光を支えるもの   作:黒の眷属

17 / 47
水着とプールと朴念仁

~サイフォンSide~

 

 

 

 

俺は今車に揺られている。

昨日なのは達に誘われたプールに向かっているからだ。月村家の車が迎えに来て、なのは達と一緒に向かうことになったのだが

 

 

「どうしてお前さんまでここにいるんだ?」

 

「よいではありませんか。わたしだってたまには泳ぎたいんです」

 

そう、何故かリニスまで同乗していたのだ。

確かリニスは山猫を素体とした使い魔だったが……猫なのに泳ぐのが好きなのか

 

 

「にゃはは。わたしがね、折角なら一緒にどうですかってお誘いしてたの」

 

「なるほどな。でも道場の方はいいのかよ?」

 

「私的にはそんなつもりはなかったのですが、働き過ぎなんだからたまには休んで来いとお休みをいただいたんです」

 

「あー……まあだろうな」

 

リニスは基本的にはほぼ毎日道場に通い詰めていたからな。周りが休ませるのも頷ける。

そのまま一行は賑やかに会話をしていると、目的地の温水プールに到着した。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「お、来たのか」

 

「よーっす、恭也。忍さんもこんにちは」

 

「こんにちは、サイフォン君。それと、ユーノ君……だったかしら」

 

「こ、こんにちは」

 

男の着替えは早いもので俺とユーノは先に着替え終わり、監視員をしている恭也の元に来たのだ。

忍さんはすずかの姉で恭也のガールフレンドだ。

ちなみにかなりスタイルがいい。今も水着姿で、その魅力を遺憾なく発揮している。

まあ不躾な視線を向ける輩は漏れなく、恭也の殺気を浴びていたが。

顔を赤く染めてるユーノはもちろん対象外だ。

 

 

「それにしても意外だったな。お前はあまりこういったことに参加しないイメージだったが」

 

「俺もそう思うんだが……お嬢さん方に押し切られてな」

 

「そういうことか。ならそっちの方は任せるぞ」

 

俺は肩を竦めて言うと、恭也は苦笑しながら肩にポンと手を置いた。

まあ今回はあの子らの護衛がメインだからな。正直リニスもいるから丸投げでもよさそうだが……

 

恭也達と暫く会話していると、他の女性陣が着替え終わったのかこちらにやってきた。

 

 

「あ、いたいた。おーい!」

 

「お、きなすったか」

 

綺麗どころが多いからか周りの視線が釘付けだった。

当然不躾な連中には俺から殺気のプレゼントを贈り、近付こうとする輩は睨みを聞かせて追い返してやった。

 

 

「どーよサイフォン!何か言うことはあるんじゃないの?」

 

アリサが腰に手を当て胸を張っているが……

 

 

「転ばないように気をつけろよー」

 

「ちっっっっがうわよ!あんたわざとやってるんじゃないでしょうね!?」

 

どうやら違ったらしい。んなことを言われてもなぁ。

すると突然すずかがこちらにアイコンタクトをしてきて、忍さんの方を向いた。

 

 

「お姉ちゃん新調した水着、似合ってる!」

 

「そう?ありがとうね」

 

なるほど、そういうことか。流石すずかだ。今度手製のお菓子をプレゼントしよう。

そして改めてアリサの方を向き

 

 

「アリサ」

 

「なによ?」

 

()調()()()()()すごく似合ってるぞ!」

 

「あたしのこれは!!元からあるやつよ!!!!」

 

「はぁ……」

 

どうやら違っていたらしい。すずかは呆れたのかため息をついていた。

何故だ

 

 

「サイフォン。貴方は早急に女心というものを理解すべきです」

 

「お、おう」

 

「折角の水着姿なのです。皆を見て何か思うことはありませんか?」

 

「何か……ねぇ……」

 

なのはは上下が分かれたタイプでフリルが着いており、白を基調としていてなのはらしさが出ていた。

 

すずかは所々にリボンがあしらわれた水着でかわいらしさが出ており、如何にもお嬢様といった感じだ。

 

アリサもなのはと似たようなタイプだったが、こちらは赤色の水着でアリサのイメージに合っていた。

 

美由希とファリン(ノエルさんの妹)はシンプルな競泳水着タイプで、ノエルさんとリニスはビキニ姿だった。

2人とも忍さんに負けず劣らずでスタイルが良かった。

 

 

「皆綺麗でかわいらしいと思うぞ。うん、似合ってる」

 

「どうして初めからそれが言えないんですか……」

 

リニスは頭を抱え、美由希とノエルさんは苦笑していた。

他の面々は一様に顔を赤くしていたがどうしたんだ?

 

 

「この朴念仁は放っておいて皆さん泳ぎに行きましょう」

 

「「「はーい!」」」

 

「放ってって……一応ボディーガード役で来たんだがなぁ」

 

「それならちゃんと見ていてくださいね」

 

「へいへい」

 

俺は近場に会った椅子に座り、遊びに繰り出したみんなの様子を眺めていた。

するとユーノがこちらに近寄ってきた。

 

 

「んぁ?どしたユーノ。お前さんも皆に混じって遊んできていいんだぞ?」

 

「流石にあそこに男一人で混じるのは勇気がいるので……。サイフォンさんも一緒なら考えますけど」

 

「そりゃ難しい話だ。それで?」

 

「はい。もうお気付きかもしれませんけど、この場所には微かに魔力の残滓が感じられるんです」

 

「なんだ。お前さんも感じ取っていたか」

 

このプールに来た当初から感じていた微かな魔力。

なのははまだ気付いていない様子だったが、恐らくリニスは気付いてるだろう。

もしかしたらそれを見越して今回参加した可能性はある。

 

 

「誰かの強い願いと後悔。ジュエルシードがそれに反応しようとしてるのかもしれません」

 

「なるほどな。願いを叶える宝石か……。最初の時もそうだったが偉く不安定なもんだな」

 

「はい。それでちょっと周りを見てこようと思うんです」

 

「わかった。ただし無茶はするな。何か起きたら直ぐに連絡と、結界の展開をしてくれ」

 

「分かりました。それじゃあ」

 

ユーノが離れていくのを見て俺も少しだけ辺りを見てこようかと思ったが

 

 

「サイフォンくーん!見てるだけじゃなくて一緒に遊ぼうよー!」

 

「そうよ!見てるだけじゃつまんないでしょー!」

 

「一緒に泳ぎましょー!」

 

お嬢さん方からお呼びがかかってしまった。

仕方ないので一旦捜索はユーノに任せ、なのは達の泳ぎに付き合うことにした。

 

 

 

 

――――それから数十分後

 

 

 

異変は起こった。

 

急激な魔力の高まりを感じると同時にユーノが結界を張ったのだ。

 

 

『皆大変!魔力の反応を追っていたら、急にその反応が高まったんだ。その後、突然恭也さんの声がしたと思ったら水があふれてきて!』

 

『なるほど。状況から見てジュエルシードで間違いないな』

 

『こっちにはもう反応がありません。もしかしたらプールサイドに行ったのかも!結界は張ったんですが、切り取り範囲が広くて何人か取り残されてるかもしれません!』

 

『なんだって!?』

 

ユーノと連絡を取っている間にもプールの方では水の化け物が荒れ狂っていた。

 

 

「サイフォン君!(サイフォン!)」

 

「なのは!リニス!」

 

「この結界はユーノさんが?」

 

「ああそうだ。だがカバーしきれなくて何人か残ってるかもしれないらしい。急いで保護を――」

 

「「きゃああああああああ!?」」

 

3人で状況を確認していると、突如として悲鳴があがったのだ。

 

 

「あれは……すずかとアリサか!」

 

「な、何!なんなのコレ!?いやあああああああ!!いやらしいうごきするなぁ!」

 

「ぬ、脱がされちゃう……」

 

ジュエルシードの力で暴れる水が触手の様に絡みつき、2人の水着を脱がそうとしていたのだ。

 

「命の危険ってわけじゃなさそうだけど……あれなに?どうなってるの?」

 

「お前さんたちが来る前に恭也から聞いたんだがここ最近、更衣室荒らしが捕まったらしい。もしかしたらジュエルシードがそいつの願いに反応して暴走してるのかもしれねえ」

 

「だから女の子の水着を取ろうとしてると……女の敵ですね」

 

俺は急いでバリアジャケットを展開すると、今も2人の水着をひん剥こうとしている水の触手を切り裂いた。

 

そして落下する2人を抱きかかえ下ろしてやった。

幸い水着はまだ無事だった。

 

 

「なになにどうなってるの!?」

 

「もしかしてサイフォンさん……?」

 

どうしたもんか。2人に魔法のことを知られるわけにはいかない……魔法で夢かなにかと思ってもらう方がいいか

 

そう思い黒魔道士にジョブチェンジすると、いつの間にか水が巨大な波となっておそいかかってきていた。

 

 

「わあ!波が!?」

 

「きゃあああ!!」

 

「ちっ!シュッツライゼンデ!広域防御!」

 

《Wide Area Defenser》

 

俺は後ろに2人をかばい迫る波から守った。

 

 

「リニス!なのはの援護!封印を頼む!」

 

「「はい!(うん!)」」

 

2人は直ぐにセットアップしてジュエルシードを封印すべく構えた。

 

 

「ブーストアップ・バレットパワー!」

 

「趣味は人それぞれですが、人様に迷惑をかける変質的行動は、良くないとおもいます!というわけで……!封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード……?」

 

「なのはさん?」

 

「――あれ?何だか違和感が……な、なんだかよく分からないけど封印!」

 

《Shooting》

 

なのはの直射砲は大元らしき水に直撃すると、荒れていた水は元に戻ったかに見えた。

()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

(本体は別のところにあるのか?だがその前に……)

 

今はこの2人をどうにかしなければ

 

 

「あんた……サイフォンなの?その恰好って」

 

「サイフォンさん……?」

 

「2人とも、これは夢だ。ただの悪い夢。お前さん達は泳ぎすぎて疲れて眠っちまったんだ。その証拠にほら、また眠りが深くなる」

 

《Sleep》

 

「あれ……?ほんとだ……眠い……」

 

「瞼が……急に……」

 

「悪い夢は忘れて、今度は幸せな夢を見るといい」

 

それを最後に2人は眠ってしまったので、プールサイドに寝かせてやった。

これで夢だと思ってくれるといいんだがな。

 

 

「皆!こっちです!」

 

「ユーノ!」

 

するとユーノがこちらとは反対の方から声をかけてきた。

 

 

「どうやら分裂してるみたいです!こっちの方に本体がいます!」

 

「分かった!行くぞ、2人とも」

 

「「ええ!(うん!)」」

 

急いで現場に向かうとそこには何体にも分裂した水の化け物がいた。

このまま増え続けると厄介そうだ。

 

 

「まとめて封印しないとキリがなさそうですね」

 

「僕は複数用のロックオン系魔法なんて使えないし……サイフォンさん達は?」

 

「使える……が、ここはなのはに任せよう」

 

「ふえっ、わたし?」

 

「ああ。今朝練習した魔法。いけるか?」

 

それは今朝の事。なのはに魔法を教えることになったので、朝に魔法の訓練をしていたのだ。

 

そこでなのはに捕獲魔法……バインド系の魔法を教えていたのだ。

その時は失敗してしまっていたが、この子は実戦でこそ真価を発揮するタイプだと思ってる。

今のこの子なら……

 

 

「うん!大丈夫……やってみるよ!」

 

「俺達は万が一に備えてフォローだ」

 

「「わかりました!」」

 

そしてなのはは足元に桜色の魔法陣を展開しレイジングハートを構えた。

 

 

「イメージを魔力に乗せて……捕獲の魔法……そして、固定の魔法……!」

 

《Restrict Lock》

 

「攻撃対象の完全固定……集束系の上位魔法!なのはすごい!」

 

なのははバインドを見事に決め、相手をひとまとめにした。

 

 

「そこでそのまま固まってて!いくよ、レイジングハート!」

 

《OK. My Master》

 

「今度こそ……!シューーート!!」

 

なのはの放った砲撃は、見事に敵を粉砕し封印までできていた。

 

 

「いたた……」

 

「お疲れ様、なのは。よくやったな」

 

「えへへ……うん!」

 

砲撃の反動で後ろに飛んでいたなのはを助け起こし、その頭を撫でてやる。

彼女程の才なら俺なんかは直ぐに追い越されそうだ。

 

 

「それじゃ俺達も元の格好に戻るか」

 

「「「ええ(うん)(はい)」」」

 

そしてバリアジャケットや結界を戻し寝ているすずかとアリサを運び出した。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「う、うーん……」

 

「あれ……?」

 

「あっ2人とも起きたー?」

 

「お2人ともよくお休みで……」

 

すずかとアリサが美由希とノエルさんに見守られながら目を覚ましていた。

あれから数十分程で目を覚ましていたので、大丈夫そうだろう。

 

 

「はしゃいでたからきっと疲れちゃったんですね」

 

「お前さんら2人とも気持ちよさそーに寝てたからな……ってなんだ?2人とも俺の方見て」

 

「いや……別に……」

 

「な、何でもないんです……あはは……」

 

2人はこっちを見て顔を赤くすると、視線を泳がせていた。

さっきのこと聞いてこない辺りちゃんと夢だと思ってると思いたいところだ。

 

ちなみにその二人はというと

 

(何か非常にアレな夢だっだし、夢とはいえあいつにあんな姿を見られるなんて……)

 

(うう……サイフォンさんにあんな格好見られる夢を見るなんて……わたし、どうしちゃったのかな)

 

と思っていたとかなんとか。

 

 

2人が目を覚ました後も皆で楽しく遊び、プール遊びを満喫していた。

その後解散となって各々帰宅し、俺は部屋でリニスと話していた。

 

 

「まさかプールにジュエルシードがあるとはなぁ」

 

「ええ。あの近辺に何かありそうな気はしていたんですが、今回お誘いを受けて正解でした」

 

「なるほどな、やっぱそうだったか。だがそうなると回収を急ぎたいし、少し捜索範囲を広げるか」

 

「なのはさんやユーノさんはともかく、私と貴方はそうしましょうか」

 

なんだかんだ言ってあの2人はまだ子供だからな。

その辺は大人である俺達がやった方がいいだろう。

 

 

「なら早速、俺は明日の夜辺りにでも隣町の方を見てこよう」

 

「分かりました。近辺は私にお任せください」

 

「頼んだ」

 

「そういえば、私の水着姿はどうでしたか?」

 

「なんだ?藪から棒に」

 

プールでもなんか言ってたが何なんだ急に

 

 

「感想ですよ、か ん そ う」

 

「お前さんはスタイルもいいんだし、よかったんじゃないか?」

 

「はぁ……まあ赤点ぎりぎりとして良しとしましょう」

 

何故か訳も分からずリニスに呆れられてしまった。

解せぬ。

 

そしてその日は明日に備え、早めに寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

~???Side~

 

 

とあるビルの屋上。そこには金髪の少女が立っていた。

 

 

「第97管理外世界……現地名称……地球……。母さんの捜し物……ジュエルシードはここにある……」

 

《Yes sir》

 

少女の手には金色に輝くデバイスが握られていた。

 

そしてその傍らにはオレンジ色の体毛をした大きな狼がいた。

 

狼は少女に視線で何かを訴えていた。

 

「そうだね。直ぐに手に入れるよ」

 

そう呟く少女の顔は決意に満ちていた。

 

その様子を見て心配そうに見ている狼に彼女は気付かなかった。

 

 

こうして、ジュエルシード捜索はサイフォン達の知らぬ間に新たな人物が参戦していた。

 

 

 






正直アリサとすずかは好きなだけに将来的にどうするか迷っていたり。
INNOCENTベースに魔導士にしてこっち側に関わらせてもいいかなーとか思ってたり。
その場合話練るのむずそうだけど

それはともかく次回はいよいよ本格的に彼女の登場。
リニス周りどうするかは悩ましいところですね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定