この素晴らしい社畜に安寧を!   作:どこはかとなくやばい人

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第10話

「何故城に来ないのだ!!!! この人でなし共がァァァァ!!!!」

 

 魔王軍幹部ベルディア、再び襲来。が、またもやなぜかキレている。

 一部冒険者の間では"怖いはずだけどなんか怖さを感じない"と評判のベルディアだが、やはり流石に最上級アンデット。放つ怒気に気圧されていないのは、経験を積んだ七海、バカのアクア、厨二病のめぐみん、興奮しているダクネス程度。意外と多い。

 

「あの騎士の鑑のような女を見捨てたことも腹立たしいが、貴様、めぐみんとか言うふざけた爆裂狂!! なぜ未だに俺の城に向けて爆裂魔法を撃ち込んでくる!? 嫌がらせか!? 今時ご近所の騒音問題は大きなトラブルの元になるんだぞ!?」

「めぐみんさん」

「…………」

「……付き添いは……アクアさんかダクネスさん、カズマ君ですが……これはアクアさんですね」

 

 今時下手くそな口笛を吹き、視線を逸らし事をやり過ごそうとする生命体が本当に存在したのか、と。今更気にしても仕方のないことではあるが、一応自身が所属するパーティの問題児具合に少し頭を痛めた。同時に後で説教をする覚悟も決めた。流石にこれは行き過ぎである。

 そんな七海を他所に、ベルディアはめぐみんを庇い死の宣告を受けたダクネスの解呪に向かう様子のない冒険者に対し憤慨。激情のままに言葉を並べ立てていた、のだが。

 

「や、やあ。騎士の鑑なんて、そんな……」

「あるエエエエエエ!?!? 何故生きているのだ貴様、もしやあれか貴様、人に擬態できる類の化け物か!? だからこの前あんな奇行をしたのか!?」

「デュラハンである貴様に言われたくはない!」

 

 心外だとばかりに叫び返すダクネス。本当に、本当に意外な話ではあるが、ダクネスは純然たる人間である。 

 下手なモンスターよりも人界に被害を与えかねない存在ではあるのだが、その出自にモンスターは一切携わっていないのだ。

 

「もしかしてあれからずっと城で待ってたの? 冒険者たちを待ち構えるラスボスとして? このアクア様に解呪されてるとも知らずに? プークスクス、アンタみたいな腐れアンデットなんて一期の第三話で殺される中ボスが関の山よ!!」

「ごちゃごちゃと訳のわからんことを言うなァ!」

 

 煽るアクアに対し、再度ブチ切れるベルディア。血が通っていればさぞかし真っ赤な顔をしていたことだろう。

 

「おい貴様、俺がその気になればこの街の冒険者を皆殺しにすることだって『ターンアンデット!』ふははははは!!! 人の話を聞かんクソ馬鹿女め!!! 魔王様より賜りしこの鎧を身に付ける俺に貴様の魔法がぐぎゃああああああああああああ!!!!!」

「大変よナナミン、カズマさん!! 私の魔法が効いてないわ!」

「ナナミンと呼ばないでください、ぶっ飛ばしますよ。……少なからず、効果はありそうですが」

「ぎゃーとか言ってたし効いてるだろ、これ」

 

 どさくさに紛れて七海に渾名を付けようと試みたアクアは、数時間後ギルドの石畳に正座させられ説教を受ける羽目になった。

 それはさておき、神であるアクアの魔法を受けて昇天しないベルディアの実力、鎧の権能は中々に凄まじいものがあるのだが、この状況ではそんな称賛を受けたところで何にもなりはしない。

 想像外の威力にビビったベルディアは、左手に自分の頭を持ち、空いた右手を大きく掲げる。

 

「ふん、わざわざこの俺が相手をしてやるまでもない。配下のアンデット共で事足りるだろう」

「あ! ビビったぞアイツ!! アクアの魔法が想像以上に効いたからだ!!」

「五月蝿いぞアンデット差別主義者め!! いいか、いきなりボスが戦ってどうする。こういうのは段階を踏んで『セイクリッド・ターンアンデット!』にぎゃあああああああああああ!!!!」

 

 再びアクアの魔法を喰らい、手に持つ頭を落として悶えるベルディア。わけもわからず自分の頭を蹴り飛ばしてしまった。一人サッカーとは中々高度な遊びである。

 

「ッ、一度ならず二度までも……!! もう良い!! お前ら、あの街の連中を皆殺しにしろ!!」

「…………」

「…………あれ?」

 

 動かないアンデットたち。困惑する冒険者とベルディア。大笑いするアクア。

 

「……もしやこれ、聞こえていないのではあるまいな?」

 

 アンデット種の聴力は、通常の人間やモンスターと比べ一段劣る。現在のベルディアは、顔を下に向けて地面と接着している状態。なんともお熱いキスを交わしている。

 そんな中叫んだところで、声がくぐもり、出るのは冒険者たちですらギリギリ聞こえるかどうかの掠れた声のみ。

 

「だっさいわねあのアンデット!! とうとう味方にも見限られちゃったんじゃないかしら!! そりゃあ誰も動く腐った死体なんかの命令を聞きたくはないわよね!!」

「落ち着け俺、落ち着け俺……深呼吸だ、深呼吸を……。ふう。……まぁ良い。別に声を届かせずとも、俺の思考を通して配下に命令を出すことはできるからな!!」

「じゃあなんで叫んだんだよ」

「大声で命令を下すのは男のロマンだからだ!!」

 

 プスプスと爆破寸前のようなベルディアの頭と身体を他所に、大量のアンデットがアクア達に向けて押し寄せた。




またアンケート置いとくので答えていただけると幸いです

2/6追記
生きてます。絶賛テスト期間+レポートに追われているので、もう少々お待ちくださいませ
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