初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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1話に5000字超えはさすがに長いか? いや大丈夫だ。きっと、たぶん、maybe。
1万字超えなければセーフだよね!


立ちはだかる磁石の戦士!

<三沢side>

 

 

 俺は今自分が通う学校で強いと噂になっていたコナミと言う同い年の少年とデュエルをしている。

 

 最初彼はクラスメイト相手に連戦連勝していたために、随分と調子に乗っているようだった。

 この俺をチャレンジャーと称し先行を譲ってきたのだから、その天狗っぷりも推し量れよう。

 まあ俺がマグネット・バルキリオンを召喚することで思い直したようだがな。

 

 そして今、俺のフィールドには3体の下級モンスターにエースのマグネット・バルキリオンがいる。

 状況はこちらが圧倒的に有利だ。

 

 だと言うのに対戦相手のコナミは勝つと言ってきた。

 勝って将来キング・オブ・デュエリストになると。

 

 違う。この学年で1番強いのは俺だ。調べれる限りのデュエルを研究し、考え抜いて完成したこのデッキとそれを使いこなす頭脳とタクティクスを持つ俺こそが最強なのだ。

 この学年でキング・オブ・デュエリストに最も近いのもまた…。

 

 だから、この状況を凌ぎ切り逆転まで持っていけると言うのなら見せてほしい。

 俺はさらにそれを超えてみせる。そして俺はより高みに登る。

 

「俺はまず磁石の戦士αで隼の騎士を攻撃!」

「この瞬間リバースカードをオープン! 悪魔のサイコロを発動!」

「!?」

 

「悪魔のサイコロはサイコロを振り出た目の数字分相手フィールド上のモンスター全ての攻守をダウンさせるカード」

 

 悪魔のサイコロか、4以上を出されると面倒だが…。

 コナミは持ってきていたサイコロを振る。

 

「出た目は…4!」

「…つまり俺の全てのモンスターの攻撃力は400ポイントダウンする。そして磁石の戦士の攻撃力は隼の騎士の守備力と同じになる…か」

「そう。だから隼の騎士は生き残る」

 

 まさか伏せていたカードが悪魔のサイコロとは。しかも磁石の戦士ではギリギリ倒せない数字を出してきた。

 これで俺は勝つためにはマグネット・バルキリオンでギア・フリードを、セイバーザウルスで隼の騎士を攻撃せざるを得なくなった。

 つまりコナミのモンスターを全て倒せても、攻撃できるのは磁石の戦士だけでライフを削りきれない。

 

「やるな」

「まだまだ、こんな楽しいデュエルこんなすぐには終わらせないよ」

 

 楽しそうな顔をしているコナミを見ながら俺は心の中で彼に同意する。

 俺も楽しくなってきたよ。

 

「だが、まだ俺の攻撃は終わってはいない。次はマグネット・バルキリオンで鉄の騎士ギア・フリードを攻撃!」

「これは防げない。ギア・フリードは破壊される」

 

「よし、なら次はセイバーザウルスで隼の騎士を攻撃!」

「だけど、その攻撃は通さない! 僕は2枚目のリバースカードを発動する! 城壁を発動!」

 

 城壁は対象のモンスターの守備力を500ポイント上げるカード。

 

「城壁によって守備力が上がった隼の騎士の守備力は悪魔のサイコロで下がったセイバーザウルスと同じ1500。隼の騎士は破壊されない!」

 

 また…ギリギリ倒しきれない守備力で防がれたか。

 あり得ないことだが、まるでこの状況になるとわかっていたかのようなカードが伏せられていたな。

 

 しかし、まさかあの状況でここまで防がれることになるとは、ライフを削るどころかモンスターを一体残された。

 

 勝負事には流れがある。

 その流れをどれだけ掴み取れるかが天才と凡人の差だと俺は思っている。

 

 マグネット・バルキリオンを召喚するまでは間違いなく流れは俺の味方をしていた。

 だが今、その流れは確実にコナミの味方をしている!

 

「くっ」

 

 俺は手札にある悪魔のくちづけを見る。

 自分の圧倒的有利な状況に対して調子に乗らず、サイバーポッドの効果で引いた悪魔のくちづけをモンスターに装備しておけば、このターンで勝てたのだがな。

 

 コナミのことを悪くは言えないな。俺もまた調子に乗って慢心してしまった。

 

「気を引き締めなければ」

 

 まだデュエルの途中、反省は後でいくらでもできる。

 今俺のすべきことは守りを固めること。流れがコナミの側にある以上、何が起こるかわからない。

 

 嫌なことにサイバーポッドの効果で向こうの手札は6枚。ドローも合わせれば7枚だ。

 逆転の一手を打つには十分すぎる。

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 さあ、どうくる?

 

 

 

 

<コナミside>

 

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 僕のターン、まずすべきことは何とかしてあの強力なモンスターなマグネット・バルキリオンに対処すること。

 一番いいのは破壊して墓地に送ることだけど残念ながら今の手札には破壊できるカードはない。

 

 だけど三沢君のサイバーポッドの効果で引いた装備魔法、しびれ薬がある。

 これを装備したモンスターは攻撃を行えなくなる。

 

「僕は三沢君のフィールドにいる磁石の戦士 マグネット・バルキリオンにしびれ薬を装備する!」

「そうはさせない。しびれ薬の発動に対しリバースカード発動。アーマーブレイク!」

 

 アーマーブレイク?

 僕の知らないカードだ。

 

「アーマーブレイクは装備魔法カードが発動した瞬間そのカード無効にし破壊する」

「くっ、装備魔法専用のカウンター罠か」

 

 しびれ薬が無効になったのは痛い。現状僕の手札で唯一マグネット・バルキリオンに対処できるカードだったのに。

 けれどまだ僕にはできることがある!

 

「だったら次に僕は隼の騎士に対してドーピングを発動! 攻撃力を700ポイントアップさせる!」

 

 三沢君相手に守りに徹していては絶対に勝てない。勝つためにも攻め続ける!

 

「そして磁石の戦士αを攻撃!」

「ふっ。攻撃を宣言したな。ならばこの瞬間俺は速攻魔法 サイクロンを発動! 君のドーピングを破壊する!」

 

 まずい! ここで隼の騎士が破壊されるのはだめだ!

 

「チェーンして手札から速攻魔法、突進を発動する!」

 

「突進は表側表示モンスター1体の攻撃力をターン終了時まで700ポイントアップさせる。ドーピングと攻撃力の上昇値は同じ。だから僕の隼の騎士の攻撃力は1700で維持される」

「俺の磁石の戦士αの攻撃力は1400。破壊され俺は300ポイントのダメージを受ける」

 

「まだだ! 隼の騎士は1ターンに2度攻撃できる。僕はもう一体の磁石の戦士αも続けて攻撃!」

「俺にはもう伏せカードはない。このまま受ける」

 

 

《三沢》 残 LP 3400

 

 

「僕はモンスターを裏守備表示で召喚、カード2枚伏せてターンエンド」

 

 僕の手札は残り1枚。7枚もあった手札でできたことは攻撃力の低い磁石の戦士αを2体破壊するところまでだった。

 最後の1枚、これは僕の奥の手だ。勝つためにもまだ発動はできない。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「コナミ。これまでの攻防で君のデッキの傾向はわかった。装備魔法をデッキに多数投入し、魔法・罠でモンスターのサポートをすることで勝利を目指す。シンプルゆえに強力なデッキだ」

 

 三沢君はデュエルをしながら僕のデッキタイプを考察していたのだろう。

 僕のデッキの傾向と戦い方を当ててきた。

 

「レアカードも持たず、未熟な戦術を駆使する同年代の子供相手なら苦も無く勝てるだろうな」

 

 それは僕がクラスの中で勝ち続けている現状を考えての言葉だったのだろう。

 そして自分は違うという自負から出た言葉でもある。

 

「今の君のターン、俺のモンスターは減りこそしたが、依然俺の優勢は覆ってはいない。そしてこれまでの傾向からその2枚の伏せカードもモンスターのサポートカードの可能性が高い」

 

「だが、いくら魔法・罠で攻撃力を上げようとマグネット・バルキリオンのパワーには及ぶことはない。このままパワーで押しつぶす!」

 

「俺はセイバーザウルスに悪魔のくちづけを装備。そしてマグネット・バルキリオンで隼の騎士を攻撃! これで終わりだ!」

「まだだよ。まだ終わらせない! リバースカード発動。和睦の使者! このターン僕のモンスターは破壊されず僕はダメージも受けない」

 

「和睦の使者を伏せていたのか。読みが外れたな。やはり君は強い」

「三沢君。確かに僕のデッキは君の言う通りモンスターのサポートカードが多い。だけどそれ以外がないわけではないんだよ」

「そうだな。その通りだ。俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 僕は引いたカードを見る。

 竜破壊の証。僕のエースカード、バスター・ブレイダーを手札に引き込めるカードだ。

 そしてもう1枚の勝利のための奥の手。

 

「三沢君。このデュエル。そろそろ終わりにしようか」

「ほう、キーカードでも引いたのか? いいだろう、来るといい。どちらが勝つにせよ。このターンを俺が凌ぐか君が俺を倒すかで勝者は決まる」

 

 僕はカードを発動する前に目を閉じ、三沢君との出会いに感謝とこの後の結末に思いを馳せた。

 周りでデュエルを見ているみんなも固唾をのんで僕たちを見守っている。

 

 勝っても負けてもこのデュエルは必ず僕を強くしてくれる。

 だけど叶うならやっぱり勝ちたい。

 だから僕はデッキを信じて全力でできることをする!

 

「僕は魔法カード竜破壊の証を発動! デッキからバスター・ブレイダーを手札に加える!」

「バスター・ブレイダーか! ではその伏せカードはサイバーポッドで手札に加えた…」

「そう、僕が伏せていたカードはDNA改造手術だ! 僕はドラゴン族を選択!」

 

 DNA改造手術の効果はフィールドのモンスターすべての種族を別の種族に変化させる永続罠カード。

 これでバスター・ブレイダーを召喚すればバスター・ブレイダーの効果で攻撃力は3600となりマグネット・バルキリオンの攻撃力を超える。

 

「僕はバスター・ブレイダーを召喚する前にリバースモンスターのスケルエンジェルの効果を発動する。その効果でカードを1枚ドロー!」

 

「そして隼の騎士とスケルエンジェルをリリースしてバスター・ブレイダーを召喚!」

 

 

《バスター・ブレイダー》 攻撃力2600 守備力2300

 

 

「バスター・ブレイダーは相手フィールドのドラゴン族1体につき500ポイント攻撃力を上げる。今三沢君のフィールドにはモンスターは2体。よって攻撃力は3600!」

「マグネット・バルキリオンの攻撃力を超えてきたか! だが攻撃力を超えただけでは俺には勝てないぞ!」

 

「僕は君のマグネット・バルキリオンにニトロユニットを装備する! このカードを装備されたモンスターが戦闘で破壊された場合、そのモンスターの攻撃力分のダメージが相手に与えられる」

「マグネット・バルキリオンをバスター・ブレイダーが倒すことで俺が受けるダメージは3600。今の俺のライフを超える」

 

「これで僕の勝ちだ! 僕はバスター・ブレイダーでマグネット・バルキリオンを攻撃!」

「違うな、勝つのは俺だ! その攻撃に対して俺は闇の呪縛を発動!」

 

 闇の呪縛はモンスター1体の攻撃を封じ攻撃力を700ダウンさせる。

 それが三沢君が伏せていた最後のカード。

 

「俺の勝利だ!」

 

 勝利を確信した三沢君が声を上げる。

 

「それはどうかな?」

「なに?」

 

「僕は速攻魔法 サイクロンを発動! 闇の呪縛を破壊する」

「なんだと!?」

 

「これで終わりだ! 闇の呪縛から解放されたバスター・ブレイダーでマグネット・バルキリオンを再度攻撃する!」

「くっ」

「そしてマグネット・バルキリオンが破壊されたことでニトロユニットの効果発動。戦闘ダメージと合わせて三沢君に3600のダメージだ!」

 

 僕が2度の攻撃を宣言したことで三沢君のライフは0に変わり僕の勝利が確定した。

 そして僕が勝利した瞬間クラス中から歓声が上がった。

 

 

ーやったあ! コナミの勝ちだ!

 

ーコナミの奴、負けるかと思ったぞ。ひやひやさせやがって。

 

 

 僕の前で敗北した三沢君がうなだれている。

 

「俺の…負けか」

「うん。でもぎりぎりだったよ。本当に最後まで勝てるかわからなかった」

 

 きっと僕と三沢君の実力にそれほど差はなかった。

 そう思えるほどの接戦だった。

 

「最後のサイクロンだが、スケルエンジェルの効果で引いたのか?」

「うん。あれがなかったら負けてたよ」

 

「そうか…最後の引きが明暗を分けたか。少しの慢心が敗北に繋がる。それを知れたいいデュエルだった。ありがとうコナミ。君と戦えてよかった」

 

 三沢君は顔を上げて僕に手を伸ばしてきた。

 その手に僕も応えて握手することで僕は本当の意味でデュエルが終わったのだと悟った。

 

「まだまだ研究が足りないな。コナミ、次は俺が勝つぞ」

「次も僕が勝つさ」

 

 僕は強気に答えて、また何度でもデュエルしようと伝えた。

 

「そうだな。君とは良きライバルになれそうだ」

「うん。僕もそう思ってる」

 

 本当に、同い年の子でこんなに強い子がいるなんて思いもしなかった。

 

 僕らはその後、教室で下校時間の音楽が鳴るまでデュエルについて語りあった。

 

 対等のライバル。

 

 僕はそれを持つことができた喜びに心が満たされながら今日という日に感謝し続けたのだった。

 

 




 カードの絆や運命力といった要素をすべて除いた場合、実は作中で1番強いのは三沢君なんじゃないかな。
 だから三沢君は子供の頃も強かったんだろうなあと思います。

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