Fate/Samurai Remnantの二次創作短編置き場 作:Papporopueeee
5章の後、終章の直前の時系列
なぜ二刀なのだ?
なぜって……二天一流は――
そうではない。武蔵を破った技のことだ。なぜあの技は二刀なのだ? 一刀の時点でも十分だったろうに。
それでも巌流島で勝ったのは師匠だった。
だから二刀か? それは些か飛躍が過ぎるように思う。一人の剣豪がその生涯を費やして編み出した不可避の剣技を、二刀の技に昇華させるなんて……イオリ、人はそんなに斬らなくても殺せるぞ?
貴殿にとってはそうであろうが、俺はただの人だ。技を鍛えなければ、人を殺すこともままならん。
大袈裟だと云っているのだ。思うに、あの技には何か秘密があるのではないか?
秘密か……仮にあったとして貴殿に関係があるのか?
大ありだ!
何故?
気になるではないか!
子供か! 貴殿が期待するような秘密などないぞ。
では、どうしてイオリはあの技を二刀の剣技としたのだ?
……二刀の方が派手だろう。
イオリ、子供でももっと上手く嘘を吐くぞ。
……。
ははーん。さてはきみ、隠しているな。
俺と貴殿の仲に、隠し事などあるまいよ。
そんなに勝ちたいか?
なに?
確実に私に勝ちたいのだろう? それ故に秘密にしておきたいというわけだ。
莫迦なことを云うな。セイバーは俺の味方であろう。それにあの技が大袈裟だと云ったのは貴殿だ。過剰に強い技であるならば、隠す必要もあるまい。
武蔵には隠していたではないか。
……。
きみはあの時、武蔵に勝つあの瞬間まで、己の奥義を師にも隠していた。
師匠は盈月の儀においては敵であった。手の裡は晒さぬのが道理だろう。
では、私は? イオリ、私はきみの味方なのだろう? なぜ隠す?
……云っているだろう。隠し事などないよ。
では、私にあの技を見せることができるか? 殺せぬよう刃引きした刀にて、私に何度も技を見られることを許容できるのか?
……。
寧ろ、イオリ。強くなりたいのであればこそ技を見せよ。私が打ち破ってやる。
それはどういう意味だ?
あの二刀の技は、一刀が破られたが故にきみが編み出した。では、二刀が破られれば? イオリはさらに技を磨くのではないか? いや、磨くのだろう。イオリはそうせずにはいられない。
そうかもしれないな。
きみが強くなりたいのなら、私が付き合ってやる。何度でも、何時までも。だから……いいじゃないか……!
セイバー……。
私がいれば、盈月など必要ないと……そう云ってはくれないか?
……
イオリ……。
……貴殿は、寝惚けているのか? 俺は盈月を求めたことはないつもりだがな。
……そうか……そうだったな……。
それにだセイバー。盈月が無ければ、貴殿は留まれないのではなかったか?
そこはあれだ。イオリに励んでもらう他ないな。
励む?
盈月など無くとも、米さえあればなんとかなるであろう。なにせ、米だからな!
それは……まあいい。莫迦な話をしていないで、出掛けるとしよう。盈月の儀はま
だ終わっていない。
そうだな……本当に、莫迦な話をしてしまった……。