青い夜について調査している頃の勝呂くんとライトニングがオリ主について喋ってます。
人類始まって以来の難題のきれはしが、あの体を満たしている。
「だいたいさ、他人の気持ちを推し量るなんて無理でしょ?」
調査の帰り道の雑談だった。師匠は今日も、ちょっと人の心がわからない。
「師匠以外の人は多かれ少なかれやってますよ」
「うん、でもその結果を見なよ。失敗してひどい有様だろ? 『私の気持ちをわかってよ』なんて、あれは人類始まって以来の難題だね。かぐや姫は宝物なんて要求しなくても、その一言で十分だったんだ。それだけはどんな金でも不可能なんだから」
「でも気持ちをわかってくれって話の意図は、かぐや姫というよりスカボローフェアでしょう。かぐや姫は最初から結婚する気あらへんけど、スカボローフェアは自分のために難題に挑戦すること自体を望んどるんやし」
そこで、あいつはどっちだろうと思った。直前に考えていたことと、かぐや姫の断片から連想してしまった。最近、あいつの考えていることがどうもわからない。前からわかっていたとは言い難いが、最近は拒絶すら感じる。今の例ならかぐや姫だ。
「ああ、見たことあるかも。わざとワガママ言って、どこまで許されるか試すやつだろう? まあ、ぼくらの出番の結末になるわけだけど」
「ほなワガママすら言われんのは、どうなんでしょう」
「……? 何の話? ああ、君の不死の薬のお姫さまの話かな?」
「すみません、最近心配で……。あと、しゃあないかもしれないですが、あいつのことを
「うんうん、ちゃんと覚えてるよ。概ね優秀だが、ムラッ気のある子だ。で? 竜士は彼女の難題に答えたいのかい?」
「出されてませんから、一方的に知りたいだけですけど」
そこで師匠は頭上を指して立ち止まった。太りかけの月がぽっかり浮かんでいる。都会で星は見えなくても、月だけはどこの街でも見えるものだ。
「月は多くの文化圏で女性に例えられる。だけど月は自転と公転の関係で、君にいつも同じ一面しか見せない。君が君である限り、ね。彼女はそういう、君には裏を見せないタイプだろう」
「それなら月探査機でも飛ばさなあかんのでしょうか」
「アッハッハ! それじゃあストーカーだろ? でもそうだね、さっきから話す相手を間違ってる。ぼくは君に、
「確かに月探査機を飛ばすとか言うたのは俺ですけど、まさか月に帰るわけでもあるまいにそんなのはいりませんよ。
その後師匠は俺の望み通り、雑談の延長で
だけどそれを今、思い出している。街に出ていると言った電話が切れる前に聞こえたメロディは、確かに東海道新幹線の到着する時のものだった。生まれ故郷に、帰るための。