Re:異世界迷宮で奴隷ハーレムを   作:載せられた人

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 これは“ミチオ・カガ”が取り戻す物語

 セリーの怒りが嵐を呼びました

 その嵐が明らかにしたことは……



第24話 雷

 

 

「たったの、十日で一体何無茶やったんですか?」

 

「だ、大丈夫か、セリー? 手は痛くないか?」

 

 

 セリーは俺を(はた)いた手を押さえている。

 

 俺は、『医師』のパーフェクト・ヒールをセリーにかけた。

 

 

「…ありがとうございます。でも、石頭すぎます。だいたいなんでもう最上位のジョブを持っているんですか!?」

 

「そりゃあ、セリーたちとの子供が欲しかったんだ」

 

 都市伝説でも聞いたら確かめずにいられなかったんだ、と本音がこぼれた。

 

「旦那さま…」

 

「セリー…」

 

 

 それに、

 

「それに、今なら彼女(人間の嫁)も俺に関わらずに済む」

 

 

 と、セリーの気配が変わるのが感じられた。

 

()()のこと……、あの発言を未だに許してないのですか?」

 

 俺は無言で答えた。

 

 

「はぁ、前回のことをどう思っているかしれませんが、()()がどれだけ苦労したかわかっていますか?」

 

「それでも、俺にはセリー達だけで良かったんだ」

 

「でも、()()()()()には無理でした。()()は誰も、貴族を知らず、領地経営を知らず、宮中のしきたりを知らずにいました。叙爵して貴族になったというのに、それを知らないのは致命的ですよね?」

 

「ぐっ……それはそうだったけど」

 

「でも、彼女はパーティばっかり開いて、お金を湯水のごとく使って…」

 

 

()()()()

 

 

「ぴっ、セリー様」

 

 

()()()だった、()()()()には()()()()()()()()()ですよね?」

 

 

「うっ……」

 

 

「あの頃、()()がどれくらい()()()()()()()()()()()()のか、()()()()()、とは()()()()()()よ」

 

 

「で、でも、貴族の責務として迷宮討伐を…」

 

()()()()たのです。いくら旦那さまが()()()()されていたとはいえ…」

 

 

「うぅ~ぅ」

 

「配慮されていたか?」

 

 

()()()()()()()()()ください。()()()()()

 

 

 …俺はさっさとブーツを脱ぐと、セリーが指さした床に直接正座した。

 

 

 セリールティナじっ見つめた

 

 ルティナじっ見つめた

 

 じっ見つめた

 

 ルティナもブーツを脱いで、床に女の子座りでへたり込んだ。

 

 

()()()()、どうも()()に対する()()()()()()()()()()ようなので、()()していきましょうか?」

 

「はい」「はいっ」

 

 

「あの…セリーさん? 旦那様を床に座らせるのは…」

 

 

()()()()()さんも()()ますか?」

 

 

「いえっ、あの…」

 

 

()()ますか?」

 

 

「はい」

 

 ロクサーヌもブーツを脱いで腰を下ろした。

 

 

「では、()()()()()()()()()()()()()したか覚えていますか?」

 

 

「19個です」

 

 

「そのうち、最初の1個は叙爵したときなので除くと18個になります」

 

 ぴっ、と指を立てた。

 

 

「さて、そのうち、()()()()()()のは()()()ありましたか?」

 

「カッサンドラおばばに頼まれたのが3個で、ハ、ハルツ公爵に頼まれたのが1個、ル、ルティナのためにセルマー伯領内で6個、領内で発生したものが2個、皇帝からは…6個?」

 

 

()()()()()()()()()か?

 

 

「うっ…それは……」

 

 

「なんで()()()()()()()と、()()()()()()()()なんですか?」

 

 

「それは…ル、ルティナの弟や妹のために…」

 

 

旦那さまならしてあげます。なぜエルフの迷宮ばかり1()0()()も討伐することになったんですか?」

 

 

 俺はセリーを見上げた。

 

 満面の笑顔だった。

 

 こめかみが引きつってなければ、俺も一緒に笑ってしまうような。

 

 

 あぁ、俺は前回最大の失敗(しくじり)から逃げようとしていたのだな。

 

 もう逃げないと言っておいて、この始末か。

 

 これでも見捨てず、許してくれるというのは、セリーの深い愛情なのだろう。

 

 

「俺が、浮気をしていたからだ」

 

 

 隣で二人が身じろぎするのがわかった。

 

 

「俺が、カシアの誘惑に負けて、浮気してしまったからだ」

 

 

「それ()()ですか?」

 

 

「俺が、カシアと()()()()()()を続けてしまったからだ」

 

 俺は…

 

「今だからわかる。俺はどこかおかしかった…」

 

 

 前回(チュート・リアル)、最初は、ある意味自分が生きていくことに懸命だった。

 

 

 だから、異世界転移した直後のゲーム感覚が抜けなかったときを除いて、

 

 2日後には迷宮に入り、3日後にモンスターハウスに迷い込み、盗賊を狩る決意をして、

 

 6日後に賞金首を狩って、7日後にロクサーヌを手に入れていた。

 

 

 そこには、確かに生きる()()があった。ロクサーヌを手に入れるという()()があった。

 

 ロクサーヌと()()()()()()()()()という()()だけがあった……ような気がする。

 

 

 それでも平和な世界で暮らしていた、元日本人の俺が、盗賊狩りを平然と行うのに、

 

 わずか6日で済んだというのだから、俺は、どこかおかしかったのだろう。

 

 

 それでも、生きていたかった。ロクサーヌと、共に居たかった。

 

 最初はそれだけだった。

 

 

 それなのに奴隷ハーレムを作ることに固執するようになって、

 

 パーティのメンバーを次々と増やして、揃えていって、

 

 

 その末に、エルフのカシアと浮気──不倫をしてしまった。

 

 

 向うはちょっと危険な火遊びをする感覚だったのだと思う。

 

 何しろ、エルフは人間とは子供ができないのだから、

 

 固有ジョブとして色魔を持つ人間相手というのは、不倫相手としても都合がよかったんだろう。

 

 

 そして、あの美貌に魅かれていた俺は、あの艶のある美声にそそのかされて、

 

 あの仕草にときめいてしまって、ほいほい、と誘いに乗ってしまって、

 

 まんまとカシアに頂かれて、関係を持ってしまった。

 

 

 そして、俺は…

 

 無様なことに、それでも、あの嬌声に脳を焼かれて、ズルズルと浮気をし続けて、

 

 ルティナのため、とセルマー伯の迷宮の攻略をホイホイ引き受けてしまった。

 

 

 

 それを、第一夫人であるロクサーヌに取り繕いながら、

 

 あっさりと、彼女(人間の嫁)にもバレて、

 

 でも、それがなぜか、まかり通ってしまった。

 

 

 ──異種族とは子供ができないという、ただその一点があるだけで。

 

 

 その理不尽をずっと飲み込んできたロクサーヌに、刺されて死んで、

 

 ようやく俺はロクサーヌとの愛を、取り戻す決意をしたんだ。

 

 カシアの呪縛からようやく外れることができたんだ。

 

 

 だから、やっぱりどこか、おかしかったのだろう。

 

 或いは本当にただのクズなだけなのかもしれない。

 

 俺は、今、ロクサーヌに前回の記憶が無いことを、

 

 ほんの少しでも喜んでいるということを、否定できないでいるんだ。

 

 

 だから、ロクサーヌと、パーティのメンバーたち(セリー・ミリア・ベスタ・ルティナ)との愛の証が、

 

 子供が何よりも欲しくなってしまった。

 

 

 やればできてしまう人間との子供ではなくて、本当に愛の証である子供を。

 

 でも、それも相手にとっては、負担になるかもしれないのに、そんなことも考えずに。

 

 

 でも()()()()()()()()()()は過去にそういう存在がいたことを教えてくれた。

 

 

 だから、色魔ジョブを極めるためなら、俺は、迷宮に飛び込めた。

 

 クーラタルの高層階をソロで周回するというキチガイ沙汰を、無理無茶無謀をすることもできた。

 

 

 そして、ロクサーヌもルティナも俺との子供を望んでくれた。

 

 もうそれで充分なはずだった。

 

 

 そう思うだろう? でも、本当に欲しくなったんだ、お前達との真実の愛の結晶を。

 

 そうしたら、もしかしたら今度こそ子供を愛せるかもしれない、

 

 

 そんな歪んだ想いが、今の俺を突き動かしているんだ。

 

 衝動の大半は、そんなねじ曲がってしまった俺の思いなんだ。

 

 

「俺は、どこかおかしかったんだ…」

 

 情けないことに涙が止まらない。

 

「ごめんな、ロクサーヌ。ごめんな、ルティナ。全部俺が悪かったんだ」

 

 

 優しく頭を抱きしめられていた。

 

 セリー…

 

「まさか、ここまで赤裸々に語ってくれるとは思っていませんでした」

 

 旦那さま、よく言えました。偉いです。

 

 そう言って、

 

 頭を撫でてくれた。

 

 セリー…俺は、俺が、俺の、俺に…

 

 

 そう、俺が悪かったんだ。ごめんなセリー。ごめんなミリア、ごめんなベスタ。

 

 俺が悪かったんだ……

 

 

 でも、セリーはその胸で包み込んでくれた。

 

 その体温が温かくて…

 

 その温かい手が俺の頭をやさしく撫でてくる。

 

 

「だから、エルフに気を許してはいけません。いいですね」

 

「あぁ」

 

 

 セリーの声が頭の中に響いてくる。

 

 

「そうです。いい子ですね~。エルフは敵ですよ」

 

「ちょっとセリー様、それはさすがに…」

 

「むっ、では、ルティナ以外のエルフは…」

 

「セリー様…というか、カシア姉さまが敵なだけでは?」 

 

「ちっ、カシアは敵です。いいですか? カシアは敵。リピート・アフター・ミー、カシアは敵です」

 

 

「カシアは敵」

 

 カシアは敵…、カシアは敵…

 

 

「そうです、そうですよ」

 

「セリー様、ずるいです。わたくしも、カシアは敵ですよ」

 

 俺は…

 

 

 

 

 

 ミチオが、泣きながら眠ってしまったので、床に腰を下ろしたセリーが抱きとめている。

 

 ミリアとルティナは、台所で食器を片付けている。

 

 

「そのカシアというエルフに旦那様はたぶらかされたのですか?」

 

「ええ、ロクサーヌさん。今日の告白で確定しましたが、おそらくルティナの弟や妹のため、といってセルマー伯の迷宮を全て(6個)、ハルツ公爵の手間取っていた高層の迷宮を1個、計7個はハルツ公爵夫人カシアの誘導でしょう」

 

「エルフのカシア…ハルツ公爵夫人……」

 

「それもこれも前回の話です。今生では会うことすらないでしょう」

 

 いえ、会わないように立ち廻りますが、とセリーは黒く微笑んだ。

 

 

「まぁ、さっきはああ言いましたが、別にエルフが全部悪いわけではありませんよ。エルフの中でもカッサンドラおばば──ルティナの一族の長老とは、貸しも借りもある、それなりの相手でした」

 

 初代カガ家を叙爵した(立ち上げた)とき、ルティナの支援という名目で一族のものを紹介してくれました、と続けた。

 

 

「今回のことでわかりましたが、旦那さまには一族係累がいません。…そう(かた)るものはいましたが。そんな中、カッサンドラおばばは対価を払えば(迷宮討伐で)協力してくれるだけ良心的でした」

 

 生き馬の目を抜く貴族社会では、自派閥に取り込みたいもの、迷宮を討伐してほしい者、寄生しようとするもの、なんでもありでした。

 

「その時に、()()()()を使った取り込みや誘惑が多くて多くて…旦那さまが歪み始めました」

 

 

 そして、皇帝も…

 

「なぜか師兄(すひん)と慕ってきていました。まぁ正直ストッキングを履いてハイヒールブーツで踏んだときに、敬意はどこかに吹っ飛んでいってしまいましたが」

 

 めちゃめちゃ乾いた笑顔だった、眼も死んでいた。

 

 

「先ほど、皇帝の依頼は6個と言いましたが、その内半分は旦那さまの自業自得です。決してカシアのように使い倒そうとはしませんでした」

 

 何しろ、公衆の面前で一度皇帝の頭を(はた)いたことがあります、と今度は苦笑いをしていた。

 

 

「むしろ、『皇帝の懐刀』として、高層となった迷宮への切り札として、十分配慮してくれましたよ。知っていますか? 最初に討伐した迷宮が92階層あったんです」

 

「それは旦那様から聞きました」

 

 

「そのため、クーラタルの迷宮への皇帝の親征にも随伴しました。ぶっちゃけると、95階層まで突破したのは、私達パーティの仕事でした」

 

 対外的には皇帝親征となっていますが(黒笑)

 

「親征は皇帝も嫌だったようです。何しろ旦那さまが迷宮討伐を国是とする帝国で、初代皇帝の作った伝説的記録を超える迷宮を討伐してしまいましたからね。それを超えないわけにはいかなかったんです。だから95階層で済んで良かったんです」

 

 

 ただ、その…

 

「その親征のときに、皇帝と直接話す機会が多くありまして、その時に、理想のタイプはロクサーヌだ、と言ったそうなのですが……私が皇帝を踏むことになったのもそのときですが…」

 

 なぜか、ロクサーヌと同じ色味の奥様を、第二夫人と迎えるように勅命が下されました、と告げた。

 

「どこをどう行き違えば、ロクサーヌさんが理想、が、ロクサーヌと同じ色味になるのか、わけが分からないことになりました」

 

 

 先ほども言ったように、私達には貴族がわかりませんでした。だから、それらを一手に引き受けていた奥様は本当に大変だったんです。何しろ一年ちょっと前──前回だともうちょっと先に夫を迷宮での負傷が原因で亡くしてしまったところです。そんな未亡人に皇帝が無理を言ったんですよ、と内情を教えてくれた。

 

「ただ、それで他の人間の女を使った取り込みが減りました。悔しいけどそれが前回の実情だったのです」

 

 

 さらに言うと、皇帝から後継者を作るようにも言われていました、と端的に告げた。

 

「奥様からすると、第一夫人に側室──パーティのメンバーが全員異種族だったので、子供を産むのは自分だけになるわけで…。その時の言葉が旦那さま()さらに歪めました」

 

 それは、

 

「「()()()()としか()()()()ことが()()()()()、だから、()()()()()()しますって」」

 

 って、この言葉は知っているのですか、とあきれられてしまった。

 

 

 





 祝! 連載一ヶ月!!

 続きを更新します。

 セリーにより、ミチオ最大の失敗(しくじり)が明らかになりました。

 さらに、前回の状況も…


 当二次創作は“基本的に”スーパー・イージー・モードです、迷宮は。

 なので「ついて行けない」「合わないな」と思われた方はブラウザバックをお願いします。

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