卒業模範タッグデュエル、それはそれぞれがエースモンスターを召喚に成功し今十代君が攻撃権を許されるターンを始めようとしているところだった。
十代君の場には攻撃力が4900にまで上昇しているシャイニング・フレア・ウィングマン、僕の場にはE・HERO オーシャンの効果を付与されたNEPTUNE。丸藤さんは最強のサイバー・ドラゴンであるサイバー・エンド・ドラゴンを、吹雪さんは超激レアモンスターであるレッドアイズの融合形態であるブラック・デーモンズ・ドラゴンが召喚されていた。
「俺のターン、ドロー! 俺はコナミのThe tyrant NEPTUNEの効果を発動! コナミの墓地からE・HERO キャプテン・ゴールドを手札に加える! そして手札に加えたキャプテン・ゴールドを墓地へ送ることでデッキからフィールド魔法、摩天楼ースカイスクレイパーを手札に加える!!」
「うん、それでいい十代君。これでさらにHEROは強くなれる」
卒業模範デュエルの2巡目、攻撃権を許されるターン。初めに十代君は僕のE・HERO オーシャンの効果を得ているNEPTUNEの効果を使ってキャプテン・ゴールドを手札に戻し、僕と十代君、双方のE・HEROのサポートカードとして活躍できるフィールド魔法であるスカイスクレイパーを手札に加え、流れるように発動した。
デュエル場の地面から這い出るようにビル群は天井付近まで伸びていき、天にはデュエル場付属のライトではなく、夜闇を照らす青白く光る満点の月が照っていた。
「バトルだ! 俺はE・HERO シャイニング・フレア・ウィングマンでカイザーのサイバー・エンド・ドラゴンを攻撃、シャイニング・シュート!!」
十代君のシャイニング・フレア・ウィングマンが三つ首の機械の竜であるサイバー・エンド・ドラゴンを破壊せんと向かっていった。
今のシャイニング・フレア・ウィングマンの攻撃力は4900。順調にいけばサイバー・エンド・ドラゴンを破壊できる、さらにその効果で丸藤さんペアに大ダメージを与えれるだろう。しかしそれは丸藤さんのリバースカードによって阻まれることになった。
「俺はサイバー・エンド・ドラゴンに対して援護射撃を発動! サイバー・エンド・ドラゴンに吹雪のブラック・デーモンズ・ドラゴンの攻撃力を加算してバトルする!」
「なにぃ!?」
「まずい!?」
シャイニング・フレア・ウィングマンがその手の甲から突き出した光の剣をサイバー・エンド・ドラゴンに突き刺そうとした瞬間、隣で傍観していたブラック・デーモンズ・ドラゴンから放たれた炎がサイバー・エンド・ドラゴンに力を与えていた。
これによってサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力は4000から7200まで上昇し、十代君のシャイニング・フレア・ウィングマンを容易く返り討ちにできるラインにまで上昇した。
「くっ、させないッ! 僕はリバースカード イタクァの暴風をチェーンして発動! 相手フィールドの全モンスターの表示形式を変更する!!」
ブラック・デーモンズ・ドラゴンの援護をもらったサイバー・エンド・ドラゴンがシャイニング・フレア・ウィングマンを迎撃しようとした瞬間、摩天楼のビル群を縫うように吹き荒れた暴風がサイバー・エンド・ドラゴンの三つ首を傾けさせた。
その隙を見逃さず、シャイニング・フレア・ウィングマンがサイバー・エンド・ドラゴンに剣を突き立てて破壊した。
「ぐっ、サイバー・エンド・ドラゴンが──!」
「まだだぜカイザー。この瞬間、シャイニング・フレア・ウィングマンの効果が発動、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!」
サイバー・エンド・ドラゴンを破壊したシャイニング・フレア・ウィングマンは丸藤さんの前に立ち強烈な光を放ってダメージを与えた。
《丸藤&吹雪》 残 LP 4000
「うぉおおおお!!? ぐっ、すまない吹雪。ライフを半分も削られてしまった」
「どんまい亮。まだまだデュエルはこれからさ!」
表面上はそこまでではないが、落ち込んだ様子を見せる丸藤さんに吹雪さんが問題ないと明るく答えていた。
「あっぶねー。サンキューコナミ。危うく返り討ちされるところだったぜ」
「うん、でもこれでサイバー・エンド・ドラゴンを倒すことができた。それにまだNEPTUNEがいる。この攻撃で一気に優勢を取れるよ!」
「ああ、俺はThe tyrant NEPTUNEでブラック・デーモンズ・ドラゴンを攻撃だ!」
「
巨大なエースを倒したシャイニング・フレア・ウィングマンに続くように僕のNEPTUNEもその両手に持つ大鎌でブラック・デーモンズ・ドラゴンを両断することで破壊することに成功した。
「いよしっ! 俺はこれでターンエンドだ!」
「俺のターン、ドロー。この瞬間、サイバー・デーモンの効果により、もう一枚ドロー!」
丸藤さんのターンが来た。状況は断然僕たちの有利、丸藤さんと吹雪さんのエースたちを倒し、ライフも半分にまで削った。誰が見ても、僕たちの勝利の方が可能性は高いと判断するだろう。しかし、それは薄氷の上に立つ有利であることをすぐに思い知らされることになった。
「俺は手札から強欲な壺を発動! カードを2枚ドロー! まだだ、俺は貪欲な壺を発動、墓地のサイバー・ドラゴン3体と、サイバー・エンド・ドラゴン、そして吹雪のミラージュドラゴンをデッキに戻し、2枚ドロー!!」
「まじかよ。すげーなカイザー」
「うん、なんて連続ドローだ」
「いやー、親友ながらに惚れ惚れするね。亮のドローには」
僕たちは吹雪さんも含めて一様に丸藤さんの連続ドローに驚いていた。サイバー・デーモンと通常ドローも含めれば手札0枚から一気に6枚もドローしている計算になる。そしてそれは丸藤さんに状況の打開をさせるにはあまりあるカード枚数であることを示していた。
「行くぞ十代、コナミ! 俺は手札からパワーボンドを発動! 手札のサイバー・ドラゴン2体を融合し、サイバー・ツイン・ドラゴンを融合召喚!!」
《サイバー・ツイン・ドラゴン》 攻撃力5600 守備力2100
遂に発動された丸藤さんの最強の融合魔法、パワーボンド。3つ首のサイバー・エンド・ドラゴンとは違い、2つ首の機械竜であった。
パワーボンドはその効果で召喚されたモンスターの攻撃力を倍にして召喚する融合魔法。機械族限定とはいえ、それで召喚されたモンスターは軒並み一撃必殺級の攻撃力を持つことになる。
ましてや、丸藤さんが召喚したサイバー・ツイン・ドラゴンは最終系であるサイバー・エンド・ドラゴンより攻撃力こそ劣るが、その効果が極めて凶悪であった。僕はその攻撃力と効果を思い、恐怖と興奮からくる脂汗を拭った。
「俺はサイバー・ツイン・ドラゴンで十代、お前のシャイニング・フレア・ウィングマンを攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
「ぐっ、これはやべえ! 俺はリバースカード ヒーローバリアを発動! E・HEROに対する攻撃を1度だけ無効にする!」
「無駄だ。サイバー・ツイン・ドラゴンは連続攻撃ができる!ヒーローバリアで無効にできるのは1度だけ、2度目は無効にはできん。そのまま撃ち貫けサイバー・ツイン・ドラゴン!!」
十代君が発動したヒーローバリアがサイバー・ツイン・ドラゴンの二つ首から発射された光熱線を1つはバリアとして防いだ。しかし、もう片方の首から放たれた攻撃は防ぎきることはできず、シャイニング・フレア・ウィングマンを破壊するに至った。
《十代&コナミ》 残 LP 4900
「ぐっ、まだだ、僕は十代君のシャイニング・フレア・ウィングマンが破壊された瞬間、リバースカード ヒーロー・シグナルを発動! 僕のデッキからE・HERO1体を特殊召喚する! 僕はデッキからE・HERO フォレストマンを守備表示で特殊召喚!」
《E・HERO フォレストマン》 攻撃力1000 守備力2000
十代君のシャイニング・フレア・ウィングマンが破壊されるのを見るや否や、僕はすぐさまそれが次につなげられるように新たなHEROをデッキから召喚した。それは大地を象徴とするHEROであった。
「ふっ、サイバー・ツイン・ドラゴンは3度目の攻撃はできない。俺はこれでバトルフェイズを終了する。そして手札からサイバー・ジラフを召喚。その効果でこのモンスターを墓地へ送ることで俺はパワーボンドによるリスクダメージを0にする。俺はこれでターンエンドだ」
いやはや全く、丸藤さんには驚かされるな。1ターン目からサイバー・エンド・ドラゴンを召喚するのは当たり前で、2ターン目にはパワーボンドからのサイバー・ツイン・ドラゴンの召喚の成功。それに加えてパワーボンドのリスクマネジメントまで完成させてくる。
まさに完璧な、パーフェクトを体現したデュエリストだよ。
「コナミ、大丈夫か」
「うん、ちょっとすごすぎるプレイングに見惚れてしまってたよ」
「へへ、たしかにカイザーのプレイングには驚かされたぜ。でもよコナミ、お前ならカイザーに敗けないプレイングができるはずだぜ」
「うん、任せてよ十代君。このターンで、サイバー・ツイン・ドラゴンは倒して見せるさ。僕のターン、ドロー!」
サイバー・ツイン・ドラゴン、その強大さについ呆けてしまった。だが、このモンスターを倒さないと勝利へは繋がらない。十代君の期待に応えるためにも、僕がこのターンで倒して見せる!
「僕はこの瞬間、フォレストマンとオーシャンの効果を持つNEPTUNEの効果を発動! デッキから融合を、墓地からE・HERO オーシャンを手札に加える!」
「ん、フォレストマンとオーシャンを手札に加えてきたか。なら、来るね。彼のもう一体のプラネットモンスターが…………」
「ああ、サイバー・ツインを超えてくるか…………」
僕が手札に加えたカードから何が来るのかを察したのだろう。吹雪さんと丸藤さんが訳知り顔で僕を見ていた。
「僕は融合を発動! 手札のE・HERO オーシャンとフォレストマンを融合! 僕はE・HERO ジ・アースを融合召喚!!」
《E・HERO ジ・アース》 攻撃力2500 守備力2000
融合の渦から僕の場に勢いよく召喚されたHERO ジ・アースがスカイスクレイパーの摩天楼の光彩に照らされる形で現れた。
それは僕のデッキの初めての切り札となったHERO、初めてのプラネットモンスターとなったモンスターの召喚であった。
「ほう、NEPTUNEにジ・アース。海王星と地球が同じ場に揃ったか」
「まだですよ丸藤さん。僕にはもう一体、星の名を持つモンスターがいます。それを今登場させる!」
「何ッ!? だが、MARSは墓地へ送られているはず。どうやって召喚するつもりだ!」
「ふふ、MARSは墓地のモンスターを犠牲にすることで自力で召喚できるんですよ! そしてシャイニング・フレア・ウィングマンがいない今、もう墓地のモンスターを気にする必要はない! 僕は墓地のE・HERO クノスペ、キャプテン・ゴールド、そしてレディ・オブ・ファイアを除外することで墓地からThe blazing MARSを攻撃表示で特殊召喚する!!」
《The blazing MARS》 攻撃力2600 守備力2200
僕の背後の大地から噴き出た炎の壁がMARSを生んだ。そして僕の場にMARSが召喚されたことで、ジ・アースを中心に左右にNEPTUNEとMARSが並ぶ形で僕の場に揃った。
それは先日の撮影のために行われたプロモーションとは違う。この大舞台で、大観衆の前で並び立つ形で召喚された3体の星を象徴とするモンスターたちであった。
「すっげえープラネットモンスターが3体も並んだぜ。すっげーなコナミ!!」
「うーん、壮観だねえ。なかなかお目にかかれそうにない光景だよこれは!」
「ああ、しかし墓地のモンスターを除外することで召喚されるモンスターとは。NEPTUNEもジ・アースにも言えることだが、全員が一筋縄ではいかない力を秘めているな、プラネットモンスターとは」
並び立ったその偉大なモンスターたちの存在に会場から歓声が沸き上がった。僕はこれでもかと大舞台でしてやると意気込んでいた光景を作り出すことができたことに天に指を突き上げてそれを成し遂げたことに喜びを示していた。
「よし、僕はジ・アースの効果発動! 場のE・HERO1体を生贄にして、その攻撃力を自身に加算する! 僕はE・HERO オーシャンとなっているNEPTUNEを選択、その力をジ・アースに吸収させる!」
《E・HERO ジ・アース》 攻撃力5200 守備力2000
もはや僕にとっては見慣れた光景であったが、NEPTUNEの力を受け取ったジ・アースはその両手に大地が噴火したかと錯覚させるような剣を握り、僕の攻撃宣言を待っていた。
「攻撃力が5200まで上昇させたか!」
「NEPTUNEを犠牲にしてまで攻撃力を上げるとはね。でも、まだサイバー・ツイン・ドラゴンの方が攻撃力が上だ。破壊するには足りないよコナミ君!」
「いや、コナミのジ・アースはE・HEROだ! ならHEROの相応しい舞台が、その力を貸してくれるぜ!」
「そうだ。僕はジ・アースでサイバー・ツイン・ドラゴンを攻撃! この瞬間、スカイスクレイパーの効果発動! ジ・アースの攻撃力を1000ポイントアップさせる!!
摩天楼ースカイスクレイパーーの恩恵を受け取ったジ・アースの攻撃力は6200へと上昇し、摩天楼の頂上に立ったジ・アースが巨大であるサイバー・ツイン・ドラゴンよりさらに高みからその両手の剣で切り裂いた。
それは巨大な爆発となって丸藤さんたちに降り注ぎ、先輩方に超過ダメージを与えるに至った。
「「ぐぁあああああ!!」」
《丸藤&吹雪》 残 LP 3400
「まだですよ。僕はさらにMARSでサイバーデーモンを攻撃!
「ぐっ」
サイバー・ツイン・ドラゴンを破壊し、残されたサイバーデーモンをMARSが熱球によって破壊した。これで、再び僕と十代君に有利な場に戻すことができた。
「やったなコナミ。サイバー・ツイン・ドラゴンを破壊できたぜ!」
「うん、十代君がスカイスクレイパーを発動してくれていたおかげだよ。僕はカードを2枚伏せてターンエンドだ」
さて、これでタッグデェエルの2巡目のラストターンを飾る吹雪さんのターンが来た。場の状況はは圧倒的に僕たちに有利だ。だが、それでもまだ安心できない。何故なら吹雪さんも丸藤さんに負けず劣らずのデュエリストであり、今、先輩の手札は4枚も存在するからだ!
「ボクのターン、ドロー!! ふふ、最上級モンスターが2体。しかもそのうちの一体は恐らく何度倒しても墓地のモンスターを除外することで復活できるモンスター。危機的状況、まさに崖っぷちってやつかな。うーん、胸が躍るねえ、この状況、逆転するにはもってこいだ」
デッキからカードを引いた吹雪さんのターン。先輩は僕の場にいるジ・アースとMARSに目をやり、危機だと言いながら、それを楽しむように不敵な笑みを浮かべていた。
「そうだね、まずはボクは手札から強欲な壺を発動、カードを2枚ドロー。そして手札から思い出のブランコを発動! 墓地から真紅眼の黒竜を特殊召喚する!」
《真紅眼の黒竜》 攻撃力2400 守備力2000
「そして2枚目の黒炎弾を発動! 君たちにレッドアイズの攻撃力分のダメージを与える!」
「なっ、2枚目!?」
吹雪さんの場に墓地から飛翔したレッドアイズ・ブラックドラゴンが再び攻撃権を放棄する代わりに僕たちに黒き炎弾を放ってきた。
「「うぁああああ!!?」
《十代&コナミ》 残 LP 2500
「ぐっ、黒炎弾を2回撃ってくるとかマジかよ。ライフ4000なら消し飛んでるぜ」
「十代君、まだだよ。まだ、吹雪さんは何かしてくる!」
「ご明察、ボクはさらに手札から龍の鏡を発動! 場のレッドアイズと墓地の融合呪印生物ー闇を除外することでメテオ・ブラック・ドラゴンを融合召喚!!」
《メテオ・ブラック・ドラゴン》 攻撃力3500 守備力2000
吹雪さんの場に現れた竜の飾りがついた大きな鏡を通ったレッドアイズと融合呪印生物ー闇がその鏡から出てきたとき、その姿は大きく変わっていた。
紫焔の鱗を纏い、筋肉質な全身には紅く、熱された文様が流れている。吹雪さんの場に召喚されたメテオ・ブラック・ドラゴンは大きく咆哮を吐いてその強さを会場にいる全てに知らしめていた。
「バトルだ! ボクはメテオ・ブラック・ドラゴンでE・HERO ジ・アースを攻撃! バーニング・ダーク・メテオ!!」
「ぐぅううう!!」
《十代&コナミ》 残 LP 1500
メテオ・ブラック・ドラゴンが口から放った燃える隕石を思わせる攻撃はジ・アースを一瞬で破壊させた。
「ふふ、これでボクはカードを3枚伏せてターンエンドだよ。さあ、十代君のターンだ!!」
一難去ってまた一難、NEPTUNEを犠牲に何とかサイバー・ツイン・ドラゴンを破壊した次は吹雪さんのメテオ・ブラック・ドラゴンが立ちはだかった。
十代君は敗けてたまるかと、負けん気の強い顔をしながら、デッキからカードを引いた──。
ジ・アースの活躍を描いてるとこいつもしかして強いのかと錯覚しそうになるが、そんな時、そんなわけがないだろと一蹴する自分が傍に立っているのに気づくわ。たぶん次くらいで終わるはず。