初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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 超長い。書いてて1万字超えるなと思ったので2話に分けます。


激闘!地下デュエル!!①

「俺の先行だ! ドロー!!」

 

 仮面をつけた男がカードを引く。地下で起こなわれる命を賭けたデュエルをすることになったのは甚だ不満だが、周囲を鉄の檻で囲まれてしまっている以上、逃げることはできない。

 なにより騙されたとはいえここに来たのは俺の意思だ。

 ならばこのデュエル、勝利することで生き残るしかない!

 

「俺は手札から髑髏顔 天道虫を召喚。さらにこのモンスターに対し孵化を発動。髑髏顔 天道虫を墓地へ送り、このモンスターより1つレベルの高い昆虫族をデッキから特殊召喚する。俺はデッキからアルティメット・インセクト LV5を特殊召喚!」

 

 

《アルティメット・インセクト LV5》 攻撃力2300 守備力900

 

 

 仮面の男の場に銀色に反射する金属のような外殻の蛹型モンスターが召喚された。その手足は鋭い爪で並のカードでは太刀打ちできない鋭利さを備えている。

 俺はわずかに、眉間に皺を寄せた。

 

「さらに、孵化により墓地へ送られた髑髏顔 天道虫の効果により俺のライフは1000ポイント回復する。これで俺はターンエンドだ」

 

 

《仮面の男》 残 LP 5000

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 初ターンから上級モンスターの召喚にライフ回復コンボまで挟んできたか。そのカードのコンボを見ただけでわかる。この男、並のデュエリストではない。

 召喚したアルティメット・インセクトも次の奴のターンが来れば進化してその能力を発揮するだろう。その前に排除しなければ。

 

 そう、いつもの俺のデュエルを、サイバー・エンドを召喚するんだ。それをすれば勝てる!

 

 俺は命がかかっている状況に険しい表情をしながら、努めていつも通りの時分のデュエルをしようと心を整えようとしていた。

 その様子が相手には可笑しく映るのか、周囲で観戦しているマスクをつけた観客たちの薄ら笑いの声が耳に届いてくる。

 

──それがひどく不愉快で耳障りであった。

 

「俺は手札からサイバー・ドラゴンを特殊召喚! このモンスターは俺の場にモンスターがおらず相手の場にモンスターがいる場合、生贄なしで召喚することができる!」

「ふん、お得意の機械竜か……サイバー・エンド・ドラゴンは召喚しないのかい?」

「くっ…………」

 

 

《サイバー・ドラゴン》 攻撃力2100 守備力1600

 

 

 俺の手札にサイバー・エンド・ドラゴンを召喚する方法はない。以前までの俺なら必ずというわけではないが、高い確率で召喚することができたというのに。エド戦を経るまでは…………。

 

「だが、サイバー・エンドがなくてもやりようはある。俺は手札から魔法カード エヴォリューション・バーストを発動! 俺の場にサイバー・ドラゴンがいる場合、その攻撃権を放棄することで相手モンスター1体を破壊する! 俺はお前の場のアルティメット・インセクトLV5を破壊!」

 

 サイバー・ドラゴンが吐き出した光線が光沢をもつ蛹を破壊した。これで奴の場にモンスターはない。攻めるなら今だ!

 

「俺はさらにサイバー・フェニックスを召喚! バトルだ! サイバー・フェニックスでお前にダイレクトアタック!!」

「ぐぉおおおおおっっ!!?」

 

 

《サイバー・フェニックス》 攻撃力1200 守備力1600

 

 

《仮面の男》 残 LP 3800

 

 

 四枚の金属羽根を持つサイバー・フェニックスの攻撃が通り、奴のライフを削ることに成功する。するとどうしたことか、奴の両手足につけてある刺々しいリングから電流がほとばしり奴の体にダメージを与えていた。

 

「こ、これは──!!?」

「ふふふ、これこそ地下デュエルの本領。あの衝撃増幅装置はお互いのライフが経るたびにダメージを本人にも与える。ライフが完全になくなった時、果たしてその命まで無事かどうか」

「ばかな、こんなものはデュエルではない!!」

 

 檻の外からかけられた猿山の説明に改めて驚愕した。デュエルの前に言っていたが、まさか本当のことだとは!

 こんなデュエル、俺はデュエルとは認めない。命を奪いうデュエルなど、俺の信条に反する。リスペクトできるわけがない!!

 

「ははは! い~痛みだ。この痛みが今この時を生きていることを実感させてくれる。さあ、カイザーとやら、デュエルを続けよう。俺に痛みをくれた礼に、お前にも生きる喜びを与えてやろう!」

「ぐっ、お前はそれでいいのか!」

「何を躊躇うことがある。お前の望んだデュエルができるんだ。それで死んだとしても、本望だろう!!」

「違う………こんなものはデュエルではない…………ッ!!」

 

 頭を振って否定するが、結局のところ、ここから逃げ出せない以上、デュエルを続けるしかない。勝って、抜けるしかないのだ…………。

 

 衝撃増幅装置とやらに驚き止まった思考を取り戻す。驚かされこそしたが、1ターン目から増えたライフアドバンテージをなくすことができた。

 サイバー・ドラゴンもいる。場の状況を有利にできた今、次のターンも有利に進めるだろう。

 

 俺は半信半疑であった命がけのデュエルの実態に恐怖心がせり上がりながら、必死に押し殺し、これまで通りのデュエルを継続しようと息を呑みこんだ。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

「くくく、俺のターン、ドロー!」

 

 さて、奴の2ターン目。アルティメット・インセクトがいなくなった今、進化させて効果により有利に進める予定は崩れたはず。どうそれをリカバリーしてくる。

 

「アルティメット・インセクトを破壊して満足しているようだが甘いぞ! 俺は手札からエレクトリック・ワームの効果を発動! このカードを墓地へ送ることで貴様の機械族モンスター1体のコントロールを得る! 俺はサイバー・ドラゴンを選ぶ!!」

「なにッ!?」

 

 奴の場に現れた電気が生命の形をとったような昆虫が俺のサイバー・ドラゴンに憑りついた。憑りつかれたことで叫びながら敵の場に行ったサイバー・ドラゴンの赤く光った目が俺を見つめている。

 その目からは何も感じ取れない。ずっと通じ合っていたサイバー・ドラゴンの心がわからない。

 

──サイバー・ドラゴン、お前は今、何を思っているんだ…………。

 

「バトルだ! サイバー・ドラゴンでお前のサイバー・フェニックスを攻撃、エヴォリューション・バースト!!」

「ぐっ………うぁああああ!!?」

 

 

《丸藤》 残 LP 3100

 

 

 サイバー・フェニックスが破壊された瞬間、それを意識する間もなく両腕と首にもつけられた装置から衝撃が伝わってきた。

 全身を貫く痛みは耐えがたく、これが本当にデュエルがもたらすものなのかと現実逃避して疑いたくなるほどだ。

 

「ぐっ………う…………サイバー・フェニックスの効果により、戦闘で破壊された時、カードを1枚ドローする」

「好きにしな。いくらでもドローすればいい。勝つのは俺だからなあ」

 

 想像以上の衝撃に息を荒げながらカードを引いた。エレクトリック・ワーム、機械族とドラゴン族に対する強力なコントロール奪取効果を持つモンスター。

 偶然だろうか。昆虫デッキであろう奴のデッキに俺のデッキに有利に働くモンスターが入っていることは…………。

 

 もしそうでなければ、こいつは予め俺と戦うことを知っていた可能性が…………。

 俺は悪い想像にかぶりを振って苦虫をかみしめながらこのデュエルで勝利することの難しさを予感した。

 

「俺はさらに永続魔法 虫除けバリアーを発動。カードを1枚伏せてターンエンドだ。この瞬間、サイバー・ドラゴンはお前の場に戻る」

「俺のターン……ドロー!」

 

 俺と奴の間を遮るように幾重にも交差した光の線が現れた。その線を物ともすることなくサイバー・ドラゴンは俺の場に戻ってくる。

 やはり、サイバー・ドラゴンが何を思っているか、伝わってこない。

 

(虫除けバリアーは相手の場の昆虫族の攻撃をできなくするカード。しかし俺のデッキはサイバー・ドラゴンを中心とした機械族デッキ。その影響力はないに等しい。それでも使ってきたと言うことは………あのもう一枚のリバースカードは間違いなく種族変更カード!!)

 

 俺は手札を見る。手札にはリバースカードを破壊するカードはない。もちろん、サイバー・エンド・ドラゴンを召喚するカードも…………。

 デッキが上手く回らない。幼少の頃よりずっと回してきたカードたちが応えてくれない。俺は内心で積もり続けていた不満が怒りとなって這い出てこようとするのを押し殺すように大きく息を吸い戦術を決めた。

 

「俺はサイバー・ドラゴンで攻撃! エヴォリューション・バースト!!」

「はぁっ、そうはさせねえよっ!! この瞬間、リバースカード DNA改造手術を発動! フィールドのモンスター全てを昆虫族に変更する!!」

「………やはりか」

 

 攻撃の瞬間に発動されたDNA改造手術によりサイバー・ドラゴンの体が機械から昆虫のような甲殻へと変わった。

 想定していた通り、種族変更カード。これを破壊しなければ、いくらモンスターを召喚しても俺は奴にダメージを与えれない!

 

「ならば俺はプロト・サイバー・ドラゴンを守備表示で召喚。カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

《プロト・サイバー・ドラゴン》 攻撃力1100 守備力600

 

 

「フィールドにいる間、サイバー・ドラゴンとして扱うモンスターか。壁を増やす目的かあ? 寂しいものだなあ、カイザーと呼ばれた男の姿かこれが…………。くく、俺のターン、ドロー! 強欲な壺を発動し、カードを2枚ドローする!」

 

 強欲な壺を引いてきたか。これで奴の手札は十分反撃可能な枚数に戻った。何を出してくる。

 

「俺は死者蘇生を発動。墓地から召喚するのは勿論、アルティメット・インセクト LV5!!」

「ぬ、再び召喚してきたか!!」

 

 

《アルティメット・インセクト LV5》 攻撃力2300 守備力900

 

 

「こいつが召喚されたならやることは決まっているよなあ。バトルだァ! アルティメット・インセクト LV5でプロト・サイバー・ドラゴンを攻撃! 痛みをくらいなあッ!!」

「そうはさせん! 俺はこの瞬間、フォトン・ジェネレーター・ユニットを発動! 俺の場のサイバー・ドラゴンとプロト・サイバー・ドラゴンを生贄に捧げ、デッキからサイバー・レーザー・ドラゴンを特殊召喚!!」

 

 

《サイバー・レーザー・ドラゴン》 攻撃力2400 守備力1800

 

 

 サイバー・ドラゴンがいなくなることで召喚された尾にレーザー砲がついたより巨大化したサイバー・レーザー・ドラゴン。こいつがいれば、攻撃力の劣るアルティメット・インセクト LV5では攻撃することができない。

 仮に進化されても同じ、ステータスが上昇すれば効果で破壊することができる。奴の場のアルティメット・インセクトではこいつを超えることはできない!

 

「ふん、やるじゃあないか。だが、そいつに居座られるのは面倒だな。俺は手札からソウル・テイカーを発動。お前のライフを1000ポイント回復させてやる代わりに、そいつには退場してもらうぜ!」

「なにッ!?」

 

 俺が攻撃がこないことに内心でほっとしていると奴が発動したソウルテイカーによりサイバー・レーザー・ドラゴンの上空から巨大な腕が降りてきた。

 それは身をよじり抗うサイバー・レーザー・ドラゴンを反抗も許さず掴み上げ、手の届かない場所へと連れて行ってしまった。

 

 

《丸藤》 残 LP 4100

 

 

「よかったなあライフが増えて。俺に感謝しろよ。俺はこれでターンエンド。ほれ、もっと頑張れ、頑張れ、カイザーさん」

「ぐぅっ…………! 俺のターン、ドロー!」

 

 明らかに舐めた声色に苛立ちが生まれてくる。だが、こちらの状況は最悪だ。感情を殺し、今は状況の打開を目指さねば。

 手札は…………くっ、なぜだ。何故応えてくれない、サイバー・ドラゴン!!

 

「俺は、何もせずターンエンドだ………」

「ん~? 聞き間違いか~。今ターンエンドと言ったかあ?」

「くっ、ああ。ターンエンドだ」

「ぷっ、あーはっはっは!! おいおいマジかよ!! 聞きしに勝るカイザーともあろうものが、手札が3枚もあって何もせずターンエンドだと? デュエルに勝てないからって笑い殺す気かよ!!」

 

 腹がよじれるとばかりに笑う仮面の男。それに呼応するように、このデュエルを観戦している会場中の観客たちからも嘲笑の笑い声が響いてくる。

 その反応に抗議しようにも、笑われても仕方ない醜態をさらしている事実が俺の心を苛んだ。

 

 自分のデュエルを貫けばいい。そうすればデッキは答えてくれる。

 そのはずなのに、今の俺には、応えてくれない。何故なんだ…………。疑問と不満ばかりが、俺の胸に積もり続けていた。

 

「いやー笑わせてくれるぜ。最下位ザーに相応しいプレイングに惚れぼれするぜ。俺のターン、ドロー。ふふ、笑わせてくれた礼だ。アルティメット・インセクトの進化は1ターン待ってやるよ。俺はアルティメット・インセクト LV5でダイレクトアタック!!」

 

 これを食らえばあの痛みが、いや、それ以上の痛みが来る!!

 

「俺は! パワー・ウォールを発動! デッキから任意の枚数を墓地へ送り、その枚数分のダメージを減少させる!」

 

 俺は攻撃が届く直前に震えそうになる手を逸らせてデッキから23枚のカードを墓地へ送ることでダメージを避けた。デッキの半数以上を送ったことで、残り枚数が頼りないことになってしまっている。

 

 残りのカードの枚数は………果たして勝てるか!?

 

「ふふ、ちゃーんと守りのカードを伏せていたか。ならば俺はアルティメット・インセクト LV1を守備表示で召喚。ターンエンドだ」

 

 

《アルティメット・インセクト LV1》 攻撃力0 守備力0

 

 

 ターンが回るたびに危機が増していく、限りある命の喪失が近づいてくる。そこから逃れるために俺はデッキからカードを引いていくのだった──。

 

 




書く側と読む側の面白さは違うから、読んでくれている人たちに面白いと思ってくれているモノを書けているのかと時々不安になりますね。逆の立場になれたらなあと時折思います。
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