光を支えるもの   作:黒の眷属

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黄色い閃光

~サイフォンSide~

 

 

 

 

これは夢なんだろうか。身体は動かないが意識だけはハッキリとしている。

そんな中、何かが聞こえてきた

 

 

ぐす……ひっく……

 

 

いつだったろうか。こんな風に誰かが泣いているのを夢に見た気がする。

 

 

「なあ。お前さんどうして泣いてるんだ?」

 

え……誰……?

 

反応があった。

姿は見えないがどうやら聞こえているらしい。

声は少女の様だった。

 

 

「何か理由があって泣いてるんだろ?どうしたんだ?」

 

ママが……ママが妹をいじめるんだ

 

「それは……妹が何か悪いことでもしたんじゃないのか?」

 

ううん、違うの……

 

「ならどうして」

 

ママはわたしのせいで……わたしを()()()()()()()()()、妹をいじめてるの……

 

俺は驚きに目を見張った。生き返らせる……つまりこの子はもう……

 

 

お願い!わたしはもうなにもできないの。だからわたしの代わりに妹を……ママをたすけてあげて!

 

「妹はわかるが、母親も?いじめてるのにか?」

 

優しい人だったんだよ。でも一生懸命過ぎたんだ……死んじゃったわたしを生き返らせるために……

 

「それは……」

 

だからママにもわたしに縛られないで生きて欲しいんだ

 

死者の蘇生。それはどの世界でも叶わぬ願いなのだろう。

かつていた世界でも、成功した例などどこにもなかった。

 

ならばせめて、この子の心残りぐらいはなんとかしてやろう

 

 

「わかった。俺が何とかしてみる。だからお前さんは安心しな」

 

ありがとう!あのね、わたし()()()()

 

「俺はサイフォンだ。だがアリシア。これは俺の夢なんだろうがどうしてお前さんがいるんだ」

 

わからない……わたしはもう魂だけの存在になって、ママ達を見守っていたから……

 

「魂か。魂の見る夢だとでもいうのかねぇ」

 

以前はやての夢の中で、夜天の書の管制人格と出会った時と同じような現象だろうか。

考えに耽っていると視界がぼんやりとしてくる。目が覚めるのだろう。

 

 

時間みたいだね……それじゃサイフォン。妹とママのこと、お願いね

 

「待ってくれ。お前さんの家族の名前は!?」

 

名前はね■■■■と■■■■だよ

 

「なんだって?悪い、もう一回頼む!」

 

■■■■と■■■■だよ

 

意識が覚醒しだしているのだろう。もう、うまく聞き取れなかった

駄目だ……意識がもう……

 

またねサイフォン――

 

それを最後に完全に視界がブラックアウトした。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「――夢……か。」

 

なのは達とプールに行った翌日。夜にジュエルシードの捜索に行くために仮眠をとっていたのだ。

するとなんだか変な夢を見たようだ。

 

「アリシア……ね。いったいどこの誰何だか……」

 

何とかしてやると言った手前、何かしてやりたいが情報が何もないのだ。

もしまた彼女に会うことがあれば、その辺りも聞いておきたいところだ。

 

 

「とりあえず隣町の方に行くとするか」

 

俺は支度を整えるとリニスに一声かけ家を後にした。

 

隣町までは飛行していき、その後は足で探すことにした。

発動前のジュエルシードは魔力反応が分かりづらい上に、小さくて見つけづらいのだ。

 

そのまま捜索を続け、わずかに反応のある場所に向かい足を進めていると

 

 

「お、ビンゴか」

 

町のはずれにある大きな木の根元にジュエルシードがあった。

俺はのんびりとした足取りで、それに向かっていたが……

 

 

「動かないで」

 

「あぁん?」

 

ふと、誰かに呼び止められたのだ。気配で誰か近付いてきてたのは分かったが、声をかけられるとは思わなかった。

 

そこで振り返り、声の主の方に視線を向ける。

するとそこには金髪のツインテールで、黒を基調とした服にマント姿の少女がいた。歳はなのはと同じくらいだろうか?

手には物騒にもバルディッシュの様な得物が握られている。

 

 

「それを渡して」

 

淡々と告げる少女。恐らく魔導士で、ジュエルシードを狙っているのだろう。

その言葉を聞いて俺はケータイを取り出し、電話をかける()()をした。

 

 

「もしもし、警察ですか?はい、今凶器を手にした不審者に脅されていまして」

 

「えっ、あの……」

 

「場所は町はずれの大きな木があるところです。ええ、そうです」

 

「ま、待って!わたしは不審者じゃありません!!」

 

そういって少女は慌てた表情で武器を消し、無害アピールをしたところでケータイの画面を見せた。

 

 

「え……?」

 

「不審者じゃないみたいで俺も安心したぜ。いやー、警察が来るってなると面倒だからな。助かったわ」

 

画面はホームのままで電話は一切かけていなかった。

これで少なくとも、この少女が問答無用で襲ってくるような人間でないことが分かった。

 

だが当の少女はというとプルプルと肩を震わせ、先程とは変わって真剣な表情でこちらを見ていた。

その手には再び得物が握られている。

 

 

「おいおい、無害な一般人として相応しい対応をしたのに、そうカッカしなさんなって」

 

「ふざけないで。貴方みたいな魔力の大きい一般人がいる筈がない」

 

「魔力ってなんだ?」

 

「えっ?」

 

この返しには相手も予想していなかったのだろう。キョトンとした表情を浮かべている。

 

 

「えっと……その」

 

「まあお前さんくらいの年の子なら、そういうのに興味があるのも分かる」

 

「いや、そうじゃなくって……」

 

「皆まで言うな!だからそんな格好もしてるんだろう。うんうん」

 

少女は先程までの真剣な表情が崩れ、オロオロとしていた。

若いねぇ

 

 

「なあお嬢ちゃん」

 

「はい?」

 

「ちなみに魔法ってのは、()()()()()かい?」

 

「――っ!」

 

その瞬間俺は広域結界を展開した。

もし戦闘になったら確実に周りに被害が出ると思ったからだ。

この少女からはそう思うだけの魔力を感じた。

 

 

「広域結界……やっぱり魔導士!」

 

「半分正解、半分外れ……だな」

 

結界を張った瞬間距離を取った少女に対し、見せつけるように漆黒の魔力光を放つ魔法陣を展開する。

 

 

「ベルカ式!?」

 

「そう、Exactly(そのとおり)。俺はベルカの騎士だ。一応な」

 

そして俺はナイトにジョブチェンジしバリアジャケットを展開した。

対する少女は完全に戦闘態勢に入り、こちらにデバイスを向けている。

 

先程の問答から見ても幼さは抜けないが、切り替えが早い。

俺は剣を肩に担ぎトントンと叩きながら、少女に問う。

 

 

「んで、お前さんはなんでジュエルシードを取ろうとしてんだ?」

 

「貴方に教える義理はない」

 

「そりゃごもっとも。ちなみに俺もあれを集めてんだな、これが」

 

「……」

 

「んで?どうするよ。俺は譲る気はないんだが……」

 

すると少女は無言で黄色のスフィアを展開してきた。

 

 

「物騒だなあ。話し合いで解決――」

 

「フォトンランサー……ファイア!」

 

少女の声と共にスフィアから槍のような魔力弾が放たれた。

 

 

「シュッツライゼンデ。甲冑だ」

 

《Panzergeist》

 

「なっ!?」

 

驚きの声は少女の物だった。放った攻撃が直撃した瞬間霧散していた。

全身を魔力の鎧で覆って攻撃を無効化したのだ。

しかし――今の魔法は……

 

疑問が頭をよぎったが、一旦考えを振り払い戦闘に集中することにした。

 

 

「その程度の火力なんじゃあ俺に攻撃は通らんぞ」

 

「――バルディッシュ!」

 

《Yes sir. Scythe form. Set up》

 

すると少女はデバイスを変形させ、魔力の刃を持った鎌にして高速でこちらの死角に回り込んだ。

 

 

《Blitz Action》

 

「はっ!!」

 

「おっと危ない」

 

俺はその攻撃を盾を使い防いだ。

身体強化もされてていい一撃だ。

 

その後も少女はこちらの死角を狙い、高速で移動して斬撃を浴びせてくる。

だが狙いがハッキリしている上に攻め方が単調な分、防ぐのは容易かった。

 

 

「アークセイバー!!」

 

少女は移動しながらこちらに魔力刃を飛ばすと、その逆方向から攻めてきたが

 

 

「それだけじゃ甘いな!」

 

「くっ!?」

 

俺は魔力刃を盾で止め、少女自身の攻撃を剣で防いだ。

そして攻めきれないことに煮えを切らしたのか、少女は距離を取ると魔力を溜めた。

 

 

「そんなんじゃ避けてくださいって言って……ほぉ?」

 

気付けば足がバインドで固定されていた。先程高速移動している間に設置したのだろう。

だがこれは――

 

ライトニングバインドときたか……

 

似たような魔導士など、数えればいくらでもいるだろう。だがあまりにもこの少女の使う魔法は、自分の師と似ている……いや同じなのだ。

そして溜めを終えたのか、少女が砲撃を放った。

 

 

()()()()()()()()()()!!」

 

「ランパート!」

 

少女の掛け声とともに黄色の閃光が放たれた。

それに対し、俺は防御強化の魔法を使い盾を構えた。

 

黄色の閃光は盾に激突すると、その溢れんばかりの魔力で俺を押し出そうとした。

それから暫し砲撃は続いていたが、その攻撃がやむとそこには無傷の俺と肩で息をする少女の姿があった。

 

 

「1つ聞いてもいいか?」

 

「はぁっ……はぁっ……なに?」

 

「お前さん、その魔法は誰に習ったんだ?」

 

「貴方には……関係ない」

 

「そうかい。俺としては気になるんだが……なっ!」

 

「――ライトニングバインド!?」

 

疲れている中、振られた会話で油断している彼女を、こちらもライトニングバインドで捕縛した。

そして身動きの取れない彼女に手をかざし魔力を溜めた

 

 

「これを見ても話す気にならないか、試させてもらうぞ!」

 

黒魔道士じゃないと変換が手間なんだがな!

 

 

「サンダ―――スマッシャ――!!」

 

「なっ!?バルディッシュ!」

 

《Defenser》

 

今度はこちらから放たれた黄色の閃光が少女を襲った。

少女は展開したバリアで必死に耐えていたが、その表情には苦悶の色が広がっていた。

俺は程々で砲撃をやめ少女の様子を見た。

 

バインドも解けたがフラフラとして、立っているのもやっとそうだ。

 

 

「これでもまだ話す気になんねえか?」

 

「貴方はいったい……」

 

少女はただただ困惑した表情を浮かべていた。俺はそんな少女に近付こうとしたが、()()()()()()()()()()

すると先程まで立っていた場所に、魔力弾が降り注いでいた。

 

 

「フェイト!大丈夫!?」

 

「アルフ……?」

 

獣の耳と尻尾が生えた女性が乱入してきたのだ。

使い魔かなんかだろうか。結界は結構広く張ったし、紛れ込んだか。

 

 

「おーおー、いきなりあぶねぇな。怪我したらどうすんだよ」

 

「全部避けといて何言ってんだい。フェイトに手を出した落とし前、つけさせてもらうよ!」

 

「アルフ!駄目っ!」

 

少女――フェイトの制止も聞かずアルフはこちらに向かってきた。

そして拳に雷を帯びた魔力を纏わせ、拳を振るってきた。

――ドゴオオオオオンというけたたましい音と共に拳と盾が激突した。

 

 

「おー、良い一撃だ!」

 

「くっ!?こいつ、硬い……!!」

 

アルフの放った一撃はかなりの物でその衝撃で少し後退(あとずさ)る程だった。恐らくフェイトがスピードで、アルフがパワーと役割が分かれてるんだろう。

 

アルフは攻撃の手を緩めず、時に蹴りも交えつつ猛攻をかけてくるが、盾を突破することはできなかった。

 

 

「バリアブレイクが効いてない!?」

 

「そりゃそうだ。これはバリアじゃなくて単に盾を強化して捌いてるだけだから――なっ!」

 

「ぐっ!?」

 

「アルフ!!」

 

ラッシュをかけていたアルフの隙を突き、シールドバッシュを食らわせフェイトの方に吹き飛ばしたのだ。

俺はまた肩に剣を担ぎトントンと叩きながら2人に問う。

 

 

「んで……まだやんのかい?お前さんらじゃ俺の守りは突破できんぞ」

 

「くっ――」

 

「フェイト、ここは一旦退こう!相手が悪すぎる!」

 

「でも……」

 

フェイトの目には迷いが見えその瞳は揺れていた。

直ぐに逃げないってんなら会話ぐらいできるかね?

 

そう思い声をかけようとした瞬間、()()()()()()()()が発生した。

 

 

「ちっ!発動しやがったか!」

 

「くっ、いったいなにが……」

 

「なんなんだいこりゃあ!」

 

ジュエルシードの方を向くと、そこには2本の腕を生やした巨大な木の化け物がいた。

恐らくジュエルシードの力が暴走しているのだろう。

 

 

「仕方ねえ。一時休戦だ!いいなおまえら!」

 

「…………」

 

「あんた何言って」

 

「この状況でまだやりあおうってんならまた後でにしろ!それか逃げるってんなら好きにしやがれ!」

 

今目の前にいる木の化け物は、以前のドロドロしたやつよりも大きな魔力を宿していた。

他にかまけている余裕は無さそうだ。

今にも暴れだしそうな化け物に目を向けていると、マントの裾を掴まれた。

 

 

「どうした?」

 

「わたしも……わたし達もやります!」

 

「フェイト!?」

 

その瞳に先程のような迷いはなく、凛とした眼差しでこちらを見上げていた。

 

 

「いいんだな?」

 

「はい。いいよね?アルフ」

 

「はぁ。あたしはフェイトがいいならそれで構わないよ」

 

「決まりだな。俺はサイフォン。黒鐵サイフォンだ」

 

「フェイト・テスタロッサ」

 

「使い魔のアルフだよ」

 

お互い軽い自己紹介を済ませ、化け物に対峙する。

相手もこちらを認識したのか、地面から根を出しこちらに向けていた。

 

 

「俺が前衛に出て引き付ける。お前さんらで本体を叩け」

 

「わかった!」

 

「了解!」

 

「そんじゃいくぞ!」

 

俺は掛け声とともに盾を構え突撃した。

化け物はその巨大な根を振り回してくるが、俺は盾で防ぎつつ根を切り払っていった。

 

 

「チェーンバインド!」

 

「フォトンランサー!ファイア!」

 

2人はアルフがバインドで動きを制限させ、フェイトが攻撃していたが……

 

 

「こいつ、生意気にもバリアなんか張って!」

 

「もっと威力の高い攻撃をしないと……それなら!」

 

フェイトが魔力を溜めだしたところで前線にいた俺は異変に気付いた。

想定より根が少ない……そう思ったところで、長年戦いで培われてきた勘が脳内で警鐘を発した。

 

 

「お前ら!そこから離れろ!!」

 

「きゃあ!!??」

 

「うっうわああああ!?」

 

声をかけたところで、2人は地面から生えてきた根に囚われてしまっていた。

俺はすぐさま2人の元に戻り、拘束している根を切り払った。

 

 

「大丈夫か!」

 

「ありがとうございます……」

 

「あんたのお陰で助かったよ……」

 

安堵したのも束の間。化け物が両手を前に突き出し、膨大な量の魔力を溜めていたのだ。

俺一人なら離脱は間に合うが……

そこでフェイト達を見て覚悟を決めた。

 

 

「お前ら、絶対に俺の後ろから離れるなよ!!」

 

「う、うん」

 

「わ、わかったよ」

 

「シュッツライゼンデ!ロードカートリッジ!パッセージ・オブ・アームズ!!」

 

《Jawohl!Passage of Arms!》

 

カートリッジを2発ロードしコマンドを宣言する。

そして中腰になり左手の盾を前方に構え、右手の剣を後ろの地面に突き刺し攻撃に備えた。

すると身体から4枚の大きな光の羽が出現し、構えた盾を中心にバリアが展開された。

 

 

「綺麗……」

 

「なんて魔力だいこりゃ……」

 

準備が整ったところで、化け物の溜めた魔力が発射された。

その衝撃は凄まじく、カートリッジをロードしても思わず後退るほどだった。

2人の心配そうな雰囲気が伝わってくるが、何としても耐えきらねば!

 

 

「シュッツライゼンデ!カートリッジ追加だ!」

 

《Jawohl!》

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

裂帛の気合とともに声をあげ、魔力を高めた。

そして漸く長かった攻撃が止まった。

 

 

「サイフォン大丈夫!?」

 

「大丈夫かい?」

 

「はあっ……はあっ……なんとかな」

 

一先ず攻撃は凌いだ。流石にアレをもう一発となると、こちらも切り札を切らねばならない。

そうなる前に仕留めねば

 

 

「流石にもう一度あれが来たらまずい。速攻で仕留めるぞ」

 

「うん。でもどうやって?」

 

「アルフ。お前さんはバリアブレイクが使えるんだろ?」

 

「ああ。あたしの得意分野だ」

 

「ならバリアブレイクで奴の障壁をお前が引き剥がすんだ。露払いは俺がする。フェイト、お前さんはバリアが抜けたらすかさず全力の一撃をお見舞いしろ」

 

「わかった」

 

敵もこちらの無事を確認したのか、また力を溜めようとしていた。

 

 

「ラウンドガーダー!」

 

「これは……」

 

「防御結界だ。そこにいれば安全だからお前さんはとどめに集中しろ」

 

「うん。ありがとうサイフォン」

 

「アルフ!行くぞ!」

 

「合点承知!」

 

 

アルフと俺は敵に向かって行った。

途中何度も木の根が迫り邪魔してきたが、俺はその尽くを切り払い道を作った。

 

 

「邪魔だあ!」

 

そして力を溜めている腕を切り落とし、準備は整った。

 

 

「アルフ!今だ!!」

 

「あいよ!バリアーーーーブレイクーーーーーー!!!!」

 

アルフの一撃は少しの間バリアとせめぎあったが、次の瞬間バリアをぶち破った。

 

 

「フェイト!とどめだ!!」

 

「うん……サンダーーーーーレイジーーーー!!!!!」

 

その一言で化け物に対し膨大な魔力の雷が降り注いだ。

雷は暫くの間降り注いでいたが、やがて攻撃がやむとそこには封印されたジュエルシードが輝いていた。

 

 

「よーやっと終わったか……」

 

「はぁ……疲れたよ~」

 

「2人ともお疲れ様!」

 

2人でばてているとフェイトがこちらに近寄りねぎらってくれた。

最初は敵対していたがこっちが素なんだろうな。

 

俺はフェイトの労いにひらひらと手を振りつつ、封印されたジュエルシードを手にした。

 

 

「さて。後はこいつなんだが……」

 

「あっ……」

 

「…………」

 

途端に場がさっきの化け物との戦闘とは違った緊張感が支配した。

だが俺はそれに構わず、フェイトの手を掴みジュエルシードを握らせた。

 

 

「えっ…………」

 

「そいつぁ、お前さんが封印したんだ。ならお前さんが持ってるといい」

 

「でっ、でもこれは!貴方の助けが無ければできなかったことで――」

 

「そーいうのはいんだよ。子供が変な遠慮なんかすんな。な?」

 

そう言ってしゃがんで目線を合わせフェイトの頭を優しく撫でてやったが、まだ納得いってないらしく複雑そうな表情をしていた。

 

 

「しっかしお前さんほっそいなぁ。ちゃんと飯食ってるか?」

 

「?――ちゃんと食べてるよ?」

 

「嘘おっしゃい。最近あんまり食べてないでしょフェイト」

 

「そりゃ駄目だ。身体が資本だからちゃんと食わねえと」

 

「う、うん……」

 

多分駄目だなこりゃ。無理やりにでも食わせてやらんと。機会があれば飯でも振舞うかね

そう決意しフェイトの頭をひとしきり撫でると帰るために立ち上がった、

 

 

「そんじゃ俺は帰るわ。お前さんらもあんま人様に迷惑かけんなよ~」

 

立ち上がりその場を去ろうとするが――

 

 

「待って!!」

 

「ぐえっ」

 

思いっきりマントを掴んで呼び止められてしまった。

なんか前にも似たようなことがあったな

 

 

「あっ……ごめんなさい」

 

「お、おう。んで、どした?」

 

「サイフォンに聞きたいことがあるの」

 

「俺に答えられることだったらいいぞ」

 

予想はできている。だからこその予防線だ。恐らく彼女の言いたいことは……

 

 

「貴方の魔法は()()()教わったの?」

 

俺が気付いたように恐らく彼女も気付いたのだろう。だからこその質問だ……だが――

 

 

「俺に答えられることだったら……そう言ったな?残念ながらそれは答えられない質問だ」

 

「そんな!?――どうして!!」

 

「俺が聞いても答えなかったくせに、自分が聞いた時は話せだなんて、虫が良すぎると思わんかね?」

 

「それは……」

 

「話は終わりだ。あばよー。子供なんだからちゃんと早く寝ろよー」

 

「あっ――待って!!」

 

フェイトの制止を振り切り、俺は結界を解除してその場を飛び去った。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

フェイト達と別れ家に戻っている道中、あの少女のことを考えていた。

 

あの子も俺と同じ魔法を使っていた。フェイトの反応を見るにほぼ間違いないだろう

だとすればあの子はリニスの前の教え子ということだ

 

それが何故かは知らんが、この世界に来てジュエルシードを集めてると

どんな確率だこりゃあ

 

リニスには会わせない方がいいだろうなこりゃ……

確実に拗れる。無いと思いたいが、最悪リニスが向こうにつく可能性だってある

 

だが出会ってまだ間もないが、フェイト自体は悪い子ではない気がしていた。

そんな子が何故ジュエルシードを集めてるのか。

 

その理由が分かって問題を解決すれば、敵対することはなくなるんじゃないか?

手は打ってあるし、話をしに行くことはできる。

 

明日は幸い休みだ。早速行動に移すとしよう

 

 

こうして長い長い夜が終わった

 

 






フェイト初登場回。長いね
リニスはホントどうするかねぇ。ある程度こうしようって案はあるけどまあ難しいですわな

あと次回もフェイト回。はやても出番作りたいけどA’s入るまでは厳しそうだな―と
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