頭文字D、有名なだけあって面白い。面白いんだけど、ヒロインらしき女の子の貞操感やばすぎでは。これをヒロインにしたのすごいね。
青空の下にカーテンが敷かれるように、漆黒の闇が空を覆っていた。それは反転した太陽の光によるもの。眩いほどの太陽の闇が世界を暗く沈めていた。
「僕のターン、ドロー!」
その闇の下、眼前に立つ太陽の化身に立ち向かう僕の姿があった。僕は万感の思いを込めてデッキからカードを引き抜く。
太陽を落とすために──。
「僕は手札を1枚捨ててマスク・チェンジ・セカンドを発動! 僕の場の憑依装着ーアウスをM・HERO ダイアンへと変身させる!」
「ドリアードとのデュエルで使用した新たなHEROか」
《M・HERO ダイアン》 攻撃力3100 守備力3000
アウスの全身が光り、銀の鎧を身に纏った騎士が現れる。青いマントをたなびかせる騎士は槍を片手に太陽を見上げていた。
「The SUNは破壊されても復活する。だけどそれは次の貴方のターンだ。なら、このターンに倒してしまえば関係はない!」
「ふっ、そうだな。しかしできるかな。それが……」
「貴方の場にリバースカードはない。ダイアンの効果で倒せる! バトルだ! ダイアンでThe SUNを攻撃──ディスバーション!!」
地面を蹴り飛び上がったダイアンが槍をThe SUNへと突き立てる。
巨大な爆発を上げながら破壊されるThe SUNの姿にグッと拳を握り、僕の目論見通り攻撃力さえ超えれば倒せると言う事実に勝利したと笑みが浮かんだ。
「この瞬間、ダイアンの効果が発動する! ダイアンがモンスターを倒したことでデッキからHEROを一体特殊──……なんだ?」
上空の黒く染まり反転した太陽の闇が大賢者に雨のように降り注いでいた。それはThe SUNが破壊されたことで、The SUNの持つエネルギーを大賢者へと与えるように降っていたものであった。
「永続魔法、漆黒の太陽は私のモンスターが破壊された時、その攻撃力分のライフを回復する」
「なにィっ!?」
《大賢者》 残 LP 4150
太陽が堕とした闇が、大賢者のライフを大幅に引き上げていた。
ダイアンが与えたダメージはわずか100。大賢者の説明通り、The SUNの攻撃力がそのままライフ回復につながったと言うことは差し引き2900ものライフが回復したと言うことになる。
破壊されるだけで回復する。確かに強力で厄介な効果、しかし、それでも一度だけの効果なら問題はなかった。一回なら──!
しかし問題は、The SUNが何度でも復活すると言うことであった。
「これがある限り、お前が私を倒すには一度にThe SUNを大きく超えるダメージを与えるしかない。それができるかな?」
「だとしても! 今の貴方の場にモンスターはいない! 僕はダイアンの効果でデッキからE・HERO エアーマンを召喚! 効果でブレイズマンを手札に加えてダイレクトアタックだ!」
「──ぬぐぅっ!」
《E・HERO エアーマン》 攻撃力2400 守備力300
《大賢者》 残 LP 1750
太陽が消え、開かれた道をすっと飛んでいきながらエアーマンがその背の鉄の翼を大賢者に叩きつける。
憑依覚醒により上がった攻撃力もあり、大きなダメージを与えれはしたものの、それは当初想定していたはずの勝利にはより遠ざかってしまう結果となってしまっていた。
「……僕はE・HERO ブレイズマンを守備表示で召喚。効果で融合を手札に加える。最後にカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
《E・HERO ブレイズマン》 攻撃力2100 守備力1800
The SUNを倒すことで状況が好転するどころか、むしろ悪化し始めたかのような気配に僕の顔が険しくなる。
身を守るように伏せる炎のHEROが次のターンに太陽に抗うカードを引き寄せてくれはしたものの、果たして黒い太陽の前にどこまで通じるか。
次のターンの大賢者の引き次第では、より厳しく追い詰められるだろうと、僕の予感が警鐘を鳴らしていた。
「私のターン、ドロー。私のターンが回ってきたことでThe SUNは私のフィールドに戻ってくる!」
《The supremacy SUN》 攻撃力3000 守備力3000
太陽が沈み、再び昇るのが当然であるように、The SUNが大地に開いた空間の歪みから蘇ってくる。
そうして蘇ったThe SUNはアドバイス召喚された時と違い、その身体の表面に黒く濁った靄を纏わせていた。
「これは……!」
「漆黒の太陽によるものだ。私の墓地から特殊召喚されたモンスターは攻撃力が1000ポイントアップする」
《The supremacy SUN》 攻撃力4000 守備力3000
太陽が纏う靄がその波動を強くする。
宙に滞空している黒い太陽とその波長を合わせるように繋がったThe SUNはその威光をより激しいものとしていた。
「攻撃力4000!?」
それは数あるデュエルモンスターズの中でも一層高いステータス。デュエルモンスターズの神と呼ばれるオベリスクの巨神兵にも匹敵する攻撃力であった。
「さっそく攻撃と行きたいが、その前に手札からハーピィの羽根箒を発動! お前の場の魔法・罠を全て破壊する!」
「ハーピィの羽根箒!? ならっ、僕はリバースカード エレメンタル・チャージを発動! 僕の場のE・HEROの数だけライフを1000回復させる!!」
《コナミ》 残 LP 5250
疾風が世界樹に吹き上がる。その風は僕の場を駆け抜けるように吹き抜け、僕の場で発動していた3枚のカードをずっと高い空の彼方まで吹き飛ばして行った。
「さあ、これでお前のモンスターたちを強化していたカードも消えた。バトルだ。私はThe SUNでM・HERO ダイアンを攻撃──SOLAR FLARE!!」
「ぐぅうううつうっ!!」
《コナミ》 残 LP 4050
太陽から撃たれた熱線がダイアンを破壊する。
熱風が僕を倒し、打ちつけた背中が熱を持ち痛む。苦悶の表情で立ち上がる僕を他所に大賢者はそっとターンを終えた。
「ぐっ、僕のターン、ドロー! 融合を発動! 場のブレイズマンとエアーマンを融合──E・HERO Great TORNADOを融合召喚! その効果でThe SUNの攻撃力を半分にする!」
《E・HERO Great TORNADO》 攻撃力2800 守備力2200
Great TORNADOを中心に竜巻が吹き荒れる。
天高く吹き荒れる竜巻はThe SUNの力を半減させ、その攻撃力を大きく減退させていた。
「さらに手札からE・HERO オーシャンを召喚! 2体でバトルだ! Great TORNADOでThe SUNを、そしてオーシャンでダイレクトアタック!!」
《E・HERO オーシャン》 攻撃力1500 守備力1200
「無駄だな。そんな単調な攻撃をいくら繰り返そうと、私のライフは削りきれんっ!!」
Great TORNADOが腕に極小の竜巻を纏わり付かせながら、The SUNにその竜巻を叩き込むように殴りつける。
その攻撃の隙間を縫うようにオーシャンが大賢者に迫り彼の腹を杖で殴りつけた。
《大賢者》 残 LP 2450
「……くく、私のライフは漆黒の太陽によりThe SUNの分回復する」
「くっ、やはり無理か」
その攻撃力を下げたThe SUNを破壊することによりそのライフを一瞬3桁にまで減らした大賢者だったが、やはり次の瞬間にはそのライフを大きく回復させていた。オーシャンによる攻撃を受けてもまだ、そのライフは多く残している。
その結果に苦しい顔を見せながらどう攻略するかを考える。
1番単純な攻略法は大賢者のライフを一撃で削り切るほどの超ダメージを与えることだが、それは難しい。少なくとも6000超のモンスターを召喚しないとできないことだからだ。
次点で漆黒の太陽の破壊。
まずあのカードを破壊しなくてはライフ回復コンボを止めることができない。もしくはThe SUNの復活効果を止めるか……だ。
「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
「ふふ、私のターン、ドロー! この瞬間、再びThe SUNは復活──バトルだ! 復活したThe SUNでオーシャンを攻撃──SOLAR FLARE!!」
「させないっ! リバースカードオープン! イタクァの暴風を発動! 相手モンスターの表示形式を変更する!!」
太陽がその熱線を放とうとしたその間際、空の闇を切るように一羽の鳥が飛んできた。
風を運ぶように世界樹の上を飛んだ鳥は太陽の身体を大きく揺らし、その巨体を踞らせた。
「これで次のターンにつながる。オーシャンの効果でエアーマンを手札に戻せば漆黒の太陽を壊せる」
「そう上手くはいかんぞ。The SUNの攻撃はうまく塞いだようだが、これは止められるか! 私は手札からブラック・ホールを発動! 場のモンスター全てを破壊する!!」
「ブラック・ホール!? だけどそんなことしたらThe SUNまで──そうか、回復も狙っているのか!!」
僕の指摘に大賢者は不敵に笑い、その破壊を見守る。
僕と大賢者のちょうど中間のフィールドに光すらも飲み込むような暗黒の球体が生まれ、それを中心に巨大な引力が発生した。
その引力には場に生き残っているモンスターの誰もが逆らうことができずに次々と暗黒の球体に飲み込まれていく。
そして無慈悲なまでの破壊跡が残したものは伽藍と開いた僕の場と、莫大なライフを手にした大賢者の姿であった。
《大賢者》 残 LP 5450
「私はターン終了。さあ、私の場にカードはないぞ。次の手を打ってくるがいい」
彼を守るモンスターもリバースカードもないというのに有り余るライフと何度でも復活し昇る太陽の存在に大賢者の余裕は崩れることはなく、反面僕の状況は悪くなるばかりであった。
「まだ、負けちゃいない。僕のターン、ドロー!!」
これは──!!
ドローしたカードを見た瞬間、僕の脳裏に一筋の可能性が見えた気がした。その予感に従うように僕の手からさらりとそのカードがデュエルディスクに置かれた。
「僕は手札からフィールド魔法 大霊術ー「一輪」を発動!!」
「これは……大霊術だと!?」
昼間に暗く沈んだフィールドに4色をした4つの魔法陣が席巻する。
僕たちの足元から世界を照らすようにカラフルな魔法陣の光が闇を照らしていく。
自然の理を表現しているかのような魔法陣により淡く彩られたフィールドに僕は信頼を、大賢者は不審の目を向けていた。
「大霊術ー「一輪」は霊使いのみんなの奥義とも言えるカードだ。僕は手札から憑依装着ーウィンを攻撃表示で召喚! 彼女にワンショット・ワンドを装備させ、攻撃力を800ポイントアップさせる!」
《憑依装着ーウィン》 攻撃力2650 守備力1500
僕の前にむすっと口を窄めて大賢者を睨みつけているウィンが召喚される。世界樹の頂上に吹く風が彼女の一房に後ろに束ねられた髪を靡かせており、その手には月を模した杖であるワンショット・ワンドが握られていた。
「ヒータ、アウスに続いて今度はウィンか。お前も私に何か言いたげだな」
『べっつにー。言いたいことなんてありませんけど〜』
そっぽを向きながら大賢者に応えるウィンの顔にはありありと不満が現れており、言動と一致していない。
杖を構えてやる気に満ちている彼女からウィンも大賢者の行いには気に入らない点が多ようであった。
「ウィン、いけるね」
『もっちろーん! やっちゃうよー!!』
「よし! バトルだ! 憑依装着ーウィンで大賢者にダイレクトアタック!!」
《大賢者》 残 LP 2800
ウィンの杖から激しい風の刃が大賢者へと向かう。
大賢者を切り裂いた風の刃は世界樹を飛び越えて大気に消えてゆく。
苦悶に顔を歪めた大賢者はそれでも口元に笑みを浮かべ自らの優位が揺らぐことはないと確信していた。
「ウィンがバトルを終えたことでワンショット・ワンドの効果が発動する。このカードを墓地へ送ることで僕はカードを1枚ドロー! …………カードを1枚伏せてターンエンドだ」
大霊術の魔法陣の上で、攻撃を終えたウインが満足気に腕を組み頷いていた。
「ふはは。いくらダメージを重ねようと同じ事。The SUNを攻略せぬかぎり、すべては無駄なことよ。私のターン、ドロー! この瞬間、The SUNはフィールドに舞い戻る!!」
魔法陣の下で蠢く巨大なエネルギーがあった。
轟音を響かせながら地響きとともに這い出てこようとしていたその巨大なエネルギーはフィールドに張られた4色に輝く魔法陣に阻まれ轟音と稲妻を天へと上げていた。
「なぜ……The SUNの復活が止められている──!?」
「大霊術ー「一輪」は霊使いの少女たちの奥義。その効果は彼女たちがフィールドにいる限り、相手の発動したモンスターの効果を1度だけ無効にすると言うものだ!」
「なんだと………!」
驚愕に目を見開く大賢者にThe SUNは応えない。
魔法陣の下で、飛び出そうと手を伸ばすThe SUNの形をした光の集合体はまるで魔法陣に押さえ込まれるようにその身体を地の底へと沈められていった。
「これでもう、貴方の元に太陽が昇ることはない。星は僕の元に昇るものだ!」
The SUNの無条件の復活と漆黒の太陽とのコンボは崩れ、手札も一枚しかない大賢者を確実に追い詰めたと言ってよかった。
しかし、追い詰められているはずの大賢者の口元には苦々しく歪められながらも諦めというものを感じさせない好戦的な笑みが浮かべられていた。
「よもや、The SUNを止められるとはな。見積もりが甘かったと見るべきか。しかし、それは私の敗北を意味するものではないぞ」
『マスター! 気をつけて、大賢者様の切り札が来るよ!」
「切り札!? The SUN以外にいるというのか!」
「当然だろう。太陽など私の手に舞い込んだ仮初の切り札に過ぎん。真の切り札は他にある。私は手札からマジシャンズ・ソウルズを召喚! 漆黒の太陽を墓地へ送ることで一枚ドロー!!」
《マジシャンズ・ソウルズ》 攻撃力0 守備力0
そのカードは大賢者の手札に加える瞬間、僕の目には輝いているように見えた。
漆黒の太陽が消え、空の青さを取り戻した太陽の下、大賢者は厳とした力強さでそのカードを発動させた。
「私は手札から円融魔術を発動! フィールド・墓地から魔法使いを5体除外することでクインテッド・マジシャンを融合召喚する!!」
「魔法使いを……5体!?」
5体ものモンスターを要求する融合モンスター。それほどのモンスターなど、そうそういない。
パッと思いつくのは5体のドラゴンを融合することで召喚される最高攻撃力を誇る竜だが、恐らくこれから召喚される魔法使いもそれと並びうるモンスターなのだろう。
にわかに釣り上がった大賢者の顔は勝利の確信とこれから召喚される魔法使いへの絶対的な信頼が見えていた。
そして、その魔法使いが現れる。
僕の敷いた4色の魔法陣と対をなすように天空に巨大な魔法陣が現れ、その魔法陣の中心からゆっくりと1体の魔法使いが舞い降りてきた。
「これが、大賢者の本当の切り札……!」
「クインテッド・マジシャン。我がデッキに眠る最強の魔法使い。このモンスターを超えずして、私に勝つことはできないと知れッ!!」
《クインテッド・マジシャン》 攻撃力4500 守備力4500
その魔法使いは中心に淡く光る宝石を置いた5つの小さな魔法陣を周囲に浮かせていた。
その手には槍にも取れる一際大きな先の尖った宝石がつけられた杖を手にしており、射抜くような鋭い眼差しには底知れない力と深い思慮が伺える。
彼は杖の矛先をこちらに向けていつでもその力を行使できると言った姿勢をとっていた。
「クインテッド・マジシャンは5体もの魔法使いを要求するモンスター。しかし、それに見合う効果とステータスを備えている。このモンスターは召喚時、相手フィールドのカードを全てを破壊する」
「なっ──全て!?」
それは厳しい召喚条件を鑑みても極めて望外な効果であった。これでステータスが平均的な上級モンスタークラスなら強い程度であったが、それが最上級とよんでも生温いステータスを誇っているのなら話は別。
それを呼べた。その時点で勝利が決定すると言っても過言ではないモンスターだった。
そして、破壊が始まる。
構えていた杖を上空に掲げ、巨大な魔法陣が宙に描かれていく。
5つの小さな魔法陣がそれに追従するように巨大な魔法陣に重なり、無数の光線がフィールドを蹂躙するように僕に降りかかった──。
「ぐぅうううッッッ!!?」
ウィンが光線に貫かれ悲鳴を上げて破壊される。
フィールドに敷かれていた霊使いの奥義である一輪の魔法陣もその無数の攻撃に破壊され消えていく。
そして僕もまたあまりの破壊の衝撃に膝をつき耐えるのに精一杯だった。
「このデュエル。私の勝利だ! クインテッド・マジシャンでダイレクトアタック──クインテッド・オーバー・マジック!!!」
「──うぁあああっ!?」
フィールドを襲った無数の光を束ねるようにクインテッド・マジシャンが杖を再び天に掲げる。
巨大な魔法陣から一つに収束された光は効果による破壊時とは比べ物にならないほどに巨大な光線となって僕を襲った。
「お前のライフはクインテッド・マジシャンに満たない。これで新世界に皆を連れて──なに!?」
《コナミ》 残 LP 1800
「バカなっ!? なぜライフが残っている!!」
「ぐっ……僕は効果で破壊される瞬間、ダメージ・ダイエットを発動させていた。このターン、僕が受けるダメージは半分になる……ッ!」
クインテッド・マジシャンの攻撃によって発生した巨大な爆発。その煙が晴れた先に、僕は立っていた。
そんな僕の姿に信じ難いものを見たと言うような大口を開けた顔を大賢者はしていた。
「……まさか、この攻撃に耐えれようとはな。私の長い生で次のターンを迎えれたものは数えるほどもいない」
「僕は、みんなに勝つと……強くなると誓った。どれほど強力な力を繰り出してこようと、最後に勝つのは僕だ!」
「誓ったか……。しかしクインテッド・マジシャンの攻撃力は4500。さらにカード効果によって破壊されることもない。お前の少ない手札で倒せると思うか……その誓いとやらでッ!!」
「当たり前だっ!! 僕のターン……──ドロー!!!」
その眩いほどに鮮烈な輝きを見せながら引き抜かれたカードを目にした瞬間、大賢者の胸に去来したのは諦観と──希望であった。
「僕は手札からミラクル・フュージョンを発動!! 墓地のE・HERO エアーマンと憑依装着ーアウスを融合! E・HERO ガイアを融合召喚!!」
《E・HERO ガイア》 攻撃力2200 守備力2600
「ガイアはその召喚時、相手モンスターの攻撃力を半分にし、減らした分だけ攻撃力を上げる!!」
黒い鎧で全身を覆ったHEROが両手で地面を叩く。それにより発生した地響きは地割れを起こし、クインテッド・マジシャンの足を深く大地の中へ落とした。
「バトルだ! ガイアでクインテッド・マジシャンを攻撃──コンティネンタル・ハンマー!!」
「ぬぉおおおっ!!」
《大賢者》 残 LP 600
挟まれた足により身動きの取れなくなった強大な魔術師にガイアが渾身の一撃で殴りつける。
これまで以上の一層大きな爆発が大賢者を襲い、そのライフを僅かまで減らしていた。
「ぐぅうう! まだだ。まだ私のライフは残っているぞ!」
「いや、もう貴方に次のターンの余地は与えない! 速攻魔法 フォーム・チェンジを発動! ガイアをEXデッキ戻し、M・HERO 剛火に変身させる!!」
「──ッ!?」
大賢者の息を呑む音が聞こえた。
ガイアの巨大な鎧の端々から光が漏れ始め、その鎧が剥がれていく。
その中から現れたのは燃えるような闘気を全身から放ち、赤いスーツに身を包んだ炎のHEROだった。
《M・HERO 剛火》 攻撃力2600 守備力1800
そのHEROを目にしたことで大賢者は自らの敗北を悟った。そして、最期の攻撃が始まる前に透き通るような空を見上げ、そっと体から力を抜くように息を吐いた。
「とどめだ!! M・HERO 剛火で貴方にダイレクトアタック──ブレイジング・ナックル──!!」
僕の闘志に呼応するように拳に激しい炎を宿した剛火の攻撃が大賢者へと向かう。攻撃を受けた彼はまるで大きな荷物を下ろしたような穏やかな表情でそれを受け入れていた──。
《大賢者》 残 LP 0