前提として服部レイド周回を孫一ちゃんと行ってます。それによって絆爆上がり孫一ちゃん概念。
設定的に、孫一ちゃんはぐだ男のことが好き。ぐだは無意識に彼女のことを気になっているって感じです。自分は鈍感系主人公じゃないと思ってるけど、本当は少し鈍感な藤丸立香君なのであった。
あとss書くのは久々なので何かと至らぬ点も多いとは思いますがご容赦ください。
カルデア・武田連合軍と今魔川軍による天下分け目の川中島の合戦から一夜明け、俺は同行してくれていたサーヴァント達と共にカルデアへと帰還していた。ダヴィンチちゃんやネモ・ナースによるバイタルチェック、新所長に提出する特異点修正のレポートの書き上げなど諸々の作業をこなし軽く自室で休息を取ってから俺は祝勝会兼歓迎会に参加するため食堂へ向かった。
「それでは皆さん!今回の作戦の成功と新たな仲間に!乾杯!」
到着と同時に、誰から担ぎ上げられたのか少し恥ずかし気な表情のマシュが乾杯の音頭を取っていた。人混みの中心にいるのはそのマシュと、新たなカルデアの仲間となった2騎のサーヴァント。新選組2番隊隊長永倉新八と雑賀衆の棟梁、雑賀孫一こと雑賀蛍だ。
「いやーこれでとうとう1番隊、2番隊、3番隊の隊長がそろいましたね!」
「おい新八。お前はバカなんだからしっかりマスターちゃんの言う事聞いて肉壁くらいにはなれよ?」
「誰がバカじゃ!仮にも久々に会った戦友にもう少しくらい労いの言葉をかけられんのか!これだから新政府に寝返った奴は...」
「そこまでだよ二人共。それにしても久しぶりだね長倉君。あっちで伊東君、服部君と戦ったそうだけど私はカルデアに残ることになって力になれず申し訳ない。」
「伊東の野郎。最期まで癪に障る講釈垂れやがって...」
「ふーん。君があの雑賀衆棟梁、雑賀孫一か。素晴らしい銃じゃないか。僕の名は高杉晋作。僕にもその銃達を見せてくれたまえよ。」
「あの雑賀孫一ですか!いやはや私も同じ時代を生きた者ですので、勿論知っておりますとも!」
マシュの乾杯の音頭が終わると同時に思い思いに話し始める彼ら。生前からの仲間同士で談笑する者、初めて会う人と語り合う者と様々だ。かく言う自分は未だ連戦に次ぐ連戦による疲れが取れきっておらず、食堂の端で一人食事を取っていた。時折話しかけてくれるサーヴァントもいたが、俺の疲れた様子に気づくと気を使って宴会の席に戻っていった。
一人脳内で今回の戦いの反省会をしながら食事を摂る。しかしうまく頭の中で考えがまとまらない。普段から何か会ったあとには自分なりにこうするべきだったとか考えをまとめているのに、今日はどうしてもうまく整理できなかった。気づけば蛍が晴信を撃った場面、彼女の過去の独白、彼女と共に何でも起き上がって来る服部と対峙した場面ばかりが思い浮かんでくる。(主はレイド戦のメイン火力として孫一ちゃんを使いました。)
そうすれば自然と彼女の方に視線が行ってしまうのは必然であった。
そんなこんなで時間も経ち、楽しい会も終わりに近づき自分の疲れも大方癒えた頃、また一人サーヴァントが話しかけてきた。
「マスター。そろそろ疲れは取れた?」
そう言って隣にちょこんと座ったのは新たに仲間となった雑賀孫一その人だった。
「流石蛍さん、何でもお見通しだね。俺に何か用かな?」
「特別何かあるわけじゃないけど、あなたと少し話したかったから。迷惑だったなら謝る。」
少し落ち込んだ様子の彼女にすかさず謝罪と訂正をする。
「そう。迷惑じゃないなら良かった。あなたとはまだ知り合って日が浅いけど、もう歴戦の戦友のようなものだから。」
まだ若干の幼さと、戦いのなんたるかを知る彼女の顔が少し柔らかくなり、その顔につい見惚れてしまう。心なしか彼女の頬も少し赤くなっているように見えた。
「それにしても服部はヤバかった。まさかあんな何時間も粘られるとは思わなかった。」
「あはは。確かにあの人はかなりやばかったね。前からタフネス自慢の人外と何度も戦ってきたけど、服部さんは仮にも人なのに彼らと比べてもかなり硬かったよ。倒すたびに素材を落としてくれたとはいえしんどかったね。」
「私も何回宝具を使ったか分からない。一回膝をつかせるために二回は撃った気がする。何度も水着を着たスカディさんに強化してもらって、不機嫌そうなオベロンさんから強化してもらって、すごく力が溢れてくるけどその度に寝てしまって...生前色んな合戦に参加したけど、間違いなく一番しんどかった。」
「あはは...俺は宝具を撃てないからさ。いつも皆に負担をかけてしまって申し訳ないよ。俺も前線に立って指揮したりするけど、やっぱり自分の体を使って敵とぶつかってるわけじゃないし...」
疲れからか頭が回らず、普段は絶対に言わない言葉を口にしてしまう。
「結局最後には皆にばっかり任せちゃって。自分が情けないというか。本当に何やってんだろうって...時々そう思っちゃうって言うか...」
先ほどの一人反省会で上手く弱音を整理できなかったせいか、ついそんな弱音が漏れてしまった瞬間。
「そんな事ない!」
彼女が叫んだ。
「あなたは生身の人間だから、普通の銃弾一発で死んじゃうかもしれない。ましてやサーヴァントの攻撃なんて...それに指揮官はどんな戦でも真っ先に狙われやすい。それでも前線で皆の指揮を執るあなたを私は信頼してる!特に最後に一緒に戦ってたオベロンさん。あの人ぱっと見は凄くイヤイヤそうなのに、本当はあの場で誰よりもあなたを心配してた。マスターが死んでしまう事じゃなくて、あなたという人間自体を大切にしてるようだった。だから、だから,,,」
少しずつ声がしぼんでいく彼女の様子から、俺は自分の失言に気づいた。
「ごめんね蛍さん。自分でもみんなが俺を大事に思ってくれてるのわかってるはずなのにあんなこと言って。」
「いや、私こそ声を少し荒げてしまって申し訳ない...」
なんだか少し気まずい雰囲気になってしまったので、明るい話題に変えてみる。
「で、でもさ。今回の出来事も悪いことばかりじゃなかったよね!俺は現代の日本人だからさ、やっぱり上杉謙信と武田信玄の戦いとか本当は興奮を抑えるのに必死だったよ。」
「む。確かに良いこともあった。それこそ服部との戦いにも。彼と戦って一旦倒すたびあなたとの絆が深まったような感じがした。本当に今では歴戦の相棒の様な感じがする。」
「そう言ってもらえると何だか嬉しいよ。ありがとう蛍さん。」
「そう言えば、今回の戦い以前もずっと人理を取り戻す戦いをしてきたんでしょう?あなたが良ければだけど、ぜひその話も聞いてみたい。」
「そうだねぇ...俺は別に構わないんだけど、端折れない部分も多いし話すと長くなるよ?」
「大丈夫。時間がかかるならあなたの部屋に移動しよう。それにほら、みんなそろそろ酔いが回ってきてうるさくなって来たし落ち着いた場所に移動したい。」
彼女が指をさした先には、酔って喧嘩寸前の新選組二番隊三番隊隊長コンビや、悪酔いの影響か悪役顔し始めた社長、ハマグリと塩を肴にして浴びるように酒を飲む景虎と卑弥呼の姿があった。
「ほら、そろそろ騒がしくなりそうでしょう?だからさ...ねぇ...ダメ?」
そう言うと彼女は突然俺の手に自分の手を重ねてくる。たまらずドキッとして彼女の方を見ると、頬を先程よりも真っ赤に染め上げながらこちらを見上げている。今更ではあるが、彼女は俺よりもだいぶ身長が低い、それ故自然と上目遣いの体勢となっており、それはそれは途轍もない破壊力の化身となっていた。拍動がより早くなるの感じる。
「じゃあ行こっか...」
あの上目遣いの時点で、この誘いを断れるだけの理性は吹き飛んでいた。
「ここがあなたの部屋...なんだか想像よりシンプルというか飾り気がないというか...」
「アハハ...人類最後のマスターと言っても、リソースは限られているしね。そんなにおしゃれにするほどの贅沢はできないよ。」
部屋に入るなりそんな当たり障りない会話をする俺たち。
「とりあえずそこのベッドにでも腰掛けといて。今お茶淹れるから。利休さんほど美味しくは淹れられないけどね。」
そういって彼女を席につかせ、来客用のお茶をいれる。
「つかぬ事聞いてもいい?」
「つかぬ事?まぁいいけどどうしたの?」
お茶を淹れる合間も会話が続く。
「その、私とこの部屋に来る時何だか周りの目を気にしてたって言うか、コソコソしてる感じだったけど、それはなぜ?」
「あー、そうだね。自分で言うのもあれだけど、俺結構サーヴァント達から好かれるからさ、色んな意味で。誰かに見られて面倒事に発展しかねないんだよね。有り体に言えば愛が重いサーヴァント達がいるって話なんだけど。」
(私以外にもやっぱりいるよね...)
ふと彼女が何か呟いた気がしたが、空耳だろうか。
「はいお茶どうぞ。」
入れ終わったお茶を彼女に渡し、自分は椅子を持ってきて朝入れておいたコーヒーをカップにつぐ。
「ありがとう。少し気になったんだけど、さっきマスターの事を好いてるサーヴァント達がいるって言ってたけど、逆にあなたは好きな人とかサーヴァントはいるの?」
いきなり食い気味に質問されて少し照れてしまう。
「す、好きな人かー。立場的にあんまり考えないようにしてるけど、特にはいないかなー。気になってるような人はいるんだけど、あまり好きって気持ちが分からなくて...」
すると彼女はこちらに身をずいっと乗り出してくる。しかもさっき並みに頬を紅潮させながら。
「じゃ、じゃあ、試しに私と付き合ってみない?」
「ん?」
何か今サラッと凄いことを言われた気がする。
「ごめんちょっと待って。今なんて言った?」
唐突な告白に脳がフリーズする。確かにいま彼女は俺に付き合わないかといったよな?今までの会話から察するに間違いなく恋愛の方の付き合うだ。買い物に付き合ってとかベタなボケではなく。
「だから、付き合おうと言った。あなたに好きな人がいないなら別に何ら問題は無いと思う。」
やはり聞き間違えではなかったようだ。
「この際だからはっきり言う。私は、雑賀孫一はあなたのことが好き。もちろん恋愛的な意味で。」
自分は少なくとも鈍感な男では無いと思う。少なく無いサーヴァント達からアピールを受けているし。バレンタインに体にリボンを巻いて自分自身をプレゼントしようとする者や、妻を名乗る者、自分の宝具の鍵を渡してくる者などいるのだ。鈍感になんてなりようがない。ただしかし、こうも面と向かって付き合ってほしいや好きだなどと言われたのは初めてであった。
「で、でもさ、俺は人類最後のマスターだし...」
「そんなの関係ない。それに、自分で言うのは自惚れかもしれないけど、たぶんあなたも私のことが好き。」
怒涛の展開に思考が追い付かない。俺が彼女のことを?少なくとも嫌いなどではないが...
「さっき私があなたの手に私の手を重ねたとき鼓動が速くなってたのは知ってる。あなたがさっき一人で食事をとってた時に、チラチラ私のことを見てたのも知ってる。言い方が少し悪いかもだけど、あなたが私と部屋に行こうとした時に理性が吹っ飛んで下心が顔に出てたのも知ってる。なにより、あなたが私をこの部屋に連れてきたのが一番の根拠。」
「それは、どういう事?」
「あなたはさっき、この部屋に誰か連れ込むと面倒事が起こりかねないって言ってた。そのリスクを冒してでも私をここに連れてきた。そうでしょ?」
先ほどの赤面はなんのやら。次々と言葉を繋ぎ説き伏せようとする彼女。
「で、でも俺の部屋に行こうって言ったのは蛍さんだったよ。」
「確かに私はこうなるように誘導したけど、結局その判断をしたのはあなた。」
淡々と返してくる彼女。自分を貫く性格なのは知っていたが、まさかここまでとは...
「それに俺さっき言ったじゃん!好きって気持ちがわからないって。」
「あなたは恋愛を難しく考えすぎていると思う。つい特定のだれか目で追ってしまったり、ついその人の事ばかり考えてしまったり、そういう事はない?」
ある。心当たりあり過ぎる。
「人類最後のマスター。あなたのその立場は理解しているつもりだし、尊重する。ただ、藤丸立香本人の気持ちを知りたい。恋愛なんてそこまで難しく考えなくていい、明確に好きとは言えないけど、気になってる人から告白された。だから付き合う。世の中の恋愛なんて以外とそんなもの。そして付き合ってから段々と相手のことが愛おしくなるってことも多い。」
「俺本人の気持ち...」
正直なところ、図星をつかれたような気がした。少なくともレフ教授によってカルデアが爆破されて人類最後のマスターとなったあの日から、俺の気持ちは藤丸立香よりも人類最後のマスターが優先されていた。人類最後のマスターが、数多のサーヴァントを従えるマスターが一人のサーヴァントに特別な感情を入れ込むのは許されない。みんな平等に大切な仲間、この気持ちに偽りはないが、もう少し自分の我儘を通してもいいのではないか。そんな風に思い始めた時、彼女の一言で俺の心は動かされた。
「マスター。その、照れ隠しに色々それっぽいこと言ってしまったけど、もう一度はっきりと言うね...///」
そう言うと深く礼をし、片手をこちらに際出してくる彼女。
「あなたの事が好きです。良ければ私と付き合ってください。」
俺は言葉を発する前に、彼女の手を握り返した。
握り返されると思っていなかったのか、こちらにも伝わるくらいびくりとした後に起き上がる彼女。何が起きたのか分からない、それこそ鳩が豆鉄砲を食ったような顔でこちらに訪ねてくる。
「そ、そそそ、その!手を握ってくれたって言うことは...返事はok。そういう認識でいいのかな...?」
しかしそんな彼女の様子につい笑いが抑えられなくなる。
「ぷっ...あはははは」
「な!笑うとこじゃない!」
ほっぺたを膨らませながら少し怒る彼女。
「ごめんごめん。自分から告白しておいて凄い反応だったからつい。」
そう言うと既に真っ赤だった彼女の頬がより赤色に染まる。
「それで、答えは?」
「もちろんYESだよ。これからよろしく蛍さん。」
「ちなみにだけど、理由を聞いてもいい?」
「正直なところ、まだ好きを完全に理解したわけじゃないんだ。ただ君に、俺の中身自身の気持ちを聞かれたときに君のことが凄くかわいく見えて。確かに暇さえあれば君の事を考えてたし、君の事をチラチラ見てたし、多分これが好きって気持ちなんだと思う。」
再び赤面してうつむく彼女。なにかしてやったりな気分だ。しかし直ぐに顔を上げると彼女はこう言い放った。
「じゃあ私も貴方に本当に愛してるって言われるように頑張るから!それまで覚悟しててね!何より雑賀は狙った獲物は逃がさない主義だから!」
「楽しみにしてるよ。改めてこれからよろしく。」
「私こそよろしく。私は雑賀孫一、雑賀の蛍。絶対にあなたの事を守るから。安心して私のことをもっと好きになってね。」
to be continued...