初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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恋の指南

 

「うっそー、負けちゃったあ……」

 

 雷神龍の雷砲により、デュエルに負けたレイちゃんが膝を突き合わせて座り込む。

 そのしょぼんだ表情から相当に落ち込んでいるのがまた伝わってくるようで、ちょっと気まずい。

 

「レイちゃん、落ち着いた?」

「う〜〜〜ッ! 負けた以上は仕方ないです。あなたが十代様に手料理を作ってあげるのを認めます。でもっ! 僕がもっと美味しくて愛情たっぷりなお弁当を作って十代様の心を射止めるんだから!」

「うん、そこの誤解を解くために、ね。一回落ち着いて話し合おっか」

 

 落ち込むレイちゃんの肩に優しく手を置いて十代くんたちの方を見る。

 彼らはいいデュエルだったと笑顔で手を上げて見てきており、私たちを待っている様子だった。

 

「ほら、行きましょ。そしたら誤解だってわかるから」

「……誤解?」

「ええ、誤解よ」

 

 首を傾げるレイちゃんの手を引いて私はコナミくんたちが据わっているベンチへと向かう。

 そのベンチの上には中身がほとんどなくなっている私のお弁当の箱があり、申し訳ない程度の量のサンドウィッチの残りが入っていた。

 

「私のお弁当が……もう! なんで私のお弁当まで食べてるの!?」

「ごめん愛理ちゃん。つい美味しくて手が止まらなくって」

「う〜っ、まあ、それなら……許してあげなくもないけど……ハァ」

 

 怒りを見せる私に手を合わせてコナミくんが謝っている。

 そうして申し訳なさそうな顔を見ると、どうにも許してあげたくなってしまう。

 

 もちろん、私の分を残しておいてくれなかったことに不満がないわけではないんだけど、美味しくて止まらなかったなんて言われたらため息一つで怒りも霧散してしまうのは相当絆されている証なのだろう。

 

「ごめんなさい十代様。私……」

「おうっ! いいデュエルだったぜレイ。また強くなってたじゃねえか!」

「十代様!!」

「ねえ今レイちゃん自分のこと私って言わなかった? さっきまでは僕って──ぐぅっ!?」

「余計なことはいいのよ。女の子は好きな男の子の前では可愛く見られたいものなんだから」

 

 私たちの隣で嬉しそうな様子を見せるレイちゃんの些細な変化に気づいたコナミくんの横腹に肘を入れる。

 恋する女の子の可愛らしい部分に余計な茶々を入れたらダメなのよ。

 

「なんだか久しぶりにくらった気がするよ。愛理ちゃんの肘鉄」

「つまらないことを気にするからよ。それよりも、レイちゃん紹介するわね。私の好きな人よ。コナミくんっていうの」

「初めまして、よろしくねレイちゃん。3年生のコナミだ。十代くんとはよく一緒に遊んでるんだ」

「えっ!? 愛理先輩が好きなのって十代様なんじゃ」

 

 やっぱり勘違いしてたかと、私の好きな人だっていうコナミ君の紹介に驚き私とコナミ君を交互に見て慌てるレイちゃんに微笑ましくなって笑みが浮かぶ。

 

「そうね、十代くんにお弁当作ってあげるってところだけを聞いてたから誤解させちゃったみたいだけど、私の好きな人はコナミくんの方なの。でも同じレッド寮で2人の仲がいいからよく私の料理も食べてるのよ」

「はあ」

「それで、いつも美味しいっていうし、十代くんの分ならついでに作ってあげてもいいわよってことでああいう話になったの」

「そうだったんですね。私てっきり愛理先輩も十代様目当てなんだと」

「ごめんね。変な誤解させちゃって」

 

 レイちゃんが十代くんのことを好きだっていうのを知らなかったせいでもあるし、それを聞かれてたっていうのも分からなかったせいなんだけど。そうよね、明日香さんもそうだけど十代くんのことが好きな女の子も普通にいるわよね。

 

 なのに彼の分のお弁当を私が作っちゃったら変な誤解されちゃうのも仕方ないわ。

 

「じゃあ、本当に愛理先輩は十代様のことが好きなわけじゃないんですね」

「ええ勿論。十代くんのことはこれっぽっちも、アリ一匹分ほどの好意も抱いていないわ」

「別にいいんだけど、なんか嫌になる言い方だな」

「私に好きって言われても困るでしょ?」

「まあな」

 

 もう高校3年生にもなると言うのに、十代くんは相変わらず恋愛方面に関して疎いというか、そこらへんの感情の情緒がわからないみたいなのよねえ。

 

 世の中の普通の男子ならこの年頃は異性に夢中になっててもおかしくないというのに。

 デュエルに恋してるって表現したらいいのかもしれないけど、十代くんの場合ちょっと心配になるレベルなのよね。

 将来、結婚とかしてるイメージが湧かなくて…….死ぬまで独り身でデュエル大好きしてる姿が……。

 

「でも愛理ちゃん。僕の勝手なイメージだけど気がついたらさらっと結婚してるって未来も見えるんだけど」

「うーん、それもありそうで怖いわね。大した理解もなく突発的に結婚してる可能性が見えるわ」

 

 口に出していないというのに、私の不安を読み取ったようにコナミくんが十代くんの将来を予想する。

 恋愛してるイメージは全くないけど、大人になった十代くんが仲のいい女性に結婚しようって言われていいぞって軽く返す光景も浮かんでしまう。

 

「レイちゃん、あなたの恋路、私応援するわ。なんなら手伝うし、全力で十代くんを落としましょう」

「えっ、あっ、はい! ありがとうございます!」

 

 レイちゃんの肩を掴みながら強く言う私に戸惑いながらも嬉しそうに答える彼女。きっとこの時の私の目は据わってたんじゃないかなと思う。

 

 それくらい、十代くんの将来が心配になっちゃってるのよね。

 

 明日香さんには悪いけど、たぶん十代くんを本気で落とすとしたらかなり強引にか、レイちゃん並みの積極性がなきゃ難しいと思うから、明日香さんが本気で十代くんとの恋を望まない限りは私はレイちゃんの味方をするわ。

 

 もし頑張るレイちゃんを見て奮起するようなら、その時考えましょう。

 

「ねえ愛理ちゃん。結局デュエルは愛理ちゃんが勝ったわけだけど、十代くんのお弁当はどうするの? 僕の分のついでにこれから愛理ちゃんが作るの?」

「そうねえ、作ってあげてもいいけど……」

 

 頬に手を当てながらレイちゃんを見る。彼女は何か言いたそうに、でもデュエルで負けた手前言えないって顔をして気落ちきていた。

 

「そうね、こうしましょう。十代くんのお弁当はこれからレイちゃんが作ってくれるわ!」

「えっ!?」

「レイが?」

 

 2人が驚いた顔をして見てくる。

 そんなに悪い提案じゃないと思うんだけどね。レイちゃんも自分で作るみたいなことを言ってたし。

 

「レイちゃんは十代くんのお弁当作るの嫌?」

「そんなことないです! でも、自分で作るって言ったけど、私まだそこまで料理に自信はないですし、十代様に満足してもらえるかは……」

「それなら一緒に作りましょっか。これでも料理にはそれなりに自信があるのよ。一緒に作れば教えてあげられるしね。十代くんもいいわよね?」

「俺は別に、作ってくれるならありがたいぜ」

「よかったねレイちゃん。愛理ちゃんの料理は美味しいからレイちゃんもきっとすぐに自信が持てるお弁当を作れるようになるよ」

「〜〜〜ッ! はい! お願いします愛理先輩!!」

 

 これから十代くんのお弁当を自分で作れると知り、喜ぶレイちゃんがすっごくいい笑顔で私を見てくる。

 今のレイちゃんの料理スキルがどれくらいかはわからないけど、きっととっても素晴らしいお弁当が作れるに違いないわ。

 

 何せとびきりの愛情がこもった料理になるんですから。

 

「さてっと。話はこれくらいにして、そろそろお昼も終わりね。レイちゃん、放課後空いてるかしら。今後について話がしたいんだけど」

「はい大丈夫です。時間ならありますので」

「なら放課後、私の部屋で話しましょ!」

 

 お弁当の残りをサクッと食べて私たちは授業に出ることにした。

 学年が違うため、レイちゃんとはその時でお別れ。

 

 大きく手を振って十代くんとの一時の別れを惜しむ彼女は恋する乙女をしてて、とっても可愛らしかった。

 

 

 

 

 そして放課後、ブルー寮の私の部屋に案内したレイちゃんが机を挟んで座布団に座って対面にいる。

 ちょっと暗いため明るさ控えめの電気にして、甘い紅茶を淹れた。

 

 聞くとまだレイちゃんは13歳の子供のようで砂糖を入れたとしてもコーヒーは辛いだろうなあって判断からだ。

 

「はー美味しいですねこの紅茶」

「ふふ、ありがと。それで話なんだけどね。今私って大体週に4日ぐらいの頻度でコナミくんのお弁当を作ってるんだけど、レイちゃんはどうしたいかなって思うんだけど」

「構わないなら僕も同じ頻度で作りたいです。僕の手料理、十代様にたくさん食べて欲しいですから」

「うん、じゃあ用事がない限りは私と一緒に作るようにしましょっか。無理な時は連絡してね」

「はいっ!」

 

 レイちゃんのメールアドレスを携帯に登録する。

 これでお互いに用事のある時や予定日の連絡を合わせるつもりだ。

 

「それから十代くんについでなんだけどね。予め言っておきたいことがあるの」

「十代様についてですか?」

 

 真剣な顔をする私にレイちゃんが居住まいを正す。

 

「彼、相当鈍いからちょっとやそっとじゃとても恋愛について意識させることはできないと思うわ。だからその方法について真剣に話し合いましょう」

「鈍いですか」

「鈍いわ。信じられないくらいに鈍いの十代くんは。せいつ──ごほん。異性に興味ないんじゃってくらいよ」

 

 一瞬、まだ13歳の女の子に伝えるには不適切な言葉が出そうになり言葉に詰まりながら、その方法について考える。

 

 レイちゃんの恋路を応援する。そう決めたはいいけど、その道はおそらく至難の道だろう。

 デュエルに恋してると言っても過言ではない彼を落とすのは容易なことではない。

 

「唯一その方法があるとすれば……」

「あるとすれば、なんですか!!」

 

 十代くんへのアプローチの方法を前のめりになって真剣な顔で聞くレイちゃんに私は唯一思いつくその方法を告げた。

 

「デュエルよ」

「はぁ、デュエル……ですか?」

 

 私の言葉にキョトンとした表情で返すレイちゃん。

 気持ちはわかるわ。男の子を射止める相談なのに何故デュエルが必要なのかというのはね。

 でも、これは冗談でもからかっているのでもなく。本気でその方法しかないと思っての言葉なのだ。

 

「お弁当を作ったり、気持ちを言葉で伝える。それもいいんだけど、それだけじゃ絶対に彼は落ちないわ。困った顔をして、振られるのがオチよ」

「さ、流石にそんなことはないんじゃ。十代様だって普通に好意を伝え続ければ」

「甘い、甘いわレイちゃん! 彼を甘く見ちゃだめよ! あなたが思ってる方法にデュエルを追加しないと絶対に成就はしない。誓ってもいいわ!!」

 

 そう、十代くんが普通の男の子なら可愛い女の子がお弁当を作ったり言葉で好き好きと伝えてれば大概落ちる。そうでなくとも意識はしてくれるでしょう。

 

 でも彼は違う。彼は異性に対する興味が、恋への関心がミリとも存在しない。それはこれまでの彼との付き合いでわかっている。

 

「そ、そんなにですか」

「ええ。そんなによ。ところでレイちゃん、あなたから見て私って綺麗だと思う?」

「えっと、先輩がですか? はい。それはもう、スタイルも良くてすっごく綺麗な女性だと思いますけど」

 

 私の剣幕にたじろぐレイちゃんに私は立ち上がって私を見てもらう。

 彼女は私の質問に戸惑いながらも上から下まで見て答える。

 

「そうよね。自画自賛だけど、私自身、相当な美人だって思ってるの。でもね、そんな私に彼は全く関心を寄せないのよ」

「それは、コナミ先輩がいるからじゃ」

「いいえ、いいえ違うのよレイちゃん。彼はね、仮に私に意中の相手がいなかったとしても私の体にも容姿にも関心は向けないわ。これは絶対の確信をもって言えることよ」

 

 これでも、それなりに生きてきて異性からの視線というものには慣れているし、どういった感情が向けられているかも経験からなんとなくわかるのだ。

 

 これは明日香さんも同じでしょうけど、どんなに真面目な男の人でも多少なりとも異性に興味があればそういった視線を一回は向けられるものだ。

 

 そういう人は自戒するように目線をすぐに逸らして気にしないように努めてくれる。

 でも彼は違う。

 

「以前ね、事故だったけれど、私の着替えを十代くんに見られたことがあるの」

「ええっ!? 十代様にっ!?」

「事故よ、あくまで事故。以前、コナミくんの部屋に遊びに行っているときにコーヒーを溢しちゃったの。それでコナミくんのジャージを借りて着替えてたんだけど…………まあ、その時にね」

 

 そう、以前私は十代くんに着替え中の姿を見られてことがあるのだ。

 

 完全に事故だったし、誰が悪いと言うこともないんだけど、いえ、強いて言えば見張っていなかったコナミくんが悪いと言えばそうなるのかもしれないんだけど、とにかく意図せず十代くんが私の着替え中の姿を見た時があったのだ。

 

 幸運だったのはその時コナミくんの部屋を訪ねてきたのが彼だけで、いつも一緒にいる翔くんや剣山くんがなかったことでしょうね。

 十代くん以外の子がいたら、事故であってもコナミくんは相当に機嫌が悪くなったでしょうから。十代くんの場合は、まあコナミくんも彼の人となりを知っているからか苦笑するだけで済んだのよね。

 

 寧ろ彼がどんな反応をしたのかを興味津々で聞いてきたぐらいだったもの。コナミくんの十代くんへの認識がどういうものかを察せるわ。

 

「それで、結果はどうだったんですか?」

「戦慄だったわ。彼、私の下着姿を見ても普通に挨拶してきたの。そういう視線は欠片もなかったわ」

 

 驚愕した。私の下着姿を見ても不純な視線を欠片も宿さない人が、同年代の異性に存在したのかと。そして同時に悟ったわ。

 

 彼の異性への情緒は赤ん坊並みだと。

 彼の中の全ての興味関心はデュエルに注がれていると。

 

 流石に、着替え中に入ったことに悪いとは思う程度には常識はあったようだけど、その時の彼の純粋さには衝撃を禁じ得なかった。

 

「だから、彼を落とす唯一の方法があるとすればデュエルなのよ。色気でも食い気でも彼の心を射止めるなんて不可能よ。只管デュエルをして、デュエルを通して、彼の心に想いをぶつけるしかないわ」

 

 それが私が結論づけた唯一の活路、可能性。

 

「そうだったんですね。愛理先輩でも十代様が靡かないとなると、子供の僕なんかじゃ──」

「そんなことないわ! レイちゃん、あなたなら十代くんを射止めれるかもしれないのよ!」

 

 俯き、弱気なことをいう彼女に私は強く言った。

 

「レイちゃん、私が思うにね、十代くんと恋愛関係を築くのに必要なものは三つあると思ってるの」

「そ、それはなんですか!」

「一つは押しの強さ、行動力よ! 彼は生半可な気持ちじゃ振り向いてなんかくれない。でも好きという気持ち一つでこの島に、飛び級までしてくるレイちゃんの恋心は本物よ。その行動力があれば、可能性は拓けるわ!」

 

 レイちゃんの恋心は凄いものがある。

 

 中途半端な気持ちでも、行動力でもそんなことはできない。全員が年上の同年代の友人など決してできないとわかっている学園に恋心一つで入学するなんて、一体どれほどの努力と覚悟をしたのか。

 

 親御さんの反対もあったでしょうし、学園に馴染めなかったらという不安もあったはず。友人ができない可能性だって。

 その全てを押し退けてたった1人で入学してきたんですもの。

 その想いが届かないわけがない。いえ、届かないなんて許せないっ!!

 

「十代くんが最終的に受け入れるかどうかは別としても、その行動力と気持ちを伝えようとする思いがあれば可能性はあるわ」

「行動力ですか。それで、2つ目は……?」

「2つ目はどんなに通じなくても最後まで諦めない心よ。彼も恋愛というものの概念は理解しているはずだけど、それが気持ちとして理解できるかは別。

 それが理解してもらえるまでどれだけの努力が必要かも想像もつかないわ。だから、どんなに通じなくても諦めない強い気持ちが必要なのよ」

 

 そう、大切なのは根気。

 最後の最後の最後まで、なんなら理解されなくて振られてもなお諦めない心。

 それが彼に対しては必要だ。

 

「そしてこれが1番大切なんだけど、デュエルする時に想いを乗せることと同時に本気で倒そうとし続けることよ」

「? デュエルで勝とうとするのは当たり前じゃ」

「いいえ、そんなことはないわ。十代くんは強いの。彼と戦う人はね、次第に勝てないことが当たり前って思うようになっちゃうくらいには強いのよ」

 

 わかりやすいのは翔くんかしら。

 十代くんの持ち前のドロー力が絡まないゲームでのデュエルならともかく、実際のカードを使ってのデュエルだとはなから負けを受け入れてる。

 

 翔くんだけじゃないわね。私もそうだし、明日香さんなんかも割りかし似たような気持ちを抱いていると思うの。

 それだけじゃなしに、この学園の大半の生徒はトーナメントなんかだと彼とやりたがらない。

 

 デュエルを躊躇わない、本気で勝とうとしてるのは万丈目くんやコナミくんたちくらいだと思う。

 

 三幻魔や光の結社の件で英雄視されてる彼がいれば何か問題があっても彼が解決してくれる。そんな気持ちがあるようじゃ、とても対等な関係とは言えない。

 

「いい、恋人っていう対等な関係を築くには、まずデュエルで対等な関係を築かないといけないわ。それはデュエルの強さじゃなくて、気持ちの問題よ」

「気持ちで負けてたら、想いも通じないってことですか」

「そうよ。良くも悪くも、彼の世界はデュエルが中心になってるわ。そのデュエルで対等な関係を築けなきゃ、恋の勝負の土俵にも立てないわ」

 

 十代くんのスタンスから見て、デュエルの強さそのものにはそれ程のこだわりはない。

 ただ、本気で勝とうとしてこない。思いの通ったデッキを扱っていない。そう言った相手だと対等な相手とは見てもらえないと思うのよね。

 

 どこか、彼本人も気づかないでしょうし、他の人も感じない程度には、下に見ると思うの。

 だからこそ、デュエルを始める前から負けて当たり前なんて考えを持っていてはいけない。

 彼はきっと、持ち前のデュエルにおける勘の良さからその気持ちを察してしまう。

 

 それじゃあ、永遠に想いなんて届かない。

 

「じゃあ僕はこれから毎日十代様にデュエルを申し込めばいいんですね!」

「別に毎日である必要は……いえ、そうね。可能な限り毎日でもデュエルを挑んだ方が彼も喜ぶでしょうね」

 

 コナミくんやヨハンくんを見ているとわかる。

 十代くんとの距離を縮める最高の手段はやはりデュエルだ。それをし続けることが最良の手段でしょう。

 

「レイちゃん、そうと決まったらあなたのデッキの改造をしましょう。私の使ってないカードをあげるわ。それで、もっともっと強いデッキにしましょ!」

「ええっ!? いいんですか愛理先輩。先輩のカードなんですよね」

「いいのよ。強さは関係ないって言ったけど、強いに越したことはないし、勝てたらきっとすごい喜んでくれるわ。あなたの恋路に私、協力したいの」

 

 恋は素晴らしいもの。

 そしてこの目の前にいる可愛らしい女の子がこんなに頑張って十代くんに想いを届けようとしているんだもの。

 それに協力しないなんて、一人の女として許せることではないわ。

 

「愛理先輩……はいっ! 僕、必ず十代様の気持ちを手に入れて見せますッ!!」

「その意気よレイちゃん! さあ、今日は2人で頑張ってデッキ強化と行きましょう!!」

「お願いします愛理先輩!!」

 

 夜、机の上に並べられた無数のカードたちの前で私たちはレイちゃんのデッキ強化のため顔を突き合わせて夜通しでデッキ強化に励んだ。

 その結果出来上がったデッキはかなり会心のものができたと、我ながら思っている。

 

 光の道を歩む正義の集団。

 レイちゃんのお気に入りである恋する乙女と共に必ずや、彼女の恋路の手助けをしてくれるカードテーマ。

 あの強力なカードたちがいれば、きっと十代くんにだって想いは届き有るはず。

 

 その結果、私は初めて眠気から授業中に居眠りをするという失敗をして先生に注意されることになるのだけど、それを後悔しないぐらいに満足していた。

 

「愛理先輩、一緒に作ったお弁当、十代様とコナミ先輩と4人で食べませんか?」

「ええ、いいわよ。4人で食べましょうか」

 

 その後、学園ではレイちゃんと私、十代くんとコナミくんの4人でよく一緒に昼食を食べてる姿が見られるようになるのだった。

 

 




 今回色々勝手な妄想書いたけど、十代はユベル並みの押しの強さがないと恋愛関係になれないと思う。

 原作だと明日香が告白しそうになってたけど、いやー仮にユベルいなかったとしてもって印象なので、まあレイちゃんに頑張ってもらいましょう。明日香と十代派の人がいたら本当に申し訳ない。私の中で2人が恋仲になるとしたら卒業して、大人になった後だと思うのです。
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