2セット目
体育館の中は少しざわめいている。両村の左手でのサーブに驚き、そして新たな展開に注目する空気が漂っていた。
「さあ、次のサーブ行きますよ」
俺は左手でサーブを続ける。次は少し強めに打ち、田中さんを狙う。少しでも乱せばこちらのペースが掴めるはずだ。
「くっ…!」
「よし崩した。月島日向をブロック」
「わかってる!」
田中さんの手前に落とすことで最初の一歩を崩すことが出来た田中さんは何とかサーブを受けるが、攻撃には参加できないだろう。ボールは微妙に浮いて影山に渡る。この状況で影山では日向にトスを上げるしかない。
影山が日向に向かって勢いよくトスを上げると、日向は全力で助走のジャンプをしている。もうお馴染みの光景だが、この変人速攻を止めるのは容易ではない。俺と月島は瞬時に位置取りを決め、ブロックの準備をする。
「月島、クロスを締めて!」
俺が声を掛けると、月島は無言で頷き、クロス方向に腕を伸ばす。俺は日向のストレートを狙う。日向が跳び、影山のトスに合わせて全力でスイングする瞬間——
「…っ!」
バシィン!
俺たちのブロックにボールが当たった。完璧にタイミングを合わせて日向のスパイクを止めた瞬間、体育館には一瞬の静寂が訪れた。その後すぐに、周囲から歓声が上がる。
「ナイスブロック、両村!」
月島が少し驚いた表情で俺を見る。
「意外とやるじゃん。」
「はは、まあね。けど油断しないでいこう。まだまだこれからだから。」
俺は汗を拭きながら笑顔で答えた。
試合は続く。影山と日向のコンビは勢いを取り戻そうとするが、こちらのブロックとディフェンスが徐々に噛み合い始めていた。俺は月島と山口に声を掛け、少しずつ相手の攻撃パターンを分析し、対策を練る。
「影山のトスは速いけど、そこに慣れてくれば必ずチャンスは来る。山口、影山の動きを注意して見てみて。」
「分かったよ、両村。」
山口が頷き、少し前にポジションを取る。月島も影山の動きを注視し、ブロックのタイミングを微調整する。そして、影山が田中さんにトスを上げる。
「田中さん!」
田中さんが全力で跳び、スパイクを放とうとする。しかし、その瞬間——
「月島!」
俺の声に反応して月島がブロックを決める。ボールは相手コートに返り、そのまま得点となった。
「ナイス、月島!」
「ふん、まあこんなもんでしょ。」
月島は少し得意げな表情で答える。だが、内心では嬉しそうにしているのが見て取れた。
試合は次第に俺たちのペースになり、2セット目は俺たちが勝利を収めた。
「よし!2セット目は取ったぞ!」
俺たちは喜びを分かち合ったが、影山と日向の表情には悔しさが滲んでいた。
「次は絶対に取り返すからな!」
影山が決意を込めた声でそう言うと、日向も大きく頷いた。
3セット目
3セット目が始まると、影山と日向のコンビはさらに勢いを増していた。影山のトスはより正確に、日向の動きもますます鋭くなっている。
「田中さんにブロックを集中しよう。日向のスパイクはレシーブで対応する。」
俺は月島と山口にそう指示を出す。田中さんの攻撃力は侮れない。影山のトスも的確で、日向が決める確率も高い。どちらの攻撃力も高く無視は出来ない。
「了解。」
月島が頷き、田中さんに集中するための位置取りをする。俺はレシーブに専念し、日向のスパイクを何とか止めるつもりだった。
影山が再び日向にトスを上げる。日向は全力で助走を取り、空中でスパイクを放つ。俺はそのボールに向かって飛び込んだ。
「っ…!」
ボールは手に当たったが、弾かれてしまい、うまく上がらない。
「ナイスレシーブ、両村!」
山口がフォローに入り、何とかボールを繋ぐが、次の攻撃で田中さんが強烈なスパイクを放ち、俺たちのコートに突き刺さる。
「くっ、やっぱり田中さんは強いな…」
俺は悔しさを滲ませながらも、冷静に次の作戦を考えた。しかし、影山と日向、そして田中さんの勢いは止まらず、次々とポイントを奪われていく。
影山のトスと日向の速攻は次第に精度を増し、俺たちは対応しきれなくなっていた。特に日向のスピードと影山のトスの正確さが増してきており、ブロックをすり抜ける攻撃が増えてきた。
そして、最後のポイント——
「これで決める!」
影山が自信満々にトスを上げ、日向が全力で跳びスパイクを放つ。俺と月島は必死にブロックに飛ぶが、日向のスパイクは俺たちの指先をかすめ、コートに突き刺さった。
「決まった!」
影山と日向のコンビが見事に最後のポイントを決め、3セット目は彼らが勝利を収めた。俺たちは負けたが、全力を尽くした結果に悔いはなかった。
「負けたけど、いい試合だったな。」
影山が少し笑みを浮かべながらそう言うと、日向も笑顔で頷いた。
「次はもっと強くなって、絶対に勝つからな、両村!」
「望むところだよ、日向。俺たちももっと練習して強くなる。」
俺は笑いながらそう答えた。この試合を通して、俺たちは確かに仲間としての絆を深めていた。そして、これから始まる烏野高校バレー部での新たな挑戦に向けて、俺は胸を躍らせていた。
次は原作通りだと青葉城西との練習試合が待っているのか——レギュラーになれるかどうかわからないけど楽しみで仕方ない。
日向が月島達のもとへ向かったのでついて行くことにした。
日向が手を月島へ差し出すも困惑する月島
「何?」
「試合の最初と最後に握手すんじゃん。今日の最初はしてないけどっ。それに、これからはチームメイトだしっ。うれしうねぇけどっ」
小声で月島に、ささやいてる
「早くしろよっ。お前、知らーねの!?ちゃんとチームメイトの自覚を持たないと体育館から放り出されるだぞ」
「…君らが出禁になったのは主将の再三の注意をシカトして勝手に勝負はじめた挙句に教頭のヅラ吹っ飛ばしたからデショ」
日向の顔が恥ずかしそうな恨めしそうな何とも言えない顔になってるよ
「い…いいじゃねーか細かいことはっ。ハイ!握手ーっ」
おうおう、月島に飛び掛かっての強制握手だよ原作そのままだな~
そんな騒ぎのなか3年の澤村さんがやってきた。
「どうだった?3対3」
「…。別にどうでも。エリート校の”王様”相手だし僕ら”庶民”が勝てなくても何も不思議じゃないです」
「その割にちゃんと本気だったじゃん」
澤村さんの笑顔がまぶしい。そして微妙な顔の月島
「俺も勝つ気で本気出したんですけどね~。ツインアタックでも最後追いつけなかったのが悔しいです」
俺は素直に悔しそうにするが内心ではホッとしている。なにせ勝ってしまうと影山がセッター出来なくなっていたからな。これからの戦いで影山のセッターとしての力は必須なのは間違いない。
「そうそう、それ!まさか両利きとは思わなかった。菅原もツインアタックは実在したのかって驚いてたよ」
「練習試合で皆さんをびっくりさせようと思って隠してたのが成功しました。ただ左右で使い物にしようとすると単純に倍の練習量が必要になるんですけどオーバーワークになっちゃうんで大変なんですよね。特に左はもともとが両利きってわけでもないので練習量的に左多めって感じでやってましたので今後はそのメニューでお願いします」
「了解。菅原とも相談して両村のスパイク練は調整するようにするわ」
「ありがとうございます」 「キャプテン!!」
俺が頭を下げたと同時に日向が澤村さんに声をかけた
「何?」
澤村さんが振り向いた先にあったのはくしゃくしゃになった日向と影山の入部届だ。
澤村さんはそれを受け取ると清水さんに声をかけた
「清水」
「何?」
「アレもう届いてたよな」
「わかった」
清水さんがアレを持ってきてくれたが日向達はわからないのでワクワクしている
「うほぉ~」
烏野排球部のジャージを受け取る
「あざっす」
早速袖を通してサイズの確認をしたが問題なさそうだ
「改めて、これから烏野バレー部としてよろしく!」
「 「 「オス!!」 」 」