初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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 AKIRA見たけどすごいね。ちょっとグロイけど映像美がすごい。さんをつけろよのシーンはすごい印象に残る。というか煽り力の高い主人公だったなあ。


情動

 

 アウスとのデュエルからしばらく経った。

 その間、学園では女子寮で覗き騒ぎ起こったと言う噂が流れたりオシリスレッドの十代君がオベリスクブルーの万丈目君を倒したりと言った出来事があったが、僕の身の回りでは特にこれと言った騒ぎが起こることはなく快適な学園生活を送れていた。

 

 そんな素晴らしい学園生活を僕は送れていたが、最近はブルーな心境に襲われていた。

 

 その原因は近々デュエルアカデミアで行われる初めての試験。

 僕はその試験に酷く頭を悩まされていたのだ。

 

 試験は筆記試験と実技に別れる。

 

 実技試験はたぶん大丈夫。

 いつも通りやればそう悪い点数にはならないはず。

 だれとデュエルすることになるのかはわからないけれど、まあ相応の点数を取れる自信はある。

 

 問題は筆記だ。

 これがまったく自信がない。

 これっぽっちもだ!!

 ミジンコほどの自信ももてない!!!

 

 試験で優秀な成績を収められれば目標の一つであるブルー寮への昇格ができるかもしれない。

 しかし逆に悪ければ最悪レッド寮への降格なんてこともあるかもしれない。

 だから試験勉強をしなければならないんだけど……。

 

「あー嫌だーッ! 勉強したくないーッ!!」

 

 僕は自分の部屋の机の上に頭を抱えて叫んだ。

 

 嫌だ、勉強したくない!

 なんで実技だけ評価してくれないんだ。

 ここはデュエルアカデミアなんだから実技だけよければいいじゃないか!?

 

「君もそう思うだろ──十代君!!」

 

 僕は後ろで試験を前に控えながらも呑気に煎餅をバリバリと食べている十代君に向けて話しかけた。

 

「ん? おーそうだな。俺も実技だけあればいいと思うぜ」

 

 十代君は急に話しかけられたことに驚きながらも試験などどうでもいいと言わんばかりにのほほんとしていた。

 

「十代君は随分と余裕そうだね。イエローやブルーに上がりたいとは思わないの?」

 

 十代君、彼が筆記が僕同様かなり苦手としているのはこれまでの付き合いで知っていた。

 だからもし彼が寮の昇格を望んでいたらのんびりとしては居られないはずなんだけど、僕の前で座っている彼からはそういう焦っているような様子は見えない。

 

「俺はオシリスレッドが好きだからな。情熱の赤! 最高だぜ! コナミは上がりたいのか?」

「そうだね。僕の第一の目標がブルーへの昇格だからね。できれば早めに……1学年中には上がりたいかな」

 

 ブルーへの昇格、それは僕が掲げている目標の中でも恐らく1番楽な目標。

 だから、できれば早めに達成しておきたいところなのだ。

 

 しかしそうか、十代君はオシリスレッドが好きなのか。

 以前寄った時オシリスレッドの寮を見たけれど、あの寮が好きというのは正直、かなり奇特な感性をしていると思う。

 

 複数人で一つの部屋を共有すると言うのはそれはそれで楽しいと思うけれど、寮の外観的にも愛理ちゃんや女の子を連れ込むには不向きだし何よりプライバシーがないのはちょっとなあ。

 

 たぶん、学園側の意向としては同じ部屋に四六時中一緒にいることでデュエルの相談などをしやすくして、実力を高め合ってほしいという考えだとは思うんだけど…………。

 

「ふーん。第一ってことは他にも考えてるのか?」

 

 僕が目標の話からオシリスレッドのある種劣悪な環境の意図について考えていると十代君が僕の目標の話について聞いてきた。

 

「うん。いくつかあるけど、まあ在学中に達成しておきたい目標としてはあと2つあってね。1つは学園最強。もう一つはプロ資格の取得とできればデビューかな」

 

 僕の在学中に達成したい3つの目標。

 ブルー寮への昇格、学園最強、そしてプロになること。

 どれも急がないといけないものではないけれど、卒業までに達成したい目標ではある。

 

 それ以外にも一応、霊使いの子たちやプラネットシリーズを集めるとかあるけど……まあこれは除外でいいだろう。

 学生生活とは関係ないしね。

 

「十代君はないの? そう言う目標とか達成したいこととかさ」

「俺かあ? 俺は……う〜ん特にないなあ。強いて言うなら俺も学園最強ってのが目標になるけど、デュエルできるだけで楽しいからなあ」

 

「今が楽しいからそれ以上はまだ求めてないってこと?」

「おう! そんな感じだ。まあ最強ってのは憧れるけどな。俺の夢はデュエルキングだし」

 

 夢はデュエルキング。

 そしてデュエルは勝っても負けても楽しいからそれ以上を求めることはまだわからない。

 純粋にデュエルが好きという十代君は未熟な子供の様にも感じるけれど、将来とかデュエルの結果得るものを考えるようになった今の僕には少々眩しく見えた。

 

 デュエルは楽しい。

 その気持ちは今も変わらず僕の心を明るく照らしてくれている。

 

 だけど…………僕が純粋にデュエルだけを楽しめていたのはいつぐらいまでだっただろう…………。

 プロを目指すと心に決めた中学の頃だろうか、それとももっと前、愛理ちゃんに群がる男どもを追い払う時のようになった時だろうか……?

 

 デュエルは楽しい。

 勝っても負けてもそれは本当……。

 でも勝たないと、勝ち続けないと。夢のために大切なものを手放さないために……そんな風に思うようになったのは……。

 

「ところでよ。なんで今日俺を呼んだんだ?」

 

 十代君の純粋さに中てられて僕の心が過去へと向かっていたのを彼の声が呼び戻した。

 

「…………ん。ああ、ごめんごめん! そうだったね、僕が呼んだんだった」

「え~~! 忘れてたのかよ!」

 

「ごめんって。それで呼んだ理由だよね。ちょっと君に見てほしいカードがあってね…………これなんだけど…………」

「おっカードか! どれどれ~どんなカードだ…………E・HERO ジ・アース…………?」

 

 十代君に見せたかったカードはE・HERO ジ・アース。

 HERO使いの彼だからこそ、見てほしかった。

 世界に1枚しかないカードを持ってる自慢を込めてね!!

 

「すッッッげー! なんだこのHERO! 初めて見たぜコナミ!!」

「そうだろう十代君! そのカードはねえ。知り合いから譲り受けたカードでね。世界に1枚しか存在しないHEROなんだ!」

 

「世界に1枚だけのHERO………!? すげえ…………!」

「そうだろう……そうだろう十代君!」

 

 十代君の驚く反応がよくて僕の試験への鬱屈していた気持ちが一掃されていくのを感じる。

 

 あ~この羨望にも似た視線!

 とても気持ちがいいッ!!

 ちょっと性格悪いけど、これだけで元気が出てくるんだからやらない手はないッ!

 人から羨ましがられるってのは気持ちがいいなあ!!

 

「それでね。実は次の実技試験でそのジ・アースのお披露目と行こうと思ってるんだけど、そのためのデッキ構築の相談をHEROの先達者である君に相談しようと思ってね」

「おお! このHEROを次の試験でか…………!? そういうことならいくらでも相談に乗るぜ!」

 

 よかった。

 僕のデッキ改造の相談に十代君は乗ってくれるようだ。

 僕のお願いを快く引き受けてくれた。

 

 そういうわけで僕は筆記試験のことは頭の隅に追いやって十代君と新たな仲間のHEROのためのデッキ改造を行っていった。

 

 それから幾日か経ち、試験まで数日というところまで来たある日。

 勉強が嫌で逃げていた僕は今、愛理ちゃんに捕まって僕の部屋で勉強させられていた。

 

「愛理ちゃん、勉強辛いんだけど…もういいんじゃないかなあ。十分頑張ったし、休憩してもさあ」

「ダメよコナミ君。ブルーに上がりたいんでしょ? ただでさえ筆記は苦手なんだから頑張らないと」

 

 かれこれ2時間。

 僕は愛理ちゃんに教わりながら勉強していた。

 

 辛い……とても辛い……。

 昔っからそうだったけど、僕は勉強が苦手だ。苦手だからいつからか嫌いになった。

 何故好きでもないことを何時間もかけて覚えなければならないのかと、そう思うとやる気などまったく出てこなかった。

 

「…………」

 

 愛理ちゃんも試験が近いからか黙々と勉強している。

 何故愛理ちゃんは勉強に対してこんなに集中力が持つのだ。

 

 ああ愛理ちゃん……。

 僕としては好きな女の子と2人っきりのこの状況、できれば普通にイチャつきたい。

 逃避からくる感情ではなく、男としての欲求が愛理ちゃんを求めているんだ!

 

 だけど……。

 僕はチラリと愛理ちゃんを見てみる。

 

「……ん? どうしたの、何かわからないところあった?」

「いや、大丈夫。わからないところがあったら聞くよ」

「そう? わかったわ」

 

 僕の前で教科書を広げて勉強している愛理ちゃんはとても集中しているようで、勉強以外の会話を振るのは躊躇われた。

 

 くっそ〜〜〜ッ!!

 まったくイチャつきたいとか言える雰囲気じゃない。

 愛理ちゃん、君はなんでそんなに真面目なんだ……!

 僕はこんなに不真面目でありたいのにッ!!

 

 デュエルをしていたい!

 愛理ちゃんと遊んでいたい!!

 美味しいものを食べていたい!!!

 

 なのに目標のためにはその全てを我慢して勉強していなくてはならない。

 なんてままならない現実なんだ。

 

「勉強なんて嫌いだ…………愛理ちゃん、勉強終わったらキスさせてくれない?」

 

 勉強という苦難に対して少しでもやる気を出すために僕は愛理ちゃんに勉強が終わったらキスさせてくれないかお願いをした。

 今僕は猛烈にやる気を欲していた。

 勉強に集中するための着火剤を…………。

 

「えー? 勉強が終わったらって、頑張ったご褒美が欲しいみたいな理由でしょう? そういう理由でするのはちょっと……ムードもないし」

「ムードかあ。そうだよねえ。勉強終わったらってのは流石にダメかあ」

「ムードもそうだけど……なんか目が不純だから………」

 

 目が不純…………。

 そうか…………僕の目は不純だったか………不純…………不純………不純かなあ!?

 そりゃキスしたいってのは性的な意味を孕んでいて不純と言われればそうかもしれないけど、好きな女の子としたいってのは自然な感情だと思うんだけどなあ!!

 

「でも愛理ちゃん! 好きな人と一緒にいるのに勉強しかしないってのは…………なんだか、寂しいじゃないか!?」

「今までも沢山あったじゃない。二人だけで勉強なんて…………」

「あったけど! あったけどさあ!」

 

 なんでって言われると困るけど…………!

 キスを初めてした時から何だか胸の内で悶々とする何かがあって、時折愛理ちゃんにぶつけたくなるんだよ!

 それが性的な意味を含んでるって言われたら否定できないけど。

 恥ずかしくてそんなこと言えないけど、でも受け止めてほしい気持ちもあって…………ああああ!!!

 

「とにかく愛理ちゃん! 僕は今癒しというか、やりきった後に君と愛し合いたいんだよ! わかってくれ、この僕の気持ちを!」

「え~………気持ちって言われても」

 

 僕は情けなく床に蹲りながら愛理ちゃんに懇願した。

 お願いだから勉強が終わったら何かご褒美をください…………!

 

「例えば?」

「例えば…………そうだな、抱きしめあうとか………かな」

 

 勿論キスもしたいけれど、抱き合ってぬくもりも感じて癒されたい。

 一応今は愛理ちゃんもキスは拒んでるけれど、抱き合うところまで行ければ流れでキスもできるはず。

 意外と愛理ちゃんも甘いところがあるから、押せば行けるはずだ…………!

 

「…………どんな感じで?」

「どんな感じ…………!?」

 

 愛理ちゃんから問い返された言葉、どんな感じに抱きしめ合いたいのかという疑問に僕は一瞬固まってしまった。

 

 どんな感じで抱きしめ合いたいのかって言われたら…………。

 そりゃ、理想を言うなら一度でいいからベッドの上で寝そべりながらとかがいいけど…………。

 流石にそれはまだハードルが高いだろう。

 というかそんな状況になったらほぼ確実に色々としたくなっちゃうから、やりたいけどお願いするのには勇気がいる!

 

「ま、まあ。あれだよ、正面からこう軽く触れあう感じでさ…………」

「それでいいの…………?」

「う゛っ!」

 

 それでいいって、どういう意味で聞いているんだ愛理ちゃん…………!

 

 いいのか?

 大人がやる感じの、ベッドで抱き合うようなのがしたいと言ってもいいのか…………!?

 その結果、結果として!

 キスしちゃったり触っちゃダメなところ触ったりしてさ…………!!

 

「あーそれなら………それなら……! そのベッドの上とかで、抱き合いたいなあ…なんて……」

「ベッドの上……」

 

 愛理ちゃんが勇気を振り絞った僕の希望を聞いて部屋の隅に置いてあるベッドをじっと見ている。

 

「コナミ君……エッチね…………」

「がぁっ!!」

 

 コナミ君……エッチね…………エッチね…………。

 言われたくなかった……。

 そういう意図が込められてるって思われたくはなかった……!

 

 いや、わかっていたことだ。

 これを言えば愛理ちゃんに悟られるってことは……。

 それでも、憧れている状況に近づきたいから!

 だから僕は恥を忍んで君にこの言葉を伝える…!!

 

「愛理ちゃん……僕は君と勉強じゃなくて、エッチなことがしたいんです!!」

「……コナミ君、正直なのは美徳だと思うけど、そういうのはまだ早いと思うの」

 

 やっぱり想像した通り、愛理ちゃんに拒否られてしまった。

 

 グ〜〜〜ッ!

 堅い、堅いよ愛理ちゃん!!

 身持ちが堅いのは大変良いことだと僕も思うのけど、僕の前でまで堅くなくてもいいじゃないか!?

 

「それにね、まだ私たちは子供なわけだし何かあっても責任を持てないじゃない。だから一緒の部屋で遊ぶとかならともかく、ベッドで抱き合うとかはやっちゃいけないと思うの」

 

 しかもなんか愛理ちゃんからやんわり嗜められてるというか説教まで始まってしまった。

 

 どうしてこうなってしまったんだろうか……。

 欲張りすぎたからか。

 そうかもしれない。

 確かに、ベッドの上は僕たちにはちょっと早いのかもしれない。

 

「だから、こうしましょう。今後コナミ君がブルーに上がれたら、その時は2人で大人のすることをしましょう」

「………マジで!?」

 

 顔を少々赤くして照れながらも提案してくれた愛理ちゃんの言葉の衝撃に普段とは違う言葉遣いで返事をしながら確認した。

 

「うん。だけど、ブルーに上がれたらだからね」

 

 ブルーに上がれたら……エッチなことができる!?

 

「愛理ちゃん、勉強頑張るよ! 絶対ブルーに上がって見せる!!」

 

 うぉおおお! と勢いづけて勉強を再開した。

 

 無論、内心では愛理ちゃんが意図して言葉を変えた理由は気づいていた。

 愛理ちゃんは何をするかは明言せず大人のすることと言った。

 それはつまり、僕の希望した内容をするとは言っていないということ。

 

 だがそんなことは重要なことではないッ!

 大切なのは1%でも可能性があるのなら、僕は頑張れるということ。

 恋のABCという言葉があるけど、Cは無理でもBまでなら許してくれるかもしれない。

 

 いや、きっとその時になって必死になって頼み込めば許してくれる。

 僕はそう信じるぞ…………!!

 

 そう思うだけで、男の僕は頑張ることができる!

 恐らくBも許してはくれないだろうという半ば確信にも似た直感からは全力で目を逸らしながら僕は一心不乱に目の前の教科書と向き合い続けた。

 

 全ては……愛理ちゃんとエロいことするために………!!

 

 そんな僕を見る愛理ちゃんの目はバカな子供を見守る母親のようであった。

 

 





 セブンスターズ編まで意外と時間かかりそう。

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