色々とこの話に詰め込みすぎてしまった。
しばらくデュエルはないので、デュエルが見たい方には申し訳ない。
「丸藤さん。本当にありがとうございました」
デュエル後、僕は丸藤さんと話していた。
「ああ。お前が無事にデュエルの喜びを思い出せたなら、それでいい。それに、2年後に俺の後輩になるかもしれない生徒だ。ならば、迷っている後輩を助けてやるのも先輩としての役目だ」
2年後……そうか!
丸藤さんは1年生だから、僕がデュエルアカデミアに入学する時には3年生でまだ在籍しているのか!
「丸藤さん! 僕はもっともっと強くなります! それで2年後にデュエルアカデミアに入学したら、またデュエルして下さい!」
「ああ。お前が入学して来るのを楽しみに待っている」
そうして丸藤さんと握手をして別れた後、僕は準優勝者として表彰を受け、万雷の拍手の中、僕の全国大会は幕を下ろした。
そして全国大会から数日が経ち、僕と三沢君、愛理ちゃんと彩音さんの4人は近場のカラオケで祝勝会をしていた。
「「かんぱーい!!」」
「いやはや、優勝こそ逃したが準優勝でも十分立派な成績だ。おめでとうコナミ」
「ありがとう三沢君。でもやっぱり、優勝して愛理ちゃんと三沢君に感謝を伝えれたら最高だったんだけどなあ」
くっそー! 優勝したかったー!!
丸藤さんが強すぎて叶わなかったのがなあ。でもデュエルは最高だったから満足感はあって…………。
うーん……ても優勝はしたかったなあー。
「なーに言ってるのよコナミ君は。愛理も三沢君も好きであなたに協力したんだから、素直に賞賛は受け取っておきなさい」
「そうだよ。私たちは好きでやったんだから、そこに謙遜や申し訳なさはいらないわ」
「愛理ちゃん……うん。2人ともありがとう!」
僕は彩音さんと愛理ちゃんの言葉にこれ以上謙遜するのは失礼だなと思い、心からの感謝を伝えた。
「まあでも、恩を感じているならそうね……今度のデートの代金、全部コナミ君持ちでお願いね♪」
「お! それはいいな。ちょうど賞金で懐も潤ってるだろうし、俺にはカードを沢山買ってくれたらいいぞ」
「うぇええ! ……いや、はい。奢りますしプレゼントもします」
愛理ちゃんの恩を感じてるならデート代奢ってほしいの言葉に三沢君も同調して笑いながらプレゼントを要求してきた。
カードはともかく愛理ちゃんとのデート代金っていくらくらいになるだろうなあ。
奢りだからってことで食事代とかならともかく、服とかアクセサリーとかまで要求されたら賞金残らないかもしれない…………。
「あっ! 愛理たちいいなあ。それじゃあ私は──」
「いや彩音さんは関係ないでしょ!?」
何故か彩音さんが便乗して奢って貰おうとしてきたけれど、そこは頑張って阻止した。
ケチかなって思ったけど、予想外にすごいもの要求されても困るし、応援してくれたってことで今度高めのお菓子をプレゼントするつもりだ。
「ふふ。でも本当によかったわ。コナミ君がデュエルする喜びを思い出してくれて」
「うん。美寿知さんと丸藤さんに感謝しないと。対戦者ってだけの僕に随分と良くしてくれたわけだし」
本当に2人には感謝しないと。
美寿知さんは会えるかわからないけれど、丸藤さんはアカデミア入ったら話す機会はあるだろうから、菓子折り持って挨拶しないと。
「ふむ、何故その2人が大会でありながら敵に塩を送るようなことをしてくれたのかはわからないが、いずれにせよお前は自分のデュエルを取り戻せたのだ。よかったとしよう」
実際、アカデミアに入ったらできるだけ早く会いに行かないとなあ。
流石に孤島に建っている以上、入学前に会うことはできないわけだし。
アカデミアと言えば吹雪さんもたぶん入学してるんだよね。
しまったなー。
丸藤さんにそれとなく聞いておけばよかったかも。もしかしたら知り合いだったかもしれないし。
まあとは言っても、僕が吹雪さんとデュエルしたのは5年も前のことだし覚えてない可能性は全然あるんだけど。
いざ会いに行って「ごめん、誰?」って言われたら……仕方ないけど、ちょっと凹んでしまうかもしれない。
「さて、これでコナミが無事にアカデミアへ入れることになった以上。俺も本腰を入れて受験勉強に臨めるな」
「え!? 三沢君、もう受験勉強始めるの!?」
「当然だ。今まではお前の問題もあって最低限成績を落とさない程度に留めていたが、もう中学2年の秋だ。流石にそろそろ始めなければな」
「そうね。私もアカデミアに入るための勉強しなくちゃ。コナミ君の推薦が決まった以上、私も本気でアカデミアへの受験対策をしないといけないわ」
三沢君と愛理ちゃんはもう受験勉強を始めるのか。
だったら一緒に遊ぶ時間は減りそうだなあ。
「彩音さんも愛理ちゃんたちみたいに受験勉強を始めるの?」
「あたし? ははは! まっさかー! あたしは来年からでいいわ。あたしは別にデュエルアカデミアみたいな受験倍率のやばい学校をうけるつもりはないもの。だから、あたしとなら暫く一緒に遊べるわよ?」
「いやー遠慮しておくよ。2人に悪いし、後々怖いからね!」
どうすると薄ら笑いを浮かべて聞いてくる彩音さんに僕はやんわりと断って愛理ちゃんを見る。
「ん? 別にコナミ君が行きたかったら彩音と遊んでもいいけど?」
「え"っ! いいの!?」
愛理ちゃんは嫌がるだろうから無理だろうなあと思っていたら意外な答えが返ってきた。
「いいわよ。彩音のことは信用してるからね。遊ぶくらいならいいわよ。それに…………コナミ君なら手は出さないと信じてるからね」
「ってことで、愛理や三沢君が相手できないときは誘ってくれていいわよ。暇だったら付き合ってあげるわ」
はー、これは予想外だ。
しかし、うーむ。彩音さんと2人で遊ぶかあ。
彩音さんはデュエルができない以上、お出かけやゲームに誘うしかないかなあ?
でも普段彩音さんって何してるのか僕知らないから…………いや、この際デュエルを教えるってのも悪くないかも!
「よかったなコナミ。俺たち以外の遊び相手ができて」
「いや三沢君、その言い方やめてくれない。まるで僕が三沢君たち以外に遊び相手がいないみたいじゃないか」
「なんだ。違ったのか?」
「ちゃんといるよ! 一番仲がいいのが三沢君たちってだけで!!」
同級生で暇な者同士で集まってゲームしてる日もあるんだから!
そうでなくても後輩や先輩の中にもデュエルを教えてほしいってことで結構知り合いは多いんだぞ!
「ははは! まあそう怒るな。………おっ! ほらコナミ、新しい料理が来たぞ。食え食え」
「まったく、三沢君は僕のことを…………うわっ! このパスタ美味しい。三沢君も食べてみてよ!」
「ほう。たしかに美味いな。…………そういえば決勝戦のデュエルだが──………」
その後、僕たちはお腹いっぱいまで食事をし、日が暮れるまでカラオケで遊んだ後、解散した。
それから祝勝会も終わり、愛理ちゃんと彩音さんを僕と三沢君で家まで送り届けた後、僕たちは公園で二人、ブランコに乗ってブラブラと遊んでいた。
「それで、どうして三沢君はまだ帰らないのさ」
「ふー。わかっているだろう。…………コウキの件だ」
三沢君は揺らしていたブランコを止めて、ため息を溢しながら目を伏せている。
「コナミ、コウキはお前が優勝したらデュエルすると言っていた。だがお前は敗けてしまった。あいつが敗けたお前とデュエルしてくれるとは思えん。どうする…………?」
「………うーん月が奇麗だねえ。見てよ三沢君、満月だよ?」
僕は三沢君の質問に答えずにブランコを揺らしながら月が照らす夜空を見上げていた。
「話を逸らすな。それから今日は満月ではない。…………だが……まあ、奇麗だな」
「うん。奇麗だよねえ」
僕が話に乗らないことをどう思ったのかはわからないけれど、三沢君も僕と同じようにブランコを漕ぎながら美しく輝いている月を見上げた。
僕はしみじみと月を見上げながらコウキのことを考える。
コウキかあ。
三沢君や愛理ちゃんたちは結構深刻にとらえてるけど、正直そこまでもう悩んではいないんだよなあ。
きっと、大会が終わってから今まで話を振ってこなかったのは僕のことを気遣ってくれてたんだろうけど…………。
「三沢君、そこまで心配しなくても大丈夫だよ。コウキとのことは、何とかなるさ」
「いやお前何とかって…………。はぁ、もういいんだな?」
「うん。任せといてよ。あとは僕だけで解決できると思うからさ」
今までコウキの件で散々三沢君に力を貸してもらってきた。
心配も迷惑もかけてきたけれど、丸藤さんとのデュエルで心が軽くなってわかったんだ。
コウキが求めていたものは謝罪なんかじゃなかったんだって。
僕とコウキの間に必要だったのは謝罪なんかでなく、ただ相手を徹底的に倒すという意思のみだった。
ただ、それだけを伝えればよかったんだ。
相手よりも強くなったならそれを示せばいい。誇示して見せればよかったんだ。
僕はこんなに強くなったんだって。
お前よりも遥かに強くなったんだぞってさ。
ただ…………それだけよかったんだ。
「三沢君、ありがとうね」
「…………いいさ。俺たちの仲だ」
「それから、三沢君が何か困っていたら僕が助けるよ」
「お前が? はははっ! 俺に解決できないことをお前が解決できるとは思えんが、まあ気持ちだけは受け取っておこう」
三沢君の反応、こりゃ信じてないな。
僕としては本気で言ったんだけど、デュエル以外のことではあまり信用されてないからなあ。
勉強のことでは力になれないけれど、僕でも力になれることはあると思うんだ。
………たぶんだけどね。
「よっと!」
僕はブランコの椅子に立って大きく揺らす。
限界まで…………これ以上はないってくらい大きく!
「コウキーッ! 待ってろよーッ! すぐにデュエルでッ! 叩き潰してやるからなーーッ!!」
僕はブランコの振りが限界まで昇った瞬間に合わせて、靴を月へと向かって飛ばしながら叫んだ。
コウキ、お前の夢も希望も、僕が終わらせてやるッ!
そして、全部終わったら…………お別れだッ!!
僕は月へと向かっていく靴を見ながら、別々の道を行くであろう友達の夢を終わらせることを胸に誓った。
そして後日、学校で僕はコウキの顔面に果たし状を叩きつけることで僕の意志を伝えた。
「卒業式、屋上で待っている。二度と夢見れないくらいデュエルで叩きのめしてあげるから、逃げないで来てね。まあ敗けるのが怖いなら、逃げてもいいけどさ」
一方的な約束を叩きつけた僕は聞こえてくるコウキの怒鳴り声を背に、後ろで見ていた三沢君たちの元へと僕は戻っていった。
「よかったのかあれで…………?」
「うん。僕たちはこれでいいんだよ」
三沢君の質問にこれでいいのだと僕は答えて、怪訝な顔をしている皆と一緒に教室へと戻っていく。
「僕たちの間に、余計な気遣いも同情もいらないんだ。だから、これだけでいいんだ」
これで、卒業式の日にコウキが来ないなら、それならそれで構わない。
僕が気に病む必要もない友人であったと言うだけのこと。時間が経てば忘れるだろう。
だからコウキ、卒業式に君とデュエルができることを願っているよ。
秋の終わり、枯葉が散る季節。
これまでに出会った素晴らしい出会いと別れに感謝をしながら、僕は残り短い中学校生活を悔いなく過ごすためにはどうしたらいいかを考え続けるのだった。
もうすぐ原作かあ。なんか妙な緊張感を感じるなあ。
上手く原作キャラ達を描けるか不安だ。