「この人はぶっころりー。学園を卒業したあとフラフラしてるニートで、この前そけっとにフラれました」
「誰だよそけっと」
「占い師です」
「職業幅広いな紅魔族……」
やあやあ、と。とんでもない紹介の仕方をされたにも関わらず、なんら変わりない様子で挨拶をする──股間部分を見て距離を取る女性陣の様子に少し傷ついている──ぶっころりーを見て、"ここはそういうところだ"と納得したカズマパーティ。
襲撃に来た魔王軍をサクッと撃退し、紅魔の里へと辿り着く。
少しばかり破壊された施設がある様子から万全の状態とは言い難くも、とても現在進行形で魔王軍に侵攻を受けている土地とは思えない。
それもそのはず。紅魔族は全員がアークウィザードとしての素質を持って生まれて来るハイスペック集団であり、総合した戦闘力は下手をすれば王都のそれに匹敵する。全員が結託すれば魔王軍幹部すら討ち果たせるレベルの戦力であり、そこらの雑魚兵ぐらいで攻め入ろうものなら殲滅されて終わるのが関の山。
要するに。紅魔族は存亡の危機にもなければ、そもそも危険に晒されているわけでもない、ということなのだ。
「……ナナミさん」
「……」
「私、なんのために帰ってきたんですか?」
「……ご苦労様です」
七海が肩をポンと叩くと、ゆんゆんはその場に崩れ落ちた。紅魔族族長の娘として、危機にある里を心配して戻ってきたは良いものの、結局得られたのはアクセルにおける"ギルドでいきなり子作りを求めるやべえやつ"という称号のみである。
これによりダストとかダストとか一部のやつからの好感度は上がるが、それはメリットにはなり得ない。デメリットでしかない。
「……む、ゆんゆんか痛いッ!? 普通に痛いぞゆんゆん、一体どこでそんなことを覚えてきた!?」
「うるさい!! 貴女のせいで私の評判は、私の評判はああああああああ!!!!!」
ふと通りかかり、声をかけてきたやたら発育のいい少女。彼女の名はあるえ、ゆんゆんがアクセルにおいてすごい評判を得ることになる元凶となった文章を書いた張本人。
学園時代はめぐみん、ゆんゆんの同級生でもある。久しぶりに顔馴染みに会ったものだから声をかけてみたら、帰ってきたのは返事ではなく、某ウィザード直伝のアイアンクローであった。女風呂を覗くゴミを折檻する威力を誇るそれは物理攻撃への耐性に乏しいあるえに大きなダメージを与えた。
アクセルで揉まれる中で、ゆんゆんは進化を遂げているのだ。
「……コホン。改めて。我が名はあるえ、紅魔族随一の発育にして、やがて作家を目指す者!!」
「いや無理だろもう」
「儀礼的なものさ。君が私の胸部に反射的に視線を向けていることと同じ、紅魔族の宿命とでも思ってもらえればいい」
「うぐッ」
「意外と女性はこういう視線に目ざといんだ。仲間には気づかれないように」
「あ、それは心配要らん」
「即答だね……」
めぐみんはぺたんこ。アクアとダクネスは確かに体つきはそれはもう一級品だが、中身がゲロカスである。外から眺めるぐらいならともかくとして、実際に関わってみるとこいつらで欲情することは不可能に近いと理解できる。某望む夢を見せてくれる店でのシチュエーションにおいてのみ、ダクネスはこの条件から除外されるが。アクアはどう足掻いても無理、というのがカズマの評価である。
七海からすれば、まぁ。下手すりゃ上にも下にも二倍以上歳が違う女性相手に欲情するのはまずいだろう、色々と。
「まぁ、それはいいさ。それよりも、君たちは今日、里に泊まっていくんだろう?」
「まぁ、その予定ですが」
「この人たちの宿はどうするんだい? 特に、そこの……あー、サトウくんと、ナナミさんだったかな」
「私の家でいいでしょう。ナナミがそういうことをするとは思いませんし、カズマならグーでワンパンです」
「お、やるか? カズマさんのドレインタッチで骨抜きにしてやろう……あ、冗談です。だからそんな目で見ないで?」
まぁそうなるだろう。どうせ一つ屋根の下で普段から過ごしているのだ、今更何か特別に意識することもない。
万が一カズマが襲いかかってきても、彼の筋力値はめぐみん未満。腹パンで簡単に沈む。沈んだ隙に縛りつけて晒し者にすれば終了である。
「……そ、そのー」
「どうしましたゆんゆん。貴女はいつも通り、一人で家に……」
「私とナナミさんは今、パーティを組んでいるのよね?」
「まぁ、一応は」
「だったら!! 一緒に泊まるのが普通だと思うの!!」
目をぐるぐるさせながらそう叫ぶゆんゆんに。目を丸くしたカズマパーティと、面白そうなネタを見つけたとばかりにニヤリと笑うあるえであった。
原作だとぶっころりーはそけっとと付き合えそうな感じあったんですが、この作品内ではこうです。ごめんねぶっころりー、1円あげるから許して。