~サイフォンSide~
3つ目のロストロギアらしき宝石を回収した日の翌日。
放課後になってから関係者はサイフォンの部屋に集まっていた。
「何だって俺の部屋なんだ?」
「私の部屋よりも広いですからね。仕方ありません」
「そーかい」
俺は肩を竦めるとキョロキョロ辺りを見てるお嬢さんを見た
「別にそんな面白いもんねえぞなのは」
「でもでも、初めて入るし緊張しちゃって」
そういえばなのはを部屋に入れたことはなかったな。だからって緊張するこたないとは思うが
「まあいいさ。それじゃ早速始めようか。ユーノ、説明頼む」
「はい。まずは皆さん、昨日は助けていただきありがとうございました」
「いいってことよ。それとあんまかしこまんなくていいぞー」
「う、うん。じゃあ改めて自己紹介を。僕の名前はユーノ・スクライア。スクライアは部族名で、こことは違う世界から来ました」
「俺は黒鐵サイフォンだ。一応ベルカの騎士ってことになってる」
まだリニスの教えを全部受けたわけじゃないしな。あいつの指す一流の騎士がどのラインなのか分からんが
「ベルカ式!?なるほど、突然姿が変わったのにはおどろいたけど、だから昨日はああいった格好をしてたんですね」
「そういうわけじゃないんだが……まあ俺の事は今はどうでもいい。リニス」
「はい。私は黒鐵リニスです。この子の使い魔兼、家庭教師で魔法とその他色々教えています」
「わたし高町なのは。なのはっていいます」
一通り自己紹介が済んだところで視線で先を促した。
「それではまず、昨日皆さんに回収していただいた宝石についてです。あれはジュエルシードという名前のロストロギアです」
「やっぱロストロギアだったか」
「ロスト……ロギア?」
「ロストロギアは僕達の世界の危険な古代遺産の事です。ジュエルシードは本来は手にしたものの願いを叶えるエネルギー結晶体なんだけど、力の発現が不安定で昨夜みたいに単体で暴走して周囲に危害を加える場合もあります。それにたまたま見つけた人や動物達が間違って使用して、それを取り込んで暴走することもあります」
「そんな危ないものがなんでうちのご近所に?」
そこが問題だ。何故ロストロギアがこんな魔法の気配が殆どない世界にあるのか。
「僕のせいなんだ――僕は故郷で遺跡の発掘を仕事にしていて……古い遺跡の中であれを発見して……。管理局に依頼して保護してもらおうと思ったんだけど、僕が手配していた次元船が途中で事故にあったみたいで……」
「それでこの世界に散らばったと」
「はい。ジュエルシードは全部で21個。そのうち回収できたのは僕があらかじめ回収した1つと、後は昨日回収してもらった1つですが……」
「それだが、俺達は2日前にも2つ同じものを回収している」
「本当ですか!ありがとうございます……!!」
だがそうなると残りは17個。結構多いな……
「んで。お前さんはこれからどうするんだ?」
「それは――散らばったジュエルシードを回収して……」
「どうやって?お前さんはこの世界の住人じゃないが行く当てはあんのか?今日明日で残りが見つかるとも思えんが、それまでの生活はどうするんだ?」
「それは……」
「サイフォン。強く言い過ぎです」
「1人で抱え込もうとしてる若いのに気付かせてやろうという老婆心だよ」
なんだって俺の周りの連中は1人で抱え込みがちなのかねぇ
「ユーノ。俺達がジュエルシードの回収を手伝ってやる。住む場所も暫くうちにいればいいい。うちの両親も快く受け入れてくれるさ」
「でも……これは僕の」
「お前さんのせいだとでも?別に故意に事故を起こしたわけでもあるまいに。――ただ間が悪かっただけだ。全部自分のせいにすんな」
「サイフォンさん……」
「この話はこれで終わりだ。流石に学校に行ってる間は無理だからな。リニスも道場の事がある。それ以外の時間を日常に支障をきたさないように使って、今後は
後は昨日の謎の黒ずくめ野郎の事を共有しておくか。またこっちに干渉してくるかもしれないしな。
そう思い、口を開こうとしたら
「ちょっと待って!!」
「なのは……?」
普段のなのはからは考えられないくらい大きな声だった
「サイフォン君。今言ってた3人って誰の事なの……?」
「決まってるだろ――俺とリニスとユーノだ」
「どうして!!どうしてその中にわたしが入っていないの!?」
「お前さんは聡い子だからわかると思ったんだがなぁ……」
とは言え反発を受けることもある程度予測していたが、ここまでだとは思わなかった
「いいか、なのは。お前さんも昨日体験したから分かるだろうが、ああいった危険なことがこれからも――いや、あれ以上に危険なことがあるかもしれないんだぞ?それをわかってるのか?」
俺は身体に魔力を奔らせ、なのはを威圧するように見た。あまりの魔力になのはの隣にいたユーノが委縮していた。
多少大人げないかもしれないが、この子が危険に目にあうことに比べれば……
「危険なのはわかってる。でも、わたしだってもう当事者だもん!それに、ユーノ君はこの世界で
「なのは……」
予想に反してなのはは全く物怖じすることなく、真っ直ぐにこちらを見据えていた。
そして彼女の言った言葉。かつての自分を重ね、それを救いたいと……
だが俺は……
「サイフォン」
「リニス?」
「認めてあげてもいいんじゃありませんか?もしここで認めてあげないと彼女、1人で行動しちゃうかもしれませんよ」
「それは――」
「それなら最初から一緒に行動して見てあげればいいじゃないですか。その方が貴方も安心でしょう?それに内心ではもう、なのはさんのこと認めているのではないですか?」
「――っ!ったく、使い魔の精神リンクってのは厄介だな」
「あら、嫌なら切ってもいいんですよ」
「嘘つけ。やったらやったで滅茶苦茶怒るだろうが」
正直先程の言葉の内にあるなのはの想いを汲んでやりたい気持ちはある。それと同時にあの子の身を案じる気持ちも……
ならばリニスの言う通り、目の届く範囲において守り抜くのが上策か
「はあ――わかった。なのはにもジュエルシード集めに参加してもらう。それでいいな」
「わああ!――うん!うん!!ありがとうサイフォン君!リニスさんもありがとうございます!」
「いえいえ、お気になさらず」
昨日は俺と恭也になのはに甘いとか思ってたくせにリニスも大概だなこりゃ
リニスの態度に肩を竦めつつ俺はさっき、なのはを脅したことを謝った
「さっきは脅すような真似して悪かったな。怖かっただろう?」
「ううん、全然。サイフォン君がなのはのことを想って言ってくれてるのは分かってたから。だから怖くなかったよ」
「そうか……」
この子には敵わんな。まさそこまで見抜いてるとはな。
俺は若干照れ臭くなり話を変えた。
「コホン。とりあえず、なのはも来るのはいいんだが条件がある」
「条件?」
「まず、捜索の際に危険だと思ったら直ぐに退くこと。安全第一だ。それと、お前さんは魔法の勉強をしろ。自分の身くらい自分で守れるようになるんだ」
「魔法の勉強って……サイフォン君が教えてくれるの?」
「えぁ?おれ?」
予想と違った回答で思わず面食らってしまった
リニスが俺に魔法教えてるって言ってたのに何故に俺?
「いや、俺なんかよりかはリニスの方がいいだろう。俺の魔法の先生なわけなんだしな」
「そっかぁ」
途端にしょんぼりするなのは。なんでそんなにがっかりしてんだ……?
「貴方という人は……。サイフォン、なのはさんには貴方から教えなさい」
「んぁ?どうしてだ」
「人に教えることで復習にもなります。ちゃんと教えられればそれだけ理解できているということですからね」
「まあ、言ってることはもっともだな」
「でしょう?それと貴方にはこの場で1つ課題を出します。貴方は女心をもっと理解しなさい」
「はあ???」
この使い魔は何を言っとるんだ?
そう思うと同時に脳裏に関西弁の少女の姿がよぎった
――――サイフォン兄ちゃんはもう少し女心を勉強した方がええわ
なぜだろう。解せぬ
「というわけで、なのはさんはこれからサイフォンに魔法を教えてもらってください。もしわからなければ私に聞きに来ても構いませんので」
「はい!!」
女性陣はなにやら意気投合しているようだ。こっちは意味わからん課題を出されたというのに……
「さて。他になにか言うことは――ユーノさんは何かありますか?」
「いえ、僕の方は何も。先程の方針で大丈夫です」
「わかりました。サイフォンは」
「ある。さっきのなのはの件で言いそびれたんだが――俺とリニスが遭遇した敵についてだ」
「「敵?」」
すっかり遅くなってしまったが一番の問題は奴だ
「昨日、俺とリニスが現場に向かう最中に結界に閉じ込められたんだ」
「「えぇ!?」」
「それは結界内に閉じ込めた対象に幻覚を見せる類の物でした。私達が幾ら飛んでも目的地に辿り着けなかった上に、その事にすぐには気づけなかったのです」
「僕は結界魔法を使ったりしますが、そういったものは初めて聞きました」
「ええ、私もです。そして結界を破壊した際に、術者と思われる全身黒づくめの人物と接敵しました」
「そいつは結界が破れるとなのは達の映像を俺達に見せてきて、ジュエルシードの化け物に何かすると言って消えたんだ」
わざわざ宣言してから行くあたりゲーム感覚なのかもしれない。つくづく気に食わねえ
「何かってもしかして、あの急に力が強くなってた……」
「ああ、それだ。もしかしたらまた仕掛けてくる可能性はあるから、全員気を付けること。なのはとユーノは遭遇したら全力で逃げろ。いいな?」
「「はいっ」」
「他に共有しときたいことはないな。そんじゃこれで解散にするか。なのは、家まで送るぞ」
「うん!ありがとう、サイフォン君」
「ユーノもなんだったら時間ある時にでもリニスに鍛えてもらえ」
「分かりました」
この日はそれで解散となった。
ジュエルシードは残り17個。この
――――翌日、喫茶翠屋にて
「はあ~?プールぅ?」
「そ。あんたも誘ってあげるから感謝しなさいよね」
店内には女子3人男子2人のグループが席に座っていた。
いつもの面子+ユーノだ。
ユーノに関してはこの場で紹介を済ませて皆友達になっていた。
話は戻り、アリサからの誘いに渋い顔をしていた。
ハッキリ言って行く気が無いからだ。その日は午後休みで訓練も休み、ゆっくりできると思っていたからだ。
「断る」
「「「えー!?(なんですってー!?)」」」
「他の客に迷惑だぞお前さんら」
「だってだってー!」
「来てくれると思ってましたから……」
「そーよ!あたしの誘いを断るなんてどういうことよ!?」
女性陣が一斉にまくし立ててくる。女三人寄れば姦しいとはいうがたまったもんじゃない
「少しは静かにしてくれ……大体なんで俺なんだ。折角だしユーノでも誘ってやれ」
「僕!?」
「あらそれはいいわね。ならユーノ
「まてまてまて!もってなんだ、もって!」
「あんた
まるで聞く耳を持たんぞこのお嬢さん……!
これじゃ埒が明かん。かくなる上は――
そう思いすずかに視線を向ける……が
「わたしも、来てくれたらみんな一緒で楽しめるかなって」
「ぐっ――ならなのは……は駄目だ」
「なんでっ!?」
「じゃあ聞くが、いかなきゃダメか?」
「もちろん!」
「予想通りの回答をありがとうさようなら」
味方がいないことを悟り席を立つが
「どこ行くのよ!」
「ぐえっ」
鬼が逃がしてくれなかったので、仕方なく席に戻った。
「全くもう。どうしてそんなに行きたがらないのよ!」
「せっかくの休みだぞ?ゴロゴロしたくなるのが人情だろう」
「わたしたちと遊ぶのと休むのどっちが大事なのよ!」
「6:4で休みだな」
「むきいいいいいいい!!」
アリサがヒートアップしていく中、なのはとすずかはその様子を苦笑しながら見ていた
「サイフォンさん、ちょっといいですか?」
「なんだ?すずか」
「6:4ってことは少なくともわたしたちのことも大事に想ってくれてるんですよね?」
「友達なんだ。そりゃそうだ」
「プールには恭也さんも来るんですけど、監視員のお仕事があるからわたしたちを常に見てくれるわけじゃないんですよ」
「まあそうだな。それで、すずかは何が言いたいんだ?」
「女の人が多いのでボディーガード役として来て欲しいんですが駄目ですか?」
言わんとしてることは分かる。綺麗どころが集まるから軟派野郎が近寄らんとも限らんからな。
でも美由希とノエルさんがいるし、別に心配なさそうな気もするがなぁ。
ちらりと3人の方を見ると穴が開くかと思うほどにジーっと見られていた。
こりゃ潮時か……
「わーったよ。ボディーガードとしてついてくよ」
「「「やったぁ!!」」」
3人はハイタッチして喜んでいた。
まあ当日は周りに目を向けつつのんびりしとくか
その後も女性陣は当日は何をして遊ぶかなど会話に花を咲かせていた。
水着回は次回でした。生姜ないネ
水着回の後はこちらもようやっとあの子が出ますよと。いわば姉弟子?