コナミ君の中学生編はこれで終了です。
ここまで読んでくれてありがとうございました!
「「デュエル!!」」
「僕のターン、ドロー!」
先攻は僕が取ったッ!
このデュエル。僕は一切の手加減も容赦もしない。
全力で勝利を目指す!
「僕は手札からトレード・インを発動! 手札のレベル8モンスター1体を捨てて、カードを2枚ドローする! 僕はゴギガ・ガガギゴを捨てて、2枚ドロー!」
「切り札のゴギガ・ガガギゴを墓地に捨てるだと!?」
コウキがゴギガ・ガガギゴを墓地へ送ることに驚いているが問題ない。
ゴギガ・ガガギゴが言っているのがわかる。
俺を出せとッ!
「僕は手札からギゴバイトを召喚! そして戦線復活の代償を発動! ギゴバイトを墓地へ送り、墓地のゴギガ・ガガギゴを特殊召喚!!」
「んなバカなッ! 1ターン目からゴギガ・ガガギゴを召喚しやがった!?」
《ゴギガ・ガガギゴ》 攻撃力2950 守備力2800
「まだだ! 僕はさらに死者転生を発動! 手札を1枚捨てて、ギゴバイトを手札に戻す。そして死者蘇生を発動! 死者転生の効果で墓地に行ったスパイラルドラゴンを攻撃表示で特殊召喚!!」
《スパイラルドラゴン》 攻撃力2900 守備力2900
僕の場に最上級モンスターであるゴギガ・ガガギゴとスパイラルドラゴンが並んだ。
これが今の僕の全力。
絶好調の僕が最初に打ち出せる最高の戦術だ!
コウキ………君に……お前にこの布陣を攻略できるかッ!!
「僕はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」
「あ…………う…………」
コウキが1ターン目から最上級モンスターを2体召喚したことに唖然としている。
いや……コウキだけではない。
ヒロシも、そして三沢君も呆然として僕の場を見ている。
「どうしたコウキ、君のターンだ。さあ、デッキからカードを引くんだ!」
「う……ぐっ……俺の………ターン、ドロー」
コウキは震えながらもなんとかカードを引いた。
怖いかコウキ。
そうだろうね。今、コウキは僕の場のゴギガ・ガガギゴとスパイラルドラゴンに睨まれながら頭の中で必死に考えているのだろう。
この状況の打開策を…………。
「…………コウキ。僕はね、全国大会で強い人たちと戦った」
「…………?」
手札と睨めっこをして固まっていたコウキを見て、僕は大会で戦った人たちのことを思い出す。
「みんな、みんなすごい人たちだったよ。僕が未熟であったせいで、大半のデュエルを楽しめなかったのが残念だったけれど、それでもみんな強いデュエリストだった」
三田川さん、美寿知さん。そして丸藤さん。それ以外にも沢山のデュエリストと勝利を賭けて戦った。
「その誰もが、知恵と経験。そしてデッキを信じて勝利のために戦った。僕はそのすべてのデュエルに感謝している。あのデュエルがなければ、今の僕はいないと断言できるからだ」
「…………何が言いてえんだお前はよ」
僕が何を伝えたいのかわからずコウキがイラついた顔で僕を見てくる。
「コウキ、逃げるな。………恐らく、このデュエルが僕と君が本気でデュエルする最後の機会だ。だから、逃げるな!」
「俺が…………逃げる!?」
「そうだ。皆どんな状況でも勝利を目指して最高の戦術で戦った。君が、この先もデュエリストとしてありたいのなら、今の君が出せる最高の戦術で勝利を目指してこい!」
「…………ッ!?」
僕はありったけの思いと意思を乗せてコウキを睨みつけた。
コウキ…………今の君は負け犬の目をしている。
あれはデュエルから…………勝負から逃げた臆病者の目だッ!
「僕はこれから夢のために、デュエルアカデミアという強者たちが集う学校へ行く。そこで勝つこともあれば負けることもあるだろう。苦汁を嘗めて、悔しさで涙さえ流す日が来るかもしれない。それでも…………それでも! 僕は勝つために、いつか夢にこの手を届かせるために最高のデュエルを目指し続ける!」
全国大会で改めて知った。
上には上がいて、強くなったと思っていた自分など、所詮井の中の蛙。
世の広さを知らず、自分の弱ささえ知らぬ愚か者だった。
きっとこれからも間違えたり、悩み続けることになる。
だから、ここで僕の弱さと決別する!
友達だから、大切だからと真剣勝負から目を背けた僕。
僕はそんな自分の弱さが許せないッ!
「コウキッ! 僕のために、僕の夢のために全力で勝ちに来い! そんな君を倒してこそ、このデュエルには価値が生まれるんだ!」
「か、勝手なことを……俺が、俺がどれだけ、どれだけ屈辱的な思いをしたか………ッ!」
「………」
コウキが何かを言おうとして、歯を食いしばりながら堪えている。
僕への罵詈雑言でも言おうとして堪えているのかもしれない。
そんな必要ないと言うのに……。
「コウキ、言いたいことがあるのなら言えばいい。そのためのデュエルでもある」
「……ふざけんなッ! 俺は手札から融合賢者を発動! デッキから融合を手札に加える! さらに増援も発動! デッキから闇魔界の戦士 ダークソードを手札に加える!」
デッキからダークソードと融合をサーチしてきた。
これであと漆黒の闘龍が手札にあるなら融合モンスターまで繋げることができる。
だけど、その2体の融合先では僕のゴギガ・ガガギゴとスパイラルドラゴンを超えることはできない。
どうするつもりなんだろうか…………?
「俺は手札から融合を発動! 手札の闇魔界の戦士 ダークソードと漆黒の闘龍を融合! 闇魔界の竜騎士 ダークソードを融合召喚!」
《闇魔界の竜騎士 ダークソード》 攻撃力2200 守備力1500
「闇魔界の竜騎士 ダークソード…………。1ターン目から出してきたのは驚くけれど、攻撃力が足りないね」
「んなこと言われなくてもわかってんだよ! バトルだ! ダークソードでスパイラルドラゴンを攻撃! ダークソード・スラッシュ!!」
攻撃してきた!
自暴自棄になったわけではないと信じたいッ!
「迎え撃て! スパイラルウェーブ!!」
スパイラルドラゴンのヒレから生み出された激流がダークソードを呑み込もうと大きく波打った。
「ただでやられるか! 俺は手札から速攻魔法 突進を発動! ダークソードの攻撃力を700ポイントアップする!」
《闇魔界の竜騎士 ダークソード》 攻撃力2900 守備力1500
ダークソードの攻撃力がスパイラルドラゴンと並んだ!
相打ち狙いだったか!
「スパイラルドラゴン!!」
「ぶっ倒せ──!!」
スパイラルドラゴンが生み出した激流に吞まれながらも波の中を突っ切ったダークソードがスパイラルドラゴンの長い首に切り裂くことで両者相打ちとなり破壊された。
「俺は…………これでターンエンドだ」
「僕のターン、ドロー!」
コウキ、スパイラルドラゴンを倒してくるなんて、僕の想像よりずっと強いじゃないか。
でも…………そのために君の場はがら空き。
身を守る伏せカードさえない。
「…………コウキ。このターンで終わらせる」
「ああ、そうだろうよ。今のお前なら、できるんだろうな」
コウキが苦笑して、諦めたように笑った。
「まあ俺にしちゃあ上出来だろ。初っ端でスパイラルドラゴンを倒せたんだ。なあお前ら?」
コウキが自分のデッキを見ながら語り掛けている。
そこにどんな思いを込めているのか、僕に推し量ることはできない。
ただわかるのはコウキも、コウキが作り上げたデッキも出せる全力を尽くしたということだけだった。
「僕はリバースカード 蘇りし魂を発動! 墓地のスパイラルドラゴンを守備表示で特殊召喚!」
《スパイラルドラゴン》 攻撃力2900 守備力2900
「ったく、これだからお前とやるのは嫌なんだ。自分が弱えってのを嫌でも理解させられる…………」
コウキが一瞬で場に蘇ってきたスパイラルドラゴンを見てため息を吐きながら俯いた。
「僕はさらに手札から受け継がれる力を発動! スパイラルドラゴンを生贄に捧げて、その攻撃力をゴギガ・ガガギゴに加算する!!」
《ゴギガ・ガガギゴ》 攻撃力5850 守備力2800
ゴギガ・ガガギゴの攻撃力がコウキのライフポイントを超えた。
あとは攻撃を宣言すればこのデュエルは終わる。
この攻撃を守る手段を持たないコウキは確実に倒れるだろう。
わずか2ターンのあっけないデェエル。
後ろ髪を引かれる思いはある。
だけど…………僕は迷わないと決めたんだッ!
「ゴギガ・ガガギゴ!!」
僕の意志に応えてゴギガ・ガガギゴが掌を天に掲げ、その手に巨大なエネルギーを溜め始めた。
「なあコナミ。俺にもよ、夢があったんだぜ。世界で一番すごいプロになるって夢がよ──」
「──ッ! これでとどめだッ! ジェノサイド・パワー・ボール!!」
ゴギガ・ガガギゴが放ったパワー・ボール。
巨大なそれが、諦観を込めて微笑んだコウキのライフをすべて奪い取っていった。
《コウキ》 残 LP 0
コウキのライフポイントが0になった。
これでデュエルは終わり。
もう…………終わった。
「デュエルは僕の勝ちだ。コウキ、僕は夢を目指し続けるよ」
コウキは俯いて佇んでいる。
何を思っているかはわからない。
「…………コナミ、デェエルは勝負の世界だ。上を目指す以上、より強い奴に叩きのめされるのは常だ。サッカーでも同じだ。試合をすれば、自分じゃ一生かけても届かないと思えるようなやつがいる。そんな世界でお前はやっていけんのか?」
「……コウキ」
「俺には無理だった。サッカーもデュエルも中途半端な所で足を止めちまった。挑み続ける覚悟ってのが、俺にはなかった。……なあコナミ、お前にはあるのか。何度負けても、挫折を繰り返しても、挑み続ける覚悟ってのが……」
コウキが競い合う勝負の世界へと足を踏み入れようとする僕を少しだけ心配が籠った目で見ている。
どれだけすごい人が立ち塞がっても、上を目指していくこと。
一生かけても勝てないと思える人が現れる世界。
「わからない。僕はまだデュエリストとして経験が浅い。コウキの言うような一生かけても勝てない相手とも戦ったことはない。そこまでの挫折を味わったことはない」
強いて言えば丸藤さん。
あの人は本当に強かった。
今まで会ったどんな人よりも強かった。
でも、頑張って行けばいつかは届く。
そう信じられた。
「もし、いつか僕が挫折して折れてしまっても、必ず立ち上がるよ。…………僕と同じ夢を持つライバルがいる。僕の夢を信じ、傍にいてくれる大切な人がいる。そして、僕と共に戦う仲間たちがいるから」
僕と同じ夢を持つライバル、三沢君。
僕の夢を信じて支えてくれる人、愛理ちゃん。
そして共に戦う仲間たち、僕のデッキのカードたち。
みんながいる。
だから、たとえどんな高い壁が立ち塞がろうとも諦めることはないッ!
「…………そうかい。だったらお前にこのカードをくれてやる」
そう言ってコウキはデッキから抜いたカードを僕に渡してきた。
「これって…………ダークソードじゃないか!」
コウキが渡してきたカードは、コウキのエースカードのダークソードとそのサポートカードたちだった。
僕はいいのかとコウキを見つめ確認した。
「ああ。俺の夢はプロになることだった。だけどその夢は叶わねえ。俺は心が折れちまったからなあ。だけど、お前は違う。俺じゃ届かないステージにお前なら届くことができる。お前がどこまで行けるかはわからねえけどよ、その道行に俺の魂であるカードたちを連れて行ってやってほしい」
その先の景色を、カードたちに見せてやってほしいと涙を流しながらコウキは言った。
ダークソード、漆黒の闘龍、騎竜。
コウキが信じる最高のカードたち。
僕はコウキの意志とカードたちに向ける想いを感じて、頷いた後カードたちをデッキへと投入した。
「コウキ、約束するよ。僕はプロになる。そして上を目指し続けて、最高の景色をカードたちと共に掴み取って見せる」
「ああ。頼んだぜコナミ。お前は俺にとって親友であり、ライバルだった。だからよ、諦めやがったら………許さねえからな」
最後にコウキは安心したように微笑んで、ヒロシと共に屋上から出て行った。
コウキ、次に君と会う日が来るのかはわからない。
デュエルアカデミアを卒業する3年後か、それとも大人になってからなのか。
あるいは、もう会う日は来ないのかもしれない。
だから約束するよ。
いつか必ずプロになって、ふと君がテレビを見た時に、その向こう側で活躍する姿を見れるぐらいすごいデュエリストなって見せる。
「…………三沢君、行こうか。愛理ちゃんたちが待ってる」
僕は少しだけ空を見上げながら涙をこぼした後、待ってくれていた三沢君に声をかけた。
「ああ。これ以上待たせるのも悪い。急ぐとしよう」
僕の様子を見た三沢君がポンと僕の肩を叩いて屋上から出ていく。
その後ろに続こうと僕も歩き出し、もう一度だけ空を見上げた。
コウキ、君から受け取った夢のバトン。
決して無駄にはしない。
その想いを背負って僕はプロになる。
そしてその先にあるデュエルキングにも必ずなってみせる!!
そのためにもデュエルアカデミア、そこで待つまだ見ぬ強敵たち。
そこで僕は頂点を手に入れて見せる!
そして僕は屋上を出る直前、腕を天に突き立てて誓った。
「待っていろよデュエルアカデミア! 僕が全員倒して、最強になってやる!!」
空は晴天なり。
どこまでも続く青空が僕たちの夢と希望を後押ししてくれていた。
途中無理に詰め込んだ話もありましたがなんとか中学生編を終わらせることができてよかったです。
今後は愛理ちゃんとかオリキャラの話をもっと書いていきたいですね。
次はアニメ1話の受験かアカデミア入学になると思います。
長くなりましたが、ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。
もしよければ今後も読んでいただければありがたいです。