pixivに投稿した後、こっちに載せるの忘れてました。すいません。
どうも皆さん、お久しぶりの方はお久しぶりです。はじめましての人ははじめまして。人類最後のマスターこと藤丸立香です。突然ですが私は今、修復したはずの魔甲斐特異点に閉じ込められてしまいます。
「またいつものやつか...」
ハァとわざとらしくため息を吐きながら地面に寝そべる。現代の日本ではあまり無いだろう天然の平野は少しひんやりとして気持ちいい。言葉とは裏腹に態度は余裕の俺に業を煮やしたのか、横に立つ彼女が口を開いた。
「なんでそんなに余裕綽々でいられるの...本当に私達の状況わかってる?」
少し不機嫌そうな表情で辺りを見渡しているのは雑賀孫一、最近俺の彼女になったアーチャーのサーヴァントだ。
「分かってるつもりだよ蛍さん。でも寝て起きたら特異点でしたって事は結構あるし、何よりここは魔甲斐、異変も解決したし時間が経てば修正されてきっとカルデアに帰れるよ。」
「確かにこの特異点は修正されたけど、それでもまだ今魔川軍の残党がいる。何よりカルデアとの連絡がつかない。どうにかしてカルデアとの連絡手段を確保しないと。ホウレンソウは大事、雑賀のみんなにも徹底させてた。」
これに関してはごもっともだ。連絡用の携帯デバイスは胸ポケットに入っていたものの、魔力も電波もないここでは何の意味もない。帰れるにしろ帰れないにしろ、早急に魔力が流れる場所に行ってカルデアに状況報告しなくては。いや帰れないのはダメだが。
「あと、呼び方...二人きりの時は蛍って呼んでって言ったよね...」
先程の説教から表情は一変。頬を真っ赤に染めて弱々しい言葉を紡ぐ彼女。控えめに言ってクソ可愛い。
「ごめんごめん蛍。まだ少し慣れなくて。でも今の蛍の顔すごく可愛い。」
「もう...茶化さないで欲しい...」
「茶化してなんてないよ。最初から最後まで本音のつもりだよ。」
「あうっ...」
そう真剣な表情で返したら彼女は情けない猫のようなうめき声をあげてより頬を赤く染めた。もしここに青タイツのランサーがいたら「新婚夫婦か!」とか突っ込まれそうである。
「それはそれとして蛍の言う通りだね。とりあえずカルデアに連絡を取らないと。そのためにもどこか魔力の通ってる場所に行かないと。」
そういいながら重い腰を持ち上げて立ち上がる。
「それだったら心当たりがある。都合よくここに私のバンがあるし乗って。」
「なんでこんなご都合主義的に車があるんですかねー。ていうか心当たりって?現在地もよくわかってないし。」
「川中島に行く。あそこには強力な霊脈もあるからきっと連絡も付く。あとここがどこだか大体わかった。さっき辺りを見渡してたら、この先に昔私が拠点にしてた村があった。そこの近くのICから高速に乗って川中島まで行く。」
「本当?さっき俺が回り見たときは自然しか見えなかったけど...」
「私には八咫烏の目があるから普通の人間より遠くまで見える。千里眼は無いけど、八咫烏の目がその代わりみたいな感じ。魔力サーモグラフィー的な機能もあるから割と便利。」
流石はアーチャーのサーヴァントだと思いつつバンの助手席に乗り込む。俺も大型免許を持ってるので運転してもいいのだが、彼女は自分で運転したいらしいので譲ることにした。
走り出した車はものの五分ほどで村に到着、そこからまた五分ほどで高速に乗り込んだ。
「ここからだと大体二時間弱くらいでつくと思う。何か音楽かける?」
そう言ってこちらに数枚のCDを渡してくる彼女。しかし生憎と今はあまり音楽を聴くというような気分ではなかった。
「音楽もいいけど、せっかくドライブデートっぽいシチュだし何か話さない?」
「いいよ。何話す?」
デートという単語に反応したのか、心なしか彼女の口角が少し上がった気がした。可愛い。とは言え言い出しっぺではあるもののそう簡単に話題など思いつかない。そこで俺は彼女に尋ねてみることにした。
「うーん。あんまり思いつかないなぁ...蛍は何か話したいことはある?」
「だったら最近のあなたのことについて。」
最近の俺の事...近況報告とかそういう類の話だろうか。
「最近の俺の事って言うと...どういうこと?ごめんよく言ってる意味が分からないや。」
「えっと、最近というか付き合い始めてからあなたの私への態度が変わった気がする。付き合う前までは、どこか対等なパートナーではあるし信頼できる仲ではあるけど、ちゃんと節度を持ってた感じだった。でも最近は直ぐに私の事可愛いとか面と向かって言ってくるし...なんかこう...いたずら好きでフランクな感じというか...」
少しずつ声量が下がってくる彼女。そんなに悩むほどに付き合ってからの俺の態度は目に余るものだったろうか...確かに自分が告白された側なのを良いことに少し甘え過ぎていた部分はあったかもしれない。ここはちゃんと謝らなければ。
「そっか。正直あまり自覚はないけど、やっぱり失礼だったよね。本当にごめん。」
俺はそうして謝罪の言葉を口にするも、彼女の返事は意外なものだった。
「あっ、いやそう言うわけじゃなくて、あなたがそうして可愛いとか言ってくれて本当に嬉しい。本音を言うと、あなたの彼女でいられ続けられるか心配だった。カルデアには私なんかより可愛いサーヴァントはいっぱいいるし、スタイルがいい人だって何人もいる。私と付き合って好きという感情を知ったあなたが、他の人とくっついたりしないか心配だった。ごめんなさい。あなたを心から信じれなくて。」
彼女はそんな事を考えていたのか。彼女がそんな気持ちになっているのを気付いてあげられていなかった。マスターとしても彼氏としても失格だ。
「いいやこちらこそゴメン蛍。自分の彼女の不安な気持ちにも気づけなくて。でもさ、さっき俺が蛍に可愛いとかよく言うようになったって言ってたじゃん。自分でも今気づいたんだけどさ、たぶん俺がよくそういうことを言うようになったのって、俺が好きって気持ちを理解し始めたんだと思う。」
「どういうこと?」
「よく男子、特に小学生ってさ、好きな子に意地悪したりしがちじゃん?好きな子に構ってほしくて逆効果なあれ。俺のもさ、それに近いと思うんだよね。俺が可愛いって言うと蛍ってすぐに顔赤くしてさ、可愛いし面白いしでついやりたくなっちゃうんだよね。」
そう言うと少し黙りこける彼女、いつも通り顔を赤くしているのかと覗いてみると、彼女の方に顔を向けきる前に彼女が話し出した。
「そんな感じなんだろうとは薄々思ってたけど、やっぱり好きな人にちゃんとそう言ってもらえるとすごい嬉しい。」
「そう言うってことはさ、とうとう私の事、好きになってくれた?」
丁度外は夕刻なのだろう、窓から入って来るオレンジ色の光を受け笑顔でこっちを見てくる彼女はあまりにも綺麗で、可愛くて、心が味わったことないくらいドキッとしたのだった。
「って、蛍前見て!!!ヘアピンカーブ!!!」
「うわっ!ヤバイ!!!」