光を支えるもの   作:黒の眷属

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星の光

~サイフォンSide~

 

 

 

 

最後のジュエルシードが両陣営に渡ってから2日が経った。

俺は今なのはと一緒に、アースラスタッフに用意してもらったフェイクビル群の中心の噴水があるエリアにいる。

 

昨日なのはの提案した作戦により、俺達はフェイトを待っているのだ。

 

作戦内容はこうだ。

ジュエルシード全てが双方の手にある以上、入手するには相手から奪うより他にない。そこでなのはは互いのジュエルシードをかけて、フェイトに一騎打ちを申し込むことにしたのだ。

 

 

なのははそこで俺に見届け人になって欲しいと言った。俺にジュエルシードを持っててもらい、負けた際には引き渡す役目だ。それならフェイトも勝負に乗ると思う、とのことだ。

 

更に俺にはもう1つ役割があり、なのはが勝った場合にフェイトを保護することだ。先日のプレシアの攻撃がまたフェイトを襲うとも限らない。そこであの子を守るために近くで見届け人として待機するのだ。

 

 

(見てるだけっていうのももどかしいんだが……今はなのはを信じるしかない……か)

 

クロノ達にはなのはの勝敗に関わらずフェイトの追跡――あるいはプレシアの攻撃の出所をサーチするよう頼んであるので、この勝負が終わり次第にプレシアの拠点に乗り込み、大きく動くことになるだろう

 

その時には俺も大仕事が待ってるしな……

 

 

俺達がフェイトを待ってからどれくらい経っただろうか。日が昇り始めた頃合いで、高速で接近してくる魔力反応を感知した。それは俺達の上空で止まっていた。

恐らくあの子だろう

 

なのはもそれに気付いたのか目を瞑り、あの子に語り掛けた

 

 

「ここならいいよね。出てきて、フェイトちゃん」

 

「……」

 

俺達の目の前の噴水の水面にはこちらを見つめるフェイトの姿が映っていた。

 

 

『フェイト!もうやめようよ!これ以上あの女の言いなりになってたら――』

 

同じくフェイクビルでこちらをモニターしているアルフが広域念話で語り掛けていた。だがフェイトは首を振ってその願いを拒絶した

 

 

『それでもわたしは――あの人の娘だから!』

 

その言葉からは強い――とても強い意志を感じた。

そしてフェイトはバルディッシュを鎌に変形させ、戦闘態勢に入った。

 

 

「フェイトちゃんは立ち止まれないし、わたしはフェイトちゃんを止めたい……」

 

なのはもまた、レイジングハートをスタンバイモードからデバイスモードに変え、フェイトの方を真っ直ぐに見据えた。

 

 

「きっかけはジュエルシード――だから賭けよう。お互いが持ってる全部のジュエルシードを。それからだよ――全部、それから」

 

「貴方が負けた時に、管理局が貴方のジュエルシードを渡さず、わたしを捕まえようとしたりは?」

 

「そんなことは俺がさせない」

 

「――っ!サイフォン……」

 

ここに来てから1度も目線を合わせようとしなかったフェイトが、漸くこちらを向いた。その表情はどこか悲しげで泣きそうにも見えた。

 

 

「俺がこの戦いの見届け人となる。だからお前さん達は遠慮なく思いっきりぶつかるといい。誰にも手出しさせんさ」

 

「――わかった」

 

フェイトは目を閉じ頷くと先程までの表情を捨て去り、決意に満ちた表情でなのはを見つめていた。

 

 

「わたし達の全ては――まだ始まってもいない。だから!本当の自分を始める為に――始めよう!最初で最後の本気の勝負!!」

 

「――っ!」

 

俺は2人の雰囲気が変わったことを感じ、その場から離れ戦闘を見れる位置に移動した。

 

ここからはあの2人次第だ。せめてどちらも大怪我しないといいんだがねぇ……

 

そして俺が完全に離れたのを合図に戦闘が始まったようで、なのはとフェイトが噴水エリアから高速で飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

~フェイトSide~

 

 

 

 

 

戦闘が始まった瞬間わたしは直ぐにあの子に斬りかかった。初撃を後ろに下がられ避けられたところを更に踏み込んで一閃。

 

あの子はそれを避けると戦場を移すために離脱していった。

わたしもそれに高速で追いすがり追撃をかけようとするけど、反撃の魔力弾を放ってきた。

 

わたしは追撃を諦め避けることを優先しながらこちらもスフィアを展開していった。

 

 

そこからは熾烈なドッグファイトが始まった。

互いに空中で交差する度にデバイス同士がぶつかり合い、魔力の弾による激しい応酬が繰り広げられた。

 

 

そして何度目かによるぶつかり合いの末、わたしはあの子を大きく弾き飛ばした。

 

わたしはすぐに追撃をかけ、海面に向かって叩き落とした。

 

 

「きゃあっ!?」

 

あの子はそのまま海に向かって吹き飛んでいったけど、直ぐに態勢を立て直して追撃を避ける為に距離を取っていた。

 

やっぱり前よりもずっと強くなってる……。でも、速度ではわたしの方が上だ……!

 

わたしはあの子を逃がさないようにその後を追った。

 

 

《Photon Lancer》

 

「ファイア!!」

 

「くっ!」

 

追いついたわたしの追撃を避けきると、あの子はそのまま空高く飛び上がるとループを描くようにUターンして、わたしの後ろを取ってきた。

 

 

《Divine Shooter》

 

「シューーート!!」

 

今度は逆に追いかけられる側になったわたしは、迫りくる魔力弾を躱していき、距離を開けると迎撃するために反転した。

 

 

《Scythe form》

 

「――っ!」

 

バルディッシュを変形させ来ていた魔力弾を全て切り払い、あの子に向かって高速接近した。

 

 

「シュート!」

 

「はぁっ!!」

 

「くっ――っ!」

 

わたしはあの子の放った最後のスフィア避けると、バルディッシュを力いっぱい振りぬいた。

攻撃はシールドによって防がれ、互いに睨みあう形になった。

 

そこでわたしは異変に気付いた。バルディッシュがあの子のシールドで固定されていることに。

そして後ろを振り向くと、さっき避けた魔力弾がこちらに向かってきていた。

 

わたしはシールドを破壊するために、直ぐに左手に魔力を集中した。

 

 

《Thunder Bullet》

 

「ファイアッ!!」

 

「きゃあっ!?」

 

シールドを破壊した勢いであの子をフェイクビルごと貫通させて海に落としたわたしは、そのまま顔を横にずらすことで後ろから来ていた最後のスフィアも避けてみせた。

でも正直今の攻防は焦った。あのまま気付かないで直撃していたら大ダメージは免れなかった。

それだけあの子の魔法にはパワーがある。

 

あの子が落ちた先をフェイクビルの手摺に乗り注意深く見ていると、ゾクリとした感覚に襲われた。

わたしは直ぐにその場から離れると、さっきまでいた場所を砲撃が通過していった。乗っていた手摺とその周辺の壁が丸ごとえぐり取られる程の威力だった。

 

直撃していたら確実にダウンしていた。

 

そこからはまた互いに後ろを取り合い、追いかけあうドッグファイトが始まった。

お互いにスフィアを展開して後ろを取った方が相手に向けて弾を撃ち、それを避けるように大きく旋回して相手の後ろを取り返して撃ち返す。

 

そんな攻防が続いていく中でも、時に密着するほどの距離で接近戦をしかけ、空にシザーズ軌道を描いていた。

 

 

「はあっ……はあっ……。――くっ!」

 

わたしは焦っていた。得意の接近戦でもあの子は以前の様にやられるだけでなく、逆に打ち返すまでになっていた。そしてあの防御の硬さ……ダメージは通っているけど、どれも致命傷とまではいかなかった。なのにあの子の魔法はこっちを1撃で戦闘不能にするだけの威力を持っている。それでも――

 

 

「わたしがここで負けたら……母さんを助けてあげられない……!」

 

 

何とかして勝たないと……母さんのためにも、わたしは負けられないんだから。

 

そう思い頭に浮かぶのは母さんとの思い出。

()()()に対して微笑んでくれる母さん。母さんが()()()に優しくしてくれた――

 

「あの頃に――戻れなくなる!!」

 

 

再度あの子と激突し、ぶつかり合う中でも頭に浮かぶ母さんとの思い出。昔はよく仕事で忙しい母さんにわがままを言って困らせていた。

 

あの日の――()()()()()()()()……ハッキリ覚えてるんだ。

 

母さんのいた場所が……遠くで光った。

 

次に目が覚めた時に見たのは――泣きながらわたしを見ている母さん。

わたしは――あの事故で怪我をして、ずっと眠っていたんだって。

目覚めた時には今まで住んでいた家ではなく、新しい場所だった。

 

 

「ほら、ここが貴方のお部屋」

 

「わあ~!!」

 

「暫く身体を休めて、元気になったらピクニックでも遊園地でも――どこにでも連れて行ってあげる」

 

「うん……。でもお仕事平気なの?」

 

「平気よ。もう平気なの……」

 

そう言う母さんの顔はどこかやつれているようにも見えて、わたしは()()を母さんの頬に当てていた。いつの日かそうしていたように。

 

でも何故か母さんはその時すごく驚いた表情をしていて、そのことを今でも覚えている。

 

 

「ママ?」

 

「何でもない――何でもないわ。大丈夫よ――()()()()

 

わたしはその瞬間、自分の中の思い出に対して強烈な違和感を覚えた。

母さんはわたしに対してなんと呼びかけていた……?

 

 

「アリ……シア……」

 

その後も頭に浮かぶ母さんとの思い出の中でわたしが呼ばれているのは、全て()()()()だった。

 

 

「違うよ……母さん――わたしは……フェイトだよ……」

 

 

ほぉら、可愛いわよ――()()()()

 

 

――っ!違う……どっちでもいい。

 

呼ばれ方なんて関係ない……。わたしは母さんの為に――勝つんだ!勝って母さんのところに――帰るんだ!

 

 

わたしは勝負をつける為に、わたしの中の最大の魔法をぶつけようと魔力を高めていった。

 

先ずはあの子を動けないように、周囲にライトニングバインドを設置。

 

「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」

 

そしてこの後の攻撃の為に計38基のフォトンスフィアを展開。

あの子は異常に気付いて逃げようとするけどバインドがそうはさせない……!

この時フェイトは自身の周りに()()()()()を感じたが、攻撃の為に直ぐに思考の隅に追いやってしまった。

 

 

「フォトンランサー・ファランクスシフト……!」

 

準備は整った。この攻撃はわたしの魔力の大半を持っていってしまう。これで決めなければ魔力の差から確実に負けてしまう。絶対に決める!!

 

 

 

 

 

 

 

「撃ち――くだけええええええええええ!!!!」

 

 

 

 

 

フェイトの号令の下、合計38基からなるフォトンスフィアからの一斉射撃が行われた。それは秒間7発もの射撃を4秒間継続させる攻撃で、合計1064発のフォトンランサーを発射する物だった。

リニスに教えてもらった圧倒的防御を誇る相手を打ち倒すための魔法。

 

それは今もシールドを張り耐えようとしているあの子に絶え間なく降り注いでいた。

 

そして長くも感じた4秒間による射撃を終えたわたしは、フォトンスフィアを一纏めにして長大な雷の槍を生成すると、とどめの一撃を放った。

 

 

「スパーク――――エンド!」

 

 

魔力がぶつかり合って発生した煙が晴れない中、あの子がいるであろう位置に最後の攻撃を放った。

 

雷の槍はあの子に直撃し、着弾地点を中心に周囲のフェイクビルを巻き込みながら大爆発を巻き起こした。

 

 

「はあっ……はあっ……はあっ……」

 

文字通り全力をかけた一撃だ。これなら――

 

倒せたはず……そう思ったわたしが見たのは、バリアジャケットをボロボロにしながらも、しっかりとこちらを見据えるあの子の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

~なのはSide~

 

 

 

 

フェイトちゃんの切り札と思われる攻撃にわたしは耐えきった。攻撃を受けてる間、途中何度も諦めそうになったけど……あの子に勝つためにも諦めるわけにはいかなかった。

 

だから――今度はこっちの番!!

 

 

「いけるよ――レイジングハート!」

 

《Cannon mode》

 

「くっ……うわああああああああああああああ!!――っ!?」

 

フェイトちゃんが声をあげこっちに来ようとしたところで、わたしは()()()()()()()()()()()を発動させた。

 

これで回避はできない――あとは照準を定めて、トリガーを引くだけ!!

 

 

 

「ディバイーーーーーン――バスタァーーーーー!!!!」

 

「うっ――くうううううううう!?」

 

なのはの放った砲撃はフェイトの展開したシールドごと、押しつぶさんと言わんばかりの威力を発揮していた。

 

そして発射された砲撃をフェイトが受けている間に

なのはは上空に行き、()()()()()()()()()()()()()を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

《Starlight Breaker》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(使いきれずに、ばらまいちゃった魔力をもう一度自分のところに集める……)

 

「あれはまさか……集束……砲撃……」

 

ディバインバスターを防ぎ切ったフェイトちゃんは、まだバインドも解けてなく、こちらを見上げていた。

その視線の先には、わたしが集めた巨大な魔力がまるで星みたい爛々と輝いていた。

 

レイジングハートとサイフォン君のアドバイスで考えた……知恵と戦術――最後の切り札……!

 

 

「受けてみて!これがわたしの全力全開!!」

 

「くっ――うわああああああああああああああ!!!!」

 

フェイトちゃんもシールドを複数展開してきた……けど――撃ち抜いてみせる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スターライト――――――ブレイカァーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはの掛け声のもと、巨大な魔力の塊から一筋の光が伸びると、それは巨大な桜色の奔流となってフェイトに襲い掛かった。

 

魔力の波はフェイトのシールドにぶつかると、その攻撃の余波が辺りに飛び散りフェイクビルを次々に消し去っていった。

 

そしてフェイトの張った複数のシールドを易々と破壊していき、遂にはフェイト本人も飲み込んでいった。

 

2人の勝負の決着がついた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

~サイフォンSide~

 

 

 

 

 

「なんつー馬鹿魔力だありゃあ」

 

なのはの放った一撃を見て出た感想がそれだった。

あの子は魔力集束の技術がかなり高いとは思っていたが、まさかあんな芸当までやってのけるとは。

 

俺は感心するのは程々にして、急いでフェイトの救出に向かって行った。あれだけの魔力の一撃を受けたんだ。早く治療してやらないと

 

落下していくフェイトを捉えた俺は、海に落ちる前に彼女を回収してフェイクビルの残骸の上に寝かせてやり、治癒魔法をかけてやった。

 

 

「サイフォン君!」

 

「おう、なのは。お疲れさん」

 

魔力を出し切ったなのはもこちらに気付くと急いで近寄ってきた。心配そうな表情でフェイトを見つめていた。

 

 

「フェイトちゃん……」

 

「大丈夫だ。治癒魔法もかけてるし直に目が覚めるさ」

 

「うっ……あ……」

 

「目が覚めたか」

 

「フェイトちゃん!――ごめんね……大丈夫?動ける?」

 

フェイトは身体を起こし、無言で俺達を見つめると空へと浮かび上がった。

 

 

「バルディッシュ……」

 

《Put out》

 

そしてバルディッシュに格納していたジュエルシードを全て出した。

勝負の賭けに則り差し出そうというのだろう。

 

なのはが俺の方を見てきたので頷いてやり、取ってくるよう促した。

 

だが、そこで俺の勘が脳内で激しい警鐘を鳴らした。

やはりきたか!

 

上空を見上げるとそこには、巨大な魔力によって生み出された雷がこちらに迫っていた。

俺はすぐさまナイトにジョブチェンジしてフェイトを守ろうとしたが――

 

 

「えっ?」

 

「ちっ!?」

 

上空から降ってきた雷はフェイトではなく、ジュエルシードに近付こうとしていたなのはに向かっていた。

 

俺はブリッツアクションを使い即座になのはに方向転換し、迫りくる雷からなのはを守った。

 

 

「サイフォン君!!」

 

「今度は大丈夫だから安心しろ!!」

 

今回は事前に心構えができていたからジョブチェンジも間に合った。

だが――

 

 

「フェイトちゃんあぶない!!!!」

 

「かあ……さん……」

 

「くそっ!!」

 

上空では更に巨大な雷がフェイトに襲い掛かろうとしていた。俺の方はまだ攻撃が続いており、なのはを庇っているため動けないでいた。

このままじゃ――っ!

 

 

フェイトが雷に打たれてしまうと誰もが思ったその時――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハイディフェンサー!!!」

 

「えっ……」

 

()()()が雷とフェイトの間に割り込み、あの子を守っていたのだ。

 

 

 

 








2人の決戦が終わった以上、後はプレシアとの決戦ですね

一応予定では直ぐにA'sに入るけど、どこかしらで局にいるあの人達も出したさあるんですよね
グラン〇〇〇さんとかその部下とかその子供とか
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