最近初めてタッグフォースのデュエリスト名鑑読んだけど、思った以上に面白い。
秋、僕は家族と母方の実家であるおばあちゃんの家に帰省していた。
「ひまだなぁー」
おばあちゃんの家は田舎だ。自然豊かと言えば聞こえはいいが、子供は少ないしちょっとしたお店に行こうと思ったら車で行かないといけない。
まあ、だからデュエルできる相手も友達もいない僕にとっては大変暇を持て余す場所であった。
「粉眠、そんなに暇なら外で散歩でもして来たらどうだ? 普段こんな自然がいっぱいの場所なんて行けないんだから楽しいかもしれないぞ?」
「え〜〜? 散歩か〜…まあやることなんてないし、行ってくるかあ」
退屈にしてる僕を見かねたのか父さんが周囲を歩いてくるよう提案して来た。
正直インドア派な僕が森を散歩なんてしても面白いことなんて無さそうだけど、このまま寝てると言うのも辛いものがある。
「わかった。ちょっと行ってくるよ」
「ああ。虫除けのスプレーを忘れるなよ! それから大丈夫だとは思うが危険なところには行くんじゃないぞ!」
「わかってるよ。行ってくるからね!」
僕は簡単な荷物を鞄に詰めて外に向かった。
そうだ、デッキは当然持っていくとして、一応デュエルディスクも持って行っておくか…。
「行って来まーす!」
暗くなる前に帰ってくるのよと言う母さんの声を背に僕は散歩へ出かけた。
「う〜ん。やっぱり遊べそうな人はいないなあ」
外に出て数十分は歩いただろうか。時折りすれ違う人はいるけれど大抵は老人ばかりで、子供はいてもデュエルなんて出来無さそうな年少の子ばかりだ。
歩き続ければそれなりにいい景色や物珍しいものも見つかるけれど1人だからちょっとつまらない。
こんな時にコウキや三沢君がいればデュエルをしなくても楽しい散歩にはなるんだろうけどなあ…。
「はぁ〜帰ろっかなあ…帰ってもやることないんだよなあ!」
この退屈が3日間も続くと思うと僕は悲しくて頭を抱えたくなってしまう。
「あら? あなたこの辺りの子かしら?」
「ん?」
歩き疲れた僕が川辺にある大きな岩に座って足を休ませていると上から女の子の声がした。
声がした方を見ると僕と同い年くらいだろう女の子が僕を見下ろしており目をキラキラと輝かせながら僕を見ていた。
「君は?」
「
「僕はコナミ。連休ってことでおばあちゃんの家に泊まりに来てるんだ」
「まあ! そうですのね! 私も似たようなもので旅行に来てましたの。ただ……素敵な場所と聞いていましたのに自然ばかりで…」
「わかる! 退屈だよねー」
「ええそうですの。退屈で退屈で…これでしたら家でイケメンな方々が載っている雑誌やテレビを見てた方がよかったですわ」
どうやらももえちゃんと言う女の子も退屈してたようだ。それで僕と同じように散歩をしていたら同年代くらいの子を見つけて話しかけて来たらしい。
「あなた、もしよかったら私と一緒に歩きません?」
「いいの?」
「もちろんですわ! 1人より2人の方が散歩も楽しいと言うものですわ!」
「よし! じゃあ一緒に見て回ろうか!」
それから僕たちは一緒に行動し、見たことのない綺麗な花を見たり、虫に大騒ぎをしたり普段見ることのない景色を見て自然を楽しんだ。
「それでその中学校には藤原様と言うイケメンな先輩がいまして…」
「へ〜デュエルが強くてカッコいいかあ。すごいなその先輩」
「憧れますわ〜。そんな殿方と恋愛ができたらさぞ素敵な学生生活になるでしょうから」
「うんうん。わかる。可愛い娘と一緒に遊ぶのは友達と遊ぶのとは違った楽しみになるからね」
そしてこのももえちゃん、余程イケメンな男性が好きらしい。
僕たち男子も可愛い女の子や綺麗な女性は好きだがここまで赤裸々に語るのは中々珍しいのではないだろうか?
「イケメンと言えば、僕の友達にも三沢君って言うカッコいい男子がいるよ」
「あら! そうですの?」
「うん。カッコよくて成績も優秀。児童会の会長もしててデュエルも強いから女の子たちからはよくモテてるよ」
「まあ! それはすごいですわね〜。やっぱりイケメンな殿方は能力もイケメンなのですわね〜」
ふと、僕はこの子から見てどれくらいの評価になるのか気になって聞いてみたくなった。
流石にイケメンって評価にはならないだろうけど普通くらいはあると思うんだよなあ。
「ちなみに君から見て僕ってどれくらいの評価になる?」
「はぁ、あなたですか?」
ももえちゃんが僕の足から頭までじっくり見る。
うっ、自分で言っといてなんだけど緊張するなあ。
女の子にじろじろと品定めされるのって結構恥ずかしいものなんだなあ。
「あなたは……20点ですわね」
「2、20点!?」
「はい。20点ですわ」
「ちなみ何点満点中?」
「もちろん100点満点中です」
僕は一時期話題になっていた宇宙猫のような表情になり、下された評価を咀嚼する。
「20点。20点かあ。僕ってそんなに容姿悪かったかあ…」
内心60点くらいは貰えるだろうって思ってた僕はモモエちゃんからの評価にガックリとダメージを負い、渋い表情で項垂れた。
「評価したのは私ですけれど、そんなに傷付かれると流石に心が痛みますわね」
「一つ、勘違いしないで頂きたいのですけどあなたの容姿が殊更悪いからこのような評価をしたわけではありませんのよ?」
「……そうなの?」
「そうですわ。いいこと? 私たち女性は殿方の容姿のみを評価しているわけではなく立ち振る舞いや身だしなみ。私たちを楽しませてくれるお話をしてくれるか等、総合的に見てその方の評価を決めてますの」
「はあ」
よくわからないけど少なくとも容姿のみを判断して低評価になったわけでは無いそうだ。
喜んでいいわけではないだろうけど、改善の余地がある分まだマシなのかな?
「仮にあなたの容姿のみを評価するなら………そうですわね、40〜50点くらいは上げてもいいですわよ?」
「あっ、それでもそれくらいなんだ」
「そもそもあなたは前提となる身だしなみがなってませんもの。この時点で評価するに値しませんわ」
「身だしなみ……」
僕は自分の体を見てみてそんなに悪いかなと思った。
「髪は整えられてなくて寝癖がそのまま。服は適当に選んだのがわかる統一感のない着合わせ。姿勢もだらしない。これでは減点もやむなしですわ」
「そ、そうなんだ。色々と……あるんだね」
身だしなみに服装、それから姿勢かぁ。やっぱり愛理ちゃんも女の子だしそう言うところ見てるんだろうか。だったら気にした方がいいんだろうなあ。
「あなた、気になる女の子はいまして?」
「え? あーまあいる……かな?」
僕は以前愛理ちゃんと2人で撮ったプリクラの写真をモモエちゃんに見せた。
「この娘なんだけど…」
「まあ! とても可愛い女の子ですわ! それに、あなた2人でプリクラを撮るほど仲がいいんですわね~」
「うん、まあこの時は愛理ちゃんに撮りたいって誘われたから付き合っただけだけど」
「でしたらあなた余計に気になさらないと、そのうち愛想を尽かされて誘われなくなりますわよ?」
「うそー!?」
「本当ですわ。誰だってだらしない殿方と一緒に歩きたくないですもの。……それにこれほど可愛い方ですから他の殿方にもさぞオモテになるでしょうし。あなた本当に気を付けた方がよろしいですわよ?」
ガーン!と僕の頭の中で鳴りももえちゃんの言葉にショックを受ける。
愛想をつかれる。他の男子にモテル。そうなると一緒に遊ぶことがなくなるってことだよね?
「ど、どうしたらいいと思う?」
「私が前提として言った身だしなみと服装、それから姿勢をきちんとしたらだいぶ見れるようになると思いますけど……」
「…ももえちゃん。君さえよければ僕にカッコよくなる方法、教えてくれないかな?」
正直女の子にこんなこと頼むのはかなり恥ずかしいけど、背に腹は代えられない!
ももえちゃんはそういうこと詳しそうだし、もっと言うなら今後会うことない可能性の方が高い。
だったら多少の恥ずかしさは受け入れよう。それで改善されるなら安いものだろう。
「……そうですわね~。あなた先ほどカバンの中にデュエルディスクがありましたけどデュエルはやりまして?」
「うん、やるけど…それがどうしたの?」
「実は私もやりますの。それで少し歩いたところに私が泊まっている家がありますから、そこからデッキとデュエルディスクを持って来ますのでデュエルをしましょう?」
「デュエルはいいけどさっきの話は……」
「デュエリストたるもの、欲しいものがあるならばデュエルで勝ち取るものですわ」
「もしあなたが私に勝てましたら私があなたをコーディネートしてあげましてよ? それ以外にも女の子から見てどうしたら良い印象を持たれるかも教えて差し上げます。デュエル、受けまして?」
正直身だしなみと姿勢は父さんと母さんにそれとなく言えば教えて貰えると思うけど、服装はよくわかんないしそれ以外も教えてもらえるならこの機会に知っておきたい。
だからこのデュエル。絶対に勝つ!
愛理ちゃんから見てカッコいい男子に僕はなる!!
「受けた! ももえちゃん、デュエルしよう!」
「よろしいですわ。それでは付いてきて下さる? 少し歩いた所にありますから」
そうしてももえちゃんについて行った先にあった家の庭で僕たちはデュエルの準備をした。
「準備はよろしくて?」
「うん。いつでも大丈夫!」
「それでは始めましょう。あなたが勝てたら殿方の在り方について教えて差し上げますわ」
「絶対に勝つ!」
僕たちは息を揃えてデュエル開始の言葉を出した。
「「デュエル!!」」
デュエリストというより人として身だしなみは大事だよねって話。