これ書いててわかったけど、大会とか今後はもう書かん!
話の流れとか寄り道ができなくて自由に書けなくなるから嫌だわ。
全国大会控室、その決勝戦へと進出を決めた1人である丸藤亮は、自らに与えられた部屋で決勝戦の相手となるコナミのデュエルをビデオで見ていた。
『──これで終わりだ! 憑依精霊エリアで地帝グランマーグを攻撃!』
決勝戦の相手、コナミ。
水属性モンスターをメインに据えたデッキを使うデュエリスト。
事前に聞いていた情報では最上級モンスターであるゴギガ・ガガギゴをエースとしていると聞いているが、まだこの大会では見ていない。
出し惜しんでいるのか、それとも出す余裕がないのか。
ビデオで写っている様子を見る限りでは後者だな。
「油断できる相手ではないが……」
コンコン。
ビデオを見ていると俺の通う高校であるデュエルアカデミア。その校長であり、俺にリスペクトデュエルを教えてくれたサイバー流師範の鮫島校長が部屋に入ってきた。
「やあ丸藤君。決勝戦を控えているのにすまないね。ちょっと君と話がしたくて……今、いいかい?」
「鮫島校長……。はい。勿論大丈夫です。どうぞこちらへ」
部屋へと招き入れた鮫島校長に椅子を用意し、座ってもらった。
「それで、お話とは……」
「うむ。これから君がデュエルすることになるコナミという少年についてなのだがね」
俺は鮫島校長と共に話の中心となるコナミのデュエルを再度ビデオで観戦しながら話を聞いた。
「そうだね。まずこの少年だが、今は中学2年生だから再来年だね。本校へと推薦入学することになる。あくまで予定だけど、少年が望むならそうなるだろう」
「本当ですか! それは……喜ばしいことです」
鮫島校長が言うには、少年が通う中学校から事前に話があり。本大会で優秀な成績を残すことができたなら優先して推薦枠を用意すると言う話になっていたそうだ。
そして少年は最低でも準優勝という結果を残すことになった。
それを受けて本校で推薦枠として受け入れようという話に決定したそうだ。
「コナミ君は現時点でも極めて優秀なデュエリストだ。我が校で受け入れない理由はない。決勝戦で君と戦い、敗退したとしてもこの決定は揺らがないだろう」
「はい。自分もその決定に賛成です。彼が本校に入学すればきっとより優秀なデュエリストとして成長できるでしょう」
「うむ。私も同じように思う」
鮫島校長はビデオを真剣な表情で見ながらどこか迷っているように感じた。
「何か……心配事でも?」
「丸藤君。君は、彼のデュエルを見ていて感じるものはなかったかね?」
鮫島校長の質問を受けて、改めて俺は少年のデュエルを見てみる。
「……彼のデュエルにはどこか……そう。迷いのようなものを感じます。実際にデュエルしてみればより鮮明にわかるでしょうが……」
コナミという少年のデュエル。
そこには迷いが見えた。彼はまるで苦しみながらデュエルをしている。
ビデオを見ている限りでは、そういった印象を受ける。
一応、斎王美寿知という女性とのデュエルで最後に改善の兆しは見えたが、完全に解消されたかはわからない。
「やはり、君もそう思いますか。実は彼の通う学校から少年について話を聞いていましてね。彼は以前までとても楽しそうにデュエルをしていたそうです」
……楽しそうにデュエル。
このビデオに映っている様子を見る限りでは、そのようには見えないな。
楽しむというよりむしろ真逆の、勝利に拘ったデュエルをしている。
「鮫島校長。原因はわかりませんが、彼は本来の自分のデュエルを見失っている。そう判断してよろしいかと……」
「うむ………。丸藤君、これから私がいうことはお願いであって、君に強制するものではありませんが──」
「鮫島校長。そこから先は言わなくても大丈夫です。自分のすべきことはわかっていますので」
俺は失礼だったが、鮫島校長の言葉を遮って自分のすべき内容はわかっていると告げた。
鮫島校長がお願いしたいことはわかっていた。
元より自分もそのつもりであったし、お願いなどされなくてもそのつもりであった。
「そうですか。では、彼のこと。よろしくお願いします」
「はい。年長者として、そしてサイバー流を受け継ぐものとして、自分のリスペクトデュエルで彼にデュエルの喜びを思い出させて見せます!」
俺のリスペクトデュエル。
これから行われるデュエルを通して彼の本当の全力を引き出す。
そして叶うならば、彼の本来の心。純粋にデュエルを楽しんでいた頃の気持ちを取り戻させる。
それが2年後、先輩となる俺が、後輩となる彼にしてあげるべきこと。
無論、敗けるつもりなどないが、例えその結果敗北することになろうとも……俺は構わない。
まあ、学園の代表として大会に参加しながら負けたとあっては、学園で見ている吹雪たちに色々と言われそうだが……。
俺は苦笑して、万が一敗北した場合の対応を考えながら試合場へと足を向けた。
「コナミ、俺のリスペクトデュエルでお前の全力を引き出してやる。それが先輩となる俺が、お前にしてやれることだ!!」
満員の観客がいる試合場。栄光への入り口を俺は歩いて行った。
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「はぁー。もうすぐ決勝戦か…………」
美寿知さんとのデュエル後、僕は美寿知さんに気づかせてもらったことについて考え続けていた。
「勝利への固執。…………執着が僕を弱くしているか」
美寿知さんが言うのは、それも一つの要因でしかないと言っていたけれど
『その先にある、本当の答えを気づかせるのは私の役目ではない』
本当の答え。
僕の不調の原因は勝利への固執だけではないのか…………?
「コナミ…………何か悩み事か?」
「えっ…………三沢君!?」
いつの間にいたのだろうか。
気が付けば控室の入り口で壁に寄りかかった三沢君が立っていた。
「気づかなかったよ。いつの間にいたのさ?」
「ついさっきな。お前に朗報を伝えようと思い、決勝戦前だがここに来たんだ」
「朗報?」
「ああ! 喜べコナミ。先ほど学校から連絡があってな、デュエルアカデミアへの推薦枠が貰えるそうだ!」
推薦…………。
デュエルアカデミアの推薦!?
「本当三沢君!!」
「ああ!! まだ決勝戦が残っているとはいえ、準優勝が確定した時点で推薦枠を当てると連絡があったそうだ」
「い~~~やッッッたぁーー!!」
僕は三沢君からの朗報を聞いて両手を天井へ突き上げて喜んだ。
これで受験勉強という拷問じみた行為をしなくていいんだ!
こんなに嬉しいことはない!!
「おいおい喜びすぎだ。気持ちはわかるが、まだ決勝戦が残っているんだ。お前にとって最後に乗り越えなければならない難関なんだぞ?」
「うっ! それはそうなんだけどさ。嬉しいものは嬉しいんだよ!」
たしかに僕は優勝しなければならない。
だけど目的の一つだった推薦がもらえると決まったんだ。
肩の荷が一つ降りた気分だ。
「やっほー! どう? 三沢君、コナミ君は喜んでる?」
「コナミ君。声が外にまで聞こえてたよ。嬉しいのはわかるけど、ほどほどにね?」
「彩音さんに愛理ちゃん! うん。大声出してごめん。だけど嬉しくてさ」
三沢君と推薦がもらえたことを喜んでいると、入り口から彩音さんと愛理ちゃんが入ってきた。
様子を見るに二人とも僕がデュエルアカデミアへの推薦がもらえたことを既に聞いているのだろう。
落ち着き払った様子で僕を祝福してくれた。
「さてコナミ。時間も限られている以上、こうやって喜び続けているわけにもいかない。お前、さっき一人で何を悩んでいたんだ?」
そうだった。僕が控室で悩んでいたところを三沢君に見られていたんだった。
うーん、まあ話しても問題はないか。
それに愛理ちゃんは精霊エリアでもあるから、僕の不調の答えについてもしかしたら知っているかもしれない。
知っていたら知っていたでなんで教えてくれなかったんだと言いたくなるのかもしれないけど…………。
「実はね──…」
そうして僕は美寿知さんからの助言について三沢君たちに話した。
「──なるほど。話は分かった。つまり不調の本当の原因がわからず悩んでいたわけだ」
「そうだね。美寿知さんとのデュエルで改善されたと思ったんだけど、それでも完全なものではないみたいなんだ」
美寿知さんとのデュエル。
その最終局面のドローで感じた、ぬるりとした滑るようなドロー。
これまで気にしたことなんてなかったけれど、確かに以前はこんな気持ちよい気分でドローしていたと改めて気づくことができた。
「それで、相談なんだけど。皆は僕の不調の本当の原因について思い当たる節はある?」
僕は三沢君たちを見ながら聞いてみた。
勝利への気持ちとデッキとの絆、それ以外の要因は正直よくわからない。
三沢君や愛理ちゃんなら答えとはいかなくても、何かヒントとなることがわかるかもしれない。
「ふむ、どう思う。愛理君」
「そうねえ。答えは……正直言うならもうわかってるんだけど、あえて伝えなかったわ。三沢君も、もうわかってるんじゃないの?」
「まあな。俺も前々からそうではないかと感づいてはいたんだが、伝えるべきかどうか悩んでいてな」
「いやいやいや! わかってるなら教えてよ! もうすぐ決勝戦なんだからさ!」
僕は悩んでいるという三沢君に教えてもらえるよう詰め寄ってねだった。
「あーそれはだな」
「答えを教えちゃダメよ三沢君。今回のことはコナミ君が自分で気づかなくっちゃいけないこと。そうじゃないとまた何処かで同じような不調を起こすわ」
三沢君が詰め寄った僕に答えようとしてくれた瞬間、横から意外にも厳しい顔をした愛理ちゃんが三沢君の言葉を遮った。
「愛理ちゃん。どうして……」
「もう一度言うけど、これはコナミ君が自分で気づかないといけないことなの。例えその結果、決勝戦で負けてコウキ君と満足のいくお別れができなかったとしてもよ」
厳しいようだけどわかってねと最後に付け加えた後、愛理ちゃんはもう話すことはないのか彩音さんを連れて控室を出て行ってしまった。
「自分で気づかなくてはいけないことか。たしかに、愛理君の言う通りなのかもしれないな」
「三沢君まで!?」
どうやら三沢君は愛理ちゃんの意見に賛成するらしい。
僕に答えを教えてくれるつもりはないようだ。
「コナミ。安易な道を選べば、必ず将来しっぺ返しを食う。お前は少々、愛理君や俺に甘えすぎている部分がある。失敗や後悔もまた、長い人生の中の教訓として必要なものだ。俺は今回アドバイスをすることはない」
そう言い残して、三沢君もまた愛理ちゃんたちを追って部屋から出て行ってしまった。
結局、答えは2人とも教えてくれなかったなあ。
勝利を求める心がデッキとの絆に蓋をしていた。
だから真剣にデッキと向き合えば一先ずはデッキは答えてくれた。
「はあ。甘えすぎている……かあ。まあ否定できないけどさあー」
わかってるんだ。
愛理ちゃんはよくお弁当を作ってきてくれたり、勉強を教えてくれたりと日常面をサポートしてくれてる。
三沢君はデュエルの特訓に付き合ってくれたり、デュエルアカデミアやコウキの件で動いてくれて、多分にお世話になっている。
だから甘えていると言われても仕方ないし、感謝も沢山しているけれど。
答えがわかっているのに教えてもらえないと言うのは、もどかしいものがある。
「わかってる。これは僕の試練だ。僕が、僕自身で乗り越えなきゃいけない問題なんだ。だから、愛理ちゃんも三沢君も何もいってはくれなかった」
大丈夫。僕は必ず答えを見つけて見せる。そして優勝することで、2人に感謝を伝えるよ。
「さて、そろそろ時間だ。今の僕ができる全力で、丸藤さんに挑もう」
僕がすべきことは僕の持てる力の全てをぶつけて、叶うならば美寿知さんが言った答えを見つけること。
僕は試合場へと向かう前にデッキへ共に戦おうと告げて、決勝戦の舞台へと足を進めるのだった。
正直どうしようかなあと思いましたけど、カイザーってヘルになるまでは勝ち負けに拘ってない感じだから、通常カイザーなら目的を果たした上で勝とうとするかなあって思いました。