初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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 きゅうりの糠漬けめっちゃ美味しかった。
 漬物はご飯のお供にいいよね!


地のクリスタル

 

 月夜が照らす森の中で行われたデュエル。

 地球の名を冠したHEROを操る強敵、霊使いアウスとのデュエルは僕の勝利で終わった。

 

「アウス、これで僕のことを認めてくれたかい?」

「……エリアが選んだだけはある。君は強いデュエリストだ。うん、ボクに不満はない。君がボクたちが信じるに足る勇者だ」

 

 よかった。

 これで認めてくれていなかったらどうすればいいのかと悩むところだった。

 

「さあ、これはもう君のものだ受け取るといい」

 

 アウスが首にかけていた地のクリスタルを僕に手渡してきた。

 

「それを君が持つ水のクリスタルに近づけるんだ。そうすれば、クリスタルの中に込められているボクの力が水のクリスタルに吸収される」

「わかった。やってみる」

 

 僕はアウスから受け取ったクリスタルを僕の持つ物に近づけてみた。

 すると地のクリスタルが強く輝き、クリスタルの内部から出てきた茶色い光の玉が僕のクリスタルへと入って行った。

 

「これで……吸収されたってこと?」

「うん。成功のようだ。その証拠に地のクリスタルが透明になっている」

 

 そう言われて見てみると、確かに茶色だったクリスタルは何の色も持たない透明へと変化していた。

 

「なるほど〜。こうやって他の霊使いたちのクリスタルに宿る力を手に入れていけばいいってことか」

「そう。そうすればクリスタルの力は強くなっていく。そして君の精霊に干渉するための力も増していくことになる」

 

 そうしてクリスタルに宿る力が増えれば、やがては僕も精霊を見たりすることができるようになるってわけだ。

 

「今君は水と地の力を手にしている。残りは火と風、それから光と闇だ」

 

 火と風はヒータとウィンのことかな。それから光と闇はライナとダルク。

 つまり僕は後4人の霊使いから勇者として認められないといけないってわけだ。

 

「わかった。それで、残りの霊使いの子たちは今どこにいるの?」

「さぁ。悪いけど、それはボクにもわからないんだ」

 

「わからないって、一緒にこの世界には来なかったの?」

「ボクたちはそれぞれ好きなタイミングで来たから、他の皆んなが今どこで何してるかはわからないんだ」

 

 アウスが言うには人の世界には皆実体を持ってやってきてるらしいけど、実体を持って人の世界に来れる機会など早々ないため、観光でもしてるんじゃないかとの話だ。

 

「観光……えっと、こう言う表現はよくないかもしれないけど…随分と余裕があるんだね。僕はてっきり世界の危機が近づいてるから急いで会いにきたのかと思ったんだけど……」

 

 愛理ちゃんと会ってからこれまで……数えると6年とちょっとか。

 その間、クリスタルが恩恵を与えてくれることも霊使いの子たちから認められる必要があることも聞いたことがなかった。

 

 だから今になって会いにきたのはその時が迫ってきたからだと思ったんだけど……どうやら違うみたいだ。

 

「そうだね、ボクはエリアが選んだ君に興味があったから優先的に会いにきたけど他の子はある程度人間の世界を満喫したら来ると思う。まあ気長に待っててよ」

 

 このアウスの様子を見るに世界の危機とやらは、まだまだ先になりそうだ。

 杞憂でしたってのが一番だけど、そうでないなら僕が元気なうちに来て欲しい。

 いや本当にそう思う。

 

「さて、そろそろ時間だ。ボクが君を勇者と認めた以上、この体を保つことはできない」

「アウスの体が……消えて行ってるッ!?」

 

 見るとアウスの体が少しずつ光となって消えて行っていた。

 

「大丈夫、実体を保てなくなっているだけで僕自身が消えるわけではない。君から姿は見えなくなってもカードの精霊として、これからは君と共にある。だから、そんなに心配しなくても大丈夫だ」

 

 心配するなと言われても、目の前で女の子の体が光になっていく光景は中々に心臓に悪い。

 月に照らされながら光となって消えていく姿は幻想的で美しさすら感じるほどだが、それ故に消えると言うのが死ぬことと錯覚してしまいそうになる。

 実際は実態を持たない元の精霊に戻るだけで彼女自身に問題はないのだろうけど。

 

「最後にクリスタルも大事だけど、それと同じようにプラネットシリーズも集めて欲しい」

「プラネットシリーズを……?」

 

「プラネットシリーズは全部で10種類存在する。惑星の名を冠したそのモンスターたちは僕たちとは比較にならない程の絶大な力を宿している。だから、カードに認められ真の所有者となれれば、君はきっと誰よりも強くなれる!」

「アウス……!」

 

 その言葉を最後に、アウスは光となって僕の前から消えてしまった。

 

「アウス…………わかった。プラネットシリーズに霊使いたち。その全員に僕は世界を救う勇者として認めてもらうよ………!」

 

 もう姿の見えないアウスに向けて僕は約束して再び会える日を願って新たな目標を胸に決めた。

 なんとなくだけど、近くにアウスであろう精霊の存在を感じることができる。

 

 きっとこれがクリスタルの力の恩恵なんだろう。

 元の力が0に等しいから今はなんとなくいると感じるのが精一杯だけど、いつかは姿を見て話をできるようになると信じている。

 

 ふと、アウスがいた場所の足元から気配を感じて見てみると、そこには彼女が置いていったのか数枚のカードが置かれていた。

 

「アウスのカードに…………E・HERO ジ・アース…………」

 

 彼女が言ったプラネットシリーズの1体。

 これは…………認めてもらったってことでいいのだろうか?

 

「まあ、ここにあるってことは使っていいってことだよね。ありがたく使わせてもらうよ」

 

 僕はアウスとジ・アースを手に取って夜も更けてきたと言うことで寮に戻るべく振り向いた。

 

「こんばんわコナミ君。こんな時間に森で出会うなんて奇遇ね」

「──!? 愛理ちゃん………!? 何故ここに………ッ!?」

 

 いざ寮に戻るべく振り向いた先、そこには愛理ちゃんが道を塞ぐように立っていた。

 

 その頬は上がっており、にこやかに笑っているため、一見機嫌が良いように見える。

 しかし僕は知っている。

 この状態の愛理ちゃんは最高に機嫌が悪い状態の時に見る笑顔だッ!

 

「や、やあ愛理ちゃん。こんな時間に森で出会うなんて奇遇だね。どうしてこんなところに……?」

 

 何故愛理ちゃんがこんな時間に森の中にいるんだ。

 こんな所、特別な用事でもなければ、普通いるはずがないのに……!

 

「んー? 何でって三沢君からコナミ君が森へ向かったってメールがあってね。気になって見に来たの」

「三沢君からのメール……!?」

 

 くそっ! なんてことだ。三沢君め、余計なことを……!

 朝に三沢君から手紙をもらった時点で愛理ちゃんに伝えたか聞いておくべきだった!

 

 愛理ちゃんが怒ってるってことはアウスとのやりとりを見られてたと判断していいとして、問題は何に対して怒っているかとどこから見られてたかだ。

 

 女の子からの手紙をもらったことを黙っていたことを怒っているのか、それともアウスを口説いていたことに対してか……。

 それを確かめなければ宥めるどころか火に油を注ぎかねない。

 

「そうなんだ。いや実はね、さっき霊使いのアウスが会いに来てさ。デュエルしてたんだよ」

「ふーん。そうみたいね」

 

 愛理ちゃんが微笑みながら僕のデッキに目線を向けている。

 同じ霊使い同士。僕のデッキにアウスが入ってることがわかるのかもしれない。

 

「いやー! それがさー驚いたことにE・HEROを使ってきてさ」

「──ところでコナミ君。私に何か…言うことはなぁい?」

「……手紙のこと、黙っててすいませんでした」

 

 僕は愛理ちゃんのその言葉を聞いた瞬間に地面に正座して土下座した。

 その一切の虚偽を許さないと訴えかけてくる彼女の冷たい目に僕は心の底から恐怖したのだ。

 これほどの恐怖はいつぶりだろう。

 

 中学生の頃、下級生の女の子相手にオイタをした時だろうか。それともガガギゴとのデュエルで死を覚悟した時以来かもしれない。

 ともかく、愛理ちゃんは今ものすごく怒っている。それだけは確かだった。

 

「それだけかしら。随分とアウスの胸に惹かれていたみたいだけど、あの子の胸……そんなに魅力的だった?」

「いえ…あの……それは……はい」

 

 バレている。

 もう最初っから見られてて、アウスとのやりとりも全部知られている。

 こうなると下手な誤魔化しはダメだ。

 大人しく首に縄括る覚悟で断罪されるしかない。

 

「アウスのこと、女神とか言ってたけど……?」

「あれは言葉の綾で、僕の女神は愛理ちゃんただ1人です……!!!」

 

 僕は必死に、それはもう必死に弁明した。

 僕にとっての女神も好きな女の子も愛理ちゃんただ一人であると──。

 

「ふーん、言葉の綾ね……まあいいわ。それじゃあ……ちょっと2人でオハナシしましょうか……」

「はい……」

 

 三度殺しても許さないとでも言いそうなほどの愛理ちゃんの怒り具合に僕はもう無理だと諦めて、大人しくすることにした。

 その後僕は地面に正座で座りながら粛々と愛理ちゃんの怒りの説教と嫉妬する彼女への愛を証明し続けるのだった。

 

 それからデュエルする以上に疲れ果てた僕は愛理ちゃんを寮まで送り届けた後、イエロー寮にある食堂で遅めの夕食をとっていた。

 

「はあ。まさか愛理ちゃんに見られていたなんて、三沢君が余計なことをしなければ…………」

「俺がどうかしたのか…………?」

 

 僕は後ろから聞こえてきた声に振り向いて、その声の主に文句を伝えるために食事を止めて口を開いた。

 

「三沢君、君が愛理ちゃんに告げ口をしてくれたおかげで僕は大変な目にあってたよ」

「告げ口とは人聞きが悪いな。何をしたのかは知らないが、お前が余計なことをしなければ愛理君も怒るまい」

 

 僕の様子と言葉から詳細はわからなくても愛理ちゃんを怒らせるようなことをしたとだけはわかったのだろう。

 三沢君がお前が悪いと言ってきた。

 

「余計なことじゃないよ。可愛い女の子がいたらとりあえず仲良くなるために口説きたくなるものでしょ?」

「愛理君と言う者がいながら何を言っているんだお前は……控えめに言ってクズの発言だぞ……」

 

 三沢君が呆れたような、軽蔑が籠ったよう目で僕を見てくる。

 彼からすれば好意を抱いている女性がいながら他の女の子に手を出そうとしているように見えるのだろう。

 

「三沢君、僕が女の子を口説くのは別に恋人になりたいとか、エッチなことをしたいとかじゃあないんだよ。ただその方法が1番仲良くなるのが早いってだけなんだよ。決して邪な感情はないさ」

「どうだかな。仮に事実だとしても愛理君はいい気分はしないだろう」

 

 ぐ、それを言われると胸が痛んでしまう。

 痛いところをついてくれるじゃないか三沢君。

 流石の頭の良さだ。

 人のつかれたくないところを的確に刺してくる。

 

 そりゃあ僕としても愛理ちゃんにはいつも笑っていて欲しい。

 

 でも可愛い女の子と仲良くなりたいのは男の本能のようなもので、抗い難いのだ。

 口説くのは友達になって遊びたいからで、その結果としてちょーっと火遊びすることがあるだけで……。

 

「はあ。次はもっと上手くやるよ」

「……そこでもうしないと言わない辺りがクズだと言うのだ。何故愛理君はお前に惚れてしまったのか。彼女が不憫でならない」

 

 まるで反省した様子のない僕を見て三沢君は天を仰いで嘆いている。

 

 三沢君の気持ちはわかる。

 仮に逆の立場で考えてみれば、僕のやっていることが節操のないクズであると言われても仕方がない。

 

 それをわかっていながらやめないのは、女の子と遊ぶのが楽しくて仕方がないと言うのと、嫉妬で怒る愛理ちゃんも僕は好きだからなのかもしれない。

 

「まあ節度は守るし、友達以上のことはしないさ。僕が好きなのは愛理ちゃんだからね」

「それを愛理君が信用してくれてるといいな。俺はまったく信用していないが……」

 

 異性関係において三沢君からの信用は0に等しいことを確認できたのち、僕たちは食堂で今日あったことを話しながら1日の終わりを過ごすのだった。

 

 場所は移りブルー女子寮。

 そこでは水無月愛理が自室で、精霊体となったアウスと話をしていた。

 

「それで、どうしてあなたがこの世界にいるの?」

「エリアは後ろから見てたんだから知ってるでしょ? 君が選んだ勇者にボクのクリスタルとプラネットシリーズのカードを渡すためだよ」

 

 地霊使いアウス。

 私と同郷の仲間である精霊は私の部屋で興味深げに趣味で買った本を見ながら答えた。

 

「プラネットシリーズって言うのはともかく、クリスタルの件はコナミ君が精霊の世界に来てからって話だったじゃない」

「そこは事情が変わったんだよ。ジ・アースのカードがある日里に流れ着いてね。すごい力を宿してるってことで大賢者様に見てもらったら勇者の元へって話になったんだ。そこで渡しに行くついでにどうせ会うのならってことで予定を繰り上げてきたってわけさ」

 

 なるほど。

 どうして今になって会いにきたのかって思ったけど、プラネットシリーズってのが関わってきているわけね。

 そしてアウス以外のみんなはこれに託けて人間世界を楽しんでいるってことか。

 

「それよりエリア、君がいなくなった後里は大変だったんだよ。勇者を探すって大役を任された君が術に失敗したって聞いてみんな大慌てで探したんだから」

「そ、それは……! ……ごめんなさい」

 

 あの時は大賢者様から直々に重要な役目を言いつけられたこともあってひどく気分が高揚してから世界の移動の魔術で事故を起こしちゃったのよねえ。

 そのおかげで私は記憶を失くしたうえに人に転生。

 紆余曲折あって今に至る。

 

 人に転生したおかげでコナミ君と会えたり恋ができたから後悔はしてないんだけど、皆に心配をかけてしまったことは申し訳ないと思ってるわ。

 

「まあその後君が人間に転生して生きてるってわかって、心配はいらないって聞いてたからみんな安心したけどさ」

「そうだったのね。ありがとうアウス。それから、遅くなったけど久しぶり。元気そうでよかったわ」

「うん。君も元気そうで何よりだ。勇者ともよい関係を築けているようでよかった」

 

 アウスは私の机の上に置かれている写真立てを見ながら微笑まし気に言った。

 そこにはコナミ君と腕を組んで仲睦まじい様子をしている写真が飾られており、それを見られた私は顔を赤くしながら咳払いをして話を次にした。

 

「アウスはこれからはコナミ君と一緒にいるのよね」

「ああ。これからはカードの精霊として勇者の力になるよ」

 

「そう、私は常に傍にはいられないから。何かあったときはお願いね」

「うん。任せてほしい。それじゃあ話すべきことは話したし、ボクはそろそろ戻るよ」

 

 おやすみとアウス最後に言って実体を持たない体故に壁から出ていった。

 アウスが出ていったのを確認した後、私は彼女から聞いた話について整理することにした。

 

 プラネットシリーズ。

 惑星の名を持つ10枚のカード。

 その内の1枚が勇者を探していた私たちの里に流れ着いた。

 これは果たして偶然なのかしら…………?

 

 そして大賢者様はアウスに流れ着いたジ・アースをコナミ君に渡すよう命じた。

 強大な力を有しているのなら里で管理してもよかったはずなのに……。

 

 あの方が何を考えてコナミ君にプラネットシリーズを集めさせようとしているのかはわからないけど、意図があってそうしているのは間違いない。

 

「でもプラネットシリーズって集めるにしてもどうやって見つけたらいいのかしら。向こうからやってくるなら問題はないんだけどこちらから集めに行かないといけない場合は面倒よね」

 

 どこにあるのか、誰かの手に渡っているのか。

 何もわからない以上、地道に情報を集めていくしかないのだろうけれど……。

 

「いえ、違うわね。今私が考えるべきは何もわからないプラネットシリーズについてではなく、他の霊使いの子たちについて」

 

 プラネットシリーズについては現状、できることはあまりない。

 集めるにしてもその役目はコナミ君が担うことになるだろうし。

 私ができることはあまりないと思う。

 

 それよりも優先すべきはどこかにいるらしい霊使いの子たちを探すことね。

 プラネットシリーズが強大な力を持つ以上、万が一コナミ君の身に危険が生じた時にクリスタルの力が強ければ助けることができるかもしれない。

 

「探知系の魔術は得意じゃないけど、地道にやれば見つけれるかもしれない」

 

 アウスから聞いた情報を元に一先ずの方針を決めた私は精霊の時に培った力で仲間たちを探すべく部屋で一人、黙々と魔術を交差するのだった。

 

 

 

 





 サブタイトル思いつかないときめんどくさいなあと感じる。

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