初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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頑張ってM∀LICE組んだけど訳が分からず使っててこれでいいのかと疑問に思いながらターンを終えていく。なんてハードルの高いテーマなんだ。


冷徹なるHERO ①

 

 闇が蠢く暗黒の世界。

 俺の心の闇が具現した存在である覇王とのデュエルが始まった。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 覇王、黒い甲冑に身を包み、その手で数多の精霊の命を奪った俺の弱さが生んだ存在。

 覇王の力に呑まれた俺を友人であるジムやオブライエンたちがその命を捧げて助けてくれたが、もう2度と同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。

 

 このデュエルに勝つことで、俺は俺の弱さと決別するっ!!

 

「俺は手札からE・HERO アナザー・ネオスを召喚! カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

《E・HERO アナザー・ネオス》 攻撃力1900 守備力1300

 

 

 仮に俺のデッキのエースであるネオスが成体であると表現した場合、アナザー・ネオスは幼体と言えるかもしれない。

 大人であるネオスの子供時代、そのようなHEROであるアナザー・ネオスが伏せカードと一緒に召喚された。

 

『俺のターン、ドロー!!』

 

 そして、覇王のターンが始まる。

 

 覇王の使用するカードは俺と同じE・HERO。

 だが、違いがあるのは俺のHEROは正道を征くHEROなのに対し覇王のHEROはその逆。正義を行うために悪に身を堕とした冷酷なるHEROであること。

 

 その力は強く……無慈悲だ。

 

『俺は手札からダーク・フュージョンを発動。手札のE・HEROフェザーマンとバーストレディを融合──E(イービル)-HEROインフェルノ・ウイングを融合召喚!』

 

 

《E-HERO インフェルノ・ウイング》 攻撃力2100 守備力1300

 

 

 通常の融合召喚とは違う。邪悪な波動が2体のHEROを一つにする。

 

 黒い翼を広げ、召喚されたのは女性のHERO。

 俺のフェイバリットHEROであり、男性であるフレイム・ウィングマンとは違い、同じ素材で召喚されたのは女性であるバーストレディが前面に押しでた邪悪なHEROだった。

 

『さらに手札からE-HERO ヘル・ゲイナーを召喚。このカードを2ターン先の未来に取り除くことでインフェルノ・ウィングは2回攻撃することができる』

 

 インフェルノ・ウィングの隣に召喚された背中にいくつもの棘を伸ばしたHEROが次元の彼方へと去っていく。

 

『バトルだ。インフェルノ・ウィングでアナザー・ネオスを攻撃──インフェルノ・ブラスト!!』

 

 覇王の冷たい声を聞いたインフェルノ・ウィングが飛び立つ。

 そしてその両腕に青い炎を宿したのを見て、俺はアナザー・ネオスの前に渦巻くバリアを発動させた。

 

「俺はこの瞬間、ヒーローバリアを発動! 俺のE・HEROへの攻撃を一度だけ無効にする!」

『無駄だな。その守りでは2度目の攻撃は防げない。インフェルノ・ウィングの2度目の攻撃だ』

「──ッ!」

 

 

《十代》 残 LP 3800

 

 

 アナザー・ネオスが炎に包まれる。

 狂笑が上空に響き渡り、インフェルノ・ウィングはさらなる攻撃のために炎を生み出した。

 

『この瞬間、インフェルノ・ウィングの効果発動。インフェルノ・ウィングが戦闘で破壊したモンスターの攻撃力か守備力。高い方のダメージをお前に与える──ヘルバック・ファイア!!』

「なにっ──ぐぁあああッ!?」

 

 

《十代》 残 LP 1900

 

 

 俺の目前まで降りてきたインフェルノ・ウィングから波のような炎が降り落とされる。全身を焼き尽くしてくるその青い炎に一瞬意識が明滅し、悲鳴を上げる。

 

『カードを1枚伏せてターン終了。さあ、お前のターンだ』

「ぐぅ……俺のターン……ドロー!」

 

 淡々と進む覇王のターン。

 

 焼けつく痛みに上体を屈折し、動きが鈍くなるが、この痛みを受けながら助けてくれた2人のことを思い出し、俺は強い意思でカードを引いた。

 

「俺は手札からコンバート・コンタクトを発動! 手札とデッキからネオスペーシアンをそれぞれ墓地へ送り、カードを2枚ドローする!」

 

 手札とデッキからネオスペーシアンたちを墓地へ送りながら邪悪な笑みで俺を見ているインフェルノ・ウィングを見返す。

 恐らく、俺が覇王として活動していた間、最も多くの精霊の命を奪ったモンスター。

 

 その冷笑が生んだ青い炎で一体どれほどの精霊を傷つけてきたか。数えることもできない。

 山と積み上げられたその命はこのモンスターを……そして俺を許すことはないだろう。

 

 だからこそ、俺の手でこいつを倒さなければならない。そして、覇王も!!

 

「俺は手札からネオスペース・コネクターを召喚。その効果でデッキからE・HERO ネオスを守備表示で特殊召喚する! さらにネオスペース・コネクターをリリースすることで墓地からN・エア・ハミングバードを特殊召喚!!」

 

 

《E・HERO ネオス》 攻撃力2500 守備力2000

 

 

《N・エア・ハミングバード》 攻撃力800 守備力600

 

 

 アナザー・ネオスより更に幼さを感じるネオスに似たネオスペース・コネクターが召喚される。

 

 ネオスペース・コネクターは指先から鮮やかな光を灯らせ、その光に導かれるようにネオスが召喚される。

 それに続くように、ネオスペース・コネクターが消えた代わりに白い翼に嘴のあるネオスペーシアンが召喚された。

 

「覇王、力こそが正義であると謳い、邪悪に身を染めたHEROを扱うお前に正しい闇の力を扱うHEROを見せてやる! 俺はネオスとエア・ハミングバードでコンタクト融合──E・HERO エアー・ネオスを融合召喚!!」

 

 

《E・HERO エアー・ネオス》 攻撃力4600 守備力2000

 

 

 宇宙を救うために俺の元にやってきた2体が空間の狭間に生まれた宇宙へと向かう。

 一瞬の煌めきを宙に輝かせながら降りてきたのは桃色の翼を大きく広げた赤いHEROだった。

 

「エアー・ネオスは俺のライフがお前のライフよりも少ない時、その差分攻撃力を上げる。バトル! エアー・ネオスでインフェルノ・ウィングを攻撃──スカイリップ・ウィング!!」

 

 エアー・ネオスが飛翔する。

 桃色の両翼を刃のように振り下ろすことで風を切り裂く旋風がインフェルノ・ウィングに飛んでいく。

 

 それがインフェルノ・ウィングを破壊する直前、覇王は伏せていたカードを発動させた。

 

『リバースカード メタバースを発動! デッキからフィールド魔法──覇王城を発動する!!』

「覇王城!? ここは──!」

 

 闇の世界を地震が襲う。

 大地は割れ、真っ赤なマグマと共に闇の底から山のような城が盛り上がってくる。

 

 それは覇王城。

 俺が覇王として活動していた時の拠点としていた場所である。それがフィールド魔法と化して今、俺の目の前で姿を見せていた。

 

『覇王城は俺の場の悪魔族が戦闘を行う時、デッキかEXデッキからE-HEROを墓地へ送ることで墓地へ送ったモンスターのレベル分、200ポイントの攻撃力を上昇させる。俺はレベル5のシニスター・ネクロムを墓地へ送る!』

「レベル5のモンスター、それならエアー・ネオスが勝つ!」

 

 

《E-HERO インフェルノ・ウイング》 攻撃力3100 守備力1300

 

 

 覇王城の下に流れるマグマが墓地へと捧げられたHEROの命をエネルギーへと変換したかのように、インフェルノ・ウィングにマグマが降り注ぎその力を上昇させる。

 

 そしてアナザー・ネオスを破壊した時と同じように、両手に青い炎を放出させ、エアー・ネオスへと撃ち投げた。

 それはエアー・ネオスの両翼から放たれた空気の刃と一瞬だけ拮抗したが、刹那に刃が炎を切り裂きインフェルノ・ウィングの胸を切り裂いた。

 

 

《覇王》 残 LP 2500

 

 

「お前のライフが減ったことでエアー・ネオスの攻撃力は下がる。そして、俺はエアー・ネオスにインスタント・ネオスペースを発動。これによりエアー・ネオスはエンドフェイズにデッキに戻らなくなる。カードを1枚伏せてターン終了だ」

 

 

《E・HERO エアー・ネオス》 攻撃力3100 守備力2000

 

 

 覇王と俺のライフポイントの差が縮まったことによりエアー・ネオスの攻撃力が減少した。

 それを覇王は一瞬だけ見に止めながらカードを引いた。

 

『ドロー。墓地のシニスター・ネクロムの効果を発動。このカードを除外し、デッキからE-HERO ヘル・ライダーを特殊召喚。さらにヘル・ライダーの効果で墓地からダーク・フュージョンを手札に加える』

 

 

《E-HERO ヘル・ライダー》 攻撃力2100 守備力800

 

 

 死して骸骨と化した山羊の背に跨った悪魔が召喚される。

 彼は両手に持った2本の杖のうち、一本をマグマへと向け、光を向けた。

 

 それはダーク・フュージョンを覇王に渡す導きの光だった。

 

(ダーク・フュージョンを回収された。エアー・ネオスの攻撃力が減っている今、覇王城の効果も合わされば突破は難しくはない)

 

 その魔法カードに十代は歯噛みする。

 覇王の手札がまだ十分にある序盤。融合は難しくはないだろうことは確実なためだ。

 

 そしてその想像に違わず、それは発動された。

 

『ダーク・フュージョンを発動。場のヘル・ライダーと手札のE-HERO ヴィシャス・クロウを融合──E-HERO マリシャス・ベインを融合召喚!!』

 

 

《E-HERO マリシャス・ベイン》 攻撃力3000 守備力3000

 

 

 黒い甲冑に凶悪な手甲鉤を装備した凄まじいプレッシャーを放つHEROが召喚される。

 ニヒルに笑い、この世の全てを嘲笑っている雰囲気を醸し出すそのHEROはその笑みで俺を威圧していた。

 

『マリシャス・ベインは戦闘・効果では破壊されない。バトルだ。マリシャス・ベインでエアー・ネオスを攻撃──デッドリー・ヘルズ・クロウ!!』

「エアー・ネオスの方が攻撃力は上だぞ!」

『覇王城の効果によりデッキからE-HERO デス・プリズンを墓地へ。マリシャス・ベインの攻撃力を800ポイントアップ』

「!?」

 

 覇王城の力によりマグマをその3本の鉤爪に纏わりつけたマリシャス・ベインの攻撃が起こる。

 灼熱を帯びた鉤爪から放たれた赤い刃がエアー・ネオスに迫る中、それにより破壊される前に俺はリバースカードを発動させた。

 

「俺はその攻撃に対し、永続トラップ、死力のタッグ・マッチを発動! その戦闘によるダメージを0にし、戦闘後手札からレベル4の戦士族を特殊召喚する!」

『だが、エアー・ネオスは破壊される』

「──くっ!」

 

 上空でエアー・ネオスが切り裂かれ破壊される。

 

 その爆発を目に留めながら、俺は発動した死力のタッグ・マッチによる召喚と、エアー・ネオスの足元に開かれていたネオスペースの効果による召喚を行った。

 

「エアー・ネオスが破壊されたことでインスタント・ネオスペースの効果が発動。デッキからE・HERO ネオスを、そして死力のタッグ・マッチの効果で手札からクロス・キーパーを特殊召喚する」

 

 

《E・HERO ネオス》 攻撃力2500 守備力2000

 

 

《クロス・キーパー》 攻撃力400 守備力400

 

 

 ネオスとクロス・キーパー。白い肉体に胸に青の球体のあるHEROと分厚い装甲に守られた戦士が召喚される。

 隣り合う2体の戦士は冷たい眼差しの戦士と覇王を静かに見据えていた。

 

『遊城十代、いくらモンスターを並べようと圧倒的な力の前には無意味であることを教えてやろう。マリシャス・ベインの効果を発動! マリシャス・ベインよりも攻撃力の低い相手モンスターを全て破壊する!!』

「なに!?」

 

 マリシャス・ベインが再び鉤爪を振るう。

 振るわれたその攻撃から衝撃波が流れてくる。衝撃波はネオスたちを抵抗も許さず切り裂き、大きな爆発を引き起こした。

 

『さらにマリシャス・ベインは破壊したモンスターの数だけ攻撃力を200ポイント上昇させる。最後にカードを1枚伏せて終わりだ。

 遊城十代、お前はユベルを助けると言っていたな。だが、力なきものがなにを語ろうとそこに真実はない。その愚鈍な思想で何を為す。悪を倒すためなら悪になる。それこそが真の強さだ!!』

 

 鎧から覗く黄金の瞳を一際輝かせ、底知れない冷酷で強い意思を宿したその声に気圧されそうになりながら、俺は静かに瞳を閉じてその言葉を受け止める。

 

 力こそ正義。

 その思想のもと、一体どれほどの命が奪われたのか。

 

 目の前に立つ邪悪なHEROがその具現。正義をなすために悪に身を堕としたHEROの姿。

 

 決して認めることのできない。それは俺の憧れたHEROとは大きく異なる在り方。

 

 しかし一方で、覇王が俺の心の闇であるように。その正義の思想もまた、俺の中に存在する確かな正義の姿であることも認めなければならなかった。

 

 だからこそ、俺は覇王とは違う、真っ直ぐな意志を向けて彼に答えた。

 

「覇王、1人の力には限界がある。俺はそれをこの世界で知った。孤独は、1人で歩もうとするお前のように、力による支配を求めるようになることも!」

『虚構だな。孤独を恐れる者が真の強さを得ることはない。正義とは純粋な力によってのみ為されることだからだ!』

「違うっ! 俺には信じられる仲間がいる。支えてくれる友がいる。この絆がある限り、俺はもう、闇に心を囚われたりはしないっ! この闇を、力を正しいことに使うために俺は戦うっ!! 俺のターン、ドロー!!」

 

 俺の心の闇が生み出した邪悪なるHERO。そして、覇王という闇を乗り越えるために俺はカードを引いた──。

 

 

 

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