初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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 ゴールデンウィークマジで疲労がヤバい。
 体力を根こそぎ持っていきよるわ。


お茶会

 

 夜、日が暮れたブルー女子寮。

 デュエルアカデミアの女子生徒は男子とは違い成績に関係なく全員がブルーの生徒として女子寮に入る。

 

 その寮内の一部屋に水無月愛理はいた。

 寮制であるが故に私物は少なく、しかし不便は感じられない程度には必要なものが揃っている部屋で机に向かって愛理は悩んでいた。

 

「う〜ん、見つからないなあ。皆んなどこで何してるのかしら」

 

 コナミ君とアウスのデュエルからしばらく経ち、私は日夜他の霊使いを見つけるべく魔術で居場所を探っていたのだけどまるで成果はなかった。

 アウスの言葉を信じるなら待っていても向こうから会いにくるらしいので放っておいてもよかったのだが、プラネットシリーズの件もありコナミ君の身を案ずる私としては早めに会いたかった。

 

「はあー。もういいわ。とりあえず休憩にしましょう」

 

 見つからないものは仕方ないと一旦捜索を中止して、紅茶と軽いお菓子を求めて寮のラウンジへと向かった。

 ラウンジには何組かの生徒が集まり、それぞれお茶菓子などを中心に集まって談笑していた。

 その中には私の見知った顔も幾人かおり、賑やかに談笑していた。

 

 すると談笑をしていた一団の中から一人、明日香さんを中心にいつも一緒に集まっている浜口ももえさんが近づいてきた。

 

「こんばんは、愛理さん。愛理さんもお茶をしに来られましたの?」

「こんばんは、ももえさん。ええ、ちょっと自室で調べ物をしてたんだけど疲れちゃって、紅茶でも飲もうと取りに来たの」

 

 私は空のティーポットを胸まで掲げて、これから飲もうとしていることを彼女に伝えた。

 

「まあ! でしたら私たちと一緒にお飲みになりませんこと? お茶菓子もありますし、明日香さんやジュンコさんもいらっしゃいますから」

 

 ももえさんが見る先には受験の時に知り合った明日香さんと私と同じ新入生である枕田ジュンコさんが椅子に座ってこちらを見ていた。

 

「……そうね。それじゃあお言葉に甘えてお邪魔させて貰うおうかしら」

 

 一瞬、3人はいつも一緒にいるから邪魔にならないかとも思ったが、誘ってもらえたことと明日香さんたちの雰囲気から嫌がられてる感じもしなかったのでお邪魔させて貰うことにした。

 ちょうど小腹も空いており、机の上に乗っているお茶菓子も食べたかったので……。

 

 そうして期せずして始まった明日香さんたちとのお茶会、話の中心はデュエルアカデミアらしくデュエルについてが主だったが、それ以外にも寮生活についてや男子生徒への不満などが話題となった。

 その中でも明日香さんはデュエルへの話題に対する関心が強く、ジュンコさんとももえさんは容姿が優れている男子生徒への関心が強かった。

 

「そういえば愛理さんはコナミさんとお付き合いされているとのことですが三沢さんのことはどう思っていらっしゃるの?」

「三沢君…………?」

 

 そうしてお茶会を楽しんでいる中でももえさんから三沢君への思いを聞かれた。

 

「ええ。愛理さんには悪いですが、三沢さんとは小学生のころからのお知り合いなのでしょう? 正直言って殿方としてならコナミさんより三沢さんの方が魅力的だと思うのですが、なぜコナミさんをお選びにと思いまして」

「なんでって言われても好きになったのがコナミ君だからだけど…………」

 

 ももえさんは純粋に疑問に思っただけなのだろう、悪口にも聞こえかねない質問のわりに一切の悪意は感じられなかった。

 頭の中でコナミ君と三沢君を思い浮かべて比べているのか頭を横に傾けて何故という表情をしている。

 

「ももえ、あんたちょっとその質問は失礼よ」

「あっ、すみません愛理さん。ただ、コナミさんとは私も子供の頃に知り合った中ではありますので、彼も決して悪い殿方ではないのは知っていますが、ふと疑問に思いましたので…………」

 

 ももえさんの質問に対してジュンコさんが注意しながら彼女も少し興味があるのか私を見ている。

 明日香さんはジュンコさん同様ももえさんを注意しようとしたようだけど、ジュンコさんを見てやめたようだ。そして彼女は色恋にはあまり興味はないのか紅茶の味を楽しんでいる。

 

「私がコナミ君の方を好きになった理由かあ…………」

 

 私が三沢君ではなくコナミ君を選んだ理由…………。

 ももえさんの言う通り、はっきり言うとコナミ君が三沢君に勝ってる部分ってあまりないのよね。

 三沢君は容姿端麗、成績優秀。性格も真面目と三拍子揃った完璧な人。だからパッ見だとコナミ君より三沢君の方が好意は持ちやすいと言うのは事実だわ。

 

 対してコナミ君は容姿はまあ普通。オシャレとかには気を使ってるけど、生まれ持った容姿は変えられない。

 

 成績は………まあ、うん。褒められたものじゃないわね。やればできる子だと思うんだけど、興味がないことはしたくないのかやらないのよねえ。

 

 性格は………ひどいわね。素直ないい子なんだけど、色気づいちゃったからか女の子好きが増しちゃって私の目を盗んで口説いてるときがある。

 その上私とのキスを経験しちゃったからかしら、意図はしてないんでしょうけど、時折性欲が暴走して私との間にひどい噂が流れる原因を作ったりしてるのよね。

 

 改めて考えてみると碌な目にあってないわね私。

 ひどい噂を流されたり、女の子にちょっかい出して怒ったりと、本当にデュエルの腕を除いたら褒められる部分ないんじゃないかしら。

 

 よくコナミ君への好意が無くならないと自分の一途さと愛の深さを褒めてあげたいぐらい………!

 本当、なんで私コナミ君を好きになったのかしら…………?

 

「はぁ。コナミ君のことを考えてたらなんだか頭が痛くなってきたわ」

「愛理さん、そんな悩まなくても、ちょっとした疑問でしたので無理に答えを出さなくてもよろしいですわよ?」

 

 考えすぎてため息を吐きながら頭を押さえている私が心配になったのかももえさんが空になった私のカップに紅茶を次いで飲むように促してくれた。

 

 それに感謝をしながら答えを出すために冷静になるために紅茶を飲んでもう一度考えてみる。

 うーん、色々と羅列して見て100人いたら100人が三沢君を選びなさいと言いそうな感じだけど、それでも私がコナミ君を好きになったのはたぶん……。

 

「うん、きっと可愛かったからかな」

「可愛い……ですか?」

 

 私の可愛いと言う表現がコナミ君と当てはまらないのかももえさんとジュンコさんが疑問符を浮かべて私を見てくる。

 明日香さんも興味なさげではあったけれど、私が彼をどう見てるのかは気になるのか聞き耳を立てているようで、こちらを見ている。

 

「ええ。小学生の頃ね、ある時から妙に頑張って私を振り向かせようと努力するようになってね。空回りしてたり可笑しなことをする時もあったけど、一生懸命で、そう言うところが可愛くて気がついたら好きになってたわ。だから男性としては三沢君の方が優秀でも、一緒にいて欲しい。いてあげたいって思うのはちょっと………ではないけど、ダメな所もあるコナミ君なの」

 

 まあ、努力した結果というかそのせいで女の子に多少モテるようになったために、女の子と遊ぶことが好きになってしまったから、努力するようになったのは喜ぶべきか嘆くべきか悩ましい所なのよね。

 

 努力をしてくれたから好きになったんだけど、努力をしてくれたせいで不貞の心配をしなくちゃならなくなったって考えたらプラスとマイナス、どちらの方が比重は大きいのか………儘ならないわぁ。

 

 一応、私のカードを常に持ち歩くようにって強く言い含めているから、ないと思うけれど一線を越えそうな時はカードを通してお仕置きもできるのでそこまで心配はしていない。

 アウスやガガギゴちゃんも一緒にいるから万が一は教えてくれるしね。

 

「そうでしたの、愛理さんそれは素敵ですわね。私はあなたを羨ましく思いますわ。私はこれまでそのように思える殿方とはお会いしたことがありませんから。いつか、あなたのようにそばにいて欲しいと思える殿方とお会いたいものですわね」

 

 私の返答を聞いたももえさんは、一口カップの紅茶を飲んでから目を瞑りまだ見ぬ男性との出会いに憧れるように言った。

 

「そうよねえ、あたしも素敵な人と恋がしたいわあ。イケメンでデュエルが強くってぇ、私だけを愛してくれる人と……」

「ジュンコさん、あなたは理想が高すぎるのですわ。もう少し基準を下げるべきだと思いますの」

 

「む、あんたに言われたくないわよ。あんたもイケメン以外眼中にないじゃない」

「確かにイケメンな殿方が理想ですけど、私はこれでも妥協はできますわよ? デュエルが強いことは前提ですけどね。明日香さんはどのような殿方がお好きとかありますの?」

 

 私たちの恋バナに我関せずとしていた明日香さんは「え?」と呆けたような顔をした後にちょっと考えた仕草をした後に答えた。

 

「私は今はデュエルが恋人だから、そう言うことはあまりわからないわ。でもまあ、あなた達が求めている意味とは違うでしょうけど、気になる異性という意味では十代が気になるわね」

「十代君ですか…………?」

 

 驚いた、明日香さんの気になる異性はどうやら十代君らしい。

 気になると言っても、恋愛的な意味合いではないのでしょうけれど、デュエリストとしての意味で気になるということだろうか。

 

「えーっ! 十代ってあの山猿みたいな男子ですか!?」

「明日香さん、私も彼はお辞めになった方がよろしいと思いますわ。ちょっと子供すぎますもの」

「だからジュンコ、ももえ、あなた達が思ってるような意味ではないって……」

 

 明日香さんの気になる相手が十代君と知ってジュンコさんとももえさんが驚きから彼女に静止しようとしている。

 

 しかし明日香さんが気になってるのは十代君かあ。

 まあデュエルは強そうだものねえ。

 中等部の主席だった万丈目君にも勝ってるわけだし、クロノス先生にも勝ってるって考えたら将来有望な男の子よね。

 あと精霊を見る力もあるし、元が精霊である私からするとそこが一番評価できるポイントね。

 

 たぶん、私の勘だけどコナミ君より先に十代君と出会ってたら彼にクリスタルを渡してたかもしれない。

 いえ、恐らくそうなっていた。

 そう確信できる程に彼が秘めている可能性と力は強い。

 

 ただまあ、ジュンコさん達の懸念通り恋愛対象としては、中々厳しい相手だと私も思うわ。

 まずそこら辺の情緒が育ってるようには感じられないのよね。

 それでもジュンコさんの山猿は言い過ぎだと思うけど……。

 

「私が気になってるのはデュエルについてよ。一度負けた相手、気になるのは当然でしょう」

 

 明日香さんは誤解されていることに苛立っているのか吐き捨てるように言った。

 

「……対戦したことがあったのですか?」

「以前機会があってちょっとね。その時は負けてしまったけど、次は勝つわ」

「明日香さんにも勝ってるなんて、やっぱり十代君はオシリスレッド以上の実力を持ってますね」

 

 どうやら十代君は入学してから万丈目君だけではなく、明日香さんにも勝っているらしい。

 三沢君と戦ったとは聞いてないけど、こうなると本当にコナミ君にもその内勝てるようになるかもしれない。

 

「そうでしたわね。あの時愛理さんはおりませんでしたから、デュエルについては知らないんでしたわね。運が良かったとはいえ、明日香さんとのデュエルは凄かったですわよ」

「ふんっ! あんなの偶然よ! 偶々あいつが勝てただけよ……!」

 

 ももえさんとジュンコさんはどうやら十代君と明日香さんのデュエルを見ていたようだ。

 まあ、基本的にいつも一緒にいるからむげなるかなですけど…………。

 

「いい加減2人共やめなさい。どうあれ、私の負けは事実よ。そこを覆せない以上、リベンジのために頑張るしかないわ」

 

 どうにも、ももえさんとジュンコさんは明日香さんが十代君に負けた事実を認めたくはないみたいね。

 頑なに運が良かっただけだと言い続けている。

 

「運も実力のうちとも言いますから、明日香さんに勝ったのが偶然であれなんであれ、十代君はこれからも多くの人に勝ち続けるでしょうね」

「愛理さんは随分と十代さんを買ってらっしゃるのですね。彼が明日香さんに勝ったのは実力だとお考えなのですか?」

「そうだとしても私は違和感は感じないわ。デュエルは運だけで勝ち続けれるものではないし、なにより彼は結果を残しているもの」

 

 私としては十代君が明日香さんに勝ったのは純粋な実力だと思っている。

 ももえさんたちが尊敬している明日香さんがオシリスレッドに負けたことを認めたくない気持ちはわからなくはないけれど、周りから認められている実力者を少なくとも2人倒してる時点で偶然と考えるよりも実力と考えた方が自然でしょう。

 

「十代の実力が本物かはこの先わかるわ。だからあなたたちもあいつがオシリスレッドだからってあまり侮らないように。恥をかくことになるわよ」

「はーい」

「明日香さんがそう仰られるならそう致しますわ」

 

 明日香さんはそう言って話を締めくくり、ももえさん方も多少不満を残しながらも彼女の言葉を受け入れ残っているお菓子を食べ始めた。

 

「明日香さん今度、実技授業の時にでも私とデュエルしませんか?」

「私と……?」

 

 そうして話にケリがついたことを確認した私は以前から気になっていた明日香さんにデュエルを申し込んだ。

 

「ええ。ほら私たち入学してからそれなりに時間は経ってるけど、デュエルはしたことなかったじゃない。噂でもブルー女子寮のトップは明日香さんって話も聞いてるし、一度デュエルしてみたいなと思ってね」

 

 ブルー女子寮のトップは明日香さん。

 奇妙な話だが寮では……いえ、この学園ではそういう認識をすでにされている。

 2年生、3年生を差し置いてだ。

 

 通常なら、中等部から成績優秀であったとは言え入学してから間もない明日香さんがそう認識されることは可笑しな話だ。

 だけど実際にそう見られている。

 

 それは丸藤さんのような圧倒的な実力やカリスマ性を持つ人が女子にはいなかったからかもしれない。

 だから実際に明日香さんが1番強いのかどうかは別として、そうあって欲しいという願いからきているのかもしれない。

 

 丸藤さんに並ぶと言われる実力者の吹雪さんの妹。

 テレビに出てるアイドルと称しても差し支えない美貌とそれを鼻にもかけない性格。

 そして中等部での実績。

 

 まあこれだけ揃っていればアカデミア女子の期待の星として見られていても不思議ではないのかもしれない。

 だから、そう噂される明日香さんの実際の実力はどれほどのものなのか、この手で確認して見たかったのだ。

 アカデミア受験の時の約束もあったわけだし、この機に申し込んでもいいかなと、そう思ったのだ。

 

「そうね。確かにあなたとはデュエルしたことはなかったわ。そういうことならいいわ。次の実技授業ではデュエルしましょうか」

「ええ。全力を出せる、いいデュエルをしましょう」

 

 私たちは好戦的な笑みを浮かべながら次の授業の時にデュエルをすることを約束して、その時を楽しみにしながらその後は就寝の時間までラウンジで話し続けた。

 

 





 アカデミアの女子の描写がなさすぎて明日香以外の女生徒の実力ってよくわからないんだよね

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