~サイフォンSide~
俺が病院で目を覚ましてから4日が経った。
あれからも病院にいながら騒がしい日々を送っていた。なのは達がお見舞いに来た時は特に騒がしかった。4人とも目に涙を浮かべていたし、なのはに至ってはリニスの様に全力で抱き着いてきた。
そこで俺はまた痛みに苦しんでいたがあの子に心配かけた分、重んじて受けることにした。
それ以外には両親や道場の知り合いも何人か来ていた。高町家(なのはは2回目)も来ており、士郎さんとは以前とは立場が逆ですねなんて軽口を叩きあっていた。
退院後はリニスと共に軽い訓練がてら身体を動かし、病院生活で鈍った身体を戻していた。
そして退院した日の翌日である今日、リニスの修理が終わりデバイスが戻ってきた。
「無理させちまって悪いな相棒。今日からまたよろしく頼む」
《Jawohl!》
「それで、今日はどうするのですか?」
「港の方に行く。以前なのは達がそこで、微かに魔力反応を確認したらしい。恐らくフェイト達も補足してるだろう。それとなのは達はもう行ってるんだとさ」
「わかりました。ではわたしは見えないところで、いざとなったらなのはさん達をフォローします」
リニスが変身魔法を使い、別人になったことを確認して俺達は港の方へと向かって行った。
~なのはSide~
わたしは今、ユーノ君と一緒に港に来ていた。
前に一緒に捜索に行った時に少しだけ魔力を感じたから。
本当はサイフォン君とも一緒に行きたかったけど、今日は修理の終わったデバイスをリニスさんから受け取るからわたし達が先に来ていた。
そして暫くの間、港の中を歩いて回り、沢山荷物の入った箱の辺りに来ると反応が大きくなった。
「なのは」
「うん、この辺りだね」
反応のある場所に歩みを進めているとジュエルシードを見つけた。
でも、それと同時にもう1人の捜索者――フェイトちゃんもここに来ていた。
こっちにユーノ君がいるように、アルフさんも港に置いてあるコンテナの上に立っていた。
わたし達は互いに見つめあうように立っていると、フェイトちゃんが先にバルディッシュを構えた。
そしてわたしも同じ様にレイジングハートを手に構えた。
するとフェイトちゃんは顔を伏せ、暗い表情をしながら躊躇いがちに聞いてきた。
「あの人は……」
「えっ……?」
「サイフォンは……無事?」
「う、うん。このまえ退院したし、無事だよ」
「そう……」
フェイトちゃんがサイフォン君の名前を知ってたことには驚いたけど、心配してくれたのがなんだか嬉しかった。
フェイトちゃんは一瞬安心した表情をしていたけど、またすぐに表情を引き締めこちらを向いた。
「あの……フェイト……ちゃん」
「――っ!……フェイト・テスタロッサ」
顔を合わせて初めて呼ぶ名前。フェイトちゃんは少し驚いた表情をしていたけど、名前を教えてくれた。
「うん……わたしはフェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど」
「ジュエルシードは……譲れないから……!」
フェイトちゃんがセットアップするのに合わせて、わたしもセットアップした。
フェイトちゃんの言葉からは強い想いを感じる。でもわたしもそれに負けないくらい語りかけなきゃ……!
「わたしも譲れない……理由を聞きたいから。フェイトちゃんが、なんでジュエルシードを集めてるのか。どうしてそんなに寂しそうな目をしてるのか」
「――っ!」
「わたしが勝ったら、お話聞かせてくれる?」
お互い譲れないものがある。それなら全力でぶつかり合って、この想いを届けてみせる!
睨みあっていた状態から、わたしは先に動きフェイトちゃんに向かって駆けだした。
フェイトちゃんの方もバルディッシュを構えて駆け寄ってきた。
なのはとフェイトは互いに近付き、2人のデバイスがぶつかり合うと思った瞬間――
「そこまでだ!!」
「「っ!?」」
黒い服を着た小柄な少年が転移してきて、2人をバインドで拘束したのだ。
「時空管理局執務官――クロノ・ハラオウンだ」
「えっ!?」
「管理局……!」
ユーノとアルフもその出現は察知できず、想定外の乱入者に驚きを隠せないでいた。
「さて、事情を聞かせてもらおうか」
「「……」」
なのはとフェイトは何が起こったのか状況を把握しきれておらず、唖然としていた。
だが、その状況を動かしたものがいた。
アルフがクロノに対して、オレンジ色のスフィアを展開し魔力弾を放ったのだ。
クロノはそれに瞬時に対応し、シールドで防いでいた。
「フェイト、撤退するよ!」
アルフはクロノに狙いを定めたまま睨みつけていた。そしてクロノはアルフに攻撃しようとして
その結果、バインドで動けないなのはがアルフの射線上に並んでしまった。
アルフは躊躇いなく魔力弾を乱射し、クロノはなのはを庇うように前に出ようとした。しかしその前になのはを中心にバリアが展開され、アルフの攻撃を全て防いでいた。
アルフの攻撃はなおも続き、その場に土煙をあげていた。
その隙にフェイトはバインドを解除してジュエルシードへと向かっていった。
「フェイト!?無茶だ!」
「危ない!」
なのはは目の前のクロノがフェイトに攻撃しようとしていたのが見えて声をかけていた。
しかし無情にもなのはの声は間に合わず、攻撃はフェイトに直撃したかに見えた。
だが――
「俺の連れに手え出すとはいい度胸してんじゃねえか、
「サイフォン君!?」
「サイフォン……?」
「よお、元気にしてたか?フェイト」
そこには白銀の鎧に身を包んだサイフォンが、その盾でフェイトを守っていた。
~サイフォンSide~
俺が現場に近付いていると、遠目から見てもよくわからん状況だった。
何故かなのはとフェイトがバインドで拘束されていて、2人の間にいるガキンチョが事情を聞かせてもらおうか等とほざいてる。
こっちが聞かせてもらいたいがなあ、おい
そしてアルフが恐らくフェイトを逃がそうと攻撃を仕掛けていた。
だが――
「あの馬鹿!」
ガキンチョがわざわざ前に出たせいで、アルフの射線上になのはが入ったのだ。
『リニス!なのはを頼む!』
『了解です!』
俺は陰で様子を見ているリニスになのはの防御を任せた。
再び現場に目を受けると、アルフの攻撃がリニスに防がれている中、攻撃によって生じた土煙の中からフェイトが飛び出してきた。
そのままフェイトはジュエルシードに向かって駆けていたが、俺はなのはのいる位置。あのガキンチョが攻撃しようと魔力を溜めているのを感じた。
「フェイト!?無茶だ!」
「危ない!」
なのはとフェイトの焦る声が聞こえる中、俺は攻撃が発射される前にナイトにジョブチェンジし、ブリッツアクションを使ってフェイトを庇うように前に出た。
攻撃を防ぎきると俺は目の前の
「俺の連れに手え出すとはいい度胸してんじゃねえか、孺子」
「サイフォン君!?」
「サイフォン……?」
「よお、元気にしてたか?フェイト」
俺はフェイトの方に顔を向け声を変えると、彼女は少し泣きそうな顔をしていた。
再会を喜びたいとこだが、今はこの状況を何とかする方が先だな。
『フェイト、アルフ。お前らはとっとと離脱しろ!』
『えっ、でも……それじゃサイフォンが』
『いいから行け!アルフ、無理やりにでもいいからフェイトを連れていけ!』
『わかった。すまないね……悪いねフェイト!撤退するよ!』
『サイフォン――っ!』
アルフはフェイトを抱きかかえその場を離脱していった。
あの孺子がしつこくフェイト達を狙って魔力弾を撃っていたから、俺はその尽くを叩き落としてやった。
すると孺子は目標を俺に変えてきた。
「スティンガーレイ!」
「ハッ!そんな豆鉄砲じゃ俺は落とせねえぞ!」
俺は孺子の放つ魔力弾を盾に魔力を付与し、強化することで全て弾き飛ばした。
攻撃を全て弾いた俺は孺子の足元から巨大な魔力の剣を出現させた。
「穿て!」
《Confiteor》
「くっ!その魔法陣、ベルカ式か!?」
孺子は
「ブレードコンボ!行け!」
《Jawohl!》
俺は魔力の剣を次々と生み出し、孺子目掛けて撃ち続けた。
「しつこいぞ!」
「てめえも大概だぞ!」
この孺子、年の割にはかなり場慣れしているようで今も降り注ぐ剣を避けながら、魔力でできた刃でこちらに攻撃してきていた。
迫りくる魔力の刃はある時は盾で防ぎ、またある時は剣で切り払い無力化していった。
互いに決定打に欠けていた戦況を変える為に、俺は得意分野の接近戦に持ち込むため、剣の雨を止めて突撃しようとした瞬間だった
「――っ!バインドか」
「漸く捕らえたぞ!!」
孺子は息を切らせながらもバインドを決めたのだ。そして杖に魔力を込めだした。恐らく砲撃で一気に決める気だろう。
だが――
「この程度で俺を止められると思うなよ、孺子」
「なに――っ!?」
《Inner Release》
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
俺は拘束されたまま戦士にジョブチェンジし、獣のような雄叫びを上げて
すると俺を中心に紅蓮のオーラが球状に広がり、バインドを全て消し飛ばした。
そしてその手に魔力を込めれば込めるほど、チェーンソーの様に回転する刃を持った斧を持ち、孺子に突撃していった。
「ブレイズカノン!!」
だが俺が接近しきる前に孺子のチャージが終わり砲撃が放たれた。
俺はそれを
「馬鹿な!?――ぐあああああああっ!!」
「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
砲撃を正面から受けた俺は孺子に向けて力いっぱいタックルをぶち当てた。
そしてウォークライを行い魔力を爆発的に高めながら、吹き飛んで態勢を立て直せていない孺子に接近し、下から掬い上げるように斧を振りぬこうとしたところで
「そこまでです!!サイフォン!!!!」
その場にリニスの言葉が響き渡った。俺は孺子に当たる直前に、攻撃を寸止めした状態で止まっていた。
そして激しく回転していた斧の刃が勢いを弱くしていった。
「ちっ、仕方ねえ。ここまでにしといてやんよ」
「こら!貴方はやりすぎです!少しは反省してください!」
「へいへい」
「まったく……私の主がやりすぎてしまったみたいで、本当にすみません」
「いえ、貴方のお陰で助かりました。止めていただきありがとうございます」
別にリニスが謝ることじゃないだろうに――なんて思っていたら、割と本気の拳骨を貰った。
滅茶苦茶いてぇ……
「「サイフォン君(さん)!」」
「なのは、ユーノ」
「サイフォン君、怪我治ったばっかりなのにあんなことしちゃ駄目だよ!!」
「もう大丈夫だって。――それよりお前さん怪我はないか?」
「え、うん。リニスさんが守ってくれたから大丈夫だよ」
「そうか……」
これで心配事は消えた。後は……
「この孺子か」
「さっきから失礼だぞ君は」
「こりゃ失敬。俺はおめえの名前を知らねえからな」
「はぁ――時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ」
「管理局……ねぇ」
まさか噂の管理局がわざわざこんなところに来るとはな
どうにも面倒ごとの予感しかしねぇ
俺は心底面倒くさそうな表情をしていると、誰かが通信をかけたようで映像が表示された。
「クロノ執務官、お疲れ様」
「すみません艦長、片方逃がしました」
「ん~。ま、大丈夫よ。詳しい事情を聞きたいわ。えーっと、そちらの貴方」
「んぁ?俺か?」
「ええそうよ。貴方がこの子達のまとめ役かと思ったのだけど、違ったかしら?」
「……そうなのか?」
俺としてはまとめてる気はこれっぽっちもなかったんだが。どっちかっていうとリニスでは?
「あなたは私のマスターでしょう。何言ってるんですか」
「お、おう。一応、俺がまとめ役らしいぞ」
「貴方達に事情を聞きたいのだけど、私達の元へきてお話しさせてくれないかしら」
「――1つ条件がある」
「なっ!?君は何を――」
「いいわクロノ。何かしら」
「船に乗ってから降りるまでの俺達の身の安全の保障をすることだ」
「分かったわ。必ず約束します。クロノ執務官、その子達をアースラまでご案内してね」
「了解」
一旦安全の保障は出来たが油断はしないでおくか
時空管理局――何を要求してくるか分かんねえが、こいつらを……あの子達を脅かそうとするなら容赦しねえ。
何が何でも守り抜かなきゃな……
そして俺達はクロノの魔法陣によって、アースラと呼ばれる場所に転移した。
ようやく出ました管理局。
物語も終盤に差し掛かってますな。
戦士は50AFで武器はコンドライト・マジテックアクス
ナイトの方は今まで書くの忘れてたけどナイツの剣と盾です