光を支えるもの   作:黒の眷属

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魔導士達の戦い

~フェイトSide~

 

 

 

月村家の庭の一角には魔導士が3人、相対していた。

 

両者共にジュエルシードを集めている者で、今は互いの陣営に分かれ1対2の構図で睨みあっていた。

 

現在黒衣の少女……フェイトは黄色い電気を帯びたスフィアを展開して滞空していた。

 

 

バルディッシュと同型のインテリジェントデバイスを持った魔導士が1人。それにもう片方は、多分支援型の魔導士。

そしてジュエルシードを狙っているということは、恐らくサイフォンの言っていた彼の仲間たち。

 

 

(今はアルフもいない。でもさっきの戦闘を見る限り、負けは無さそうだ)

 

唯一の懸念はサイフォンの存在だった。この子達がいるということは、あの人も傍にいる可能性がある。あの人は今、わたし達を庇ったせいで殆ど魔法が使えない状態だ。それでもあの人の実力を考えれば、その支援があるだけでも脅威になる。けどそれよりも……

 

 

(わたしがあの人と戦いたくない…………)

 

わたしと同じ、リニスの魔法を持つ人と……敵対したくないと言ってくれたあの人とは戦いたくなかった。

だから!――サイフォンが来る前に、この戦闘を終わらせる!

 

 

わたしは自分のデバイス――バルディッシュを構えなおすと、白い子が飛び上がり近寄ってきた。

 

 

「あの……あなたもそれ――ジュエルシードを探してるの?」

 

「それ以上近付かないで」

 

「いや……あの。――お話したいだけなの。なんでジュエルシードを集めてるの?――とか」

 

そして白い子はまた()()()()()してきた。

 

警告はした……なら!

 

 

《Fire!》

 

わたしは近付こうとした白い子にフォトンランサーを発射した。

白い子は上昇し初弾を避けたけど、本命はこっち!

 

フェイトはなのはが避けると同時に、高速移動魔法ブリッツアクションを使用してその背後に回り込んでいた。

 

 

「なのは!後ろだ!」

 

「――っ!?」

 

《Scythe Slash》

 

不意を突いた一撃は紙一重で避けられていた。

 

攻撃を避けられたわたしは、すぐさま相手の方に向き直り高速で接近し、デバイスを振り下ろした。

 

白い子は今度はこちらの攻撃を受け止め、鍔迫り合いの状態になった。

 

 

「まって!わたし!戦うつもりなんてない!!」

 

「だったら。わたしとジュエルシードに関わらないで!」

 

「だから!そのジュエルシードはユーノ君が!」

 

「――くっ!」

 

わたしは鍔迫り合いの状態を解き、直ぐにその場から離脱した。

するとさっきまでわたしのいた場所を緑の鎖が通り過ぎて行った。

 

 

「なのは!無事!?」

 

「ありがとうユーノ君」

 

チェーンバインド……あれに捕まったら駄目だ。捕まったら最後――あの白い子の砲撃にやられる……それなら!

 

 

わたしはスフィアを4つ展開すると、バルディッシュの魔力刃に魔力を込めた。

 

 

「撃ち抜け!ファイア!」

 

「「!?」」

 

「アークセイバー!」

 

わたしは展開したスフィアを半分ずつ、2人に向けて発射して魔力刃を白い子に向けて射出した。

 

 

「ぐっぬぬぬぬぬぬ!」

 

「なのは!――くっ!?」

 

なのはがアークセイバーの魔力刃を防いでいる間に、フェイトはユーノに接近し、デバイスを振り下ろした――だが

 

 

「――硬い!?」

 

「そう簡単にやられるもんか!」

 

バリアが想像以上に硬い……この子、結界魔導士!?

 

目論見が外れたフェイトは即座に作戦を変更し、再度スフィアを展開すると左手に魔力を溜め、距離を取った。

 

 

「フォトンランサー!ファイア!」

 

わたしは1つだけスフィアを残し、残りを全てタイミングをずらして発射した。

緑の子は1発をバリアで受けると、残りは受けきれないとみて避けていた。――でも

 

 

「そんな!バインド!?」

 

「ユーノ君!?」

 

ユーノの逃げた先には、フェイトの設置したライトニングバインドがあった。

 

 

「撃ち抜け――ファイア!」

 

「うわああああああああ!!」

 

「ユーノ君!!!」

 

フェイトはバインドで動けないユーノをフォトンランサーで撃墜した。

そしてなのはがアークセイバーを防ぎ切り、助けに行こうとするが

 

 

 

「そんな!こっちにも!?」

 

こちらの攻撃を防いだ後は、緑の子の援護をしに来るのは予測できた。だからその進行ルートに、ライトニングバインドを設置しておいた。

 

バインドを解こうともがいている白い子に、わたしは魔力を溜めていた左手をかざして、一言彼女に謝った

 

 

「――ごめんね」

 

《Thunder Smasher》

 

そして黄色の砲撃は白い子を飲み込んだ。

 

 

「きゃああああああああああああ!?」

 

直撃を受け、その子は下へと落下していった。

 

漸く終わった……

 

わたしは息をつくとジュエルシードを回収した。

 

目的は果たしたから後は帰るだけだ……

 

そう思い踵を返そうとした瞬間

 

 

「謝るくらいなら、あんまりいじめんでほしいもんだがね」

 

「えっ……」

 

今この場で最も会いたくない人物がそこにはいた。

 

 

「よう、フェイト」

 

「サイフォン……」

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

~サイフォンSide~

 

 

 

 

 

なのは達が席を立って暫くの間、俺はすずかとアリサと一緒に談笑していた。

その間にもユーノの結界が展開されているのを感じていた。

 

(結界が発動したってことは、やっぱ当たりか)

 

 

事前に俺は結界の対象外にするように言っていた。ユーノのはった結界に入る分には問題なさそうだったからだ。

 

だがそれから少しもしないうちに、1つの大き目な魔力反応が高速で接近してなのは達の方に向かって行ったのを感じた。

 

やはり来たかフェイト!

 

恐らく今のなのは達ではフェイトに勝つのは難しいだろう。なのははまだ圧倒的に実戦経験が足りていないし、それにユーノは遺跡発掘の仕事をしていたと言っていたので、本来は戦闘要員ではない。

戦闘を行うための訓練をしたものと、そうでないものとではその差は遥かに大きい。

 

これは迎えに行った方が良さそうだな。場合によっては俺も援護に回るか

 

俺は現場に向かうため、席を立った。

 

 

「あら、どうしたのよ?」

 

「ああ。あいつらちょっと遅いから、少し様子見てこようと思ってな。ここ広いから迷子になってるかもしれねえしな」

 

「そういえば、なのはちゃん達遅いですね。それなら私達も……」

 

「いーって、いーって。俺一人で大丈夫だ。お前さんらはゆっくりしてな」

 

そして2人をその場に留め、なのは達の方へと向かって行った。

 

 

結構奥の方まで行ってたらしく、結界内に入り暫く歩みを進めていると戦闘音が聞こえてきた。

 

予想はしてたが、まあぶつかり合うよな……

 

おれは駆け足で現場に近付いていると――

 

 

「うわああああああああ!!」

 

「ユーノ君!!!」

 

 

2人の声が聞こえてきた。俺は高速移動魔法ゼーアシュネル(Sehr Schnell)を使い、現場に急行するとそこには落下しているユーノの姿が見えた。

 

 

「ちっ!ブリッツアクション!」

 

俺はユーノの下に移動し、フローターフィールドを発動させて、その身体を受け止めた。さっと見た感じ大きな怪我は無さそうだ。

 

そして上空に目を向けた瞬間――

 

 

「――ごめんね」

 

「きゃああああああああああああ!?」

 

フェイトの謝る声と共になのはの悲鳴が響き渡った。

 

ったく、容赦ねえな!

 

すぐさま落下地点へと向かい、ユーノと同様に地上に叩きつけられる前に受け止めた。なのはの方も魔力ダメージは大きそうだったが、致命的な物は無さそうだ。

 

そしてフェイトの方に目を向けると、彼女はジュエルシードを回収し終わりこの場を去ろうとしていた。

 

俺はそんな彼女に声をかけてやった。

 

 

「謝るくらいなら、あんまりいじめんでほしいもんだがね」

 

「えっ……」

 

「よう、フェイト」

 

「サイフォン……」

 

フェイトは苦虫を嚙み潰したような表情をしていた。

 

まあ決まりが悪いよな。俺の仲間を2人ともノックダウンさせてんだし

 

 

「しっかし、お前さんもやるねぇ。あの2人を同時に相手して倒しちまうんだから」

 

「それは……」

 

「あー、心配すんな。別に怒ってるわけじゃねえんだ。あの2人ももう少し鍛えてやらないとなって思っただけだよ」

 

肩を竦めおどけて言う俺を見てフェイトは少し安心したのか、表情が多少和らいでいた。

 

だが直ぐにまた表情を暗くさせ、微かに震える手でこちらにデバイスを向けていた。

 

 

「サイフォンは……やっぱりかたき討ちとか……」

 

「んぁ?状況によるが別に今回のことじゃしねえぞ」

 

「えっ?」

 

「互いに譲れないものがあって、力を出し合って勝敗が決まった。それに対してかたきを討とうなんて思わんよ。それに言ったろ?俺は中立だって」

 

「そ、そっか」

 

フェイトは心底ホッとしたような表情をしていた。

 

 

「まあ、俺は一応なのはの魔法の先生なんでな。その内お前さんを追い越すような魔導士に育てることが、ある意味かたき討ちになるかもな」

 

俺はフェイトの方を見てニヤリと笑っていると、何故か不機嫌そうにムスーっとした顔で見られてしまった。

 

 

「どしたフェイト?」

 

「――なんでもない。わたしはその子には絶対に負けないから」

 

「お、おう」

 

「じゃあねサイフォン」

 

「ま、またな、フェイト」

 

不機嫌さを残しながら、フェイトはその場を去っていった。

 

 

なんか変なこと言ったか俺?それともさっきのが過剰な挑発にとられたんだろうか……

考えてもどうせ分からんだろうと結論付けて、俺は2人を回収して運ぶために恭也を電話で呼んだ。

 

2人そろって近くで気絶してたんで、転んで頭でもぶつけ合ったんじゃないかと伝えておいた。

 

 

その後は恭也と共になのは達を運び出して、ベッドに寝かせてやった。

治癒魔法もかけておいたから、直に目が覚めるだろう。

 

ちなみに俺は恭也に、なんで2人で行かせたんだとお叱りを受けてしまった。

仕方ないだろうに……

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

なのはとユーノが目を覚ましたところで俺達は月村邸を後にした。

そして帰りのバス内にて、なのはは沈んだ表情をしていた。

 

 

『大丈夫か?なのは』

 

『サイフォン君……うん。傷はサイフォン君が直してくれたから、大丈夫だよ。――ねえサイフォン君』

 

『なんだ?』

 

『サイフォン君は、わたし達が戦った子と会ったの?』

 

『ああ。落ちてくるお前さんらを回収する時にな。今日話したもう一組の捜索者だったよ』

 

『そうだったんだ……』

 

『あの子の魔法といい杖といい、間違いなく僕たちの世界の魔導士だったよ』

 

2人の様子から見て名前は名乗ってなさそうだし、伏せておいた方がいいなこりゃ

 

 

『ジュエルシード集めをしてると……あの子とまた……ぶつかっちゃうのかな』

 

『そうだなぁ……なのはは戦うの嫌か?』

 

『うん。あの子にもきっとわたし達みたいに、何か事情があるんだと思う。その事情がわかれば、お互い助け合えたりするかもしれないのに』

 

『お前さんはあの子と分かりあいたいんだな……。ならなのは。お前さんはあの子に語り掛けることを諦めちゃだめだ』

 

『サイフォン君?』

 

 

かつて千年間にも及ぶ、人と竜の戦争を止めた者達がいた。彼らは決して融和の道を諦めず、歩み続けてきたからこそ、千年の戦争に終止符を打ち、その融和は成ったのだ。

 

だからこそ俺は、なのはにはフェイトとの融和の道を諦めて欲しくなかった。

 

 

『あの子の事情を知り、できるならそれを助けてあげたいんだろう?』

 

『うん……』

 

『なら最後まであの子に寄り添って、聞き続けるといい。それにレイジングハートの起動呪文で、なんて言ったか覚えてるか?』

 

――――風は空に、星は天に

 

『不屈の心はこの胸に……!』

 

『そうだ。大丈夫、お前さんならきっとできるさ』

 

『うん!ありがとうサイフォン君!わたし、何だかやる気が出てきたよ!』

 

 

さっきまでの陰鬱な雰囲気はすっかり消え去り、なのははいつもの元気な姿になっていた。

 

この子はこうでなくちゃな。

フェイトとも対等に語り合えるように、魔法の方もしっかり教えていくか。

 

 

互いに決意を新たにした2人。

 

 

なのはの想いは果たしてフェイトに届くのか

 

 

 






原作では次は温泉回でしたが、今作ありません。はい

まあ劇場版にもなかったし、いいよネ
気が向いたら日常回で入れる可能性が無きにしも非ず


なので次は街中での戦闘ですね。次元震が起きるということは彼らの登場も近いですな
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