初心者粉眠くんのデュエル日誌   作:XX

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 長くなったので時間のある時にでも読んで下さい。
 リンク等がない状態でライフ4000だと、モンスター効果駆使していくだけで戦闘によるライフの減りが凄まじいので表側守備を使うようにします。つまり完全にアニメルールですね。


光の矛先

 

 女子寮のラウンジでのお茶会から数日。

 今日は明日香さんと約束していたデュエルを行う日。

 私は実技授業の場となる教室で明日香さんと向かい合っていた。

 

「明日香さん、今日はよろしくお願いします」

「ええ、よろしくね愛理。お互い全力を尽くしましょう」

 

 私たちは周囲にいる人たちがそうしているようにデュエルの準備を始め、先生の「始めッ!」という声をきっかけにデュエルを開始した。

 

「「デュエル!!」」

 

「私のターン、ドロー!」

 

 先攻は明日香さん。

 お互いこの組み合わせのデュエルは初めて、だから互いのデッキについての理解は浅いはず。

 どんな戦術で来るか…………。

 

「私はモンスターを守備表示で召喚! カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

「私のターン、ドロー!」

 

 明日香さんの1ターン目は守備モンスター1体にリバースカードが1枚ですか。

 完全に守りの姿勢できた。

 彼女の性格上、1ターン目であっても守りより攻勢を優先する強気な行動で来ると思ってたんだけど、読みが外れたわね。

 

 相手は守りの態勢、こちらも守りを固めて相手の出方を見ると言う選択もあるけれど特に負けても死ぬわけではないデュエル。

 こちらは恐れずに攻めてみて、相手のデッキの確認をしてみましょうか。

 

「私は手札からウジャト眼を持つ男を攻撃表示で召喚!」

 

 

《ウジャト眼を持つ男》 攻撃力1600 守備力1600

 

 

「このモンスターが召喚された時、相手の場にセットされているカードを確認することができる。私はあなたの守備モンスターを確認するわ!」

 

 ウジャト眼を持つ男の額から目の文様をした光が放たれて明日香さんの場のカードを照らした。

 

「明日香さんが伏せたモンスターは…………荒野の女戦士ですか。戦闘で破壊されると後続を呼んでこれるモンスターですね」

「ええ。守備力は1200。あなたのモンスターで十分破壊が可能なカードよ」

 

 どうしましょうかね。

 明日香さんは伏せていたモンスターを暴かれても落ち着いていて動揺した様子もない。

 あの余裕は女戦士を破壊してキーカードを持ってこれなくても問題はないと読み取ることもできるけど、誘っているようにも感じられる。

 

 何が狙いかわからないけれど、明日香さんの狙いには興味がある。

 ここは攻撃してましょう…………!

 

「私はウジャト眼を持つ男で明日香さんの守備表示モンスターを攻撃!」

 

 私のウジャト眼を持つ男の額から放たれた目の文様を持つ光線が荒野の女戦士を破壊した。

 

「……ッ! 破壊された荒野の女戦士の効果発動! デッキから攻撃力1500以下の地属性の戦士族を1体、特殊召喚する! 私はデッキからサイバー・チュチュを攻撃表示で召喚!」

 

 

《サイバー・チュチュ》 攻撃力1000 守備力800

 

 

「サイバーチュチュ…………。たしか場にそのモンスター以下の攻撃力を持つモンスターがいなければ直接攻撃できるモンスターでしたっけ?」

「そうよ。貴方の場にはウジャト眼を持つ男しかいない。次の私のターン、サイバーチュチュは直接攻撃ができるのよ」

 

 得意げに笑う明日香さんを見ながら私は考える。

 

 明日香さんの狙いは次のターンでの直接攻撃だったということね。

 とはいえ、サイバー・チュチュの攻撃力は1000。

 決して高い攻撃力ではない。

 

 既にウジャト眼を持つ男の攻撃は終わっている以上、私にできることは少ないし、チュチュのダメージは覚悟して明日香さんにターンを回しましょうか。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

「私のターン、ドロー!」

 

 明日香さんのターン、狙い通りサイバー・チュチュを呼び込んできた以上その効果による直接攻撃で来るはず。

 なら、ウジャト眼の目を持つ男以上の攻撃力を持つモンスターを出してくる可能性は低い。

 どう来るかしら…………?

 

「よし……バトルよ! サイバー・チュチュであなたにダイレクトアタック! ヌーベル・ポアント!!」

 

 やっぱりサイバー・チュチュによる直接攻撃が狙い…………!

 なら追撃はないはず…………!!

 

「──きゃあっ!」

 

 

《愛理》 残 LP 3000

 

 

 元より覚悟していたからか、サイバー・チュチュによるバレリーナのように回転しながらも舞うように地を滑り蹴り上げる攻撃に私は後ずさりながらも耐えることができた。

 

「この瞬間、私は手札からセベクの祝福を発動! 私のモンスターがダイレクトアタックに成功した時、そのダメージだけ私はライフを回復する!」

「直接攻撃に合わせたライフ回復コンボ!?」

 

 

《明日香》 残 LP 5000

 

 

 しまった。このターンで明日香さんのライフは1000回復して私のライフは1000削られた。

 たった1000ポイントだけど、合わせれば2000ポイントの差がある。

 決して無視できない差だわ。

 

「私はさらに手札からエトワールサイバーを守備表示で召喚! これでターンエンド!」

 

 

《エトワールサイバー》 攻撃力1200 守備力1600

 

 

「くっ、私のターン、ドロー! この瞬間、ウジャト眼を持つ男の効果発動! 私のスタンバイフェイズ時、相手のセットされているカードを1枚確認することができる! 私は明日香さんのリバースカードを選択!」

 

 明日香さんが1ターン目にセットしていたカードは………ドゥーブルパッセ!

 あれは相手の攻撃を直接攻撃に変える代わりに受けたダメージ分を相手にも与え、自分のモンスターに直接攻撃効果の付与までする強力な罠カード。

 

 明日香さん、恐ろしいカードを伏せているわね。

 ウジャト眼を持つ男の効果で確認できなければ、サイバー・チュチュかエトワールサイバーに攻撃した瞬間発動され、私は大ダメージを受けていた。

 

 明日香さんのデッキはまだ全容は把握できないけれど、低レベルモンスターを主体とした直接攻撃でダメージを狙っていくデッキなのかしら。

 ドゥーブルパッセの避けれないダメージもセベクの祝福とのコンボでリスクを減らそうとしているわけだし、現段階ではその可能性は高いと見ていいかな…………?

 

「私は手札から魔導戦士ブレイカーを攻撃表示で召喚!」

 

 

《魔導戦士ブレイカー》 攻撃力1600 守備力1000

 

 

「魔導戦士ブレイカーの効果発動! カウンターを1つ置く。そして置かれたカウンターを取り除くことで明日香さんのリバースカード1枚破壊する!」

「私のドゥーブルパッセが………ッ!」

 

 うん、狙い通り魔導戦士ブレイカーでドゥーブルパッセを破壊で来たわ。

 これで明日香さんの狙いの一つを潰すことができた。

 ここで攻めて明日香さんとのライフ差を可能な限り減らす!

 

「これで明日香さんを守るカードはない。バトルです! 魔導戦士ブレイカーでサイバー・チュチュを攻撃!」

「くぅッ!」

 

 

《明日香》 残 LP 4400

 

 

「追撃っと行きたいところですがエトワールサイバーの守備力とウジャト眼を持つ男の攻撃力は同じ。私はこれでターンエンドです」

「く、やってくれたわね。私のターン、ドロー!」

 

 現状は私の方が若干有利と見ていいかしら…………?

 ライフポイントは私が敗けているけれど、明日香さんのサイバー・チュチュとドゥーブルパッセは破壊した。

 場のモンスターの攻撃力も総合力では私の方が上回っている。

 

 エトワールサイバーにどう対処するかという問題はあるけれど、このまま押していければ勝てると思う。

 だけど、そんなにうまくはいかないわよね。

 このターンで明日香さんはどう出てくるかしら…………。

 

「私は手札からソニックバードを守備表示で召喚! その効果によりデッキから機械天使の儀式を手札に加える!」

「儀式魔法カード!?」

 

 

《ソニックバード》 攻撃力1400 守備力1000

 

 

 これまでにない戦術………!

 ここでイニシアティブを取り返すつもりね!!

 

「そして手札に加えた機械天使の儀式を発動! 儀式モンスターを特殊召喚する!!」

「そうはさせないわ! 私はリバースカード マジック・ジャマーを発動! 手札を1枚捨てて魔法カードの発動を無効にする!」

 

 明日香さんが発動しようとした儀式魔法、そのカードで召喚しようとしたモンスターは場に現れることなく私のカウンター罠によって阻害されてその姿を現すことはなかった。

 

「なんですって! ──っく、やるわね愛理」

「そう簡単にはいきませんよ。私も儀式召喚はするのでその弱点も知っていますから」

 

 作戦が失敗して悔し気にしながらも笑う明日香さんに私も強気に笑って返した。

 

 機械天使の儀式、その魔法カードで何を召喚したかったのかはわからないけど、召喚されて困るのは確実。

 念のために伏せておいたマジック・ジャマーが役に立ったわね。

 

「そう。でもそれで私の戦術を止めたと思ったら気が早いわよ! 私は800ライフポイントを払い、手札から早すぎた埋葬を発動! 墓地からサイバー・チュチュを特殊召喚!」

 

 

《明日香》 残 LP 3600

 

 

《サイバー・チュチュ》 攻撃力1000 守備力800

 

 

「またサイバー・チュチュですか。そのモンスターでダイレクトアタックをしてライフを削るのが狙いですね。でも、次のターン私のモンスターで破壊するだけです!」

「そうかもしれないわね。でもまだ私のできることは終わってはいないわ。私はさらに手札から連合軍を発動! 私の場の戦士族は1体につき200ポイント攻撃力アップ!」

 

 連合軍…………!

 決して攻撃力の上昇率は高くはないけれど、サイバー・チュチュの効果によるダイレクトアタックを考えればバカにはできないカードになる!

 

 

《エトワールサイバー》 攻撃力1600 守備力1600

 

 

《サイバー・チュチュ》 攻撃力1400 守備力800

 

 

「バトルよ! サイバー・チュチュで愛理にダイレクトアタック! ヌーベル・ポアント!!」

「きゃあッ!」

 

 

《愛理》 残 LP 1600

 

 

「私はこれでターンエンドよ! さあ愛理、来なさい!!」

「私のターン、ドロー!」

 

 私のライフはもう半分を切っている。

 サイバー・チュチュ、あのモンスターをこのターンに倒すことは簡単。

 守るリバースカードを持たない以上、攻撃するだけで容易く破壊できる。

 でも、早すぎた埋葬の様なカードで呼び出されてしまったら再びダイレクトアタックされてしまう。

 そうでなくても、デッキに複数枚入れられていれば、私のライフは追い詰められることになる。

 

 サイバー・チュチュの効果は私の場のモンスターがすべて攻撃力が高い場合に限るから、裏守備表示で出しておけば一応は効果を防ぐことはできるけど、根本的な解決にはならないのよね。

 だからここは多少無理をしてでも、明日香さんの攻撃そのものを防ぐ方向に行くのがベスト!

 

「明日香さん、私のベストを見せてあげます! 私は手札からイリュージョンの儀式を発動! 場の魔導戦士 ブレイカーを生贄に手札からサクリファイスを儀式召喚!」

「サクリファイスッ!?」

「サクリファイスの効果! 明日香さんのエトワールサイバーを吸収して同じステータスになる!」

 

 

《サクリファイス》 攻撃力1200 守備力1600

 

 

「私のエトワールサイバーが……」

「これでサイバー・チュチュの攻撃力はダウン。1200になります!」

 

 

《サイバー・チュチュ》 攻撃力1200 守備力800

 

 

 エトワールサイバーがサクリファイスに吸収されたことで連合軍による攻撃力上昇効果は減った。

 これで私の勝利に一歩近づいたけれど、まだサイバー・チュチュが残っている。

 だから、全力を尽くすために今できる全ての策を使う!

 

「くっ、サクリファイスとウジャト眼を持つ男の攻撃で私の場はがら空きになる。ふふ、流石ね愛理。決して高いステータスを誇るモンスターではないけれど、その効果で1枚1枚確実に処理して勝利に近づいていく。これがあなたの戦術ってわけね」

「…………いえ。明日香さん、私もあなたもまだエースは出していない。そうですよね」

 

「そうかもしれないけれど、それが今何の関係があるの。お互いにエースを出せるほどの余裕がない。それだけでしょ?」

「サクリファイスも、その先の切り札も本当はエースを打倒するためのカードなんですよ。だから、できればこのカードはまだ使いたくはなかったんですけど、そうも言ってられそうにないんで、先に行かせてもらいます。私は手札から融合を発動! 場のサクリファイスと手札の千眼の邪教神を融合!!」

 

「なっ、サクリファイスを融合素材にするですって!?」

「これが私の切り札です! 現れて! サウザンド・アイズ・サクリファイスを融合召喚!!」

 

 

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》 攻撃力0 守備力0

 

 

 エトワールサイバーを装備したサクリファイスと手札の千眼の邪教神が一つとなって現れる最高レアリティのモンスタ──ーサウザンド・アイズ・サクリファイス。

 デュエルモンスターズ界でも屈指の制圧力を誇る最恐のカードを私は召喚した。

 

「サウザンド・アイズ・サクリファイス…………すごいカードを持っているのね愛理。初めて見たわ」

「サウザンド・アイズ・サクリファイスの効果はサクリファイスの発展型。つまり相手のモンスターを吸収したうえに──」

「私のすべての攻撃を封じる。強力な制圧効果。一度召喚を許してしまうと勝利が一気に遠ざかる恐ろしいモンスター…………」

 

 どうやら明日香さんはサウザンド・アイズ・サクリファイスの効果は知っていたようだ。

 額に冷や汗を搔きながら自分に言い聞かせるように説明してくれている。

 

「サイバー・チュチュの直接攻撃は脅威。仮に破壊してもまた召喚されれば元の木阿弥。それならいっそ攻撃そのものを封じてしまえばいい。そしてサクリファイスはそれを可能にしてくれるカード。つまりそういうことです」

「これはまた厄介なカードを召喚されたものね」

 

 明日香さんは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、苦しそうにしている。

 頭の中ではこれから起こることと、これから行うべきことを必死で考えてるのかもしれない。

 だけど、どんな策を練ったとしても、サウザンド・アイズ・サクリファイスに対処するのは困難を極める。

 そして、このモンスターを出した時点で私のするべきことは決まった。

 ただひたすらに攻撃あるのみ………!

 

「サウザンド・アイズ・サクリファイスの効果発動! ソニックバードを吸収!」

 

 

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》 攻撃力1400 守備力1000

 

 

「バトル! サウザンド・アイズ・サクリファイスでサイバー・チュチュに攻撃! 千年呪眼!!」

「サイバー・チュチュがッ!」

 

 

《明日香》 残 LP 3400

 

 

 これで明日香さんの場にはカードはなくなった。

 そしてどれほど強力なモンスターを出せたとしても攻撃できなければ意味がない。

 だからこのままウジャト眼の目を持つ男で追撃をしたかったんだけど………。

 

「サウザンド・アイズ・サクリファイスの攻撃不可の効果は私にも適応される。ウジャト眼を持つ男で追撃できないのは残念ね。サクリファイスのこういう融通のきかないところ、ちょっと不便なのよね。私はこれでターンエンド」

 

「私のターン、ドロー………」

 

 サクリファイスのおかげで場の状況は圧倒的に私が有利だ。

 ライフポイントにおいては敗けているけれど、サクリファイスはそう簡単には対処できないはず。

 仮にリバースカードを伏せられてもウジャト眼を持つ男の効果で確認できる。

 

 勝機は十分にある。

 強いて不安要素を述べるならこの状況を作るために手札を使い切ってしまったことと、サクリファイスの吸収したカードを能動的に外せないことかしらね。

 ソニックバードの攻撃力は高いとは言えない。

 守備モンスターで粘られたら、膠着状態になってしまう。

 

 明日香さん次第ではあるが、好戦的に来てくれるとこちらとしてもありがたいんだけどなあ。

 

「私はモンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドよ」

「私のターン、ドロー! この瞬間、ウジャト眼を持つ男の効果発動! セットされたカードを確認できる。わたしは…………」

 

 確認するのはどちらがいいだろう。

 守備モンスターか、リバースカードか…………。

 

 正直、どちらもリスクはある。

 セットされたモンスターは守備力が高ければ反射ダメージを食らう。

 明日香さんのこれまでの戦術的に可能性は低いと思うけど、リバースモンスターの罠の可能性もあるため、確認はしておきたい。

 

 でもリバースカード、あれが攻撃反応系の罠だった場合、不用意に攻撃すれば手痛い反撃を食らってしまう。

 最悪はサクリファイスを破壊されて、反撃で敗けてしまう可能性もある。

 

 明日香さんの手札は残り1枚。

 それは1度召喚しようとした儀式モンスターで間違いはない。

 ということは、セットされたモンスターは生贄にしようとしたモンスターなのかしら…………?

 

 いえ、断定はできない。

 でも、そう考えることができるなら、ここで優先して確認しておくべきは…………。

 

「私はそのリバースカードを確認させてもらいます」

「………私が伏せていたカードは成金ゴブリンよ」

 

 成金ゴブリン、手札の増強の代わりに相手にライフの回復を許す魔法カード。

 つまり伏せていたカードはブラフ……!

 

 私に確認するカードの選択を与えるために伏せたカードということ。

 手札を増やせるのに使用しなかったのは私のライフが増えるのを気にして……?

 

「なら、私はサウザンド・アイズ・サクリファイスで裏側守備表示のモンスターを攻撃! 千年呪眼!!」

 

 これが通ってくれれば明日香さんをさらに追い詰めることできるけど──。

 

「残念だけど愛理、私が伏せていたモンスターはサイバー・ジムナティクスよ。守備力は1800。ソニックバードを装備したサウザンド・アイズ・サクリファイスでは破壊できないわ!」

「──ッ!」

 

 

《サイバー・ジムナティクス》 攻撃力1000 守備力1800

 

 

《愛理》 残 LP 1200

 

 

「くっ、私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 サイバー・ジムナティクス。

 確かあのモンスターは手札を1枚捨てて攻撃表示のモンスターを破壊する効果を持っていたはず。

 サクリファイスには破壊されるとき、装備モンスターを身代わりにすることができるけれど、それはあくまで戦闘によるもののみ。モンスター効果までは防げない!

 

 だけどなぜかしら、サイバー・ジムナティクスを前のターンに表側守備表示で召喚して効果を使う選択もあったはず。

 サウザンド・アイズ・サクリファイスの攻撃による反射ダメージを狙った?

 でも、ウジャト眼を持つ男の効果で確認されて不発に終わる可能性もあった。

 そうなれば明日香さんの狙いは外して不利になっていたはず。

 

 私がリバースカードを優先すると賭けたのか。

 それともそうすると確信していたのか…………。

 どちらにせよ、私は次の明日香さんのターンでかなり追い込まれることになる…………!

 

「私のターンドロー! 私は伏せていた成金ゴブリンを発動! あなたに1000ライフポイントを与える代わりにカードを1枚ドロー!」

 

 

《愛理》 残 LP 2200

 

 

「私はサイバー・ジムナティクスの効果発動! 手札を1枚捨てて、サウザンド・アイズ・サクリファイスを破壊!」

「サクリファイスが…………ッ」

 

 最強の封殺効果をもったサウザンド・アイズ・サクリファイスが破壊されてしまった…………。

 わかっていたことではあるけれど、精神的にもかなりきつい!

 

「まだよ! 私はさらにライフを1500払って自立行動ユニットを発動! あなたの墓地からサウザンド・アイズ・サクリファイスを攻撃表示で特殊召喚!」

 

 

《明日香》 残 LP 1900

 

 

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》 攻撃力0 守備力0

 

 

「私のサウザンド・アイズ・サクリファイスが明日香さんのものに…………!?」

「これで形勢逆転ね! サウザンド・アイズ・サクリファイスは私が使わせてもらうわ。効果発動! サウザンド・アイズ・サクリファイスでウジャト眼を持つ男を装備!」

 

 

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》 攻撃力1600 守備力1600

 

 

「これで、これまで散々覗き見をしてくれたモンスターはいなくなった。貴方の場が奇麗になったわね」

「さすが…………強いですね明日香さん」

 

 私のエースであるサウザンド・アイズ・サクリファイスは奪われた。

 場の状況は先ほどとは打って変わって文字通り逆転した状況だ。

 

 というより、ほぼ詰んでいるといって差し支えない。

 一応、サクリファイスの攻撃を耐えきれはするし、明日香さんを追い詰めるカードも伏せてはいるけれど、それが上手くいったとしてもサウザンド・アイズ・サクリファイスがいる限り攻撃はできず、守りに轍するしか方法がない。

 

 そして明日香さんなら、私が打開策を練っている間に勝負を決めにかかれる。

 間違いなくそう言える。

 そう………確信できる。

 

「はぁ。サイクロンの1枚でもあれば………まだ可能性はあったんだけどなあ」

 

 残念ながら私の伏せているカードはそうではない。

 仮に次のターン引けたとしても、恐らく最終的な結末は変わらない。

 

 私は実質的な勝敗が決まったことがわかり勝負を諦めて明日香さんの攻撃宣言を待った。

 

「愛理………そうね。これで終わりにしましょう。私は悪魔のくちづけをサウザンド・アイズ・サクリファイスに装備するわ。このカードによって装備モンスターの攻撃力は700ポイントアップ」

 

 

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》 攻撃力2300 守備力1600

 

 

 私が勝負を諦めたことを悟ったのか、明日香さんがこのターンで決めるべくサクリファイスの攻撃力を上げてきた。

 

「…………装備カードも持ってたんですか。次のターンの可能性まで封じてくるなんて、意地が悪いですね」

「ふふ、ごめんね愛理。私は勝てる時は全力で勝ちに行く主義なの。さあ、今度こそ終わりよ。バトル! サウザンド・アイズ・サクリファイスで愛理にダイレクトアタック!!」

 

 私のエースであるサウザンド・アイズ・サクリファイスの目が光り輝き私のライフを終わらせるべく極光を放ってきた。

 

 この光がデュエルの勝敗を別つ光。

 そして…………私の勝利を確定させた光…………!!

 

「…………え?」

 

 

《明日香》 残 LP 0

 

 

 

 実技授業の教室、教室中で行われているデュエルの喧騒の中で明日香さんの疑問の声だけが、私には届いていた。

 

 





 なげえ!
 久々に9000文字近くの文章になった。最後まで書いたらきりが悪くなったのでデュエルの終わりまでにしておきます。

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