初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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 ここまで読んで下さりありがとうございます。次回から6年生編になります。
 ただ次話は来年からになるかも知れません。
 さすがに年末年始は忙しくなるので……。



自由の翼

 

 僕は今デュエルディスク体験会で行われた大会。その会場の中央に位置するステージに立っていた。

 

 僕以外にも吹雪さんや年長の子供が何人か立っており、僕たちは今大会で最も勝利数の高かった子供たちだ。

 

 そして僕はこのステージで吹雪さんとデュエルする。

 

 対戦相手は希望できるらしかったので僕は…。

 

「僕は天上院吹雪さんとデュエルしたいです!」

 

 僕は対戦相手を希望できると聞いてすかさず手を挙げて申し込んだ。

 体験会後、時間をとってデュエルしてくれると言っていたがこんな大舞台でデュエルできるなら僕はデュエルしたい。

 

「僕は構いません。約束のデュエルをここでしよう」

 

 ほかの入賞者の子たちもそれぞれ興味のある相手がいるらしくその後は問題なく進行した。

 

『ではデュエル開始は10分後、順次本ステージにて行われます!』

 

 僕たちは最後のデッキ調整及び準備をするため壇上から一度降りることになった。

 

「ようコナミ、こんな大舞台で吹雪さんに挑戦するなんてなかなか度胸あるじゃねえか。吹雪さん相手じゃいくらお前でも負けに行くようなもんだぜ?」

「コウキ。まあ、ね。でも一度デュエルしてみたかったんだ」

 

 吹雪さんは今回全戦全勝。驚くべき戦績を残している。

 間違いなく格上。……いや格上という意味ではおそらく入賞者全員が僕よりも格上だろうが、その中でも別格であろう人物が吹雪さんだ。

 

 僕は何度か負けている。流石に全勝なんてできなかった。そのうえ吹雪さんがデュエルしている回数は僕の比じゃないくらい多いだろう。あの女の子の列をさばききっていたのだから。

 

 それでもデュエルがしたいのはきっとワクワクするからだ。

 僕ははたしてどこまでやれるのだろうか…。

 

「コナミ、お節介かもしれんが一応アドバイスをしておく。吹雪さんは風属性や鳥獣族モンスターをメインとして使っていた。残念ながらエースモンスターを見ることはできなかったが、恐らくは切り札も同じタイプだろう」

「三沢君……ありがとう。気を付けておくよ」

 

 鳥獣族か、ハーピィレディとかが有名だけど、他にどんなモンスターがいただろうか?

 

「コナミ君! 頑張ってね! 応援してるから!」

「愛理ちゃん……うん。全力でデュエルしてくるよ」

 

 応援してくれる愛理ちゃんに勝ってくると言えないのは残念だけどまだ僕にはそこまで言える自信はない。

 だから全力でデュエルする。

 それが今の僕が言える精一杯の言葉だ。

 

「コナミ、時間だ」

 

 そして最後に軽くデッキを確認していたら三沢君からステージに上がるよう促された。

 

 さあ、これが今日、僕が行う最後のデュエルだ!

 

 僕がステージに上がり明日香ちゃんと何事か話していた吹雪さんが次いで上がってくる。

 

「さてコナミ君。こんな舞台で君と戦うことになるのは予想外だったけど……うん。見ている皆が楽しめるような素晴らしいデュエルにしよう」

 

 観客で応援している女の子たちに向けて手を振りながら吹雪さんが余裕のある表情でデュエルディスクを展開する。

 

「はい! 吹雪さん。全力で行きます!」

 

 その言葉に応えるように僕もディスクを展開し、僕たちはデュエルの始まりを告げた。

 

「「デュエル!!」」

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 よし、手札は悪くない。吹雪さんがどう動くかわからないが機先を制するという言葉もある。

 最初から全力で行く!

 

「僕は手札からガガギゴを攻撃表示で召喚! そして装備魔法 黒いペンダントを装備。カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

《ガガギゴ》 攻撃力2350 守備力1000

 

 

「では僕のターン、ドロー!」

 

「僕は大嵐を発動! 君の魔法・罠カードをすべて破壊してもらうよ」

 

 いきなり大嵐!?

 

「くっ僕の激流葬が……だけど黒いペンダントの効果発動! このカードがフィールドから墓地に送られたとき相手に500ポイントのダメージを与える!」

 

 僕の場のガガギゴに装備していたペンダントが壊れる瞬間、黒いビームが吹雪さんを襲う。

 

 

《吹雪》 残 LP 3500

 

 

「うおっ! はは、いきなりダメージをくらってしまったねえ。でも…伏せていたカードは激流葬か。いいカードを破壊できたよ」

 

 黒いペンダントの効果など吹雪さんほどの人ならわかっていただろうに、まるで知らなかったと言いたげに観客に向けておどけている。

 

「ふむ、では僕は手札から魔法カード 二重召喚(デュアルサモン)を発動! このターン僕は二度通常召喚を行える」

 

 1ターンに二度の通常召喚! 

 上級モンスターを出すためのカードか!?

 

「僕は手札から暴風小僧を召喚! そして暴風小僧をリリースすることで現れろ! 神鳥シムルグをアドバンス召喚!」

 

 

《神鳥シムルグ》 攻撃力2700 守備力1000

 

 

 吹雪さんのフィールドに巨大な翼を広げた奇麗な鳥型のモンスターが召喚された。

 

「神鳥シムルグ!? 初めて見るモンスターだ。いや、それよりそのモンスターはレベル7! 暴風小僧だけではリリース要因が足りないはず……」

 

「暴風小僧には1体で2体分の素材になる効果を持っているんだよ」

 

 1体で2体分に…そんな効果を持つモンスターもいるのか……。

 

 

『おおおおおおおぉぉ!!!』

 

 

 吹雪さんが僅か1ターンで最上級モンスターを召喚したことによって会場は大盛り上がりしている。

 

「わかっているだろうけど、もちろん召喚しただけでは終わらないよ。僕は神鳥シムルグで君のガガギゴを攻撃!」

「くっ、ガガギゴ!?」

 

 神鳥シムルグが飛び上がりその巨大な翼から羽をガガギゴに向かって飛ばすことでガガギゴは破壊された。

 

「そして君は850のダメージを受ける」

「ぐううう!!」

 

 

《コナミ》 残 LP 3150

 

 

「僕はさらにカードを2枚伏せてターンエンド……」

「はあっはあっ。いきなり最上級のモンスターを出してくるなんて、流石に強い」

 

 僕は頬を流れる冷や汗を拭いながら自分のターンを開始しようとする。

 

「おや…コナミ君、残念ながらまだ君のターンを始めるには早いよ」

「? しかし今ターンエンドって……」

 

「ぼくは神鳥シムルグの効果を発動! お互いのターンのエンドフェイズにお互いに1000ダメージを与える!」

「なんだって!?」

 

 神鳥シムルグが翼から竜巻を起こし僕と吹雪さんに向かって飛ばしてきた。

 

「ぐっああああ!!」

 

 

《コナミ》 残 LP 2150

 

 

 くっ、なんてすごい効果だ。神鳥シムルグ…お互いとはいえ毎ターンの1000ダメージなんて。うまく使えば1ターンでデュエルを終わらせかねない程だ。

 

 

「毎ターンの1000ダメージ、しかしお互いだというなら吹雪さんだって……」

 

 

《吹雪》 残 LP 3500

 

 

 吹雪さんのライフが減っていない!?

 

「神鳥シムルグの効果ダメージは伏せカード1枚につき500ポイント軽減できる。僕は2枚伏せていたためダメージはなしだ」

 

 そういうことだったのか。

 つまり次のターン僕も伏せカードを2枚用意しなければならない。もしくは神鳥シムルグを破壊しなければダメージをくらう。

 それも毎ターン。

 

「さあ、君のターンだよ。年少の子には少々大人げなかったかな?」

「くっ、僕のターン、ドロー!!」

 

 明らかに舐められている。仕方ないとは言えこうもわかりやすく煽られると腹が立つ!

 見渡せば会場は完全に吹雪さんが勝つと決まったかのようなムードが漂っている。

 

 まだだ。まだ僕は敗けてはいない!

 応援してくれた愛理ちゃんのために、このまま負けるわけにはいかない!

 

「このターンで巻き返す! 僕は手札から魔法カード ソウルテイカーを発動! 神鳥シムルグを破壊する!」

 

 僕のソウルテイカーより放たれた輝く球体が神鳥シムルグを包もうとする。

 

「そうはいかない! 僕はリバースカードオープン! 亜空間物質転送装置! 僕の神鳥シムルグは次の僕のターンまでフィールドからいなくなる」

 

 くそっ躱された! フィールドにいないんじゃあ神鳥シムルグをこのターンに倒すことができない!

 

「だけど吹雪さんの場は今モンスターがいない! 僕は隼の騎士を召喚! 隼の騎士は1ターンに2度の攻撃ができる。バトルだ!」

 

 

《隼の騎士》 攻撃力1000 守備力700

 

 

 隼の騎士が吹雪さんに剣を二度振るった。

 

 

《吹雪》 残 LP 1500

 

 

「ぐううぅっ! ははっ! 効くなあ…」

 

「僕はカードを2枚伏せてターンエンドです」

 

 僕の場には2枚の伏せカード、これで次のターン神鳥シムルグが戻ってきても効果ダメージだけは免れる。

 

「いやあ、さすがに強いねコナミ君。三沢君のライバルだけあるよ」

「はあ、ありがとうございます」

 

 急になんだろう? 褒めてくれているのだけはわかるけど……。

 

「……でも、君のデュエルはちょっと窮屈そうだね」

「は? それはどういう…」

 

「それはこれからわかることだよ。僕のターンドロー!」

 

「この瞬間、亜空間に行っていた神鳥シムルグが戻ってくる!」

 

 吹雪さんの場に神鳥シムルグが戻ってきた。

 これで攻撃されれば大ダメージは免れない!

 

「僕は神鳥シムルグで隼の騎士を攻撃!」

「くっ! 僕に発動できるカードはない!……ぐあああっ!!」

 

 

《コナミ》 残 LP 450

 

 

「カードを1枚伏せてターンエンド。神鳥シムルグの効果が発動するがお互いカードを2枚伏せているためダメージはなしだ」

 

 神鳥シムルグが僕と吹雪さんに向けて突風を起こすが僕たちが伏せていた2枚のカードが起き上がりダメージを防いでくれた。

 

「はあっ、はあっ。つ、強い……」

 

 僕のライフはもう風前の灯火。神鳥シムルグの効果を1度でもくらえば負けが決まる。

 僕の場にこの状況を覆すカードはない……!

 

 強いのはわかっていたが、こんなにもあっさりと負けてしまうのか?

 

 己惚れていたつもりはないが、こんなにも僕と吹雪さんの間には差があるのか!?

 

 コウキ…三沢……そして愛理ちゃん。みんなが、力の差に絶望し膝をついた僕を見ている。

 

「おい! 諦めるんじゃねえ! 勝つんだろ!」

 

「そうだ! まだ最後のドローが残っている! 諦めるのはそれからでも遅くはない!!」

 

「コナミ君! ……頑張って!!!」

 

 みんな……そうだね、まだだ。まだ最後のドローが待っている。

 

 友達が僕の勝利を祈ってくれているんだ。

 

 立って、最後までデュエルするんだ。僕はデュエリストなんだから!

 

「僕のターン……ドローー!!!」

 

「「!?」」

 

 今、一瞬……僕の手が光り輝いたような……。

 吹雪さんも何かに驚愕したような眼で僕を見ている。

 

 いや、今はこのデュエルを続ける!!

 

「僕は手札から強欲な壺を発動! カードを2枚ドロー!」

 

 起死回生のカードよ。来てくれ!

 

「……僕は強欲な壺で引いたワタポンの効果発動! ワタポンはカード効果でドローした場合、特殊召喚できる!」

 

「僕はワタポンを召喚!」

 

「そしてリバースカード リビングデッドの呼び声を発動! 墓地からガガギゴを召喚する!」

 

「甦れ! ガガギゴ!!」

 

 僕のフィールドにガガギゴとワタポンの2体が揃った。

 

「ガガギゴを呼び戻してきたか。これでモンスターは2体。いいカードでも引けたかい?」

 

「ええ。僕のとっておきが来てくれました! 僕はワタポンとガガギゴをリリースして手札からバスター・ブレイダーを攻撃表示で召喚!」

 

 

《バスター・ブレイダー》 攻撃力2600 守備力2300

 

 

「バスター・ブレイダー……。しかし、攻撃力が足りないようだが?」

「だからこうするんです。僕はもう一枚のリバースカードを発動! 天使のサイコロ!」

 

「天使のサイコロはサイコロの眼の数だけ僕のモンスターの攻撃力と守備力を上げる!」

 

 僕の場に現れた小人がサイコロを回した。

 

「出た目は……2! バスター・ブレイダーの攻撃力は200ポイントアップ!!」

 

 

《バスター・ブレイダー》 攻撃力2800 守備力2500

 

 

「神鳥シムルグの攻撃力を超えたか!?」

「バトルだ! バスター・ブレイダーで神鳥シムルグを攻撃! バスター・ソーード!!!」

 

 跳び上がったバスター・ブレイダーが巨大な剣を振りかぶり吹雪さんの神鳥シムルグを切り裂いた。

 

「シムルグは倒した! これで形成は逆転だ!」

 

 

《吹雪》 残 LP 1400

 

 

 神鳥シムルグが破壊された際に起こった煙が晴れた先、吹雪さんの場には4体の羊トークンが並んでいた。

 

「僕は神鳥シムルグが破壊された瞬間にスケープゴートを発動しておくよ」

 

 スケープゴート……。 なぜ今発動を、吹雪さんほどの人でもエースモンスターを破壊されて動揺したんだろうか。

 

「……僕はこれでターンエンドです」

 

 疑問はあるが、僕の場にはバスター・ブレイダーが1枚のみ。手札もない以上できることはない。

 

「……何度か君のデュエルを観戦したが、やはり君はこちら側だ」

「?」

 

 僕がターンエンドを宣言すると吹雪さんが静かに話しかけてきた。

 

「コナミ君。僕はね、デュエリストには2種類のタイプがいると思っている」

「……?」

 

「君を窮屈だといった答えだよ。話を続けよう。一つは理論型だ。三沢君や僕の妹の明日香がこのタイプかな。このタイプはデッキ構築や戦術が合理的な考えに基づいて行われる。わかりやすく言うとミスの確立を減らしていくタイプだ」

「……」

 

 ……だとすると僕は理論型だろう。僕もデッキを作る際、いかにバランスよく作るかを意識している。

 三沢君ともよく相談しながら作り上げている。

 

「そしてもうひとつ…天才型…というより直感で動くタイプだ。このタイプは合理性など度外視でデッキを作り上げ、心のままにデュエルする。僕や君がそのタイプだ」

 

「断言しよう。次の僕のターンで勝負は決まる」

「なにをっ!?」

 

「僕には次にドローするカードがわかる。デッキが教えてくれる。コナミ君! 君はもっと自由であるべきだ!!」

 

「僕のターンドロー!!!」

 

 吹雪さんがドローした瞬間、指が光った……!?

 

「見せてあげるよコナミ君。これが僕のエースだ!! 羊トークン2体と墓地へ行った神鳥シムルグを除外して…THE アトモスフィアを特殊召喚!」

 

 エースモンスター!? 神鳥シムルグがエースではないのか!?

 

 

《THE アトモスフィア》 攻撃力1000 守備力1000

 

 

「……ふつくしい」

 

 吹雪さんの場に現れたモンスターの姿に僕は思わず呟いた。

 なんて美しいモンスターなんだ。

 目を奪われるとはこういうことなのかと思うほどに僕は魅せられていた。

 

「美しいモンスターだろう? 僕のお気に入りさ。さて…いつまでも見ているわけにはいかない。僕はTHE アトモスフィアの効果発動! 君のバスター・ブレイダーを装備カードとしてアトモスフィアに装備する!」

 

 愛理ちゃんのサクリファイスと同様の効果!?

 僕の場にいたバスター・ブレイダーがアトモスフィアの持つ球体の中に吸い込まれていく!

 

 

《THE アトモスフィア》 攻撃力3600 守備力3300

 

 

「攻撃力3600……」

 

 僕のバスター・ブレイダーがいなくなり、僕は敗北を悟った。

 

 ああ、1枚もカードが残されていない僕にできることはない。全力で挑んで……敗けた。

 

 僕はデュエルの結果を受け止めるため目を閉じてその時を待った。

 

「バトルだ。THE アトモスフィアでダイレクトアタック!」 

 

「テンペスト・サンクションズ!!」

 

 アトモスフィアが大きく羽を広げ全身を光り輝かせ、僕のライフを0へと導いた。

 

「勝ちたかったなあ……」

 

 

《コナミ》 残 LP 0

 

 

『勝者! 天上院吹雪!!』

 

 

 一瞬の静寂。その後爆発的な歓声が上がった。

 

 デュエル後、僕たちは互いの健闘を称えるためお互いに握手をした。

 

「吹雪さん、ありがとうございます。吹雪さんの言っていた自由っていうのは正直まだよくわかりませんが、考えてみようと思います」

「うん。それがいい。年長者としてのアドバイスだ。デッキを組み上げる時バランスやカードの強弱で決めずにカードと君の心が求めるものを入れるといい」

 

「カードと心ですか?」

「そう! それができれば君は飛躍的に強くなれるはずさ! もしかしたら僕と同じくらいになれるかもね?」

 

 吹雪さんはウインクをして笑いながら、本気なのかどうかわからない言葉を送ってくれた。

 

「さあ、ステージから降りようか。次の主役が待っている」

「はい」

 

 僕たちがステージを降りた先、みんなが待っていた。

 

「惜しかったね」

「愛理ちゃん……ありがとう」

 

 労ってくれる愛理ちゃんに感謝を述べながら僕は女の子たちに囲まれて笑っている吹雪さんを見る。

 

「いつかもっと強くなって、勝ちたいな……」

 

 胸の内から溢れてくる悔しさを押しとどめながら僕は思う。

 

 本当に体験会に来てよかった。

 

 ステージの上では他の入賞者によるデュエルが行われている。

 

「次勝ちゃいいんだよ。そうだろ?」

「コウキ……そうだね。その通りだ」

 

 僕の方に手を置いてコウキが笑っている。

 

「そうだ。俺たちはまだまだこれからだ。今回は叶わなかったがいつか俺たちもあのようなステージに立って勝利を飾るんだ」

「うん。そうだね三沢君」

 

 僕たちはステージの上で称えられている勝者を見る。

 

「なれるよ。みんななら」

「うん……なろう。いつの日か僕たちも……」

 

 悔しさから流れそうになる涙を堪えながら僕たちは勝利の栄光を手にした人に拍手を送り続けた。

 

 

 

     ・

 

     ・

 

     ・

 

 

 イベント後、日が落ちてきた時間。

 吹雪さんたち兄妹と絵里ちゃんと別れた後、僕たちも帰宅の準備をしながら僕は吹雪さんの言葉を思い出す。

 

『コナミ君、まだ先の話だが僕はデュエルアカデミアへ行く。君が再戦を望むなら中学か、高校か来るといい。その時君の挑戦を受けよう』

 

 デュエルアカデミア。優秀なデュエリストを輩出すべく建設されたデュエリスト養成学校。

 吹雪さんは将来そこへ行くと言った。

 そして再戦を望むならその時受けようと……。

 

「デュエルアカデミアか…中々挑みがいのある学校だ。全国から天才たちが集まる学校。受験も厳しいものになるだろう」

 

 三沢君はもう目指すことに決めたらしい。携帯で学校の概要を調べながら僕たちに説明してくれる。

 

「コナミ、コウキ。俺は目指すつもりだがお前たちはどうする?」

「ガッテン! 決まってんだろ! 吹雪さんが行くってことは明日香ちゃんも行くってことだ。俺も目指すぜ!」

 

 コウキも目指すことに決めたらしい。「うおおおお!」と激しくやる気で燃えている。動機はちょっとどうかと思うけど、まあやる気が出るならいいのだろう。

 

「僕も行くよ。デュエルアカデミア。そして強くなった僕が今度こそ吹雪さんに勝って見せる」

「うむ。いろいろと難題はあるが俺たち3人。全員でデュエルアカデミアに入学しようじゃないか!」

 

 三沢君の言うようにデュエルアカデミアへの受験は難題が多い。まず都内での寮生活ゆえ親の説得、さらに受験が必要なため僕とコウキは勉学が厳しい。実技のデュエルはどれくらいの実力が必要なのかわからないが、簡単ではないだろう。

 

「まあ最悪、中学は無理でも高校なら許してもらえるだろう。年齢的にも中学よりは許しは得やすいはずだ」

 

 まあ寮生活とはいえ親元から離れるんだもんね。僕の親……許してくれるかなあ。

 無理だろうなあ。先行きが不安すぎる。

 

「ところで話は変わるが、愛理君とは連絡先聞けたのか?」

「うん。それは大丈夫。意外と家も近かったから、頻繁には無理だけど会おうと思えば会える距離だったよ」

 

 愛理ちゃんか……。

 

『絶対に連絡してよ! これで終わりなんて考えてたら許さないからね!』

 

 イベントで知り合った女の子。僕の何がそんなに気に入ったのかわからないけどずっと僕を応援してくれた新しい友達。

 可愛い娘だったなあ。僕が疲れて眠っちゃったときは膝枕なんてこともしてくれたし……機会があればまたしてほしいなあ……なんて思ったり思わなかったり。

 

「なら安心だな。さてお前たち、一応聞いておくがもう少しで夏休みも終わるわけだが……」

 

 三沢君が何か言いたげに言葉を溜めている。

 

「宿題はやっているのか?」

「…ふっ、わざわざそんなことを聞くなんて俺たちのことわかってないなあ…やってないに決まっているだろう!」

「三沢君……お願い見せて!」 

 

 やるわけないじゃないか宿題なんて。いつだって僕とコウキは宿題は最終日までやってはいないのだ。

 

「そんな強くいうことか! しがみついてくるな! わからないところは教えてやるから自分たちで問題を解け!」

 

 その後なんやかんやと僕たちは三沢君の元、宿題に追われながら3年生の夏が過ぎて行くのだった。

 

 





 アトモスフィア、デザインめっちゃ好きで使ってたんですよね。

 デュエルアカデミアの中学の設定はよくわからなかったので都内の寮生活ということにしてます。流石に中学生で孤島生活はないんじゃないかなあと。

 個人的な主観によるものですが

 理論型 三沢、明日香など 現実に即したデッキ構築をするため安定した強さが発揮できる。

 直感型 十代、万丈目など 現実的に考えて回るわけない無茶苦茶なデッキをぶん回すタイプ。

 アニメ見ててもまあこんな感じかなあと。どっちが優れてるとかじゃなく向き不向きの問題。

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