初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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6番目

 

『ほう、そうか。今学園ではそんなことがなあ』

「うん、デスデュエルのおかげで中々にエキサイティングな日々を送れているよ」

 

 学園の授業が終わり、レッド寮の自室で寛ぎながら僕は携帯を片手に電話をしていた。

 電話先の人物は三沢くん。ツヴァインシュタイン博士の元へと助手として島を出た友人だ。

 

 前期における僕とのデュエル後、三沢くんは無事博士の助手として働くことを許されたらしく、忙しくも楽しい日々を送っているらしい。

 島を出て以降、あまり連絡する機会もなくデスデュエルが始まったことでお互いの近況について連絡することはなかったのだが、今日は久々に彼から連絡がかかってきたのだ。

 

「こっちはコブラ先生や留学生の人たちがいて楽しい日々が送れてるけど、そっちはどう?」

『俺も多忙の日々だ。毎日が学びの連続でな、まだまだ知らないことばかりだと痛感させられる』

 

 疲労の混じるその声とは裏腹に、声色は明るい。

 ツヴァインシュタイン博士の助手という道は忙しいながらもそれ以上の充実感を三沢くんに与えてくれているのだと教えてくれる。

 学園を去ると決めたその選択がより良い結果を生んでくれたようで何よりだ。

 

 まあ、三沢くんだから仮に間違いだったとしてもそこまで心配はしなかっただろうけどね。

 何があっても大概のことは自分で解決できちゃうタイプの人だし、自分1人で無理なら助けを求めれる人でもある。

 心配など無用って感じだ。

 

「そっかあ。でも楽しそうでよかったよ。まだ2年生だったのに誰よりも早く就職したようなものだからちょっとだけ心配してたんだよね」

『心配されるような目には合っていないさ。ところで、俺のことはいいとして、愛理くんは元気にしているか?』

「うん、いつも通り元気にしてるよ。最近はレイちゃんっていう十代くんが大好きな後輩ができて2人で僕と十代くんのお弁当を作ってくれたり、レイちゃんに十代くんにアタックする手伝いをしてたりしてるんだ」

『ほう? あの十代に恋とは、難しい恋路になりそうだな』

「そうだねえ。側から見てるけど、結構苦戦してるよ」

 

 小さく笑いながら答える。

 ほとんど毎日と言っていいほどの頻度で十代くんに会いにくるレイちゃんはそれはもう健気なほどの愛を十代くんに向けている。

 

 その成果が恋の方向に出ているかは微妙だが、友人兼後輩の女の子としては順調に距離を縮めることができている。

 愛理ちゃんも積極的に協力しているようだし、僕としても女の子の恋路は上手くいって欲しい派だ。

 

 どうなるかはわからないけど、上手くいくといいなあと願っている。

 

『まあ元気にやっているようならいいんだ。それでだ、今日連絡したのは近況の確認もあったんだが、もう一つあってな』

「ん? 何かあるの?」

 

 若干の言いづらさを感じる雰囲気を醸し出しながら、三沢くんは続けた。

 

『近々量子力学の大きな実験をしようとツヴァインシュタイン博士が言っていてな、よかったらお前と愛理くんも見学に来ないかと思ったのだが、どうだろうか。大きな装置を使う派手なものになる。理論を理解はできなくとも、見応えはあると思うぞ』

「へえ、実験かあ……」

 

 大きな、と表現するくらいだからそれはもう彼のいうとおり、見応えのある実験なのだろう。そうでなくても三沢くんがどう言う場所でどんなことをしているかを見に行けると言うのは楽しそうだ。

 

「いいね! 博士とも会ってみたいし、その実験の日に観に行くよ!」

 

 僕は少し考え、三沢くんの提案に乗ることに決めた。

 軽快に応える僕に、携帯の向こうからは心配そうな声が返ってくる。

 

『それは嬉しいが、今学園ではデスデュエルというのをやっているのだろう? 島外に出てこられるのか?』

 

 携帯の向こう側から聞こえてきたその心配に思考が固まった。

 

「あー、そうだったね。うーん、とりあえず先生に聞いてみるよ。島外にって言ってもそんな長期間の外出にはならないだろうし……」

『まあ、移動の時間も合わせてもせいぜいが2、3日ぐらいが目処だ。急いではいないから一度聞いて見てくれ』

「うん、わかった。それじゃあわかったらまた連絡するね」

『ああ、愛理くんにもよろしく言っておいてくれ』

「うん、伝えたく。それじゃあね」

 

 その言葉を最後に耳元から携帯の切れる音がした。

 一度途切れた携帯を見つめ、果たして島外への外出許可が得られるかなあと憂鬱気になる息を吐いた。

 

 実験は楽しみだけど、家族の問題というわけでもないためコブラ先生が果たして許可を出してくれるかどうか。

 実力主義というか実践主義というか。軍人であった過去がある経歴通りの厳つい見た目。そしてやる気のないやつは去れと言わんばかりの厳しい価値観を持ってらっしゃる。

 

 そんな先生だからデスデュエルという強くなる絶好の機会に少しの期間とは言え遊びに行くために外出するということに対してどう言う印象を受けるか。

 

「まっ、考えててもしょうがない。話してから考えるっきゃないか!」

 

 ダメならダメで、その時に考えよう。

 我ながらなんともお気楽な思考回路で明日話してみようと決めた僕は愛理ちゃんに連絡をとり、明日コブラ先生に話を通すことにするのだった。

 

 

 

 

 さて、まあそういう経緯で後日愛理ちゃんも行くと決まった僕らはコブラ先生に外出許可をもらいにいったわけだが、却下されるかもという不安は杞憂に終わることになった。

 

 というのも何かあったのか、先生は非常に機嫌が良く、愛理ちゃんと2人で行くと伝えたところすんなりと許可を出してくれたのだ。

 

「うむ、そういう事情なら許可を出そう。旧友との再会を楽しんでくるがいい。ああ、その間デスベルトは外させてもらう。島外でつけていても意味はないからな」

 

 と、緊張が無駄になる程肩透かしに話は終わった。

 

 ありがたいことではあるが、あまりにもイメージに反した結果に違和感を感じるほどだ。コブラ先生的にはデスデュエルをして欲しいはずなのだが、数日間ぐらいは出てもいいって判断なのだろうか。

 

「島外に出ている間の成績については気にしなくていい。帰島するまでの間、君たちの分は停止しておくのでな」

「あ、はあ。ありがとうございます」

 

 なんならこっちに都合が良すぎて違和感を通り越して気味が悪いくらいだ。

 コブラ先生についてそこまで知っているわけではないけれど、ここまで生徒側に都合のいい結果にしてくれる人ではないと思ってたんだけどなあ。

 

 少しイメージと違うなと内心感じながらも、許可してくれたことに感謝をする。

 

「ありがとうございます先生。それじゃあ行きましょコナミくん」

「うん。コブラ先生、ありがとうございました」

 

 コブラ先生にデスベルトを外してもらった後、職員室を出た僕らは三沢くんに連絡後、お互いの寮に向かい準備をすることにした。

 

 しかし島外への外泊はともかく、成績まで考慮してくれるとは。てっきり外泊中の成績は最底辺を維持するくらいは覚悟した方がいいかなあと思っていた自分としては僥倖ではあるのだけど、どこか納得がいかない部分もある不思議な気分だ。

 

「まあいっか。上手くいってよかったし、準備しよーっと!」

 

 デスベルトがなくなり軽くなった腕を振り、僕はルンルン気分で外泊の準備に勤しむのだった──。

 

 

 

 

 とまあそんな感じでやってきました三沢くんがいる離れ小島。

 ツヴァインシュタイン博士が実験をしている孤島へ!

 

「いやあ、思ったより小さな島で実験してるんだね」

「ああ、アカデミアが建っている島ほどの広さはないな。しかし実験に不便はない広さだ。騒音を流してもクレームが来る心配もない。悪くない場所だぞ」

 

 アカデミアを船で出て少し、招待された島に辿り着いたとき、そこには三沢くんが片腕を上げて待っていた。

 

「久しぶりね三沢くん。元気にしてた?」

「ああ、愛理くんこそ元気そうで何よりだ。今日は来てくれてありがとう。学園では──」

「三沢さん。そちらが話していた方々ですか?」

 

 島に着いた僕たちが待ってくれていた三沢くんと話していると、奥の方から白い髪色をした女性が歩いてきた。

 

「三沢くん、そちらは?」

「ああ、彼女はライナさん。俺より前に博士の元で助手をしていた人なんだ」

「へー、初めましてライナさん。三沢くんの友人をしてますコナミです」

「初めましてコナミさん。博士の元で働かせていただいておりますライナです。あなたについては三沢さんからお話を伺っております。今日は楽しんで行ってくださいね」

 

 その女性は物腰の柔らかな姿勢で頭を下げた。

 それにつられて僕も慌てて頭を下げながら随分と礼儀正しそうな人だと思った。

 

「それであなたは………愛理さんですね」

「ええ、ライナさん。初めましてでいいわよね」

 

 挨拶を交わす愛理ちゃんとライナさん。

 どこか意味深な視線を交わす二人だったが、すぐに視線を逸らして島の奥にある金属質の実験施設へとくるりと体の向きを変えた。

 

「それでは参りましょう皆さん。博士もお二人のことをお待ちしております」

 

 三沢くんを促して先に歩き出すライナさんに僕と愛理ちゃんも実験施設に向かって歩き出した。

 

「ねえ愛理ちゃん。あのライナさんって人だけど……」

 

 その白衣を着た後ろ姿を見ながら愛理ちゃんを見る。彼女は僕の聞きたいことがわかっているように自然と答えた。

 

「ええ、霊使いのライナよ。服装は変わってるけど、まず間違いないわ」

「ああ、やっぱりそうなんだね。ってことはこれで全員が揃うことになるんだね」

「そうね」

 

 少しだけ不安気な声で答える愛理ちゃんを不思議に思いながら僕は前を歩く2人を見た。

 三沢くんと並んで歩くライナさんは博士の元にいつからいたのか知らないが、それが自然であるかのように三沢くんと話している。

 僕や愛理ちゃんのことも恐らくは前から知っていんじゃないかなあと思えるくらいには驚いてもいなかった。

 

 今までのことを考えるとたぶん彼女とデュエルすることになるんだろうけれど、さて、どのタイミングでデュエルすることになるかだよなあ。

 僕としては実験後でも実験前でも構わないけれど……うーむ、まあそこら辺はライナさんにお任せするか。

 ウィンみたいにデュエルを嫌がってるって感じもしないし、ちょうどいいタイミングで話しかけてくれるだろう。

 

「おお! 待っておったぞ。お前さんらが三沢くんが呼んだ子たちか」

「はい。紹介しますツヴァインシュタイン博士。こちらが私の友人のコナミとその恋人である愛理くんです」

 

 施設の入り口で待っていたツヴァインシュタイン博士であろうご老人に頭を下げる。

 最後に三沢くんとデュエルした時に観戦席からデュエルを見ていた人そのままの姿でその人は立っていた。

 

「ふむ、色々と話したいこともあるが実験は午後からじゃ。準備もあるしそれまではゆっくりとしていなさい」

 

 挨拶もそこそこに実験室の奥へと消えていく博士。

 僕たちはどうしようかと顔を見合わせライナさんが手を叩きながら言った。

 

「三沢さん、コナミさんと愛理さんのご案内は私が致しますので、三沢さんは博士のお手伝いをしてくださいませんか?」

「それは構いませんが、自分が案内した方が良いのでは……」

「いえ、私御二方と学園についてなどで聞いて見たいことが沢山ありまして、ですのでご案内ついでにお話しをお聞きしたいのです」

 

 手を合わせてお願いするライナさんに三沢くんもそういうことならと博士の後を追うように部屋の奥へと向かっていく。

 その後ろ姿を見届けたあと、ライナさんは軽く僕の方へと視線を向け、元来た外へと続く通路の方へと視線を向けた。

 

「では行きましょうか」

 

 そう言って外へと向かおうとするライナさんに僕は慌てて聞いた。

 

「えっ、いや、あの……どこへ?」

「勿論外へ。ここでは中のお二人の邪魔をしてしまいますから」

 

 戸惑う僕に軽く笑みを浮かべながら、スタスタと僕らを置いて歩いていくライナさん。僕はどうしようかと愛理ちゃんを見たが彼女は諦めたように首を振って言った。

 

「いつもああだから気にしなくていいわ。マイペースな娘なのよ」

 

 次いで愛理ちゃんもライナさんについていく。

 ライナさんの行動には慣れているのだろう。その行動に疑問を抱いている様子はないようだった。

 

「それで、外に出てきましたけど。どうするんですか?」

「もう気づいてると思いますけど、私は霊使いのライナです。だからこれからすることはお互いのクリスタルを賭けたデュエル。そうでしょう?」

 

 実験施設を出て少し歩いたところで立ち止まったライナさんが振り返りそれが当然であるように白衣の中から取り出したデュエルディスクを腕に装着した。

 

「あーそれはこちらとしても受けたいところなのですが、いいんですか? クリスタルの力が消えたら実体が消えてしまうと思うのですが」

「大丈夫よ。博士には予めある程度の事情は説明してあるから。あなた達が来た時点で私が精霊に戻る可能性についても伝えているわ」

「………なるほど」

 

 博士と三沢くんがいないからか、少し砕けた様子でカードをディスクに差し込みながら説明するライナさん。

 

 僕はデュエルを受け付けてもいいのかなあと一度愛理ちゃんに目を向けたが、我関せずとばかりに木の根に座りながら観戦モードに入っている。どうにもライナさんの行動について口を挟む気はないようだ。

 

「あっ、そうだ。コナミくん、気をつけてね。ライナは…………」

「ん?」

「ううん、なんでもない。とにかく頑張って!」

「うん。そこで見ててね愛理ちゃん!」

 

 木陰で休んでいる愛理ちゃんが何やら意味深なことを伝えようとしてきたが、逡巡して口を閉ざした。

 何かアドバイスでもくれようとしたのかもしれないが、それは余計なお世話というもの。僕を信じて見守っていて欲しい。

 

「さてと、博士に事情を説明済みだと言うなら反対する理由はないですね。やりましょうかデュエル!」

「ええ。元からそのつもりよ。霊使いも私で最後。期待を裏切らないでくださいね?」

「期待には応えるさ。勇者だからね」

 

 ニッコリと笑い内心の読めない言葉を吐くライナさんに軽口で応え、デュエルディスクを構えた。

 これが最後の霊使いとのデュエル。敗けるわけにはいかないと気合いを入れた僕は穏やかな表情を浮かべるライナさんと息を合わせてデュエルを開始した。

 

「「デュエル!!」」

 

 

 




なんだろう。ライナのキャラがイマイチ固まらない。
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