初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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 全国大会は全6試合ですが、流石に全試合書くと長いので半分くらい飛ばします。


始まる挑戦

 

 僕は全国大会の舞台となる巨大なドーム状に作られた会場。

 その中にある試合場への通路前で試合開始の時間を待っていた。

 

 これから試合が始まる。

 この大会で優勝すればデュエルアカデミアへの推薦とコウキとの再戦が約束される。

 だから必ず優勝しなければいけない。

 

 観客席を見れば応援に来てくれた愛理ちゃんや三沢君たちが僕の試合を見守ってくれている。

 

 コウキは…………さすがにいないか。

 

 三沢君からヒロシとの間にあったことは事前に聞いていた。

 僕が手加減をしてしまったことで心が折れてしまったのだろうということも…………。

 

 だったらこれ以上手加減したことを謝罪しても意味がない。

 コウキたちの心には届かない。

 

「コウキ、それにヒロシも。僕は必ず優勝する。そして全力のデュエルで伝える。僕の想いを!」

 

 そして時間が迫ってきた僕は試合場に入り対戦相手と向かい合った。

 

 さて、まずは1回戦。

 確実に勝っていく。

 

「「デュエル!!」」

 

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 

「試合が始まったわ。三沢君、コナミ君の不調は治ったの?」

 

 観客席。

 そこで試合を観戦している水無月愛理が三沢大地に尋ねた。

 

 コナミ君が思うようなデュエルをできていないことは知っていた。

 だから三沢君が以前から特訓に合わせて何とか本調子に戻せないかと試行錯誤していたのを聞いていたので、結局治ったのか聞きたかったのだ。

 

「いや、色々と手は尽くしたが結局改善はされなかった」

「えー!? それ大丈夫なのコナミ君。愛理から話は聞いていたけど全国大会なのに不調って…………」

 

 愛理たちと共にコナミの応援をしに来ていた彩音が驚きながら三沢を見つめる。

 

「ひとまずは問題ないレベルで安定してデュエルは可能だった。不調と言ってもデュエルそのものができないとかそういうものではなかったからな」

「ふーん。あたしはデュエルはしないからよくわからないんだけど、スポーツとかならともかく、デュエルで不調って何か問題あるの?」

 

 彩音はデュエルをしたことがない。

 だからコナミ君が不調と聞いてはいてもデュエルで不調がどう関係するのかよくわからないのだろう。

 

「勿論あるわよ。デュエルだって刻一刻と変化する状況ごとに戦術を考えないといけないし精神的に弱っていたらドローするカードにも影響が出るわ」

「へー。じゃあまずいじゃない! コナミ君勝てるかなあ?」

 

「いずれにせよ。試合が始まった以上俺たちにできることはない。今はコナミを信じて試合を見守るとしよう」

 

 そう三沢君が話を締めくくり、デュエルを始めた会場へと視線を戻した。

 それ見た私と彩音も試合場へと視線を移し、試合の成り行きを見守るために試合場へと視線を向けた。

 

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 

「…………俺のターン。ドロー」

 

 対戦相手は三田川さん。

 たしか大学生の先輩だ。

 

 デュエルの特徴としては高攻撃力モンスターで殴り勝つことに専念したハイパワーデッキだったかな?

 

 なんて言うか、物静かな印象を受ける人だな。

 こう言う表現はよくないけど、暗い人って感じだ。

 

 だから、高火力で殴り勝つってより、もっと陰湿な……いや、じっくりと勝ち筋を練っていく感じのデュエルをしそうな人なんだけどな。

 

 僕は全国大会対策で三沢君から出場者について空き時間にざっくりとだけど、色々と教え込まれていた。

 事前に選手のデッキの特徴を聞くのはちょっと卑怯な感じがして避けたかったんだけど、相手も当然しているという論調と絶対に勝たなければならないと言われ、折れたのだ。

 

「…………俺は手札から魔法カード 成金ゴブリンを発動。君は1000ライフポイント回復し、その代わりに俺はデッキから1枚ドローする」

 

 いきなり手札増強カード?

 ライフポイント与えてまでカードを引きたがるなんて、手札事故でも起こしたのか?

 

 

《コナミ》 残 LP 5000

 

 

「…………さらに俺は手札からリロードを発動。手札をすべてデッキに戻し、戻したカードの枚数分ドローする。俺は5枚をデッキに戻し、同じ枚数分ドロー」

 

 また手札に干渉するカード。

 よほど酷い手札でもない限りは序盤からそこまで手札を入れ替える必要はないはずだけど。

 何を狙っているんだ?

 

「…………俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド」

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 手札を入れ替えた割にはカードを2枚伏せただけ。

 事前に聞いていた戦術とは随分違う印象だ。

 

 全国大会に向けてデッキを大幅に変更でもしたのだろうか?

 とはいえ、事前情報をあてにしていたわけでもない。

 

 僕は僕のデュエルをすればいい。

 

「僕は手札からブリザード・ドラゴンを攻撃表示で召喚!」

 

 

《ブリザード・ドラゴン》 攻撃力1800 守備力1000

 

 

「さらにフィールド魔法 ウォーターワールドを発動! 全ての水属性モンスターの攻撃力を500ポイントアップし、守備力を400ポイントダウンさせる!」

 

 

《ブリザード・ドラゴン》 攻撃力2300 守備力600

 

 

 ウォーターワールドによって僕と三田川さんの膝までが水で覆われ、遠くではイルカが泳いでいるのが見える。

 

「バトルだ! ブリザード・ドラゴンでダイレクアタック! 氷雪弾!」

 

 僕が召喚したブリザード・ドラゴンが口から鋭くとがった複数の氷を作り出し三田川さんへと撃ち放った。

 

「…………俺はリバースカード ドレインシールドを発動。相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のライフを回復する」

 

 

《三田川》 残 LP 6300

 

 

「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 伏せてあったのはドレインシールドだったか。

 随分と保守的カードが伏せられていたな。

 

 聞いていた情報とやはり戦術が違う。

 やっぱり事前情報はあてにならないな。

 

「…………俺のターン、ドロー。俺は魔法カード 手札抹殺を発動。お互い、手札をすべて捨てて、捨てた枚数分ドローする」

 

 また手札に干渉するカードか。

 一体何がしたいんだこの人。

 ここまでドローしてどうしたいんだ。

 

「…………俺は3枚ドロー。そしてリバースカード ゴブリンのやりくり上手を発動。墓地にある同じカードの枚数+1枚カードをドローして、その後1枚デッキに戻す」

「僕の手札は3枚。手札抹殺の効果で3枚ドロー。…………うーん。全国大会に出場する以上、弱いなんてことはあるはずないんだけど。いまいち考えが読めないな」

 

 三田川さんは2枚カードを引いて、1枚デッキに戻した。

 

 ということは恐らく先ほど発動した手札抹殺でゴブリンのやりくり上手を墓地へと送っていたんだろう。

 プレイングは確かに強いんだけど…………。

 

「…………残り2枚。僕はモンスターを守備表示で召喚し、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 ん?

 今三田川さんが小声で何かつぶやいていたな。

 

 やっぱり手札に干渉するカードを大量に入れているのには意味があるな。

 まさかエクゾディア…………は、ないと思うけど不気味に過ぎる。

 

 先ほどからカードを引くたびに何か待っているような様子を見せるし、となると速攻で決めに行くのがベストか。

 

「僕のターン、ドロー! 僕は手札からハイドロゲドンを攻撃表示で召喚! ウォーターワールドの効果で攻撃力500ポイントアップ!」

 

 

《ハイドロゲドン》 攻撃力1600 守備力1000

 

         ↓

 

《ハイドロゲドン》 攻撃力2100 守備力600

 

 

「バトルだ! ハイドロゲドンで守備表示モンスターを攻撃! ハイドロ・ブレス!」

 

 ハイドロゲドンが吐き出した泥水が三田川さんの守備表示モンスターを遠くへ押し流していく。

 

「くっ…………破壊されたのはクリッター。効果でデッキからカードガンナーを手札に加える」

「僕もハイドロゲドンの効果発動! このモンスターが相手モンスターを破壊した時、デッキから同名モンスターを召喚できる。僕は2体目のハイドロゲドンを召喚!」

 

 よし、無事にハイドロゲドンで後続のモンスターを召喚することができた。

 これで大ダメージを狙う!

 

「バトルだ! ハイドロゲドンとブリザード・ドラゴンでダイレクトアタック!」

「…………ッ!!」

 

 

《三田川》 残 LP 1900

 

 

「僕はカードを1枚伏せて、これでターンエンド…………」

 

 よし、想定通りライフを削ることができた。

 そして、デュエルは間違いなく僕のペースで進んでいる。

 戦況的に有利なのは僕だ。

 

 だけど、実際にはどうなんだろうか。

 僕は3体のモンスターを召喚して大ダメージを与えることにも成功しているけれど、戦術らしいことを相手は何もしてきてはいない。

 

 このまま次のターンも同じように攻撃できれば楽に勝てるんだけど…………。

 

「…………俺のターン、ドロー。俺は手札からカードガンナーを攻撃表示で召喚」

 

 

《カードガンナー》 攻撃力400 守備力400

 

 

 この状況で攻撃力400のモンスターを攻撃表示で召喚?

 まさかデュエルを諦めたのか…………?

 

「…………カードガンナーの効果発動。デッキから3枚までカードを墓地へ送り、送ったカード1枚につき500ポイント攻撃力を上げる。俺は3枚墓地へ送る」

「今度はデッキから墓地へカードを送るのか!」

 

 

《カードガンナー》 攻撃力1900 守備力400

 

 

「…………はぁ!! 来た!!」

 

 三田川さんの表情が変わった!

 これまで静かで無表情を貫いていたのに、カードガンナーで墓地へ送ったカードを見たとたんに好戦的な表情へ。

 

 ここからが本番!!

 

「俺は手札から龍の鏡を発動! 墓地のドラゴン族5体を除外する!」

「ドラゴン族5体? …………まさか!?」

 

 ドラゴン族5体で召喚される唯一のモンスター。

 デュエルモンスターズ界で最強の攻撃力を持つドラゴン!!

 

「来い! F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)!!」

 

 

F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》 攻撃力5000 守備力5000

 

 

 三田川さんの場に5つ首を持つ巨大なドラゴンが召喚された。

 

 三田川さんはこれを待っていたのか!?

 自分の手札に執拗なまでに干渉するカードを使用していたのも融合素材をそろえるために!

 

「俺はさらにリバースカード DNA改造手術を発動! フィールド上のモンスターは俺が選択した種族へと変わる! 俺は魔法使い族を選択!」

 

 表情だけでなく口調まで流暢に話すようになった三田川さんがDNA改造手術を発動しF・G・Dをドラゴン族から魔法使い族へと変更した。

 

 種族の変更!?

 魔法使い族へとわざわざ変更するなんて…………ま、まさか。あのカードのコンボを狙ってくるのか!?

 

「このターンで終わらせてやる! 俺は1000ライフポイントを払い、手札から魔法カード 拡散する波動を発動! 俺はF・G・Dを選択し、このターンF・G・Dはお前のモンスター全てに攻撃できる!!」

「拡散する波動!? F・G・Dで必殺のコンボを決めるのが狙いか!」

 

 

《三田川》 残 LP 900

 

 

「これで終わりだ! F・G・Dでお前のモンスター全てに攻撃! 守護丸竜波動(ドラゴンキング・ウェーブ)!!」

 

 くっまずい!

 これをくらったら僕のライフでは受けきれない!!

 

「ぐっ、僕はリバースカード──」

「くたばれー!!」

 

 そしてF・G・Dの攻撃が僕のモンスターを襲った。

 

「はぁー。はぁー。これで俺の勝ちだ!!」

「…………それは、どうかな」

 

 F・G・Dが攻撃によって起こった爆風。

 それが晴れた先にはブリザード・ドラゴンのみが破壊され、ライフポイントが残った僕が立っていた。

 

 

《コナミ》 残 LP 2300

 

 

「なに!? バカな。なぜ生きている!?」

 

「…………僕はF・G・Dがブリザード・ドラゴンを破壊した瞬間、リバースカード ダメージ・コンデンサーを発動していた。このカードは僕が戦闘ダメージを受けた瞬間、手札を1枚捨ててデッキからそのダメージ以下のモンスターを召喚するカード。僕はデッキからゴラ・タートルを召喚した」

 

 

《ゴラ・タートル》 攻撃力1100 守備力1100

 

        ↓

 

《ゴラ・タートル》 攻撃力1600 守備力700

 

 

「ダメージ・コンデンサーでその亀を召喚………? しかしなぜF・G・Dが他のモンスターを攻撃していない。その亀でF・G・Dの攻撃を防いだとでもいうのか?」

「ゴラ・タートルがフィールド上にいる限り、攻撃力1900以上のモンスターは攻撃できない。よって攻撃回数が残っていてもF・G・Dは攻撃できないのさ」

 

 あ、危なかった。

 ダメージ・コンデンサーとゴラ・タートルがいなければ今の一瞬で敗けていた。

 

 ありがとうゴラ・タートル。

 まったく頼りになるモンスターだよ。

 

「くっ。そんな亀に俺の必殺のコンボが防がれるとはな。1900以上ではカード・ガンナーも攻撃できないか。ちっ、俺は手札から磁力の指輪をF・G・Dに装備! 攻守を500ポイント下げる代わりにお前はF・G・D以外を攻撃できない」

 

 

F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)》 攻撃力4500 守備力4500

 

 

「俺はこれでターンエンド。この瞬間、カードガンナーの攻撃力は戻る」

 

 よかった。

 なんとかこのターンを凌ぐことができた。

 

 三田川さんの戦術、それは手札交換カード等でキーカードを揃えながら相手の攻勢を凌ぎ。

 F・G・Dと拡散する波動のコンボで一撃必殺を狙うものだったか。

 

 そして万が一倒しきれなくても磁力の指輪で他のモンスターを守りながら極めて高いステータスを誇るF・G・Dで次のチャンスを待つ。

 

 さすがは全国大会に出てくるほどの人だ。

 戦術に隙が無い。

 

「僕のターン、ドロー! ……ッ!?」

 

 僕の手札に勝利まで持っていくカードはない。

 やっぱり、三沢君の言う通りドロー力が下がっているのかもしれない。

 

 今ドローした瞬間、何か痺れるような違和感が指先を襲った。

 まるで引いてくるはずのカードが引けなかったような。そんな違和感が……。

 

 だけど、僕は勝たなければいけないんだ。

 絶対に……絶対に勝たないといけないんだ!

 

 不調だとか、思うようにカードが引けないとかそんなことは関係ない。

 引けないなら引けるまでカードをドローすればいい!!

 

「僕は手札から冥界の宝札を発動! そしてハイドロゲドン2体をリリースしてシャインスピリッツをアドバンス召喚! ウォーターワールドの効果で攻撃力アップ!」

 

 

《シャインスピリッツ》 攻撃力2000 守備力1500

 

         ↓

 

《シャインスピリッツ》 攻撃力2500 守備力1100

 

 

「シャインスピリッツの召喚に成功したことで冥界の宝札の効果発動! 2体以上のモンスターの生贄に成功した時、デッキから2枚ドロー!!」

 

 ドローが悪いなら回数で補うしかない。

 シャインスピリッツには効果がある。このモンスターで勝利への道を切り開く!

 

「僕は幻惑の巻物をゴラ・タートルに装備。ゴラ・タートルを光属性に! そしてバトルだ! シャインスピリッツでF・G・Dを攻撃!」

「なに? 死にに来たかッ! F・G・Dで返り討ちだ! 守護丸竜波動(ドラゴンキング・ウェーブ)!!」

 

 F・G・Dの攻撃がシャインスピリッツの攻撃を打ち砕き、シャインスピリッツが破壊された。

 

「ぐぅうう!」

 

 

《コナミ》 残 LP 300

 

 

「ははは! 上級モンスターを召喚して何をするかと思えば、自爆特攻をして自分のライフを削るとはな。勝負を諦めたか?」

「…………いや。シャインスピリッツには効果がある。このモンスターが戦闘で破壊された時、フィールドの光属性以外のモンスター全てを破壊する!」

 

「なんだと!?」

「シャインスピリッツの効果発動! 全てのモンスターを破壊せよ!」

 

 破壊されたシャインスピリッツが残した光の弾が拡散しフィールドのモンスター全てを破壊した。

 

「ぐっ、カードガンナーの効果発動! このモンスターが破壊され墓地へ行った時、カードを1枚ドロー!」

 

 カードガンナーの効果で手札の補充。

 次のターンへの布石。

 だけど問題はない。このターンで終わらせる!

 

「ん? なぜゴラ・タートルが残っている! 破壊されたはずだ!?」

「シャインスピリッツが破壊するのは光属性以外だ。ゴラ・タートルは幻惑の巻物の効果で光属性へと変わっていた。よってゴラ・タートルだけは残るのさ!」

 

 

《ゴラ・タートル》 攻撃力1600 守備力700

 

 

「もうあなたを守るモンスターも伏せカードもいない。バトルだ! ゴラ・タートルでダイレクトアタック!」

「うっ、ぐあぁあああ!」

 

 

《三田川》 残 LP 0

 

 

 ゴラ・タートルが三田川さんに突撃したことで、ライフを0まで削りきった。

 

「いよし!! 僕の勝ちだ!!」

「…………そんな。俺が…………敗けた」

 

 三田川さんががっくりと顔を落としている。

 

 まずは1回戦勝利!

 観客席で見守ってくれていた愛理ちゃんたちも大喜びで拍手してくれている。

 

 三田川さん、手強い相手だった。

 こんなデュエルを後5回はある。

 厳しいデュエルになるだろうけど、僕は勝って見せる。約束を果たすために!

 

 さあ、次は2回戦だ!!

 

 

 





 攻めのエースがガガギゴなら、ゴラ・タートルはもう守りのエースを名乗っても過言ではない働きをしてくれてるわ。
 攻撃力で殴るのが主流のGXにおいて攻撃の制限はいざという時の壁として強い。

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