
《アメジスト・キャット》 攻撃力1200 守備力400
「バトルだ! 俺はサファイア・ペガサスでThe blazing MARSに攻撃! サファイア・トルネード!!」
「くっ、反撃しろMARS!!」
サファイア・ペガサスの角から放たれた青白の光線とMARSの灼熱の炎が打ち合い、爆炎を発しながらお互いを破壊した。
「この瞬間、サファイア・ペガサスと宝玉の解放の効果が発動! 今破壊されたサファイア・ペガサスは宝玉として俺の魔法ゾーンに置かれ、さらに宝玉の解放が破壊されたことでデッキから宝玉獣を新たに魔法ゾーンに置く! 俺はルビー・カーバンクルを置く!」
「…………なるほど、破壊されても墓地に行かないのか」
破壊され墓地へ行ったMARSとは違い、ヨハンくんの場に蒼と紅の2つの宝玉が置かれた。
なんとなくわかってきたな。宝玉モンスターの戦い方というか、戦術が…………。破壊されると宝玉として場に残る効果は恐らく宝玉獣である彼らの共通効果。
それを魔法や罠、あるいはモンスターとして戻す宝玉獣の効果でサイクルさせていく。そう言ったデッキなのだろう。
除外効果でもなければ早々墓地へは送られない場持ちのよいモンスターたち。よほどでなければモンスターが切れると言うことはない、これは厄介だな。
「まだバトルは終了してないぜ! 俺はアメジスト・キャットでお前にダイレクトアタック! このモンスターは攻撃力を半分にすることでダイレクトアタックすることができる。アメジスト・ネイル!!」
「いっっっ!!?」
《コナミ》 残 LP 3400
僕の場のジ・アースを飛び越えたアメジスト・キャットが僕の顔に爪でひっかいてきた。その勢いに思わずと言った具合にのけぞりながらダメージを受けた。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」
「いてて、ジ・アースとMARSがいて先制ダメージを受けるとは思わなかったなあ。僕のターン、ドロー!」
アメジスト・キャットか、直接攻撃をできる効果は厄介だけどその分攻撃力は低い。ジ・アースで破壊すれば相当なダメージを与えることができるだろう。
MARSが破壊されたのは想定外だけど、それが通れば彼を守るモンスターは一時的だろうけどいなくなる。心配なのは伏せカードだけど、今できる最善を行うのベスト!
「僕は手札からE・HERO エアーマンを攻撃表示で召喚! その効果により、デッキからE・HEROクノスペを手札に加える!」
《E・HERO エアーマン》 攻撃力1800 守備力300
「バトルだ! エアーマンでアメジスト・キャットを攻撃!」
これが通れば勝利の道にぐっと近づける。そう思いながらエアーマンがアメジスト・キャットに勢いよく向かうの見ながら僕はヨハンくんがその顔に笑みを浮かべたのを見た。
「甘いぜコナミ! 俺はリバースカード 宝玉割断を発動! デッキから宝玉獣 コバルト・イーグルを墓地に送ることでエアーマンの攻撃力を半分にする!」
「しまったッ!?」
「返り討ちだ! アメジスト・キャット!!」
万が一を考えて攻撃力の低いエアーマンでアメジスト・キャットを攻撃することを選んだが、それが裏目に出てしまった。
アメジスト・キャットに向かったエアーマンが反撃の攻撃により噛みつかれ押し倒されることで破壊されてしまったのを見ながら思う。
ジ・アースで攻撃しておけばモンスターを減らされずに済んだのに。僕は臍をかんで後悔した。
《コナミ》 残 LP 3100
「よし、順調にライフを削れてるぜ。ちなみに、宝玉割断を発動したことで、お前はカードを一枚引けるぜ」
「くっ、エアーマンが。でも、君の場にもうリバースカードはない。ジ・アースの攻撃は防げないよ! ジ・アースでアメジスト・キャットを攻撃! アース・インパクト!!」
上手く罠が決まったことを喜ぶヨハンくんに反撃するように僕はカードを一枚引きながらジ・アースに命じてアメジスト・キャットを攻撃した。
それはエアーマンの時とは違い、打撃音と共に破壊音を立てながらライフダメージを叩きだすことに成功していた。
「ぐっぅう!!」
《ヨハン》 残 LP 2200
「僕はカードを伏せて、これでターンエンドだ!」
「へへ、やってくれるなあ。俺のターン、ドロー!!」
彼が楽しそうにデッキから引くのを見ながら、僕はまだまだデュエルが続いてくことを確信し笑みを深めていくのだった──。
ヨハンの口調いまいちわからんな。