主人公のデッキで一番強いカードはイタクァの暴風じゃないかなと思う。
「んっ、ここは……?」
周囲を木々で囲まれた湖のほとり。
ソリッドビジョンであるはずのガガギゴに後ろから胸を貫かれた僕はそこで目を覚ました。
「なんで僕はこんなところに……。いったい何が起こったんだ」
僕の手元には何故かデュエルディスクとデッキのみがあり、それ以外の荷物は何も持ってはいなかった。
「え~~どうしよう」
わからなかった。何が起こったのか。なぜこんなところに自分がいるのか全くわからなかったが、何もわからないなりに、とりあえず僕は周囲を確認することから始めることにした。
「ここは……森かな? そして……この湖、冷たいってことはソリッドビジョンでもない」
「それに日差しが差しているってことは、もう夜が開けているってことだよね」
僕が愛理ちゃんの家にいたのは夜だ。
誰かが僕をここに連れてきた?
愛理ちゃんたちが1番わかりやすいけど、理由がわからないんだよなあ。
それに気絶した理由もガガギゴの腕に貫かれたからだし、でもソリッドビジョンに貫かれたからって気絶はしないだろう。
「う〜ん。さっぱりわからない。これ、どうしようかなぁ」
僕は湖の前で座り込み途方に暮れた。
「ふっ、はぁ〜〜。ねむ。……うーん考えてもよくわからないし、とりあえずちょっと寝ようかな〜」
訳の分からない状況に頭を悩ませていると、疲れが出てきたのか眠たくなってきた。
「……この状況で寝ようとするとは。お前はバカなのか?」
「え? 誰ッ!?」
僕が暖かな日差しに誘われて横になり眠ろうとしたところ、後ろから僕とは別の声が聞こえてきた。
「子供故の能天気さか。危機感が足りんな。コナミ」
「ガガギゴ!? なんでガガギゴがここに、ていうかガガギゴが喋ってる!?」
振り向いた先、そこには僕のデッキで何度もお世話になっているガガギゴが呆れた表情で僕を見下ろしていた。
いや、表情はよくわからないけど、なんとなく声から呆れているのは伝わってきた。
「何を驚くことがある。お前をここに連れてきたのは俺だ。そしてお前は精霊の存在を水無月愛理から聞いていただろう」
「せい……れい」
たしか、愛理ちゃんが昔言ってたな。
僕のガガギゴのカードには精霊が宿ってるかもしれないって。
だけど、まさか本当にいるなんて。
「さあ立てコナミ。俺とデュエルするぞ!」
「えっ、デュエル!? いやちょっと待ってよ! なんでいきなりデュエルなのさ! その前に色々と説明して欲しいんだけど……」
ガガギゴがなぜか腕に装着しているデュエルディスクを展開して僕にデュエルを挑んできた。
ていうか精霊もデュエルするんだ。
そのデュエルディスクどうやって手に入れたんだろう。
「知りたければ俺とデュエルしろ! 俺に勝てたなら知りたいことを教えてやる。それとも、お前は挑まれたデュエルから逃げる腰抜けなのか? だとしたら期待外れだな。どこへなりとも消え失せるがいい!」
「なっなんだと! 腰抜け!? 冗談じゃない! 僕はデュエリストだ。挑まれた勝負から逃げるような真似はしない!」
「では了承ということでいいな」
「ああ! たとえ精霊が相手でも僕は負けない! デュエルだ!」
「お前の力、見せてもらう! デュエル!」
気がつけば僕のそばにいたガガギゴ。
カードの精霊だと名乗る彼に森へと連れてこられたらしい僕は、その理由を知るためにガガギゴとのデュエルを開始した。
「僕の先行、ドロー!」
「アルティメット・インセクト LV1 を攻撃表示で召喚! そしてカードを2枚伏せてターンエンド!」
《アルティメット・インセクト LV1》 攻撃力0 守備力0
このデッキ、さっきまで愛理ちゃんとデュエルで使っていたデッキじゃない。低レベルモンスターを集めて作ったもう一つのデッキだ。
正直、かなり安定性に欠けるデッキだから、ガガギゴがどんなデッキを使うかわからないけど厳しいデュエルになるだろうな。
「俺のターンだ。ドロー!」
「俺は、俺自身を攻撃表示で召喚!」
《ガガギゴ》 攻撃力1850 守備力1000
「俺自身を召喚!? って、ああ。ガガギゴか……」
「ふっ、バトルだ! 俺自身でアルティメット・インセクト LV1を攻撃!」
召喚されたガガギゴが僕のモンスターに向かって跳んでくる。
「そうはさせるか! 僕はリバースカード エネミーコントローラーを発動! 相手モンスター1体を守備表示に!」
僕は目の前に現れたゲームのコントローラーと同じ形状をしたものにコマンドを押して攻撃してきたガガギゴを守備表示へと変更した。
「いいだろう、それくらいはしてもらわなくてはな……。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
「僕のターンドロー! この瞬間、アルティメット・インセクト LV1の効果発動! アルティメット・インセクトはLV1からLV3になる!」
《アルティメット・インセクト LV3》 攻撃力1400 守備力900
アルティメット・インセクトはLVモンスター。条件を満たすことでより強い存在へと進化していく。
そしてアルティメット・インセクトは自分スタンバイフェイズが来るたびに次のLVに進化できる。
今回は生まれたての赤子から、成長し巨大となった芋虫へと進化した。
そして進化することで得たその効果は……。
「さらにアルティメット・インセクトの効果により相手フィールド上のモンスター全ての攻撃力は300ポイントダウンする!」
僕の場に特殊召喚されたアルティメット・インセクトがその口から糸を吐きガガギゴをからめとった。
《ガガギゴ》 攻撃力1550 守備力1000
『ガルルゥウ』
ガガギゴが唸り声を上げてアルティメット・インセクトを睨んでいる。
いつも味方のガガギゴに睨まれるとちょっと怖いけど、今は敵だ。容赦はしない!
「僕はアルティメット・インセクトでガガギゴを攻撃! アルティメット・リーニング!」
アルティメット・インセクトが守備表示となり身を守っていたガガギゴの上から身体全体でのしかかることで破壊した。
「ぐぅっ。いいぞ。だが……それで終わりか?」
「……僕は、モンスターを守備表示で召喚してターンエンド!」
よし、序盤は僕の優勢で進めた。
次の僕のターンが来ればアルティメット・インセクトはさらなる進化を遂げてより盤石な盤面を敷くことができるだろう。
「俺のターン、ドロー!」
「俺は早すぎた埋葬を発動! 800ライフポイントを払い、墓地から再び俺を召喚!」
「またかッ!」
《ガガギゴ》 残 LP 3200
《ガガギゴ》 攻撃力1850 守備力1000
「だけど、アルティメット・インセクトの効果により攻撃力は300ポイントダウンする」
「知っているとも、だが俺はここで俺自身を生贄に、手札からギガ・ガガギゴを召喚する!」
「ギガ・ガガギゴ!?」
《ギガ・ガガギゴ》 攻撃力2450 守備力1500
「もっとも、お前のアルティメット・インセクトの効果により攻撃力は下がるがな」
《ギガ・ガガギゴ》 攻撃力2150 守備力1500
ギガ・ガガギゴ……。
ガガギゴが強くなった姿。ガガギゴの精霊だもんな……そりゃ持ってるか。
「さらに! 俺はギガ・ガガギゴにメテオ・ストライクを装備! 効果は知っているだろう? バトルだ! 俺はギガ・ガガギゴでお前の守備表示モンスターを攻撃! ギガ・スマッシュ!!」
「守備表示モンスターを!?」
アルティメット・インセクトじゃない!?
メテオ・ストライクで守備力を貫通してくる分、ダメージを優先してきたのか?
ギガ・ガガギゴが僕の守備モンスターを叩き潰すように振り下ろした拳で破壊した。
「ほう、伏せられていたのは暗黒のミミック LV3か。そのモンスターの守備力は1000。ギガ・ガガギゴの攻撃力との差分1150をダメージとして受けてもらうぞ!」
「ぐっあぁあああ!!」
《コナミ》 残 LP 2850
僕がダメージを受けた瞬間、本来ありえない痛みが全身を襲ってきた。
「なっなんだこの痛みは。普通のデュエルじゃないのか!?」
「くくくっ、痛かろう。これはお前たち人間が通常行うようなお遊びのデュエルではない。古来より行われてきた命を賭けた決闘なのだ!!」
「決闘!?」
「そう。デュエルとはお前たちが知るよりはるか昔より行われてきた神聖なる儀式。ダメージを受ければその痛みが全身を駆け巡りお前の命を蝕み、最後には死を迎えるのだ!!」
「そんなバカな! デュエルで死ぬなんて……ふざけるな!!」
「ふざけてなどいない。俺は真剣だ。真剣にデュエルをしている。さあ、デュエルを続行しようか。暗黒のミミックは破壊されるとカードを1枚ドローできる。カードを引くがいいコナミ!」
「くっ僕はカードを1枚引く……」
命を賭けたデュエルだって?
冗談じゃない。
デュエルで殺されるなんてまっぴらだ。こんなデュエル、やめてやる!
僕はデュエルディスクの電源を消そうとしたが、デュエルディスクは反応してくれなかった。
「なっ! なんで!?」
「無駄だ。言っただろう、これは神聖なるデュエルだと。一度はじまったデュエル。途中退場は許されない! それともサレンダーするか? それもいいだろう。苦しみは一瞬だ。このまま苦しみぬいた先に死ぬよりはマシかもしれんな」
一度始まったデュエル。途中でやめれないだって?
そんなバカな!
なんでいきなりこんなわけもわからない場所に連れてこられて殺し合いをしないといけないんだ!!
「まだ俺のターンは終わってはいない。俺はカードを1枚伏せてターンエンド。さあ! お前のターンだ!」
「くっ! 僕の……ドロー!」
死ぬ?
このデュエルで敗けたら僕は死ぬのか?
手が震える。だ、だめだ。頭が回らない。自分が今何をすべきなのかも……。
「ぼ、僕はモンスターを守備表示で召喚して……」
「ほう、アルティメット・インセクトは進化させなくてもよいのか?」
「はっ! しまった!」
「もう遅い! お前はタイミングを逃した! どうしたコナミ? とても俺のマスターとは思えん失態だな!!」
ガガギゴが嗤っている。
なんでこんな失敗を。絶対に負けられないデュエルなのに……!
「うっああ……。はぁっ、はぁっ。うぐっ。だ、だめだ……」
心を強く持たなきゃ……。怖くて涙が出てきそうだ。
視界が霞んでカードがよく見えないッ。
「無様だなぁ? コナミよ。これがデュエルキングになると豪語していた男の姿か……?」
「デュエル……キング……?」
ガガギゴが何か言っている。
デュエルキング? なんで今その話が……?
「そうだ。この世でただ一人デュエルキングと呼ばれ、すべてのデュエリストから尊敬と憧れを持たれる武藤遊戯。そんな男に憧れ、お前もデュエリストになったのではないのか?」
武藤…遊戯さん。……そうだ。聞いたことがある。武藤遊戯さんも魂を賭けた闇のデュエルと呼ばれるデュエルをしてきたと。
そしてそのすべてに勝利することでデュエルキングになったって……。
「僕の夢は、武藤遊戯さんのようなカッコいいデュエルキングになること……」
「そうだ。そのために今、何をすべきか……わかるな?」
僕は涙でぬれた顔を拭い、大きく深呼吸した。
「すぅーーはぁーーー。このデュエル。勝って生き残る!!」
「それでいい! 恐怖は置いていけ! 所詮失うのは命だけだ! 誇りを失うわけではないのだからな!!」
武藤遊戯さんならたとえ命を賭けたデュエルでも、こんな情けない姿は見せなかったはずだ!
だったらそこを目指す僕も最後までデュエリストらしく、ちゃんと戦わないといけない!
「僕はカードを2枚伏せてターンエンド!」
死ぬのは怖いし、痛いのも嫌だ。
だけど、そういうごちゃごちゃしたことは今は考えない!
今は……このデュエルに勝つことだけを考える!!
「俺のターン、ドロー!」
「俺は暗黒の狂犬を召喚!」
《暗黒の狂犬》 攻撃力1900 守備力1400
「暗黒の狂犬……」
おかしい。ガガギゴが使用したカード、どれも僕のデッキに入っていたカードばかりだ……。
さっきから既視感のあるカードを使ってくる。
「ガガギゴ。あんた、そのデッキはまさか……」
「気づいたか。そう……これはお前のデッキだ。これまで幾度となくお前を勝利させてきた。そして今、お前の命を奪わんとする最強のデッキなのだ!!」
「くっ! そういうことか。僕のデッキが変わっていたのは、お前が使っていたからか!?」
勝手に僕のデッキを使い、僕を殺そうとしてくるガガギゴに怒りが湧いてくる。
この理不尽な状況も相まってこんなに怒ったことなんてないくらい僕は今、怒っている!!
「くくくっ。いいぞ~。口が悪くなってきたなあ? その調子でもっと怒れ。そろそろお利口さんの皮が剝がれてきたか?」
「だまれ! カードの精霊だか何だか知らないが、僕のデッキは返してもらう! お前を倒してな!!」
「返してやるとも、俺に勝てたならな! 俺は暗黒の狂犬でアルティメット・インセクトを攻撃!」
「暗黒の狂犬はアルティメット・インセクトの効果で攻撃力が下がっている!」
《暗黒の狂犬》 攻撃力1600 守備力1400
「知っているとも! それでもアルティメット・インセクトの攻撃力は上回る!」
「くっ! ぐぁああああ!!」
僕はアルティメット・インセクトが破壊された衝撃で後ろへ飛ばされダメージを受けた。
ぐっ。体がダメージと痛みで痺れる!
早く態勢を整えないと……次の攻撃が来るッ!
《コナミ》 残 LP 2650
「まだだ! 俺はアルティメット・インセクトがいなくなったことで攻撃力が戻ったギガ・ガガギゴで守備表示モンスターを攻撃!」
「ぐっ、ぼっ僕はリバースカード ディメンション・ウォールを発動! この戦闘によって受けるダメージは相手が受ける!」
「なに!?」
「僕が伏せていたモンスターは人投げトロール。守備力は1000。ギガ・ガガギゴの攻撃力2450を引いた1450のダメージを受けてもらう!」
これ以上ダメージを受けてたまるか!
僕がまだデュエルをまともにできる間に決着をつけないと、敗けるわけにはいかないんだ!
「ガァアアア!!」
《ガガギゴ》 残 LP 1750
ディメンション・ウォールの効果でガガギゴへと返ったダメージにより、ガガギゴが叫び声をあげて苦しんでいる。
やっぱり、ダメージを受けて苦しむのは僕だけじゃない。ガガギゴも同じ条件で戦っている。
「グルゥッ……やるじゃないか。だが、お前を守ってくれるモンスターはいなくなったな。俺はこれでターンエンドだ」
「勝つ、絶対にだ!! 僕のターン……ドローーー!!!」
僕がカードを引いた瞬間、僕の手が光輝いて粒子が舞った。
「僕は強欲な壺を発動! カードを2枚ドロー! そして僕はギゴバイトを攻撃表示で召喚! さらにリバースカード 同性同名同盟を発動! 僕のデッキからギゴバイトを2体攻撃表示で召喚する!」
「ぬっ! これは、来るかッ!」
《ギゴバイト》 攻撃力350 守備力300
同性同名同盟の効果により、僕の場に3体のギゴバイトたちが召喚される。
このターンで終わらせる!
この……ふざけたデュエルをッ!!
「僕は手札からトライアングルパワーを発動! 僕の場のレベル1通常モンスターの元々の攻撃力と守備力は2000ポイントアップする!」
《ギゴバイト》 攻撃力2350 守備力2300
「バトルだ! 僕はギゴバイトで暗黒の狂犬を攻撃!」
「ふっ、勝負を急いだな! 俺はリバースカード イタクァの暴風を発動! お前のギゴバイトたちはすべて守備表示になる!」
イタクァの暴風!?
まずい! 守備表示になってしまったら攻撃ができない!
「さて、これでお前のプランは潰えたかな? 確かトライアングルパワーはその効果で強化されたモンスターをエンドフェイズに破壊するんだったな」
「くそ! 僕は速攻魔法 突撃指令を発動! フィールド上の通常モンスターを生贄に相手の場のモンスターを破壊する! 僕はギゴバイトを生贄に、ギガ・ガガギゴを破壊!」
ギゴバイトが相手の場のギガ・ガガギゴに突撃することでギガ・ガガギゴは破壊される。
「ガッ、おのれ! よくもギガ・ガガギゴをッ!」
「僕は……これでターンエンドだ。そして僕の場のギゴバイトたちはトライアングルパワーの効果により破壊される……」
くそっ! ギゴバイトたちの攻撃で勝つ予定だったのに。
でも……大丈夫だ。まだ諦めるには早すぎる。最後までデッキを、カードを信じて戦うんだ!
「俺のターン、ドロー!」
「くくくっ。先ほどの攻撃、勝利のための起死回生の一手だったのだろうが失敗に終わったなあ? 所詮、そんな雑魚モンスターを中心としたデッキでは強敵には勝つことなどできんのだ」
「黙れガガギゴ!! たとえお前でも僕のデッキを……仲間を侮辱することは許さない!!」
「許さないか! だか、許さないからどうしようというのだ? お前の場にはもう守ってくれる仲間はいないぞ?」
「それでも……ライフポイントが残っている限り、カードが残っている限り……僕は戦う!」
僕はガガギゴを睨みながらデュエリストらしく勇ましく答える。
「……そうか。ではお前に見せてやろう。本当の俺の姿を! 力を求めた先に至った姿をッ! 俺は墓地のガガギゴを除外して水の精霊 アクエリアを特殊召喚!」
《水の精霊 アクエリア》 攻撃力1600 守備力1200
「そして暗黒の狂犬と水の精霊 アクエリアをリリースして……手札からゴギガ・ガガギゴをアドバンス召喚する!!!」
「ゴギガ・ガガギゴ!?」
ガガギゴの場に見たこともないモンスターが召喚された。
その姿はその名にガガギゴと付くようにガガギゴが強化された姿だったが、より強大に、より大きくなったために理性をなくし暴走しているようにも感じた。
《ゴギガ・ガガギゴ》 攻撃力2950 守備力2800
「これが……これがガガギゴが至った力……」
「そうだ。悪と戦うために力を求め、より凶悪な存在となった姿……」
ゴギガ・ガガギゴ。なんて悲しい姿なんだ。
悪を倒すために強くなったはずなのに、心を失って暴走するしかないなんて……。
「さぁコナミ! このモンスターでお前にとどめを刺してやる! ゴギガ・ガガギゴの攻撃! ジェノサイド・パワー・ボール!!」
ガガギゴが攻撃を宣言した瞬間、ゴギガ・ガガギゴがその手に強大なエネルギーを溜めた球体状のエネルギーを生み出し、僕に向かって投げつけてきた。
「僕はリバースカード 炸裂装甲を発動! 攻撃してきたゴギガ・ガガギゴを破壊する!」
炸裂装甲、これが僕を守る最後の砦。
ゴギガ・ガガギゴはたしかに強力なモンスターだけど、無敵のモンスターではない。これが決まれば破壊はできる!
「……俺は、我が身を盾にを発動! 1500ライフを払いモンスターを破壊する効果を無効にし破壊する!」
「…………」
《ガガギゴ》 残 LP 250
僕が発動した炸裂装甲は無効になった。
なら、もう僕にできることはない。
あとはもう、その時を待つまでだ……。
「……いい目だ。死の恐怖に震える負け犬の目ではない。勇気ある者の目だ」
「……ガガギゴ。僕は敗けて、死ぬけれど。これだけは言っておく」
「僕はこんなデュエルは認めない。デュエルはみんなが楽しむためのものだ。命を奪い合うためのものじゃない」
「……それでも……それでも楽しかったよ。……楽しい、デュエルだった。だから……ありがとう」
僕は涙を流しながらガガギゴに感謝の言葉を告げる。
こんなに怒ったデュエルは初めてだった。恐怖に震えるデュエルも……。
普通に生きてたら決して出会わないだろうデュエル。
それを教えてくれたガガギゴに僕は心からの感謝を伝える。
「……そうか。あの時、3年前に、お前を選んだことは間違いではなかったな。バトルだ! ゴギガ・ガガギゴでお前にダイレクトアタックだ! ジェノサイド・パワー・ボーール!!!」
そして僕は攻撃を再開したゴギガ・ガガギゴが投げた巨大なエネルギーに飲み込まれ、敗北と同時に僕の意識は闇の中に消えていった。
《コナミ》 残 LP 0
命を賭けたゲームはカードゲームではよくあること。