Re:異世界迷宮で奴隷ハーレムを   作:載せられた人

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 これは“ミチオ・カガ”が取り戻す物語

 かくして盗賊と戦うことになったミチオ達

 はてさてどうなることでしょう?



第16話 盗賊退治

 

 

「どうだろう、アラン殿。なんなら俺を用心棒として雇ってみないか」

 

 

「ミチオ様を用心棒に……ですか?」

 

「そうだ。俺としても売った奴隷が悪さをしたとなると後味が悪い。それに、アラン殿の見立てた俺の働きぶりを、見てみたくはないか?」

 

「あ……ありがとうございます! だ…ご主人様」

 

 ロクサーヌ、そこは旦那様でいいんだが。

 

 

「ふむ……それではお願いいたしましょうか。雇わなくても問題はないでしょうが、襲ってくる賊の規模はわかりません。それで、配置ですが…」

 

「表と裏、どっちから来ると思う?」

 

 

「…そうですね。手引きする者がいるのですから、表から来るのではないでしょうか?」

 

「では、表の方で。先鋒は任せるが、敵が予想外の時の後詰として働かせてもらおう」

 

 

「そうですか……。それで、こちらのエルフの方も?」

 

「もちろん、わたくしも参加いたします。盗賊退治は貴ぞ……こほん、自由民の義務です」

 

「いえ、自由民にそんな義務はありませんが……」

 

 アランの俺を見る眼が、一瞬のうちに胡乱(うろん)なものになった。

 

 

「こいつは俺の師匠の弟子の一人でな。俺を頼ってついてきた…ということにでもしておいてくれ」

 

「はぁ」

 

「大丈夫だ。これでも魔法を使わせれば、一方(ひとかた)ならぬ腕前だ」

 

「ルティナと申します。お見知りおきください」

 

 

「ては、報酬は1000ナール、ミチオ様達が倒した場合には装備品とカードはお渡しし、追加の報酬も支払いましょう」

 

「わかった。では、いつ頃こちらに来たらいい?」

 

 一応聞いておかないとね。

 

 

「…それならば、明け方でよろしいでしょう。賊が来るのはその時間になるはずです」

 

「こちらの予想とも同じだな」

 

「はい。当家にも戦闘奴隷はおります。普段は信頼できる者に率いらせ夜明け前から5人で迷宮に入っておりますので。賊がここを見張っている、というのなら奴隷たちの動きも把握済みでしょう」

 

 ニヤリ

 

「襲ってくる賊を逆に罠に嵌めて待ち構えるのか」

 

「はい。明日は戦えない者をカモフラージュとして出すことになりましょう」

 

 それに、と、

 

「私も第一線は退き、パーティも息子に譲りましたが、まだまだ盗賊ごときに後れをとるものではありませんよ?」

 

 と胸を張って自信のほどを語ってくれた。

 

「それは心強いな」

 

 前回結局アランは戦ったのだろうか?それとも指揮をしただけだったのだろうか。

 

「明け方来るときは、どこから入ったらいい? さすがに正面からは無理だ」

 

「裏口がこちらにございます。一本向こうの道に繋がっています。建物もあるので、出入りしたことはバレません。それに向こうの道に見張りを置いていても、どこに行ったかまではわからないでしょう」

 

 裏口を開けて外を見せてもらう。これで場所を覚えたので、

 

「そこら辺は何とかしよう」

 

 ワープが使えるようになった。まぁ前回の記憶にもあるが念のため、だ。

 

 

「それでは、怪しまれないように来た時と同じに出させてもらう」

 

 そう告げると「認識阻害(普通の人)」を稼働させる。

 

 

「!? これは…、確かに案内人を叱るのはやめておきましょう」

 

「それでは」

 

「ええ、本日はありがとうございました」

 

「ああ、世話になった」

 

 

 監視している盗賊にも聞こえるようにした。

 

 まぁ、聞こえていても、認識を阻害されて(何を言っているのかわからなくなって)いるのだが、まぁ形式美とはそういうものだ。

 

 仮に、客の出入りの人数を調べていたら面倒なことになるからな。

 

 

「ルティナ?」

 

「鑑定に反応しています。二人変わらずです」

 

 

「あの」

 

「? どうした?」

 

「わがままを言って申し訳ありませんでした」

 

()()()()はわがままを言うものだ」

 

「そうですよ、ロクサーヌお姉さま。こんなのはわがままとは言いません。わがままとは…」

 

 そこで、ぷいっとそっぽを向いてしまった。

 

「…わがままとは、もっと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ものです」

 

 

 あぁ、()()()()を言っているのかわかる、わかってしまう。

 

 お前たち(パーティのメンバー)から見たらそうだったのだろう。

 

 ルティナは元伯爵令嬢だったわりには、比較的質素だったから、特にそう思うのだろう。

 

 俺やセリーには内情がわかっていたので、それらを止められなかった。

 

 俺の()()()()回避不能(勅命)だった()()、それが前回(チュート・リアル)の終わりの始まりだったのだろう。

 

 そのためにも、もっと力をっ!

 

 そして、出会いの回避をっ!

 

 って、それは置いておいて、

 

 

「…だそうだ。それに、ロクサーヌ(お嫁さん)にとっての不安は、(だんな)の不安でもあるからな」

 

「そうですそうです。ロクサーヌお姉さまは、迷宮討伐()()にもっとわがままを言うべきです」

 

 おい、ルティナ、実はお前()そう思っていたんだな。

 

「はいっ、ありがとうございますっ!」

 

 

 

 その後は、市を普通に楽しんだ。

 

 ルティナの服を追加で買ったり、ルティナとロクサーヌにお揃いのアクセサリー*1を買ったり、屋台でおやつを食べたりして楽しんだ。

 

 面倒だったので、「認識阻害(普通の人)」を付けたまま。

 

 ─実は幸運+999渾身のアシスト。ルティナを捜索する騎士とすれ違って(ニアミスして)いました─

 

 

 

 クーラタルの家に早めに帰って、夕飯を三人で作って食べて、身を互いに清めあって、早めに寝た。

 

 さすがに、斬った張ったの前日だけに、抱き合って眠る()()にした。

 

 

 ミチオ様、偽物ですか? なんて失礼なことを言うルティナを、

 

 キス()()で攻めて天国に送った後に。

 

 そうしたら、ロクサーヌが羨ましそうにしていたので、ロクサーヌも同様に天国に送ることになったがな。

 

 

 さすがに、前回の最期の1年のような異常状態(毎月迷宮討伐時期)とは違うのだ。

 

 あのときは、パーティ・メンバーとの情事だけが、癒しであり、救いであり、慰めでもあったのだろう。

 

 彼女(人間の嫁)は、できた女だった。妊娠期間であったこともあり、俺の意向も酌んでくれたし、妊婦でありながら、皇帝の意向にも応えていた。

 

 ただ、鳶色の瞳(ロクサーヌと同じ瞳)濃い鮮やかな栗色(ロクサーヌと同じ髪の色)でなければ、

 

 あるいは、彼女(人間の嫁)が、仮にもっと悪女であれば、それはそれで仮面夫婦としてやっていけたかもしれないが。

 

 まあそれも過去……未来の話だ。

 

 実は、現在は()()彼女(人間の嫁)未亡人(寡婦)になっていない。

 

 ちょっとアイテムボックスにあるエリクシールを1本、彼女(人間の嫁)の依頼に都合するだけで回避できる。

 

 彼女(人間の嫁)も助かり、俺もその未来を回避できる。

 

 

 俺はとても薄情なのだろう。

 

 彼女(人間の嫁)との()を見捨ててしまっているのに。

 

 でも、どうしても取り戻したい、とは思えないのだ。

 

 さようならだ、未来の息子よ。

 

 もしまた俺の子供に生まれたいのであれば、ロクサーヌに宿ってくれ。

 

 そうしたら今度()愛せるかも知れない。

 

 嫌なら、ルティナでもいいし、他のメンバーとの子でもいい。

 

 或いは、今際の際でも、それこそ、日本に戻ったときに欠片も気にかけなかった俺を見捨ててくれ。

 

 俺はロクサーヌと、パーティのメンバー(少なくともルティナ)と生きることに決めたのだから。

 

 まあ、他のメンバー(セリー・ミリア・ベスタ)がどう思っているのかは、それこそ聞いてみないとわからないがな。

 

 

 クーラタルの町 ミチオ邸・寝室 春の7日・日の出前 

 

 

 少しのモヤモヤと、()()()()()()()()()()()ながら寝ていると、ロクサーヌがキスで俺を起こしてくれた。

 

 今日は眼が覚めたら少し早く起こしてくれ、と頼んでいた。

 

 

 ちゅっ、ちゅぅ、ちゅぱっ、ん…、んっ

 

 ロクサーヌの舌が起きることを促すように、俺の舌を優しく(こす)ってくる。

 

 さらに、ロクサーヌの霊峰が胸に押し付けられて弾むのを感じていた。

 

 

 その弾力を堪能しながら、俺も応えなければ…

 

 そっと舌を差し出して、ロクサーヌの舌と(たわむ)れる。

 

 ゆっくりと往復し、ときに伸ばしては深く絡ませる。 

 

 

 あぁ、このまま……じゃない。用心棒の出番ですよ。

 

「旦那様、おはようございます。そろそろお時間です」

 

「あぁ、おはよう、ロクサーヌ。先に着換えて準備してくれ」

 

 

 そう言って、灯りを付けて(ラン・ライトして)から、ルティナをキスで起こしにかかる。

 

 まず、身動きが取れないように、ぎゅっとルティナの手の上から覆うようにして強く抱きしめる。

 

 

 その感触でまどろみから返ってきたところに、

 

 ちゅーーっ

 

 深く、ちょっと強引に、強めに吸い付いていく。

 

 

 身体をくねらせるのを、腕と足で押さえ込む。

 

 抵抗が弱ってきたところに、舌を差し入れて、ルティナの舌と絡めていく。

 

 ルティナの青い瞳に光が宿ったところで、舌を強めに引き込んで吸い付く。

 

 ぶるっ、と一震えしたところで、唇を(はな)す。

 

 

「おはよう、ルティナ」

 

「おはようございます、ミチオ様。最高の目覚めでした。…覚えていてくれたんですね」

 

「そりゃあルティナ(お嫁さん)とのことだからな」

 

 他愛もない話だった。

 

 パーティのメンバーと、迷宮のラスボスとの戦いの日に起きるなら、どう起きたいか、と、

 

 その時に、各自の考える最高の目の覚まし方について話したことがあった、

 

 なんども訪れた(合計19回の)大きな不安(ラスボス戦)を前にしての、ささやかな幸せの記憶だった、

 

 それだけだ。

 

 

「もう、ミチオ様ってそういうところ外しませんよね」

 

「おう、起きて支度するぞ」

 

 

 ロクサーヌにルティナの装備品を渡して支度を手伝ってもらいながら、自分のボーナス装備品をコマンド操作で一気に装着する。

 

 ヨシッ!

 

 その後、互いの装備を確認する。

 

 一つ一つ、不備がないか、破損や緩みが無いか確認していく。

 

 <ロクサーヌ・16歳>盗賊との戦いを前に、ちょっと緊張気味。旦那様は私が守るっ!

 獣戦士:Lv15 

 装備 :『聖剣レギンレイヴ』レイピア 『聖レギンレイヴの盾・鎧・籠手・兜・脚甲』

     身代わりミサンガ

 

 <ルティナ・15歳>最高の目覚めで気分上々。ミチオ様に教わった新魔法で一掃よっ!

 魔導士:Lv55 

 装備 :強権の聖槍 ひもろぎの硬竜革の鎧 駿馬のエナメル・ハイヒールブーツ

     耐火の聖銀のサークレット マジカル硬竜革の籠手、防毒のボディークリップ

     吸精の聖銀のダガー 身代わりミサンガ

 

 パーティ装備制限解除があるので、ルティナはボディークリップとミサンガの両方を装備している。

 

 なお、ルティナの場合、セット装備ではないが、代わりに装備の全スロットが埋まっている。かかったスキル結晶(モンスターカード)合計で……コボルトの分を含めると50枚以上使っている超豪華仕様だ。

 

 俺も、『真・デュランダル』両手剣に、『真・アイギスの鎧・籠手・兜・脚甲』を身に纏っている。

 

 前回であれば、ボーナス装備7(BP127)×5の超豪華仕様だ。…今では、たったのBP35だが。

 

 

「では、行くぞ」

 

「はいっ」「かしこまりました」

 

 

 ワープ 

 

 行き先:ベイルの町・アランの商館の裏口 

 

 

 寝室の壁を抜けて道にでる。

 

 パラメータの暴力にものをいわせた視力(物理)で確認する。商館裏の路地だ。

 

 その裏口の扉をコンコンと小さくノックする。

 

 扉はすぐに開いた。

 

「お待ちしておりました。こちらへ」

 

 カンテラを持ったアランが、いつもの正装で小声で囁いた。

 

 無言で頷いて中に入ると、音を立てないようにゆっくりと裏口を閉めた。

 

「灯りを持たずによく来られましたね」

 

「なに、問題ない」

 

 但し俺だけ。嘘は言ってない。

 

 

 アランの後に続いて階段を上がる。

 

「代わりの者を先ほど迷宮に出しました。おそらくもう少ししたら動き始めるでしょう」

 

 二階に着くと、小声でざっと作戦の説明を始めた。

 

「それまではここでお待ちを。動きがあったら我々店の者が下に行って賊を迎え撃ちます。そのときは、階段を守り賊が上がらないようにしてください。賊がこちらの対応を超えているようでしたら、手助け願います」

 

「了解した」

 

「上の階には奴隷や世話をする係の人間など、闘えない者もおりますので、さすがに上から賊が入ってくることは無いと思います」

 

 アラン、お前今、フラグ建てただろう! ルティナに眼をやる。

 

 ルティナは静かに頷いた。お前も新しい魔法を使いたいだけだろう!

 

「では」

 

 アランがカンテラの灯りを吹き消した。

 

 

 

 あとはひたすら、

 

 

 

 待つだけだ。

 

 

 

 廊下には7人の戦闘奴隷がいた。

 

 鑑定してみると、冒険者や戦士、僧侶などで、レベルが結構高い。

 

 彼らでけりがつけばいいのだが…

 

 

 

 じっとしていると、微かな音がしたので、ロクサーヌと共に立ち上がった。

 

 続いて、他の戦闘奴隷たちも立ちあがる。

 

 

「動きがあったようです」

 

 小声で状況を説明するロクサーヌ。

 

「ああ、それと予想より人数が多そうだ。ざっと30人は居そうだ」

 

 右上の地図上に、赤い点が多数見えていた。

 

 それに、

 

「ルティナ、ロクサーヌ、二階から侵入しようとしている者が3~4名いる。人質を取られると不味いので、早急に迎撃しに行くぞ」

 

 あっちの方だ、と表側の右の方の窓のある部屋を指さした。

 

 

 一瞬、ちょっと驚いた顔をしたが、ロクサーヌは頷いて静かに歩き出す。ルティナも後を追った。

 

 後はロクサーヌならわかるだろう。

 

 アランに向かって、

 

「こっちを片付けたら、外から下に向かう。挟み撃ちにすればいい」

 

「…それでは、二階の迎撃はお任せいたします」

 

 アラン達は、階段上に一人残すと、音を立てないようにゆっくり階段を降りていく。

 

 

 俺も音を立てないように気を付けながら右の方の部屋に向かう。

 

 

 

 

 

 その盗賊は残忍だった。

 

 無抵抗な人を甚振るのが大好きだった。

 

 だから、二階へ突入する班の先頭で参加していた。

 

 窓の下に梯子をかけさせる。

 

 そして、そのまましっかりと押さえておくように命令すると、梯子に足をかけた。

 

 窓の前に着くと、窓の扉に手を掛ける。

 

 手筈通り、鍵が開いている。

 

 ニヤリとすると、腰のシミターに手を掛けて…

 

「はい、さようなら」

 

 目の前で窓が中から蹴り開けられる、同時に視界が高く跳んだ。

 

 霞む視界の中、首を斬られた体から血が噴き出す自分の体が見えた気がした。

 

 

 

 

 俺は、ロクサーヌに蹴り開けてもらった窓の外にいた、盗賊の首を刎ねると同時に、梯子に沿って飛び降りた。

 

 首なし死体と、2〜4番目にいた盗賊をクッションにして、地面に見様見真似の五点着地で降りる。

 

 ぐるりと1回転した身体を起こしつつ、クッション代わりにした盗賊の心臓を突いて止めを刺す。

 

 

 唖然とした顔をしている盗賊の中で、俺は『覇者』の「クロックマスター」を念じた。

 

 

 時間が止まる。

 

 いや、止まったくらいに遅くなった世界を、一人だけ自分のスピードで駆けていく。

 

 鑑定でレベルの高い物を狙いつつ、途中の雑魚も次々と切って捨てる。

 

 Lv38とLv35の盗賊を斬り終えたところで、喧騒が戻ってきた。

 

 

 さらに、遊び人にセットした英雄王の「オーバークロック」を発動させる。

 

 レベルの高さから、こっちの方がひどかった。

 

 完全に止まってしまった世界を、縦横無尽に駆け廻る。

 

 商館の付近で外にいた盗賊を全滅させ、赤い点となっている冒険者と探索者を『真・剣神』の「手加減」を使って気絶させたところで、ようやく音が戻ってきた。

 

 

 二階を見ると、ルティナが中級火魔法の誘導弾(バーン・ミサイル)*2を複数発動させて、発射したのが見えた。

 

 少し離れた所にいる、逃走用の馬車とそこにいる盗賊たちを始末するのだろう。

 

 …昨日教えたばかりだというのに、器用に操っている。*3

 

 

 俺は、二階に一度手を振ると、店内に入り込んだ盗賊を挟み撃ちにすべく、入口から入った。

 

 右上の地図をズームアップして見ると、店内には、5人ほど押し入って闘っているようだ。

 

 後は鑑定しながら、間違えないように後ろから倒すだけだ。

 

 押されている戦闘奴隷から順番に助けていく余裕すらあった。

 

 

 最後に、アランに取りついている盗賊の頭目らしきLv48の人物を後ろから殴り倒す。

 

「手前で最後だ」

 

「バカな、30人も揃えたんだぞ、」

 

「30人ね。盗賊は全員お寝んねしてるよ。もう二度と起きてこないが」

 

 くそっ、と悪態をつくと“何か”をしようとしたので、念のために「クロックマスター」して手を斬り落とす。

 

 やばい、毒針を多量に持ってやがった。

 

 これでさらに、自爆玉とか持っていられると困る、

 

 限りなく遅い時の中で、背後に廻って心臓を突き刺し止めを刺した。

 

 

 そこで、音が戻ってきた。

 

「大丈夫か、アラン殿」

 

 さすがのアランも息が切れているようだ。

 

「はぁ、はぁ、私が見込んだ以上の、ものがありました、はぁ」

 

 

「お疲れのところすまんが、二つ頼みごとがある」

 

 先ず、指を1本立てる。

 

「逃走用らしき馬車が数台あった。ルティナが()()()()()()で燃やしている。消火を手伝ってくれ」

 

 馬鹿正直に言う必要もないからな。

 

 次に、2本目を立てる。

 

「強奪用か逃走用に、冒険者と探索者が二人いたので外で気絶させている。確保しておいてくれ。ああ、息があるのはその二人だけだ」

 

「承知しました。インテリジェンスカードの確保も致しましょう」

 

「すまんな、手を掛ける。それでは消火してくる」

 

 アランは戦闘奴隷に指示を出す。さらに、上に避難していた者にも頼むようだ。

 

 

旦那様っ!!

 

 

 ロクサーヌが二階から駆け下りてきて、その勢いのまま飛び付いてきた。

 

 危ないので受けとめ……きれずに後ろに倒れ込んでしまう。

 

 ロクサーヌが怪我しないように手を廻して庇う。

 

 結果、今日一番のダメージをうけてしまった。

 

 

旦那様っ旦那様っ旦那様っ旦那様っ

 

 

「大丈夫だ、怪我一つしていない。……たった今したところだ」

 

「大丈夫ですか!? どこですか?」

 

 

「だぁーーっ、落ち着けっ」

 

 しかたなく、ロクサーヌにディープなキスをする、そう、しかたなく。

 

 半狂乱になっていたロクサーヌが落ち着いたところで、舌を絡めて……じゃなく、唇を放す。

 

 

「旦那様ぁ」

 

 ぽやぽやになったロクサーヌの頭を、兜越しにぽんぽんとやさしく叩きながら、

 

「大丈夫だ。だから、安心しろ」

 

 階段の方を向いて、ルティナをジト眼で見る。

 

「ああなったロクサーヌお……は、止められません」

 

 それは知っている、パーティのメンバーの常識だった。

 

 ……そう、常識()()()、のだ。

 

 

 ()()()もそうだった。

 

 何を言っても聞かなかった。

 

 だからセリーはすぐに諦めたのに、ルティナはそれでも最後まで反対していた。

 

 意外とこの辺がシコリになっているのだろうか。─実は正解です─

 

 

 とにかく、火事になっても不味いので、ルティナとアクア・ボールを連打して、火を消し止める。

 

 戦闘奴隷も、手傷を負った者もいたが、死傷者は無かった。

 

「それでは、今のうちに引き上げるとしよう」

 

「……では、騎士団には上手(じょうず)に手を打つようにしましょう」

 

 ホント、アランの察しの良さには頭が下がる。

 

「よろしく頼む」

 

 俺たちは、「認識阻害」を発動させて立ち去った。

 

 

「それにしても、外で賊を20人強を相手取って、全くの無傷ですか。本当に想像以上ですね」

 

 アランの呟きは薄明の中、消えていった。

 

*1
─装備品ではない─

*2
─アカシック・レコードにより判明したマジック・ミサイル(ロストマジック)

*3
─もちろんミチオの『覇者』の器用極大の効果が効いています─





 続きを更新します。

 ミチオの()()が新たな変化を生みました。

 盗賊が対立よりも共闘を選び、商館襲撃が大規模化してしまいました。


 が、当二次創作は“基本的に”スーパー・イージー・モードです、いろいろと。

 なので「ついて行けない」「合わないな」と思われた方はブラウザバックをお願いします。

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