アカデミア始まり!
ちょっと忙しくなってきたので2日投稿できないかもしれない。
秋、今日からデュエルアカデミアで3年間の寮生活を過ごすことになる僕と三沢君、そして愛理ちゃんはヘリに乗ってデュエルアカデミアが建てられている孤島へと向かっていた。
「うぉおおおお!! ヘリだよヘリ! 僕乗ったの初めてだよ!」
「まあ孤島だからな。船か空路で行くしかないと思ってたが、まさかヘリで送ってくれるとはな。……すごいものだ」
窓から外を見て大はしゃぎしている僕の前の席で三沢君も外を見ながらヘリの感想を言っている。
「私もヘリは初めてね。飛行機なら何度も乗ったことはあるけれど、学校へ行くのにヘリで送ってくれるってのは豪華よねぇ」
愛理ちゃんも僕の隣で一緒に外を眺めながら生まれて初めてのヘリの体験を楽しんでいる。
デュエルアカデミアかあ。
愛理ちゃんも三沢君も無事に受かってよかった。
3年間の間、家に帰る機会がほとんどないからちょっとした寂しさはあるけれど、それ以上に楽しみの方が勝っている。
ヘリの中を見渡すと実技試験でクロノス先生に勝った十代君や丸藤さんの弟さんの翔君も乗っているのが見える。
どちらとも僕らと同じようにはしゃいでおり、窓の外から景色を見ている。
「島へはどれくらい時間がかかるんだっけ?」
「たしか…………1時間30分くらいじゃなかったかしら。だから、まだ時間はかかるでしょうね」
「そっか、ありがとう愛理ちゃん。………うん、さすがに海一面になると飽きてきたな」
ヘリに乗ってから最初こそはしゃいでいたが、それが1時間以上かかり代り映えのない海の景色が続くとなるとどうしても飽きが出てきてしまう。
何か暇を潰せる話題はないものか……。
「そう言えば、愛理ちゃんはさ、デュエルアカデミアでしたいことってあるの?」
「したいこと?」
「そう、僕や三沢君はデュエルの腕を磨いて夢や目標を達成することが目的だけど、愛理ちゃんのしたいことって聞いたことなかったから」
これまであまり気にしてこなかったけど、愛理ちゃんは何かしたいことってあるのだろうか?
世界を救う。
そのために僕のそばにいる。
それはわかっているけれど、せっかくデュエリストたちが集まるアカデミアで3年間を過ごすんだから、何か目標とかしたいこととかがあってほしい気持ちもあるわけで。
小学校や中学校と同じように僕がいるからそこにいるだけと言うのは何だか寂しいものがある。
「だから、何か愛理ちゃんがしたいことがあるなら手伝いたいなって思ってるんだ」
「そうねえ。私のしたいこと……したいこと。……うーんちょっと考えてみるわ。すぐには思いつかないし、見つかったら伝えるわね」
愛理ちゃんはちょっと考えて、思い付かなかったのだろう。
少々待ってほしいと笑って答えた。
「うん、わかった。じゃあ見つかったら教えてね。待ってるから」
愛理ちゃんの目標、見つかるといいな。
僕は正直愛理ちゃんのしたいこととかあまり思いつかないから、どんなことが見つかるのか楽しみだ。
まあ、気長に待つとしよう。
目標なんて軽く決めるものでもないし、愛理ちゃん真面目だから真剣に考えてくれるはずだしね。
「──おいコナミ! そろそろデュエルアカデミアが見えて来たぞ!」
そうこう話しているうちにデュエルアカデミアが建てられている孤島に近づいていたのだろう。
前の席から三沢君が教えてくれた。
「あれが……! デュエルアカデミア!!」
僕たちが3年間を過ごすことになる学校。
窓から見えるデュエルアカデミアは──えっ!? あれ大丈夫なの!? ってくらい近くに火山があり、なぜこんな島に建てたのか甚だ疑問に思えてしまう立地のようだった。
学校の周囲は森で囲まれており、迷ってしまったら中々抜け出すのに苦労しそうだなあと思いながら、島の外周部にある断崖絶壁には近づかないようにしようと思った。
ただ、火山だけは一度行きたいなあっと怖いもの見たさに好奇心が刺激されているわけで、愛理ちゃんは危ないからダメだけど三沢君ならいいかと、火山へと行く時は連れて行こうと今後の予定を組み立てていった。
そうしてヘリで学校のヘリポートに着陸したあと、更衣室で僕たちはそれぞれ渡された制服に着替え、案内された教室で入学式を終えた。
そして今、それぞれの入学生に組み分けされた寮へと僕たちは向かっていた。
「三沢君、僕たちはラーイエローに入寮するんだよね」
「ああ、愛理君はオベリスクブルーの女子寮。俺たちはこの制服の色の通り、ラーイエローだ」
「うーんできれば寮が豪華だって聞くオベリスクブルーがよかったんだけどなあ」
「それは仕方ない。中途入学はどれほど成績がよくてもラーイエローからだからな。オベリスクブルーへは繰り上がるしかない」
デュエルアカデミアの寮は3つに別れており、それぞれ成績順に上からオベリスクブルー、ラーイエロー、オシリスレッドに組み分けされる。
ただ、入学当初は中途入学生はオベリスクブルーには入れず、中等部の成績上位者と女生徒のみがオベリスクブルーに入寮を許されており、男子生徒はどれほど成績がよくてもラーイエローまでである。
そして生徒に渡される制服の色は自分がどこの寮にいるかわかりやすいように青、黄色、赤色に分けられており、推薦入学である僕と成績優秀者である三沢君は黄色の制服を身にまとっていた。
「そういう点で言うと愛理ちゃんが羨ましいよね。いや、愛理ちゃんというより女生徒かな。女の子はみんな無条件でオベリスクブルーだもんなあ」
「それは仕方ないわよ。決まりだもの。それにコナミ君ならすぐにオベリスクブルーに上がれるわ」
愛理ちゃんは女の子だから青を基調としたオベリスクブルーの制服を着ており、誰の趣味なのかノースリーブのミニスカートという中々に露出の激しい制服を着ている。
言葉にするつもりはないけれど、正直かなり目の保養になる。
ただ、露出が激しいために他の男子を誘惑しかねない制服でもあるため、ちょっとだけ不愉快にも感じており、この制服を考えた人も許可を出した人にも感謝を述べるべきか文句をつけるべきか悩ましい限りであった。
「いや、それはわからんぞ愛理君。なんせコナミは実技はともかく筆記に難がある。アカデミアに入れた以上、俺もこれまでのように教えてやる気はないから昇格は厳しくなるだろうし、最悪オシリスレッドに降格なんてことも…………」
僕は「コナミがこれからどうなるのか面白そうだ」とニヤついた笑みを浮かべながら不安を煽るようなことを言ってくる三沢君に対して、多少の不満を感じながら否定できない自分が情けなくも感じた。
勉強は苦手……というか嫌いだ。
机にへばり付いて何故興味もないことを覚えなければならないのかと、憤慨したいくらい嫌いだ。
「大丈夫よ。コナミ君だってやればできるんだから、時間はかかるかも知れないけど、きっと……たぶん………ブルーに上がれるわ!」
愛理ちゃんが先行きが不安な僕を励まそうとしてくれている。
愛理ちゃん、気持ちは嬉しいけど励ますならもっと自信満々で言ってほしいなあ。
その言い方だと、僕が上がれるってたぶん信じてないでしょ。
「それに、一緒のブルー寮になれたら会いやすくなるでしょうから頑張ってねコナミ君!」
「…………うん。頑張るよ愛理ちゃん!」
そうだ、勉強ができないからって不安になってどうする。
自分が苦手なことを覚えれないバカなことは理解している以上、努力で補うしかないんだ。
もしくは実技で何とか補えればブルーに上がれるかもしれない。
だから、とりあえずの方針としてはブルーに上がることを目標にしよう。
学園最強も目指すけど、すぐになれるのものでもないし直近の目標はブルー寮への昇格。
これで決まりだな!
「それじゃ、私はこっちだからまた明日ね!」
また明日と僕と三沢君は愛理ちゃんに別れを告げて今日から過ごすことになるラーイエローの寮へと入ることにした。
寮内は特別豪華に作られているわけではないけれど、普通に過ごす分には不便はないだろうなと言える広さに作られていて生徒ごとに個室が与えられているみたいだった。
「…………一人部屋って考えると十分な広さだ。持ってきた私物を置きたいけど、今日はこの後歓迎会のパーティもあるし、荷物の整理は明日かな?」
本格的な授業は数日後、明日は午前中に学校生活の説明や紹介等に時間を割り当てられている。
だから午後は空いてるし、学園の散策か部屋を過ごしやすくリフォームするか。
どちらもしたいなあ。
「まあどっちを優先するかは後で考えるとして、まずはパーティに行くとしようか!」
今夜行われる歓迎会、その会場となる食堂に行けば多種多様な食事が用意されており、会場には高学年の先輩や同じ新入生が集まって歓談に勤しんでいた。
パーティーで歓談している学生の中には三沢君もおり、いつの間に知り合ったのか片手にジュースを持ちながら先輩であろう少し背の高い人と話しているようだった。
「う~ん、三沢君は楽しそうに話しているし僕も誰か仲良くなれそうな人を見つけて話しかけてみようかなー」
とりあえず僕は周りを見渡して、長机に用意されているドリンクの中から好物のオレンジジュースを取ってから誰かに話しかけようとプランを立てて歩き始めた。
「あの! コナミさん…………ですよね! この学校で唯一の推薦枠で入学してきた!」
そうしてオレンジジュースを手に取って僕が誰に話しかけようかなあと会場を見渡していると、僕と同じ新入生であろう生徒が数人で話しかけてきた。
「うん。僕がコナミだけど…………君たちも新入生?」
「はい! 2年前の全国大会を見ていて、今年その準優勝者が推薦枠で入学してくるって噂で聞いていたので、話してみたいなって思ってたんです!」
どうやら僕のことは噂になっていたようだ。
デュエルアカデミアで唯一の推薦枠を勝ち取った新入生。
そして全国大会で学園最強のカイザー、丸藤さんと鎬を削った実力者だという噂が…………。
目の前で僕に話しかけてきた同じラーイエローの制服を着た生徒が、憧れの目を向けながらどういう噂が流れているかを教えてくれた。
なんていうか、この尊敬の目で見られる反応…………久しぶりだなー!
全国大会直後を思い出す反応だ。
通っていた中学校では勿論のこと、他校の生徒からも同じような目で話しかけられて中々対応に困ったことがあった。
三沢君たちからは結果を出した者の宿命だから諦めて対応してやれと放っとかれたものである。
周りを見ると話しかけてきた生徒だけでなく、ちらちらとこちらを見ている人がいる。
たぶん、勘違いじゃなければ彼らも僕と話したがっているのだろう。
なんとなく経験でわかる。
こういう過去の栄光による人気は時間が経てば収まるものだけど、最初は仕方ないか。
特にこういうデュエルが中心となる学校だと、殊更話してみたくなるものなのだろう。
逆の立場なら僕も同じように話したくなるからわかる。
だから思う存分、このパーティーで知り合いを増やす意味も込めて僕の方を見ている生徒も混ぜて話すとしよう。
食事も楽しみながらね!
「そうだね、これから3年間を一緒に過ごす仲間として君たちと…………いや、みんなと沢山話したいな! だから一緒にご飯を食べながら色々と話そうか。こっちを見ている人たちも交えてさ!」
そうして僕に話しかけてきた生徒も誘ってパーティーにいる先輩たちも含めて沢山の人と主にデュエルについての話をパーティーが終わるまで話し続けた。
途中、パーティーの盛り上がりが最高潮になってきた当たりでデュエルをしようとして怒られたりもしたが、ご愛敬というものだろう。
「ふう、食べた食べた。美味しかったなあご飯」
「お前は少し食べ過ぎだけどな。どれだけ食うんだと傍から見てて思ってたぞ」
パーティー後、僕は三沢君の部屋で寛いでいた。
食べ過ぎというが仕方ないのだ。
普段からデュエリストは身体が資本と愛理ちゃんのお弁当は僕がギリギリ食べれるだろうという量を用意してくるから自然といっぱい食べるようになったのだ。
それに…………。
「だって伊勢海老に蟹やステーキって豪華な食事がこれでもかと用意されてたんだよ~? こんな機会じゃなくっちゃ食べれないんだから。たらふく食べとかないと!」
「それで動けなくなってどうする。みんな驚いてたぞ、そんなに食うのかとな…………」
「それを言わないでよ。肩を貸して移動を手伝ってくれたのは感謝してるって」
最終的に食べ過ぎて動けなくなった僕に三沢君が肩を貸しながら会場を去ることになったが、入学初日に相応しい、いいパーティーになった。
「いやーご飯も美味しかったけど、知り合いも沢山できたし何ならデュエルの約束も取り付けれたから楽しいパーティーだったよ」
「ああ、俺も先輩方から学園やデュエルについて話すことができた。お互い、いいスタートを切ることができたな」
どうやら僕が色々な生徒と交流をしていたように三沢君も先輩方と有意義な会話ができたようだ。
特に心配はしていなかったが、お互い新生活の始まりが上手くいってよかったものだ。
「明日はどうしようか…………そうだ三沢君! 明日学園の案内が終わったら火山行ってみようよ! きっと楽しいよ!」
「…………はぁ~、断る! 何故好き好んであんな危険な場所に行かねばならんのだ。行きたければお前だけで行ってこい」
呆れた目で見てくる三沢君に僕は「そんなつれないこと言わないでよ~」と言って嫌がる三沢君にダル絡みをしながら、心地よい気分で明日は絶対に火山に行くぞ!と強引に決めて、最終的に折れた三沢君と部屋でだらだらと雑談をしながら就寝時間まで過ごし続けるのだった。
ブルー女子の制服は…………すごいよね。