夏休みも中ごろ、僕は今日コウキに誘われて友達になった三沢君と3人で海場コーポレーション主催のイベント、デュエルディスク体験会に来ていた。
「おおー!? ここがイベント会場かあ! でっけえーなあ」
「それに人もたくさんいるな。小学生以下限定とはいえ流石海馬コーポレーション主催のイベントだ。規模が違う」
「おい三沢あっちにカードが置いてあるぜ。見に行ってみようや」
「いや、あちらにデュエルモンスターズの歴史について解説されている。俺はあちらの方が気になるな」
コウキと三沢君は会場を見渡しながらそれぞれ思いおもいの行動をとっている。
「う〜ん。それじゃあ1回みんな別れよっか。本イベント開催までまだ時間あるし。1時間後にここに集合しない?」
「そうだな。各々見たいものは違うだろうし、それがいいだろう。まあ若干1名心配なやつはいるが」
三沢君が展示されているカードを見ながらはしゃいでいるコウキを見ている。
「気持ちはわかるけど多分大丈夫だよ。あの様子ならしばらくここから動かないだろうし、最悪迷子の放送で呼び出してもらおう」
「そうだな。何とかなるだろう」
と言うことで僕と三沢君はコウキに一言告げてそれぞれ会場を見て回ることにした。
「すごいなぁ。色々な催しがやってるけど…お! カードが売ってる!」
イベント会場限定パックだ。会場の入り口で何パックか買ったけどまだ余裕あるし、うん。
買っちゃお!
「すみません! これください」
どれどれいいカードは当たってるかなあ?
まあこういうイベント限定パックってあまり強いカードはないらしいから望み薄だけど…やっぱ期待しちゃうなあ。
「うん微妙だ。まあ使えなくはないカードも入ってるかなぐらいだ…」
ドカッ!
「うわあっ!?」
買ったカードを眺めていると後ろから走ってきた子供にぶつかられて転んでしまった。
ーごめんなさーい!
ー何やってるんだよ! 行こうぜ!
「痛てて。もう、こんな人混みで走らないでほしいなあ。あ〜カードもバラけちゃった」
「大丈夫かい?」
「へ?」
僕が地面にバラけたカードを拾っていると目の前に少し年上の少年がいた。
「災難だったね。カードを拾うの手伝うよ」
「あっありがとうございます」
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「カードは全てあったかい?」
「はい。大丈夫です。手伝ってくれてありがとうございます」
「うん。子供が対象のイベントということもあって、どうしても人混みでもはしゃいでしまう子供が多い。カードが気になるのはわかるが、あまり下ばかり見ないようにね」
「はい。気を付けます」
ーお兄ちゃーん!
「おっと! 妹が僕のことを呼んでいるようだ。そろそろ戻らないと」
「あ! ありがとうございました!」
遠ざかっていくその人に向かって僕は大きく手を振りながら感謝の声を張り上げた。
「はあ~。かっこいい人だったなあ。まるでテレビで出てくるアイドルみたいだった」
ちらっと見えたけど妹さんもすごく容姿が整っていたし可愛かった。
あんな娘と友達になれたら楽しいだろうなあ。
「まあ僕には縁のない話か。っと時間はまだあるね。もう少し会場を見て回ろうかな」
僕は父に買ってもらった腕時計を見て時間を確認した後、約束の時間まで的当てやデュエルクイズをしながら時間いっぱいまで楽しんだ。
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「お! 戻ってきたかコナミ」
「うん。お待たせ三沢君」
約束の場まで戻ると三沢君が一人で待ってた。
「コウキは?」
「あそこだ」
会場入り口まで戻ってきたがコウキがそこにはいなかったことを三沢君に尋ねると、三沢君がコウキがいる場所を指さして教えてくれた。
「ええ~。あそこって最初に見てた場所じゃん。コウキずっとカード見てたわけ?」
「どうやらそうらしい。まあ俺も人のことは言えんがな」
どうやら三沢君も同じようにずっと1つの施設にいたらしい。
「たしか三沢君はデュエルモンスターズの歴史についての施設だっけ?」
「ああ、実に興味深い内容だった。本だけでは得られない情報を知ることができたよ。例えば武藤遊戯や海場瀬人といった伝説のデュエリストたち、彼らと戦ったデュエリストについてとかな」
「へ~、そんなに面白かったなら僕も行けばよかったかなあ」
イベントは3日間に渡って行われるが、流石に親同伴で何日も連れてきてもらうのは無理だ。
今回はコウキの父親が車で連れてきてもらえたけれど連日は無理だろう。
『会場にご来場中のお客様にお伝えします。この後30分後に中央広場、メインステージにてデュエルディスク体験会が行われます。参加される方はお手持ちのデッキを持ってご来場下さい』
「さてどうやら時間が迫ってきたらしい。コウキの奴をつれて向かうとしよう」
「そうだね。いつまで見てるのコウキ! 行くよ!」
ちょっと待ってくれ! もうちょっとと言って駄々をこねるコウキを僕と三沢君で引っ張りながら体験会の会場まで向かった。
「へ~デュエルディスクって思ったより軽いんだね」
「ああ、子供用っていうのもあり、より軽量化されたデザインをしているらしい。流石に大人と同じものでは体力や筋力が足りないからな」
中央広場までやってきた僕たちは受付で体験会及び大会の手続きをして貸し出されたデュエルディスクの確認をしていた。
ーおおー! すげー!! これがデュエルディスクかあ!?
遠くでコウキが大騒ぎしているのが見える。
あれだけごねていたコウキもデュエルディスクを手にしてからはそちらに夢中なようだ。
「残念ながら起動はできてもカードの読み込みはまだできないようだな」
「そうなの? …本当だ。まあ仕方ないかな。皆がみんな好き勝手召喚したら収集がつかなくなるし」
「ああ。これはイベントの予定通り使い方の説明を受けてからだな。大会までの楽しみにとっておこう」
そうだねと僕は三沢君に返事をして誰かを探している様子のコウキを呼び戻した。
「コウキ、だれか知り合いでも来てるの? さっきからキョロキョロとしてるけど」
「ん? あ~いやこの前友達になった子が来てるはずなんだが、見ないんだよ」
「へえ、まあこれだけ広いんだから仕方ないよ。ほら…そろそろ時間だし。また後で探そうよ」
「…ああ」
少し名残惜しそうに返事をしながらコウキは壇上の方を向いた。
『デュエルディスク体験会はもう間もなく始まります。まだデュエルディスクを借りていない子はすぐに受付に行ってください。また始まりましたらデュエルディスクの使い方の説明と大会ルールについて説明いたします…』
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大会ルールは3つ
① 広場に集まっている参加者とは誰とでもデュエル可能。
② 1度デュエルした相手とは2度デュエルはできない。
③ デュエルは強制ではないので相手が拒絶した場合はすみやかにほかの人を探すこと。
『デュエル結果はこのデュエルディスクに記録されます。そして参加者の中で最も勝利数の多かった6人が上位入賞者となり壇上でデュエルしてもらうことになります。』
『また注意事項として疲れたら必ずデュエルディスクを外して休憩してください。ソリッドビジョンは刺激が強いので慣れないうちは決して無理はしないようにしてください!』
「つまりじゃんじゃんデュエルして勝ちまくれば景品としてこのデュエルディスクをもらえるってわけだ。燃えてきたぜ!」
「まあそうだな、チラシには上位入賞者と書いてあるし、おそらく入賞した後のデュエルは催しの最後を飾るためのものだろう」
「だったら競争だね。僕たちはどうしようか。お互いの手はもうわかっているけど練習がてら勝負する?」
デュエルディスクを掲げながら僕は内心断られるだろうなと思いながら2人に聞いた。
「いや、やめておこう。せっかくの大会だ。手の内がわかりきっているもの同士より知らない人の方が経験値になるだろう」
「おう! どうせなら色んなやつとやりてえ。お前らとはいつでもデュエルできるしな!」
やっぱり、三沢君とコウキは断るよね。理由も想像通り。
僕としてはできれば初戦は見知ったもの同士で気楽にやって慣したかったんだけど。
断られた以上は仕方ないか。
「…そう言うと思ったよ」
「ではな。お互いあの舞台で戦えるように頑張ろう」
「うん。またね!」
三沢君は一時の別れを告げると相手を見つけるために去っていった。
コウキは…も、もう行ってる。
「せめて一言ぐらい…まあコウキらしいか」
頑張ろうくらいの言葉を告げたかったんだけどな。
「それじゃあ僕も手の空いてる人を探そうかな?」
そうして周りを見渡していたからだろう。
対戦相手を探していると思われて女の子が話しかけてきてくれた。
「君、対戦相手を探しているの? 私もなの。よかったらデュエルしない?」
「もちろん! デュエルしよう!」
「準備はいい? それじゃあ…」
「「デュエル!!」」
最初は男の子が相手で想定してましたけど、この主人公女の子と絡みないなとふと思ったので、対戦相手になってもらいました。