新解釈 ナイトガンダム物語 ラクロアの勇者   作:(MINA)

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序章から随分間が空いてしまいましたが、ここから本格的に物語が始まるのかもしれません。

既にプロット通りにならなくなっておりますので……

この間にSDガンダム外伝メモリアルブック3を購入しました。




第01話 その名は・・・・・・

二つの流星が落下してから翌日の朝。

ラクロア城の食堂室では、レビル王が周辺で起きた出来事について兵士ジムから報告を受けていた。

「そうか……。昨晩に二つの流星が落ちた。して、被害は?」

城も城下町も無傷ではあるが、近辺の村などに被害がないか確認する。

「今のところ、被害は出ておりません。念のために戦士スレッガー様の指揮で流星が落ちた場所へと探索へ向かっております」

「そうか。どうみる?」

レビル王は右隣の席で報告書に目を通しているラクロア王国一の知識人である僧侶ガンタンクに意見を求める。

「よき采配かと思われます。スレッガー殿の指揮ならば余程のことがない限り、大丈夫でしょう」

「戦士ガンキャノン。ジオン族の動きはどうか?」

「はっ。モンスター及びジオン族の戦士との小競り合いは今まで同様に行われておりますが、活発になったという兆候はありません。騎士アムロの指揮で現在も城近辺の警備にあたっております」

「そうか」

戦士ガンキャノンの報告に、レビル王は頷く。

「お父様」

レビル王の隣で二人の報告を聞き、書類に目を通していたフラウ姫が口を開く。

「昨晩の流星はもしかしたら……。もしかしたら、言い伝えの……」

「………」

レビル王はフラウ姫の言う『言い伝え』に心当たりがある。

「姫よ。戦士スレッガーから報告があるであろう。しばし待つがよい」

「はい。余計な口出し、申し訳ありません。お父様」

フラウ姫がその日の夜に戦士スレッガーの報告を聞き、自身の眼で確かめたいという思いが一層強くなったのは言うまでもない。

 

 

ジオンブラック城周辺の荒野。

漆黒の鎧を纏ったMS族が戦士ザクとゴブリンザクを連れ立っていた。

この一人と一匹、本来なら先頭を歩いている者に斬殺されているはずなのだが、必死の命乞いと永遠の忠誠を誓う事で、命を奪われずに済んだわけだ。

「この近辺ですぜ」

「ゴブッ」

戦士ザクとゴブリンザクは主の命令で、強大な力を手にすることができるといわれている

洞窟へと向かっていた。

そこには一匹の黒い龍が棲息しているとのことだ。

ジオンブラック城に住まうジオン族の騎士達もそのドラゴンに戦いを挑もうとはしないらしい。

「なるほど。ソイツを俺が倒せば他の奴等も従うという事か……」

漆黒鎧のMS族にとって、これから戦うかもしれないドラゴンは『倒して当たり前』という認識で言っている。

そして、戦士ザクとゴブリンザクもそれがハッタリではないと思っている。

何故なら、戦いの際に主が放つ殺気は間違いなく、自分達や格上のジオン族のそれよりも遙かに上回っているのだから。

 

 

ジオン族側で何かが生まれようとしている中で、ラクロア王国はというと。

戦士スレッガーの報告書を読んだフラウ姫はというと。

「お父様。申し訳ございません」

レビル王の目を盗んで、兵士ジムを三人ほど共にして流星が落ちた場所へと向かっていた。

このような行動を取り、周囲に迷惑をかける事は想像できていた。

しかし、自分の『勘』のようなものが、そこに向かうように推し進めているのも確かだ。

そこに何があるのかもわからない。

吉とも凶とも出る。実に危うい賭けにフラウ姫は生まれて初めて乗ったのだ。

フラウ姫と兵士ジム達は森の中に入っていく。

ここに来るまでに、一度もジオン族のモンスターや戦士達に襲われていない事を幸運に思いながら進んでいく。

だが、そんな幸運は長く続かなかった。

「ゴブゴブ」

「タトタト」

ゴブリンザクとタートルゴックがのっそりと現れた。

「姫!」

「フラウ姫をお守りするんだ!!」

「我等の力を思い知らせてやる!!」

兵士ジム達は腰に納めている剣を鞘から抜き取って構える。

タートルゴッグに斬りかかるが、背を向けて固い甲羅を盾にして、剣を弾く。

一人の兵士ジムが先程の攻撃で体制が崩れる。

背を向けていたタートルゴッグは正面に向き直り、右腕を大きく振り上げて狙いを定めて繰り出した。

「ぐわあっ」

兵士ジムはその一撃で倒れた。

「ひぃっ」

フラウ姫はその光景に声を出してしまう。

「姫!お逃げください!!ぐわぁ……」

ゴブリンザクと一騎打ちをしていた兵士ジムも、地に伏した。

「姫!行きましょう!!」

護衛が二人倒されてしまい、残された一人はフラウ姫を守ることを優先するため、その場から離れることを決意する。

「で、でも……」

倒れている兵士ジム二人を、置き去りにするわけにはいかないという思いがフラウ姫にはあった。

「あの二人の命を無駄にするわけにはいきません!!お急ぎを!!失礼!!」

無礼を承知で兵士ジムは、フラウ姫の右手を取り、その場から離れた。

森の中をひたすら走る兵士ジムとフラウ姫。

「先程のモンスターは確か、ゴブリンザクとタートルゴッグ……」

いくら『姫』という立場であっても、もの知らずというわけではない。

ラクロア周辺に出没するモンスターの名前くらいは知っていた。

「ゴブリンザクはともかく、タートルゴッグが森の中にいるなんて……」

先導している兵士ジムは遭遇したモンスターの出現した場所に疑問を抱いていた。

「おかしいのですか?」

「はい。ゴブリンザクは平地や森を主な棲息地にしていると調査で判明しておりますが、タートルゴッグは水辺を棲息地にしているのです」

「なのに、森の中まで来ていた……」

自分の棲息地を離れることはモンスターにとっては何の利点もない。むしろ、不利になる事ばかりだ。

「はい。フラウ姫様。お気を付けくださいませ」

「わかりました。ありがとうございます」

フラウ姫は窮地に追い込まれている状態ではあるが、自分を命を賭して守ろうとしている兵士ジムに感謝の言葉を述べる。

「ありがたき幸せ。無作法をお許しくださいませ!」

ここまで、モンスターには一度も遭遇していない。

二人の兵士ジムの命が、自分たちを守ってくれたのだろうと感謝する。

「姫!もう少しです!」

「ええ!」

森を抜ければ、モンスター襲撃の脅威に晒されることもないと二人は思っていた。

「ゴブゥ!!」

森を抜け出た兵士ジムの頭上からゴブリンザクが飛び降りてきた。

「ぐわっ」

気付いた時には遅く、兵士ジムはゴブリンザクに馬乗りにされていた。

「姫!お逃げください!!」

「し、しかし……」

「早く!!」

兵士ジムは力を振り絞って馬乗りしているゴブリンザクの攻撃に抵抗している。

その中でも、必死に声を上げてフラウ姫に逃げるように促す。

フラウ姫としては自分のために命を賭けてくれている者を見殺しにすることはできないというヒトとして当然ともいえる倫理観が働く。

「我々の命を無駄にするおつもりか!!」

兵士ジムの言葉に、はっとし頭を下げ走り出した。

「ゴブッ!!」

フラウ姫がその場から走り出し、危機を逃れて一瞬だがホッとして気が緩んだ兵士ジムの隙をゴブリンザクは見逃さなかった。

右手だけで持っていた斧を両手に持ち替えて、勢いよく振り下ろした。

兵士ジムの喉元に直撃した。

悲鳴を上げなかったのは、最後の忠義であったのかもしれない。

ゴブリンザクは馬乗り態勢を解いて、フラウ姫を追いかける事にした。

ゴブリンザクが追走してきているとは露知らず、フラウ姫はひたすら走っていた。

右を見てみると、そこは大きな湖が見えた。

足を止めて、息を整える。

きれいな湖だが、今のフラウ姫にその鑑賞に浸れるほどの余裕はない。

息が少しだけ整うと、また走り出す。

後ろを振り向く。

兵士ジムが自分を追いかけてくれるかもしないと期待しながら、だ。

だが現実は残酷だ。

追いかけてきたのは兵士ジムではなく、ゴブリンザクなのだから。

フラウ姫は、前を向き走り出す。

スカートの裾を持ったままなので両腕を振ることができない。

どうしても、思っているより速度が上がらないのだ。

「ワムゥ!!」

「ひっ!」

正面から新手のモンスターであるワームアッガイが現れた。

何とか抜けようと試みるが、ワームアッガイは両腕を広げて行く先を遮る。

両腕といっても、その先端である手は、ヒトのような五本指ではなくウネウネと軟体動物のように動く触手が四本だが、それが相手の恐怖心を植え付けるには十分なものだった。

フラウ姫もご多分に漏れず、ワームアッガイの触手の動きを直視ししてしまい、恐怖心を煽られてしまい、逃げようとする動きが本人の意思とは関係なく止まってしまった。

更に無情な出来事がフラウ姫に降りかかる。

右に見える湖の水面が揺れ始める。

湖で泳いでいる魚が飛び跳ねるようなものではない。

明らかに大きく巨体なモノだ。

「タトトォッ!!」

そう、モンスターのような巨体だ。

湖底に潜んでいたタートルゴッグが地上へと上がってきた。

「き、きゃあああああ!!」

三方向からモンスターに睨まれているのだ。戦闘能力を持たない者にしてみれば、悲鳴を上げるのは仕方のない事だ。

今まで悲鳴を上げずに、必死で耐えてきたフラウ姫の気丈な態度には称賛が与えられてもいいだろう。

(だ、駄目……。私はもう……)

モンスター三体に睨まれた状態で自分が生存できるという事はまさに『奇跡』と呼べるものだろう。

人生経験豊富というわけではないが、そのような『奇跡』が都合よく降ってこないという事は直感していた。

タートルゴッグの両腕の爪がギラリと光る。

あの爪の一撃が強力なのは、森の中での出来事で理解している。

成す術がないフラウ姫は両手を合わせて祈るしかなかった。

(お父様……)

タートルゴッグは両腕を大きく振りかぶり、フラウ姫を斬りつけようとしてきた。

 

 

フラウ姫がタートルゴッグの爪に斬りつけられようとする時間より少し前に遡る。

焼けた荒野の中央で気を失っていた白銀色のMS族は意識を覚醒させ、森の中を歩いていた。

当ては特にない。

ただ、あの場所にいても何の進展もない事だけはわかっていたので、闇雲に歩いているだけなのだ。

「ん?」

耳を澄ませてみる。

微かだが、声が聞こえた。

「誰か、誰かいるのか!?」

大声というわけではないが、声量を上げてみる。

森の中を静寂が支配する。

白銀色のMS族は両目を閉じて、両耳に集中する。

「こ……こだ……」

確かに聞こえた。

「今行く!」

全速力で駆けだす白銀色のMS族。

そこには二人のMS族が倒れていた。

一人はうつ伏せになっており、もう一人は仰向けになっていた。

「しっかり!」

仰向けになっていた兵士ジムに駆け寄る。

「先程の声は……?」

「私です」

「見たところ、騎士様だとお見受けしますが……。どちらの方で……?」

仰向けになったまま動こうとしない兵士ジムは顔だけ、白銀色のMS族の方に向けてきた。

「……申し訳ない。私は……私は自分の出生地がわからないもので……」

「そう……ですか。通りすがりの騎士様。図々しい事だと思いますが、お頼みを引き受け手は下さりませんか……」

兵士ジムの呼吸が先程よりも早くなっていた。

それが眼前のMS族の命が風前の灯火になっているのだと白銀色のMS族は悟った。

「微力ではあるが、私の力でできる事なら……」

それを『受諾』と解釈した兵士ジムは口を開く。

「実はラクロア王国のレビル王様のご息女であらせられるフラウ姫様がジオン族のモンスターに襲われています」

「それは何故?」

その質問に兵士ジムは首を横に振る。

「わかりません。ジオン族の戦士達からの命令かもしれませんし、単にモンスターの習性なのかもしれません」

「………」

ジオン族という単語に聞き覚えはない。

「どうか、騎士様のお力で姫様を……姫様を……」

懇願するように告げると、兵士ジムは息絶えた。

白銀色のMS族は両眼を閉じ、黙禱する。

「せめて何か身分のわかるものでも……」

遺体となった兵士ジムから身分の明らかにするものがないか検分する。

首に下げている二枚のプレートを見つける。

「認識票……」

白銀色のMS族は誰かに教わったわけでもないのに、二枚のプレートが身分を証明する認識票だと理解して口にした。

一枚だけ手にする。

さらに、うつ伏せになっている兵士ジムの認識票も手に入れた。

「………」

出会って間もない者達の死に悲しみ、命を奪った者達に対して怒りがふつふつとこみあがってくる。

(何故だ。何故こんなに怒りが込みあがってくる……)

認識票を握りしめ、森を抜けるために駆ける。

森を抜ける間に、モンスターにも戦士にも遭遇しなかったのは幸運だったと解釈する。

そこには喉元を斬られて、絶命している兵士ジムの遺体があった。

森の中の二人と同じように一枚の認識票だけ抜き取る。

女性の悲鳴が聞こえた。

声のする方向に体の向きを変えて駆ける。

(これから戦いが始まる……)

そう予感がした。これも誰かに教わったわけでもないのだが、身体中から闘志を漲らせていた。

走り出して少しだけ時間が経過する。

ジオン族のモンスターと思える異形のモノが三体ほど集まっていた。

その中心に兵士ジムが言っていた人物がいると推測する。

(距離が離れすぎている!間に合わない!だが、ここで何とかしないと間違いなく命を奪われる事になる!!)

湖と距離の近いモンスターが両腕の爪で攻撃しようとする態勢が見えた。

左腕で握っている盾を見る。

一振りの剣が収まっていた。

(これだ!!)

この状況を逆転できると判断し、右手で剣を抜き取り、左脚を強く地に踏みつけ握られている剣を投げた。

 

 

フラウ姫はタートルゴッグの爪によって命を奪われようとした時だった。

フラウ姫とタートルゴッグの間を何かが目にも止まらない速度で通り過ぎた。

その何かが、地面に突き刺さる。

それは一振りの剣だった。

地面にポトポトと落ちていく。

それはタートルゴッグの爪だった。

そこにいる誰もが何が起きたのか理解できていなかった。

フラウ姫も、ゴブリンザクも、ワームアッガイも、そして爪を剣で削ぎ落されたタートルゴッグもだ。

 

「その人から離れろ!!弱い者いじめは許さん!!」

 

大きな声を上げた方向にフラウ姫は顔を向ける。

そこには見たこともないMS族が立っていた。

白銀の鎧を纏ったMS族だ。

そして、そのまま盾を前に構えたまま突進していく。

「タトォッ!!」

全体重が圧し掛かった体当たりを受けたタートルゴッグは棲家である湖に撥ね飛ばされて、沈んでいった。

「りゃああああああ!!」

そのまま、ワームアッガイの懐に入り込んで両腕の触手を握って、そのままスゥイングする。

ワームアッガイはブンブンと振り回され、やがて棲家となっている森の中へと不時着した。

白銀色の鎧を纏ったMS族は残ったゴブリンザクを睨みつける。

ゴブリンザクは恐れをなしたのか、自前の斧の刃がない部分で自身の側頭部を小突きながらその場から離れていった。

その後景を見送ってから、フラウ姫が立っている方向に身体を向ける。

「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」

「ええ。兵士ジム及びあなたのおかげで助かりました。ありがとうございます。ところで貴方のお名前は……」

フラウ姫の問に、白銀鎧のMS族は膝を着く。

「申し遅れました。私は……」

 

 

ジオンブラック城近辺の洞窟内。

漆黒色の鎧を纏ったMS族、戦士ザク、ゴブリンザクは洞窟内に生息していた一頭のドラゴンの屍を見下ろしていた。

「おめでとうございます!主様!」

「ゴブゴブゥ!!」

漆黒色のMS族はドラゴンを見下ろしていたが、その表情には『喜び』というような感情は一切含まれていなかった。

「フン。俺にかかれば造作もない事だ」

左手に握られている剣にべったりと付着している血を振って、地面へと落す。

「さて、貴様の力。貰うぞ」

右掌をドラゴンに向ける。

ドラゴンから魔力ともエネルギーのようなものがユラユラと抜き出ていく。

「主。その今更なんですが、お名前を聞いていなかったんですけど……」

「ゴブッ」

「そういえば名乗っていなかったな……。俺の名は……」

 

別の地方にいる二人のMS族が同時に口にした。

自らの名を。

 

ガンダム、と。

 

 

WOULD YOU LIKE TO RECORD WHAT HAS HAPPENED SO FAR ?

 




書いてみたら結構ブランクがあるな、と思い知らされることがありますね。

毎日書いてる人。

偶に書いている人。

量より質なのか、質より量なのか

漫画家の手塚治虫氏は質より量だったそうです。

上達の仕方はそれぞれなのかもしれませんね。
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