迷子のネコ   作:龍崎悠司

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そこはとある牧場

柵の中にはヒツジが1匹、ヒツジが2匹、ヒツジが3匹おりました

そこへ迷い込んだ猫が1匹

猫は聞きます

「ここはどこだい?」

ヒツジが答えます

「ここは美味しい草が食べられるところさ」

しかし猫はそれに不満な様子

「だけどおいら、草は食べないぞ」

反論する猫ですが、ヒツジはそれが分かりません

「もったいないなぁ、こんなに美味しいのに」

そう言ってもさもさと草を食べに行ってしまいました

「結局ここはどこなんだ?」

 

 

猫は手掛かりを探そうと歩き出しました

とりあえず端まで行ってみようと歩いていると頭の上に何かが乗ってきました

「全く、なーんにも分かってくれないんだから…」

しかも何やら不機嫌な様子

「なぁ、君は誰だい?」

猫が尋ねると何かが目の前に移動して答えます

「わたし?わたしはチュン子よ、スズメのチュン子」

チュン子と名乗ったスズメは自慢げに胸を張りますが、位置の関係で猫には見えません

「さぁ、わたしは名乗ったわよ、あなたも自己紹介して」

聞かれた猫は答えます

「おいらは猫だよ」

「それは見たら分かるわよ、あなたの名前は?」

「おいらの名前は……」

更に聞かれた猫は答えようとしますが、答えに詰まってしまいました

「あら、あなた、名前がないの?変なの」

スズメはそう笑いますが、猫はとても困りました

「おいら、なんて名前なんだろう?」

スズメに聞かれて初めて猫は自分の名前が分からないことを知りました

「ならあなた、どうしてここに来たの?どこへ行こうとしてるの?」

どんどん質問してくるスズメにやはり猫は困ってしまいます

だって、スズメの質問に何一つ答えることが出来ないのだから

「おいら、何も答えられないけど、君はどうしてここに?」

逆に猫が尋ねるとスズメは怒りの様子を見せて鼻を鳴らします

「わたし?わたしはね、家出してきたのよ!」

不満げなスズメは言葉を続けます

「お父さんもお母さんも、わたしのこと何にもわかってないのよ」

どうやら仕事で失敗続きのスズメに別の仕事を紹介された様です

それが不満で喧嘩して家を出てきたとスズメは言いました

「わたしはもっと出来るの!失敗したって次何とかすればいいのよ」

「君は何の仕事をしているの?」

猫がそう聞くと、スズメは森の郵便局で働いていると答えました

「大変だけど、誇らしいお仕事なの!」

とはスズメの弁

「そうなんだ、頑張ってね」

猫の言葉にスズメは嬉しそうに呟きます

機嫌を良くしたスズメは、再び猫の頭に乗ります

「あなた気に入ったわ、しばらく一緒に行きましょう」

ちょっと頭が重いなぁ、と思いつつ、猫はそのまま歩き出します

歩く中、スズメは色んな自慢話を猫にしてくれます

「森の郵便局ってすごいのよ、色んな鳥に色んなものを届けるの」

「ハトの先輩がとってもカッコいいの」

「同じスズメの後輩は仕事が出来て羨ましいわ」

「わたしも頑張ってるはずなんだけど、何でか失敗が多くてね」

話を聞きながら、時折相槌を打つ猫

「楽しそうだね」

と猫が言うとスズメは

「大変よ、退屈はしないけどね」

と答えました

1匹と1羽は楽しく進みます

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