初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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Stand by me ④

 

「ボクのターン、ドロー! ボクのターンが廻ってきたことでアーミタイルの攻撃力は1万になる」

 

 

《混沌幻魔アーミタイル》 攻撃力10000 守備力0

 

 

 ユベルのターンが始まったことで、3幻魔が一つになったモンスターであるアーミタイルの攻撃力が規格外なステータスに跳ね上がる。

 

 アーミタイルは、隣に並ぶユベルの最終形態であるユベル-Das Extremer Traurig Drachenと共に、僕たちの場に隣あった6体のモンスターたちを見回している。

 

「フフフ、ボクたちを無視して攻撃してくるなんて酷いじゃないかコナミ。だから、これは愛理から贈るお返しだよ!」

「!!」

「バトル! 混沌幻魔アーミタイルでThe tyrant NEPTUNEを攻撃──全土滅殺 転生波ッ!!」

 

 馬鹿げた重力を発する巨大な黒い球体がアーミタイルから放たれる。ゆっくりとした動きで、しかし空間を歪めるほどの引力で近づいてくるその球体は近づくだけで死を連想させる。

 

「僕はこの瞬間、リバースカード、ハーフ・アンブレイクを発動! この戦闘で僕が受けるダメージを半分に、そしてNEPTUNEは破壊されない!!」

「NEPTUNEを守るのかい? だけど、ダメージは受けてもらうよ」

「──!? ウグゥううううッッッ!!!」

 

 

《コナミ&十代》 残 LP 4500

 

 

 破壊の権化のような球体はNEPTUNEを通り過ぎ、僕へと迫る。

 

 想像を遥かに上回る重力に呑まれた僕はまるで錐揉みするように一瞬でその球体の中で衝撃を受けながら激しく回転し、弾き出されるように攻撃が終わったとき僕は倒れ伏し、立ち上がるのに時間を要するほどにその五体にダメージを受けていた。

 

 言葉を発する余裕もない。

 そんな僕の名を叫びながら駆け寄り肩を支え立ち上がらせてくれる十代くんに感謝しながら、なんとか足に踏ん張りをつけて姿勢を保つ。

 

 しかし、次にアーミタイルの攻撃を喰らえば終わる。

 ライフを残せても僕の体が保つことはない。そう十代くんに悟らせるだけの衝撃が僕の体には残っていた。

 

「まだ攻撃は終わらないよ。さあ、NEPTUNE、ボクを攻撃しておいで」

「NEPTUNEがっ!?」

「愛理の苦しみはコナミに受けてもらったから……ボクの痛みは十代に受けてもらうよ!」

 

 恐ろしい形相の竜となったユベル。その2頭の口から琥珀色の炎がNEPTUNEに向かって放たれた。

 

 瞬く間に炎に当てられたNEPTUNEはしかし、その炎によって燃えない。

 まるで熱を持たない幻影のようにNEPUNEを包み込むばかり。しかしその炎により体の自由を奪われたように緩慢な動きで大鎌をユベルへと向けた。

 

「ボクへの攻撃は君の痛みに変わる──ナイトメア・ペイン!!」

「──ぐぁあああっ!!」

 

 

《コナミ&十代》 残 LP 900

 

 

 NEPTUNEの攻撃によりユベルに蓄えられたダメージが薔薇の鞭となって十代くんに襲いかかる。

 ユベルの効果ダメージに悲鳴をあげる彼を、ユベルは恍惚とした笑みで受け止めていた。

 

「共感して! そして究極体となったボクと戦闘を行ったモンスターは破壊される」

「NEPTUNEッ!!」

 

 ユベルの発言通り、NEPTUNEが消えていく。

 究極体となったことで破壊する相手を選べるようになったということだろう。

 

 無差別に破壊を撒き散らす第2形態とどちらが強いかは状況次第だろうが、十代くんのネオスとネオスペーシアンが並んだこの状況を考えれば、NEPTUNEを失ったことは痛手だが囮としての役目も果たせたことでありがたいとも言えた。

 

「ボクはカードを2枚伏せてターンを終了するよ」

「くっ、俺のターン、ドロー! 俺は手札からスペーシア・ギフトを発動! 俺の場のネオスペーシアンの数だけカードをドローする。俺は4枚ドロー!」

 

 大きなライフを減らす結果にはなったが、そのおかげで十代くんの手札を大きく増やすことができた。

 ネオスと4種類ものネオスペーシアンたちがいる今、凡ゆる戦術を取れるはず。

 

 彼はドローした4枚のカードを見つめ思考していた。

 

「俺は手札から融合超渦を発動! アクア・ドルフィンを究極宝玉神レインボー・ドラゴンへと変化させる!!」

「そのモンスターは──ヨハンのフェイバリット!?」

「そして融合を発動──ネオスとレインボー・ドラゴンを融合させ、レインボー・ネオスを融合召喚する!!」

 

 

《レインボー・ネオス》 攻撃力4500 守備力3000

 

 

 雲と霧が揺蕩うフィールドに虹色の極光が貫く。

 ユベルの究極体にも負けない巨大な白い戦士が美しいまでの虹を掛けながら召喚される。

 

 それは十代くんのエースであるネオスと遂に手に入れたヨハンくんのエースであるレインボー・ドラゴンが融合した姿。

 彼らの友情が作り上げた奇跡のモンスターだった。

 

「俺はレインボー・ネオスの効果を発動! フィールドのグローモスを墓地へ送ることで、ユベル、そして愛理、お前たちのモンスターを消し去ってやるっ!!」

「なんだって!?」

「レインボー・ネオスが光って……ハッ、アーミタイルがっ!?」

 

 レインボー・ネオスの光に当てられたユベル究極体とアーミタイルが虹色の粒子へと変換され消えていく。

 戦闘でも効果でも破壊されないアーミタイルも、レインボー・ネオスのデッキへと戻す効果にまでは抗うことはできなかった。

 

 苦い顔を見せる2人に向かい、レインボー・ネオスの額の赤い宝玉が輝き出す。愛理ちゃんたちへの道が開かれたことで攻撃を開始しようとしていた。

 

「ユベル。今のお前が究極体だというのなら、それ以上先はない。レインボー・ネオスの攻撃でお前たちは終わりだ!」

「クフフフフフ。それはどうだろねえ」

「なに?」

「十代、確かに君の読み通りユベル-Das Extremer Traurig Drachenはボクの究極形態。それより先はない。だけど、ボクが消えたことで前の形態、ユベル-Das Abscheulich Ritterが召喚されるのさ」

「なにィっ!?」

「バカな! 破壊してもデッキに戻しても進化と退化を繰り返すんじゃ、倒しようがないっ!!」

 

 レインボー・ネオスによってモンスターが消えたあと、フィールドの霧が纏まり前形態であるユベルが再び形成された。

 

 

《ユベル-Das Abscheulich Ritter》 攻撃力0 守備力0

 

 

 それを見た僕たちの間に沈んだ空気が流れこむ。

 超大型モンスターであるアーミタイルを倒せたとはいえ、幾度倒しても復活するユベルの存在に深い絶望を抱かずにはいられなかった。

 

「俺は、カードを1枚伏せてターンエンドだ」

「私のターン、ドロー! 私は手札から魔法カード 新世壊を発動!!」

「──これは!?」

 

 フィールドに漂っていた雲と霧が一瞬の間、消え去る。

 その後に台頭したのは宇宙。いくつもの巨大な恒星が存在する闇と星が瞬く大宇宙であった。

 

「新世壊、いい名前のカードでしょう? 私たちに相応しい、最後に立つフィールドよ」

「くっ」

 

 愛理ちゃんが特に最後という部分を強調して話す。

 星や宇宙というのは縁深い存在。その終焉の時が近づいていると言っているように僕は感じた。

 

「新世壊の効果、自分のモンスターを破壊することでデッキからそのレベル以下のモンスターを効果を無効にし、守備表示で特殊召喚できる」

「モンスターを破壊……まさか!!」

「ええそうよ。私はユベルを破壊することでデッキから屍界塔フィニステラを守備表示で召喚!」

「ついでに、ボクもまた、進化させてもらうよ」

 

 

《屍界塔フィニステラ》 攻撃力1000 守備力2800

 

 

《ユベル-Das Extremer Traurig Drachen》 攻撃力0 守備力0

 

 

 まるで恒星が爆発するかのような衝撃がユベルを破壊し、再生させていく。それと同時に召喚されたのは巨大な塔。

 おどろおどろしい姿をした屹立した塔は宇宙を貫くように建っていた。

 

「これで終わるのかしら、それとも続く? ふふふ、まだ負けないでねコナミくん。バトル、ユベルでレインボー・ネオスを攻撃!!」

「終わらせるかっ! 僕は墓地のドリーム・シャークを守備力を1000下げることで特殊召喚──その効果ダメージを0にする!!」

「ふふ、よく躱したわね。でも、レインボー・ネオスには消えてもらうわよ」

 

 

《ドリーム・シャーク》 攻撃力0 守備力1600

 

 

 星の海を海遊するように一匹の鮫が召喚される。

 レインボー・ネオスと変わるように召喚されたその鮫は尾びれをヒラリと動かし身を丸めていた。

 

「ちなみ、ユベルがまた召喚されたことでマチュア・クロニクルにカウンターが貯まったわ。これでカウンターは5つ。次のユベルのターンで超融合をサーチして、このデュエルも終わりね」

 

 彼女がスッと何気ない動作で指差したマチュア・クロニクルの巻物には5つの光が灯っている。

 超融合を持っているのがユベルであるためだろうが、発動されないその効果に僕たちは安堵しながら崖っぷちへと追い込まれていることを覚悟した。

 

「ターンエンド。ふふ、コナミくん、あなたの最後のターンよ。頑張ってね」

 

 いつものように、デッキの上に指を置こうとする。

 慣れ親しんだ、意識などせずとも行えるその動作。しかし、僕はカードを引き抜く前に停止し、一度大きく息を吐いた。

 

「ふぅー。なんていうか。こう言っちゃなんだけど、ここまでくると──」

「諦めたくなるか?」

 

 自嘲気味に弱音を吐き出す僕に揶揄うように金色から茶色へと戻った十代くんが話しかけてくる。

 その言葉に「少しだけね」と返事をし、前を見据えた。

 

「そんなお前に朗報だぜ。俺の準備ができた。いつ来ても対応できる」

「!!」

「それにもう一つ。もっといい情報がある。どうやらみんな生きているみたいだぜ」

「生きてる……?」

「ああ、翔が教えてくれた。万丈目たちだけじゃない。道長や堂本たちも、この世界で亡くなった仲間たちは、みんな別の次元で生きてるみたいだ」

 

 十代くんがフィールドの端を見る。

 そこにはいつの間にいたのか、翔くんが僕たちのデュエルを観戦していた。

 

 そしてそれはユベルによって成されていることだと、彼女自身が言った。この異空間を作り上げた際、どういう心情によるものか、自身が呼び込んだ人間だけは死なないようにしていたそうだ。

 

 なぜユベルがそのようなことをしたのかはわからない。彼女自身、わかっていない風である。もしかしたら、彼女の中に残っているのかもしれない理性が、十代くんから嫌われないためにした行動だったのかもしれなかった。

 

「ああ、そうか。そうなんだね。このデュエルでこんなに嬉しいことがわかるなんて、正直思わなかったよ」

「俺もだ。だから、諦めるわけにはいかねえ。みんなを助けるためにもな」

 

 肩から力が抜ける。

 望外の喜びに全身が浸されるように目の端から涙が溢れ、宙を見上げた。

 

 そして、そっと目を開け、その涙を拭き取り顔を上げる。

 どこに眠っていたのか、不思議と込み上げてくる元気に浮かび上がった笑みのまま、カードに指を置いた。

 

「うん。もう、僕に憂うものはない。あとはもう、このデュエルを最後まで続けるだけだ。僕のターン、ドロー!!」

 

 ドローしたカードを見る。

 そこに描かれている内容にフッと儚い笑みをこぼし、僕は十代くんに目を向けてカードをディスクに差し込んだ。

 

「僕はカードを1枚伏せて、ターンエンド。十代くん、僕の方も、すべてを終わらせる準備ができたよ」

「わかった。なら、あとは俺たちの覚悟を通すだけだな」

「おやおや、2人でコソコソと相談事かい? このターンで終わりだからって悲しいじゃないか」

「そうよね。男同士でイチャイチャと、ちょっとは放っとかれる私たちの身にもなってほしいわ」

 

 僕たちの様子に不機嫌さを隠そうともしない2人の声が響く。

 新世壊の影響が未だ残る霧と雲が立ち込めた世界の中心で、超融合に王手をかけたユベルのターンが始まろうとしていた──。

 

「ボクのターン、ドロー! さあ、とうとうこの時が来た。ボクはマチュア・クロニクルのカウンターを5つ取り除くことで超融合を手札に加える!!」

 

 喜悦の表情でこれ見よがしに見せてくる超融合のカード。

 それを見つめる十代くんの視線は冷たく、酷く涼やかだ。それが彼女の手で発動されることはないと、悟っているように。

 

「ボクはさらにリバースカード トラップトリックを発動! デッキからチェーン・マテリアルを除外することで、同名カードをセットする!!」

 

 チェーン・マテリアル!

 

 そうか、超融合でどうやって12の次元を一つにするのかと思っていたが、どんな場所からでも素材を用意できるチェーン・マテリアルで用意するつもりだったのか!!

 

 だが──!

 

「十代くん!」

「──ああ! この瞬間、俺はリバースカード フェイバリット・コンタクトを発動! 墓地のネオスと、4体のネオスペーシアンたちをデッキに戻し、コスモ・ネオスを特殊召喚するっ!!」

「無駄だよ十代! 今更何を召喚したところで──」

「コスモ・ネオスが召喚されたターン、凡ゆるカードは発動できないっ!!」

「なにっ!?」

「銀河の果てから宇宙を守るため、現れろっ! E・HERO コスモ・ネオス!!!」

 

 

《E・HERO コスモ・ネオス》 攻撃力3500 守備力3000

 

 

 恒星が散らばる宇宙の果てから翡翠の流星が落ちてくる。

 流星が煌めき光を周囲に振り撒きながらそのモンスターは召喚された。

 

 蒼い翼を広げ、堂々たる姿を見せるその戦士は宇宙の平和を守るためにネオスたちが一つになった姿。

 4体のネオスペーシアンを必要とする、コンタクト融合の到達点とも言えるモンスターだった。

 

「ユベル、お前に超融合は使わせない。12の次元が一つになることはない!」

「フフフ、やるじゃないか十代。だけど、所詮一時凌ぎ。このターンが終われば発動制限は消える。無駄な足掻きさ」

「そうかな。俺たちはこの時のために準備を進めてきていたんだ。コナミ!」

「うん。僕はリバースカード マインドクラッシュを発動! ユベル、君の手札の超融合は捨ててもらうっ!!」

「マインドクラッシュだって!?」

「今、私たちはコスモ・ネオスの効果でカードを発動できない。まずいわね……超融合が捨てられる!」

 

 僕が発動したカードに目を見張り前のめりになるユベル。そんな彼女の手から一枚のカードが消えた。

 

「チっ、超融合が墓地へ……流石だよ、こうなることを計算していたなんてね。流石十代、覇王だ。ボクの憧れの存在に相応しい。だけど、それでどうしようというんだい。君たちが僕たちに勝つことは不可能さ!」

 

 眉間に皺がより、怒りの顔を見せながらユベルが彼女自身である2頭に分かれた竜の首元に瞬間移動でもするように移動する。

 

 彼女は自身の勝利を疑ってはおらず、愛理ちゃんもまた、同じように不快な表情を見せながらも同じように勝利を確信しているようだった。

 

「十代くん……」

「ああ。俺のターン、ドロー……」

 

 そのドローは真っ直ぐで熱い彼には似つかわしくないほどに静かなドローだった。これが生涯最後のドロー。そう彼は覚悟して噛み締めるように引いていた。

 

「コナミ、本当にいいのか。もしかすると、愛理なら他に助ける方法も──」

「十代くん、僕はとっくに覚悟している。この先に何があろうとも、すべてを受け入れる覚悟を。だから、一緒に逝こう。2人で……みんなで……」

 

 最期の確認のように、躊躇うように問われた彼に僕も迷わず答える。

 

 不安が瞳の奥に見える彼はそんな僕に諦めたように、安心したように息を吐き、僕の場に伏せてあったカードに手を発動させた。

 

「俺は、手札を一枚捨ててコナミの二重魔法を発動。ユベル、お前の墓地にある超融合を発動させるッ!!」

「超融合を……」

「十代くんが?」

 

 巨大な黒雲が渦を巻いて現れる。

 稲妻を響かせるそれはこの世のどんな存在であれ、それこそ世界でさえも融合させる究極のカード。

 

 超融合の発動を示していた──。

 

「十代くん、あなた何を融合するつもりなの? 超融合は確かにどんなモンスターでも融合できるけど、あなたのデッキに召喚できるカードがあるの?」

 

 十代くんが超融合の対象を宣言するまで滞空し、渦を撒き続ける黒雲に視線を向けながら愛理ちゃんが訝しげに問う。

 

 今、フィールドにいるのはコスモ・ネオスを除けばすべてHEROとはかけ離れたモンスターばかり。

 HEROデッキである十代くんが召喚できそうなモンスターは存在しない。それ故にでた、当然の疑問だった。

 

「愛理、俺たちはお前たちに勝ちに来たんじゃない。助けに来たんだ」

「んふふ。可笑しなことをいう。十代、それじゃあ君はどうやってボクたちを助けるというんだい? まさかこの超融合を使って、なんていうつもりじゃないだろうねえ」

「いや、そのまさかさ。俺が超融合で一つにする存在。それは俺たち4人の運命だっ!!」

「なんだってッ!?」

「私たちの……運命!!?」

 

 黒雲が唸りを上げていく。

 十代くんが対象を決めたことで超融合がその力を発動させようとしていた。

 

「ユベル。悲しい魂の旅路は終点についた。もう、終わりにしよう」

『これからはボクがキミのそばにいる。超融合が、星の力を持つ彼がそれを成してくれる』

「あなたは──!?」

 

 十代くんの身体から半透明な姿の少年が現れる。

 それは彼の前世である王子の姿をしていた。

 

『ボクが十代の魂の半分となり、キミに乗り移る。ボクたちは一つとなることで、永遠に共に在り続ける』

「超融合で一つになることで、俺がどうなるかはわからない。だが、もう、俺たちが離れることだけはない。今まですまなかった。ユベル、これからは共に仲間として、一緒に生きていこう」

「──十代っ!!」

 

 涙ぐみ、十代くんと見つめ合うユベル。

 十代くんの覚悟を受け取り、そして彼の前世の王子と再び巡り会えたことで彼女の狂気の闇が白い波動とともに消えていく。

 

 もう、彼女が狂うことはない。

 そう、安堵しながら僕は茫然と彼らを見つめる愛理ちゃんに視線向けた。

 

「愛理ちゃん」

「あっ──!」

 

 ハッとした顔で僕に視線が向く。

 

「愛理ちゃん、今まで、本当にごめん。君の抱く不安も、恐怖も見ようとせず好き勝手してきた。その結果、君をこんなに苦しめてしまった」

「違うの、私は……ただ、貴方とずっと一緒にいたくて、いてほしくて……」

「永遠、それが君の望みだというのなら、僕は僕の永遠を君にあげるよ。永遠の愛を、魂を、君にあげる」

「それは、どういう……」

 

 彼女の疑問に答えるように、僕の指と彼女の指から赤く光る糸が伸びていく。それは繋がりを求めるように惹かれ合い絡まり合う。そして、決して離れることのない一本の糸となった。

 

「運命の赤い糸。例え死が2人を分かとうとも、この糸が僕たちを必ず惹き寄せる。そして、君だけに恋をする」

「──」

「人は生まれ変わる。その度に君のことを忘れてしまうかもしれない。でも、その度に君を求め、君だけを愛するよ。口約束じゃない。超融合がそれをしてくれる。僕たちの運命は、魂は決して離れることはない」

 

 黒雲の唸りが激しくなる。

 激しい雷豪を響かせ、僕たちを渦の中心へと導いていく。

 

 見つめあった僕たちは惹かれ合うように指先から伸びたその糸を手繰り指を絡め合う。決して離れることのないように彼女を胸に抱き寄せ、顔を寄せ合った。

 

「コナミくん。私たちはもう、離れることはないのね」

「うん。ずっと、ずっと一緒だ」

「よかった──」

 

 超融合が発動する。

 安堵し抱き合う僕らと十代くんたちを引き寄せ僕らを一つにしていく。

 

 魂も運命も一つとなり、超融合は僕らの望み通り、4人の未来を重ねながら永遠の未来を築いていった────。

 

 

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