初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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なんとか2話で収まった。歯石除去の動画見てるとこの人は今まで歯磨きをどうしてたんだって動画が沢山見れて楽しい。


鏡界闇魂②

 フィールドは黒い霧に包まれていた。電脳世界の空は全てを呑み込む闇を体現したようにそこには塵一つ存在しないというのに、美寿知が発動したフィールド魔法 無限の降魔鏡によって真円を描いた黄色い月がいつの間にやら存在していた。

 

「このフィールド魔法、美寿知は何もしなかったけど、何の効果があるんだ?」

 

 俺は意図のわからない魔法の発動に疑問を感じ、エドに問いかけた。

 

「さあな、ボクも初めて見るカードだ。効果は不明だが、発動した以上そこには必ずなんらかの意図が隠されているはずだ」

 

 エドもまた、この不気味すぎるカードの発動に警戒しているようでフィールドを油断ない鋭い目で観察し警戒している。

 

「どんな効果があるとしても、俺は俺の出来ることをするぜ。俺は手札からバブルマンを召喚。このカードが召喚された時、俺の場に他のカードがなければ2枚ドローできる!」

 

 俺は水のHEROのバブルマンの効果でカードを2枚引き、場のカードを見ながら思考を巡らす。

 

 今、俺とエドの場にはバブルマン以外のカードは存在しない。しかし、美寿知の場には上級モンスターのクライスが、そしてコナミのMARSがおり、さらには効果不明のフィールド魔法が存在している。

 

 半端なモンスターを召喚したとしても、すぐに破壊されるのオチだ。ライフも十分に残っていることを考えて、ここは時間稼ぎに移るぜ!

 

「俺は手札から融合を発動! 手札のクレイマンとバブルマンを融合し、マッドボールマンを守備表示で召喚!! ターンエンドだ!!」

 

 

《E・HERO マッドボールマン》 攻撃力1900 守備力3000

 

 

 俺の場に丸みを帯びた巨大な重量級のHEROが召喚される。守備力の高さが売りのマッドボールマンなら、MARSの攻撃も、クライスの攻撃も凌ぐことができる。

 不安があるとすれば美寿知の帝モンスターがさらに出てこないかってところだが、そこは信じるしかねえ。一応、俺の次はコナミだが、コナミがMARS以外のプラネットモンスターで超えてこないことを祈るばかりだぜ。

 

「………僕のターン、ドロー。僕は手札から死者蘇生を発動。墓地の騎竜を特殊召喚。そして手札の闇魔界の戦士 ダークソードを召喚し、ユニオン合体する」

 

 

《闇魔界の戦士ダークソード&騎竜》 攻撃力2700 守備力2400

 

 

 物静かな動きでコナミの場に召喚されたダークソードと騎竜。その赤い竜の首に跨るように黒い鎧を着た戦士が飛び乗る。

 その2体のモンスターの合体を見て、俺は焦りの顔を浮かべた。その焦りの答えを示す様にコナミは攻撃を宣言した。

 

「やべえ! ダークソードと騎竜のコンビの効果って確かッ!!」

「…………バトルだ。騎竜の効果により、ダークソードは直接攻撃ができる。マッドボールマンを無視して十代にダイレクトアタック──ダークソード・スラッシュ…………」

「──ぐぁああああ!!?」

 

 騎竜に跨ったダークソードがマッドボールマンの上空を飛び越えながら俺に剣を振り下ろしてくる。俺の肩を切り裂いたその剣に幻覚でありながら激しい痛みを感じ取った俺は叫び声を上げながら蹲った。

 

 

《十代&エド》 残 LP 3400

 

 

「何をやっている十代!!」

「ぐっ、すまねえエド」

「…………僕はこれでターンエンド」

 

 ダークソードの攻撃により大幅に減ったライフを見たエドが叱責と共に憤然とした視線を投げかけてくる。

 

 マッドボールマンでコナミの攻撃を完全に遮ったと思ったんだが、ダークソードで飛び越えてくるってのは予想外だぜ。

 HEROだったりプラネットモンスターだったりダークソードだったりとどんな状況でも対応できる幅広い対応力があるコナミのデッキ相手にマッドボールマンで防ぎきれるってのは甘かったか。

 

 俺は自分の見積もりの甘さに臍をかんだ。

 

「ボクのターンドロー! ボクは手札からDーHERO デビルガイを守備表示で召喚!!」

 

 

《DーHERO デビルガイ》 攻撃力600 守備力800   

 

 

 エドの場に血のように赤く染まったマントを背負ったダークな印象を受けるHEROが召喚される。それを見た俺はエドの狙いがわかって安堵した。これで厄介なダークソードの直接攻撃を失くすことができると。

 

「デビルガイのエフェクト発動! ダークソードを2ターン先の未来に送ることができる! 消えろっ──ディスティニー・ロード!!」

 

 デビルガイの爪に押されたダークソードが騎竜を残し未来へと消える。残された騎竜もまた、主人を追うように光の粒子となって墓地へと送られた。

 

「フッ、これで騎竜とユニオンしたダークソードでダメージを重ねることはできないな。仮に2ターン後に戻ってきたとしても、そこに騎竜はいない。もう同じ戦術はできない!」

「…………ぬぅ」

 

 ダークソードが消えたことを見届けたコナミが顔をわずかに顰めて唸る。ダークソードがいなくなったことで、恐らく手札にもマッドボールマンを超える手段がなくなったのだろう。

 

「ボクはカードを3枚伏せて、ターンエンドだ」

「即座に対処してくるとは、流石にやるのうエド。じゃがそなたがターンを終えるその前に、妾は終焉の焔を発動。妾のフィールドに2体、黒焔トークンを特殊召喚する」

 

 

《黒焔トークン》 攻撃力0 守備力0 

 

 

「トークンが2体、生贄要員を残されたか…………!」

「ふふ、妾のターンじゃ、ドロー!」

 

 エドがターンを終えると同時に召喚された黒い焔そのものの2体のトークンの存在。それは間違いなくこの膠着状態を脱するための上級、或いは最上級モンスターを召喚するための布石だった。

 それを裏付けるように、美寿知は自らの手札を見て笑い、勝ち誇った笑みを浮かべた。

 

「ふふふ、そなたらに、妾の切り札を見せてやろうではないか」

「切り札…………帝以外のモンスターが来るのかッ!?」

「そうじゃ、見るがよい妾の真の切り札をッ!! 妾は黒焔トークン2体をリリースすることで、闇の神ーダーク・ゴッドをアドバンス召喚!!」

 

 

《闇の神ーダーク・ゴッド》 攻撃力3000 守備力1000

 

 

 闇そのものが形をとった一つ目の大きな巨人。闇の神と称されたそのモンスターを表現するならそんなところだろう。ずんぐりとしたその巨体を前のめりにしたダーク・ゴッドは巨大な一つ目をぐりぐりと左右に動かして俺とエドを交互に見つめている。

 

 攻撃力はかろうじてマッドボールマンを超えていないようで安心したが、神の名がついている最上級モンスター、どんな効果を持っているかわからない。

 美寿知がこの状況を脱するために出してきたであろうモンスター。決して油断できるモンスターではないのだけは確かだ。

 

「──なんだッ!?」

「これは…………フィールドの霧が開けていく?」

 

 ダーク・ゴッドが瞳を月へと向けると同時に輝きを増した月がフィールドを漂っていた黒い霧を晴らしていく。

 霧が晴れた先、デュエルフィールドの外周部を取り囲むように丸みを帯びた縦鏡がずらと並んでいた。

 

「闇の神ーダーク・ゴッドが召喚されたことで妾のフィールド魔法 無限の降魔鏡の発動条件が整ったのじゃ。妾の場にダーク・ゴッドが存在する場合、1ターンに1度、同じステータスを持ったダーク・ゴッド・トークンを空いているモンスターゾーン全てに特殊召喚する」

「空いているモンスターゾーン全て!?」

「バカな……ッ!? 美寿知の空いている数は3。ということは3体のダーク・ゴッドが召喚されることに──!!」

「否、これはタッグデェエルぞ。妾とコナミのフィールドは共有されておる。こやつのフィールドも妾のフィールド扱いよ」

「「なにィッッッ!!?」」

 

 

《闇の神ーダーク・ゴッド・トークン》 攻撃力3000 守備力1000 × 7

 

 

 周囲を取り囲んでいる鏡から一斉に光が反射したと思ったらダークゴッド本体よりも一回り程小さくなってはいるが、7体ものダーク・ゴッド・トークンが召喚されていた。

 俺とエドは驚愕に開いた口が塞がらないと言った表情を浮かべ、観戦していた翔や剣山もまた、もうお終いだと言った言葉を叫んでいた。

 

「バカな………なんてことだ。攻撃力3000のモンスターが8体。そうでなくとも最上級クラスの攻撃力を持つモンスターが2体も並んでいる。これでは…………」

「まだだ! 俺の場にはマッドボールマンがいる。攻撃力3000ならこいつで防ぐことができる!!」

 

 あきらめ気味にエドが呟く声を遮るように、冷や汗を流しながらも美寿知たちの圧倒的なモンスター群の圧力に屈しないために俺が可能性が残っていることを叫んだ。

 

「だが十代、いくらダーク・ゴッドの攻撃を防げたとしても長くは…………いや、違うッ! 美寿知の狙いは──!!?」

「ふふ、そうじゃエド。妾の狙いは戦闘ではない。このトークンを召喚することそのものが狙いよ」

「召喚すること…………?」

 

 エドがナニカに気づいたように更なる焦りを含んだ声を叫ぶ。それに続くように美寿知が召喚された7体ものトークンを見ながら含み笑いを浮かべていた。

 俺は二人が何を話しているのかがわからず問いかけるように呟いた。

 

「気づかないのか十代。ダーク・ゴッドではマッドボールマンを抜けない。だが、そんなことは考慮に値しないんだ。今奴らの場には何がいる!」

「なにって…………んなもんモンスターが沢山…………そうか、MARSッ!!」

 

 隣からの声に促されるように美寿知たちのフィールドに改めて目をやった俺はその狙いを理解したがために声を上げて既に美寿知が王手をかけていることに気が付いた。

 

「ようやく気付いたようじゃな。そう、コナミのMARSはモンスターを生贄に捧げることで500ポイントのダメージを与えることができる。妾の場のダーク・ゴッドとMARSを除いた8体のモンスター。そのすべてを贄に捧げることでお主らに4000ポイントのダメージを与える!!」

 

 美寿知が手を振り上げると同時にコナミのMARSが雄たけびを上げながら巨大な竜の咢を開いた。その口内に吸い込まれるようにダーク・ゴッド・トークンがそして光帝クライスが炉に薪をくべるように吸い込まれていく。

 

「くっ、これを受ければ敗けるッ! ボクはリバースカード 非常食を発動! ボクの場の2枚のリバースカードを墓地へ送ることでライフを2000ポイント回復する!!」

「無駄な足掻きを、4000ポイントのダメージを食らうがよいわ!!」

 

 

《十代&エド》 残 LP 5400

 

 

 非常食によって俺たちのライフが回復するが、それをかき消すように厖大な炎を溜め込んだMARSの火炎が俺とエドの視界を覆いつくすほどの広い範囲で襲ってきた。

 

「「うぁああああああああ!!?」」

 

 

《十代&エド》 残 LP 1400

 

 

 全身が焼けこげるような想像以上のダメージの中、赤く染まった視界が開けた先にはMARSとダーク・ゴッドのみとなり多少拓けたフィールドとなっていた。

 美寿知はもはや自らの勝利を微塵とも疑っていないのか、ダメージから倒れた俺たちを悠然と見下ろしている。隣に立つコナミもまた、王手をかけたことに満足するように目を瞑り黙していた。

 

「ほう、これに耐えたか。しかし、まだ妾のターンは終えてはおらん。妾はダーク・ゴッドでエドのデビルガイを攻撃、アブソリュート・ダークネス!!」

「──デビルガイッ!!」

「まだじゃ、闇の神ーダーク・ゴッドがモンスターを破壊した時、相手に700ポイントのダメージを与える!!」

「ナニィ!?」

 

 ダーク・ゴッドが巨大な目から放った闇の渦がエドのデビルガイを巻き込み破壊した瞬間、俺たちに稲妻が流れ効果ダメージを与えてきた。

 そのダメージに呻き声を上げながら、減ったライフを確認し、俺たちに残された勝利への道が限りなく0に等しいことを悟った。

 

 

《十代&エド》 残 LP 700

 

 

「ふむ、ライフが500を切っていればMARSでとどめをさせたのじゃがの。まあよい、次のコナミのターンでこのデュエルも終いじゃ。妾はこれでターンエンド」

「…………ここまでだな」

「エド…………?」

 

 美寿知がターンを終え、俺がカードをドローしようとした矢先、エドが目を瞑り、項垂れていた。

 

「十代、既にボクらの敗北は決まったようなものだ。いくらマッドボールマンがいたとしても、毎ターン4000ポイントのバーンダメージ。そうでなくとも残りライフ700で1体でもモンスターを破壊されれば終わる。その上なんとかMARSを破壊できたとしても蘇られれば同じ。圧倒的に不利な状況は続く。もしこれが勝率を競う試合ならこの状況に追い込まれた時点で捨てデュエルだ。お前はまだ、勝てると思うのか?」

「…………そうだな、どうやって逆転したもんか、悩むぜ」

「なに、お前はまだ…………」

 

 目を見張り俺を見てくるエドを余所に、俺は手札を見る。

 

(エドの言う通り、このターンが恐らく俺たちのラストターンだ。次にコナミにターンを回した時点で、MARSの効果で俺たちは敗ける。それを逆転するにはあのカードを引くしかねえ。1枚だけある、あのモンスターを…………)

 

「たとえどんな状況でも、俺は最後の最後まで諦めないぜ! 俺のターン…………ドロー!!!」

 

 目を瞑り、一心にデッキを信じて引いたカードは煌めきの尾を引きながら俺の祈りが通じたカードを引き寄せてくれた。

 

「──俺は、手札からE・HERO プリズマーを攻撃表示で召喚する!!」

 

 

《E・HERO プリズマー》 攻撃力1700 守備力1100

 

 

「プリズマーの効果! 融合モンスターを見せることで、その融合素材をデッキから墓地へ送り、同じ名前を手に入れる! 俺はエアー・ネオスを選択し、デッキからネオスを墓地へ。これにより、プリズマーはE・HERO ネオスになる!!」

 

 人型の水晶体であるプリズマーが虹彩色の光を全身から発しながらネオスへと姿を変える。それは閉ざされんとしていた勝利への道に差し込む希望の姿であった。

 

「……ネオス……闇の……力……」

「こいつで決めるぜっ! 俺は手札からラス・オブ・ネオスを発動! フィールドのE・HERO ネオスをデッキに戻すことで場の全てのカードを破壊する!!」

「なにっ、全てを破壊じゃとっ!!?」

 

 名称がネオスとなっているプリズマーをデッキに戻す。すると、ネオスの姿となっているプリズマーは大きく飛び上がり俺たちと美寿知たちの間の地面に強く手刀を叩きつけた。

 

 その衝撃は凄まじく、俺を守ってくれていたマッドボールマンも、美寿知のダーク・ゴッドも、そしてコナミのMARSも含めたありとあらゆるカードが大きく地面を叩き割った衝撃波によって破壊された。

 

「くっ、妾たちのカードが。じゃが次のコナミのターンがくればMARSは再び召喚できる! 召喚権もない以上、お主の負けじゃ!!」

「それはどうかな。俺にはまだ、2枚の手札が残っているぜ! 俺はOーオーバーソウルを発動! 墓地からネオスを特殊召喚!!」

 

 

《E・HERO ネオス》 攻撃力2500 守備力2000

 

 

「ここにきて攻撃力2500!? じゃが、それでもまだ妾たちのライフは残る!」

「いや、これで終わりだ! 俺はネオスペースを発動! このカードがある限り、ネオスの攻撃力は500ポイントアップする!!」

「くぅっ!?」

 

 電子が支配する底知れない暗黒の世界がオーロラが空を覆っているような虹彩色の宇宙へと変貌する。

 ネオスのホームグラウンドであるネオスペースにフィールドが移り変わったことで攻撃力が上がる。攻撃力が3000へと変わったことでコナミたちのライフ2650をネオスの攻撃力が超えたのだ。

 

 くぐもった声を上げる美寿知に俺は力強く拳を握った。

 

『十代、光の檻に囚われた星の少年を我らの闇で開放するんだ』

「ああ、ネオス、力を貸してくれッ!! バトルだ! ネオスでコナミに攻撃──闇で光を貫け! ラス・オブ・ネオスッ!!!」

 

 ネオスペースが生み出した虹彩色の宇宙である世界でプリズマーではない、本物のネオスが飛び上がり俺の意思が籠った手刀がうつろな目で見つめるコナミの胸を貫いた。

 貫いたネオスの腕から黒い、闇の力がほとばしる。それはコナミの体から溢れだした光を追い出す様に、彼の体を覆いつくした。

 

「戻ってこいッ! コナミッ!!」

「ぐっ……ガッ……十代…………くん…………!!」

 

 

《コナミ&美寿知》 残 LP 0

 

 

 ライフの消失と共に俺とネオスが生み出した闇の中でコナミを象徴する星々の煌めきのような明滅が舞い散っていた──。

 

 




いやあなんとか2話で収まってくれてよかった。
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