光を支えるもの   作:黒の眷属

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新たな絆

~サイフォンSide~

 

 

 

 

 

シャマルから連絡を受けた俺達は、はやてのいる寝室へと戻っていった。

すると部屋に着くなりヴォルケンリッターの面々は、はやてに対して跪いていた。はやてを主と言っていたし、臣下として振舞っているのだろう。

 

 

「さ、サイフォン兄ちゃん……」

 

「大丈夫だ。こいつらはお前さんに危害を加えたりはせんよ」

 

当のはやてはその様子を見てオロオロしており、縋るような目でこちらを見ていたので側に近付いてやると服の裾を掴んできた。それで安心したのか、はやては意を決して声を出した。

 

 

「あ、あのー。あなた達はいったい――」

 

「はっ。我々は闇の書の主である貴方様の守護騎士である、ヴォルケンリッターです」

 

「は、はあ。闇の書……?」

 

「この子は魔法関連の知識はまるでないんだ。すまんが1から説明してやってくれないか」

 

「成程。お前が友人だというからてっきり魔法のことは知っていたかと思ったが……承知した」

 

「ま、魔法?サイフォン兄ちゃんは何言って――」

 

「あー、それも含めてちゃんと説明する。だから今は彼女……シグナムの話を聞いてやってくれ」

 

「う、うん……」

 

それからシグナム達は、はやてに自己紹介をして闇の書の事、自分達のことを話していった。

俺も――自分が魔法を使えることを話し、実際に幾つか見せるとはやてもシグナムや俺の言っていたことを信じていた。

 

 

「えーっと、この子は古い異世界の……ベルカってとこの魔法の本で、名前は闇の書。皆はその守護騎士」

 

「はい」

 

「で、私はその主――と」

 

「ええ」

 

「これまでの日々や覚醒の際、闇の書の声を聞かれませんでしたか?」

 

恐らくはやては覚えていないんだろうな。管制人格も夢の中でのことは、忘れてしまうかもしれないと言っていたし。

本人は何やら机の引き出しを漁り、ゴソゴソとしているが。そんなはやての周りを夜天の書が興味深げにふわふわと浮いているのが印象的だった。封印が解けたことで彼女も自由に動けるようになったんだろうか?

 

 

「ん~、そんな夢を見たような――見てないような……。あっ、あった!」

 

「「「「……?」」」」

 

「そやけど分かったことが1つある。わたしは闇の書の主として、守護騎士の皆の衣食住、きっちり面倒見なあかんゆうことや」

 

「「「「えっ?」」」」

 

4人ともはやての言葉に呆気に取られており、口を開けて固まっていた。まあヴィータのさっきの様子を見るに、彼女だけでなく他の面々もそんなことを言われるとは思わなかったのだろう。

 

 

「幸い住むとこはあるし、料理は得意や。後は――お洋服!皆の買うてくるからサイズ測らせてな」

 

「「「「……」」」」

 

「ん?皆どないしたん?固まったりして」

 

「男の俺がいるのに女性の服のサイズを測ろうとするからだろ」

 

まあ皆が呆けていた理由は違うだろうが、実際困るからな。

 

 

「ああ、わたしとしたことがうっかりしてたわ。サイフォン兄ちゃん達は出てってや」

 

「へいへい。ザフィーラ、アンタのは俺が測ろう。来てくれ」

 

「こ、心得た」

 

俺とザフィーラは別の部屋に行きでサイズを測っていると

 

 

「お前の言う通り、我らが主は今までの主とはどこか違うようだな」

 

「まあな。これから一緒に過ごしていくんだ。ゆっくりとはやてのことを知っていけばいいさ」

 

「ああ。――それと主には私の衣服は余りいらぬと伝えてくれ。私は普段、獣の姿でいることが多いからな」

 

「ああ、そういや守護獣って言ってたもんな」

 

確かベルカ式の魔法の勉強中、リニスに聞いた話だとミッド式で言うところの使い魔のことだそうだ。そうなると俺も一応騎士だし、リニスは守護獣ってことになるんだろうか?

 

そんなことを考えたりしながら測定を終え、はやての方が終わるまでザフィーラにはやてがどんな子か話してやった。早く慣れた方がはやても嬉しいだろうしな

 

 

「お待たせ―。ほなわたしはお洋服買うてくるから皆お留守番よろしくな」

 

「お前さん1人で持てる量でもないだろうに。俺も行くぞ」

 

「それなら私達も――」

 

「お前さんらの格好は目立つから待っててくれ。護衛も荷物持ちも俺1人で十分だ」

 

「でも……」

 

「心配してくれてありがとなシャマル。サイフォン兄ちゃんなら大丈夫やから」

 

「はやてちゃんがそう言うなら……」

 

「ほな行ってくるで~」

 

「行ってらっしゃいませ」

 

俺達は4人に見送られながら八神宅を後にした。道中俺ははやてに気になっていたことを尋ねてみた。

 

 

「なあはやて。彼女らとはうまくやっていけそうか?」

 

「ん~、まだちょっとしか話せてへんけど皆ええ子やと思うで」

 

「そうか。何か困ったことがあれば直ぐに言うんだぞ?」

 

「サイフォン兄ちゃんは心配症やなぁ。大丈夫、わたしこれでも人を見る目には自信あるんやで」

 

車椅子を押すこちらを見上げながら、はやては自信満々に言ってのけた。その自信はどこから来るんだと思いつつも、俺は不思議とはやてが言うなら大丈夫か、とも思っていた。

 

その後、街に買い物に繰り出した俺達はヴォルケンリッター達の服と一緒に、食器等の日常生活で必要になりそうな雑貨類をまとめて買っていた。

 

 

「しっかし、折角今日はお前さんの誕生日だって言うのに、忙しないことになったな」

 

「でも、皆のお洋服とか使う物選ぶんもわたしは楽しいで。それに今までは1人やったから、これから一緒に生活する家族が増えて嬉しいわぁ」

 

はやては買い物中ずっと上機嫌だった。まあ今まで1人だったのが、誕生日に家族が増えたと考えれば嬉しくもなるか。

 

――そういえば結局プレゼントは渡せてないし、戻ったら忘れないようにしないとな

 

それからも買い物を続けた俺達は長引きそうだと思い、はやてにヴォルケンリッターの面々に魔法の練習がてら念話で帰るまでの指示を頼んでおいた。

そして気付けば夕方近くまで買い物をして大量の荷物を抱えたまま八神宅に戻った。

 

 

「「おかえりなさいませ」」

 

「はやてちゃん、サイフォン君、おかえりなさ~い」

 

「――おかえり」

 

「うん、ただいま!」

 

おかえり――そう言われたはやては心底嬉しそうな表情をしていた。きっかけはどうあれ、この子に家族ができたことは良かったのかもしれないな……

 

一先ずはやて達は客間の方へ移動し、服の試着をするそうだ。その間に俺は夕飯の支度だ。はやての誕生日なのもあるがあいつらの歓迎も兼ねて張り切ってみるかね

 

元々はやてには料理を振舞うつもりだったし、多少人数が増えても問題なかろう。

 

 

俺はキッチンに向かうと、調理師にジョブチェンジして今回メインにするハンバーグのタネを作っていった。その後はタネを寝かせている間に肉じゃがを作ることにした。はやては今まで1人だったからか、家庭的な料理が好きみたいだったからな。誕生日なんだし好きそうなもので揃えておくか

 

それから、調理に没頭していると服の試着が終わったのか皆がリビングに戻ってきた。はやてとシャマルが手伝おうかと言っていたが、やんわりと断っておいた。はやては元々俺が作るつもりだったからなんだが、シャマルに対しては何故か脳内で警鐘が響いていた気がして遠慮したのだ。

そしてハンバーグが焼き上がったところで今日のメニューが完成した。

 

 

「っし、こんなもんか。悪いが皆手の空いてるのは運ぶのを手伝ってくれ」

 

「わたしもなにか手伝おか?」

 

「はやては今日の主役なんだからゆっくりしてな」

 

「は~い」

 

最終的に出来上がったのはハンバーグに肉じゃが。それと味噌汁に簡単なサラダだ。はやては目を輝かせていたが、シグナムとヴィータの表情は訝しげだった。

 

 

「別に変な物は入っちゃいねえって。はやての誕生日とお前さん達の歓迎でもあるんだからな」

 

「サイフォン兄ちゃんの料理は、わたしも何度も食べたことがあるから大丈夫やで」

 

「主はやてがそう言うのであれば……」

 

「……」

 

「んじゃいただきます」

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

はやて以外の皆が恐る恐るといった感じでそれぞれ料理を口に運んでいた。

すると――

 

 

「これは……美味しいな」

 

「せやろ!!サイフォン兄ちゃんの作る料理はほんま絶品やからな!」

 

「う、うまく掴めないわ……」

 

「シャマル、箸はこうやって使うんだ」

 

「こ、こう?――あら、すっごく美味しいわ!」

 

はやての家で賑やかな食卓を囲むというのもなんだか新鮮だった。普段は2人しかいなかったからな。

 

ザフィーラはこのままでいいとかで狼?の状態で黙々と食べていた。様子を見るに特に問題は無さそうだった。そしてヴィータはというと――

 

 

「もぐもぐもぐもぐ……」

 

どうやらお気に召したようで一心不乱に料理を頬張っていた。俺達はその様子をジーっと見ていると、視線に気付いたのかヴィータはお椀で顔を隠すと耳まで真っ赤になっていた。

 

 

「そこまで喜んでもらえたんなら、作った甲斐があるってもんだ」

 

「ふ、ふんっ」

 

食事を済ませた後ははやての誕生日を祝うために、帰りに買ってきたケーキを皆で食べた。本当ならこっちも作りたかったんだが、なにぶん今日は色々とゴタゴタしてたからな。仕方あるまい

 

そしてケーキを食べ終わった後は、漸くプレゼント渡しだ。日付が変わってから渡す予定だったが随分と遅れてしまった。

 

 

「はやて」

 

「ん?どうしたんやサイフォン兄ちゃん」

 

「これ、誕生日プレゼントだ。渡しそびれちまってたからな」

 

「今年もありがとうなサイフォン兄ちゃん!いつもと違うゆーてたけど……」

 

はやてに渡したのは小ぶりなプレゼント箱だ。興味深そうに箱を振ったりして中を確かめようとしていた。

 

 

「まあな。リニスにも言われて、ちょいと俺なりに女の子が喜びそうなもの作ってみたんだが」

 

「開けてみてもええか?」

 

「もちろん」

 

はやては恐る恐るといった感じで箱を開けると、中には夜天の書の表紙に描かれた剣十字の紋章を模した飾りがついたネックレスが出てきた。

 

 

「これって……」

 

「お前さん幼少の頃から一緒だからってんで、あの本を大事にしてたからな。これなら一緒にいるような気になるかと思ってな」

 

「サイフォン兄ちゃん……ありがとうな。ほんまに嬉しいわ――わたし絶対大事にする!あの……早速着けてみたいんやけど、サイフォン兄ちゃん着けてもろてもええか?」

 

「おう。構わんぞ」

 

俺ははやてからネックレスを受け取ると彼女に着けてやった。すると嬉しいのか感嘆の声をあげていた。

 

 

「わぁ~!」

 

「喜んでくれたんなら何よりだ」

 

「うん!改めてありがとう、サイフォン兄ちゃん!」

 

喜ぶはやての頭を優しく撫でつけ、俺はその様子を微笑ましく眺めた。するとシャマルがニコニコとこちらを見ていて、俺は少し照れ臭くなって鼻の頭をかいた。こちらを見ていたシグナムの表情も心なしか穏やかに見えた。

 

それから暫くゆっくりとした時間を過ごしていたが、あっという間に俺の帰る時間になっていた。ほんと、時が経つのは早いものだな

 

玄関にはヴォルケンリッター達と、シグナムに抱えられたはやてが見送りに来ていた。

 

 

「それじゃ俺はこれでお暇するよ。はやてのこと、頼んだぞ」

 

「ああ。こちらは心配するな」

 

「はやてちゃんの事は私達に任せてね」

 

「も~、皆過保護なんやから。これじゃサイフォン兄ちゃんが増えたみたいやわ。それに皆だってここでの生活に慣れるまではわたしに頼るんやで」

 

「それもそうか。はやて、皆の事頼んだぞ」

 

「うん!任されたわ!」

 

そして残りの2人に目を向けると、ザフィーラは頷いてくれたがヴィータはそっぽを向いたままだった。まあ最初がアレだったからなぁ

俺は軽くため息を付くと、しゃがみ込んでヴィータに視線を合わせた。

 

 

「なあ、ヴィータ。ちょっといいか?」

 

「なんだよ?」

 

「はやてが心配だったとはいえ、出会い頭に襲い掛かったりしてすまなかったな。この通りだ」

 

「なっ」

 

ヴィータに対して謝罪の言葉と共に頭を下げると、意外だったのか彼女から驚きの声があがった。彼女らにはやてに対する敵意が無いのはこれまでの時間で分かった。ならばちゃんと謝罪をしないとな

 

 

「別に……アタシが名を名乗る時にも謝ってただろ」

 

「形ばかりの謝罪じゃなくてきちんと謝っておきたかったんだよ」

 

「はぁ……。もう気にしてないから頭上げろよ」

 

「ああ。すまんな」

 

「そんなに謝んなって」

 

頭を上げるとヴィータは漸くこちらをちゃんと見てくれた。

 

 

「じゃあ、あれだ。また今度飯作ってくれよ。それでチャラだ」

 

「それぐらいならお安い御用だ。ちなみにはやての料理の腕前もかなりのものだからな。楽しみにしとくといい」

 

「ほんとか!?」

 

「なんや照れるなぁ」

 

俺は照れくさそうに頬をかいてるはやての頭をポンポンと叩くと、帰宅するために立ち上がった。

 

 

「んじゃ、またな~」

 

「また遊びに来てや~」

 

「また会おう」

 

「お気をつけて~」

 

「じゃあなー」

 

「ではな」

 

 

はやてと新たに出来たその家族達に見送られて俺は帰路についた。

 

その道中、俺はとある人物に通信で連絡を取っていた。

 

 

『ああ、俺だ。忙しいところ悪いが、ちょいと頼みがあってな』

 

『君の頼みというと、禄でもない気がするんだが』

 

『そう言うなって。何かあれば今頼んでる件も手伝うって言ったろ?』

 

『今のところは大丈夫だよ。それで?頼みというのは?』

 

『ああ。お前さん達の世界に図書館みたいな場所ってないのか?できればロストロギアのことなんかが書かれた本があるといいんだが』

 

夜天の書――闇の書は恐らくロストロギアの一種だろう。条件が揃えば所有者に大いなる力を与えるなんて言うくらいだ。ジュエルシードと同じ類の物だろう

 

 

『そういった施設はあるにはあるが……何故急に?』

 

『俺は管理外世界の出身だって言ったろ?だからロストロギアのことについては殆ど知らないんだ。今回の事件みたいにまた海鳴市にロストロギアが流れ着いた時に後手に回るのは避けたいからな。事前にロストロギアのことを色々と調べたいんだ。それ以外にもお前さん達の世界について知りたいことは山ほどあるしな』

 

『成程ね……わかった。その施設での君の閲覧許可を申請しておこう。許可が取れ次第また連絡するよ。――それはそうと、そこまで熱心なんだったら嘱託魔導士の件も色好い返事が聞けるといいんだけどね』

 

『あー、まあなんだ……。前向きに検討しておこう』

 

これは事件中、アースラでジュエルシード捜索をしている時にも言われたのだがクロノ達に管理局にスカウトされたのだ。特にリンディさんは常に優秀な人材を募集してるとかで、ちょくちょく声をかけられたのだ。

 

それに対して俺はまだ返事をぼかしている。そういった組織に所属すると、却って動きづらくなくなってしまう場面もあるからな。

 

 

『君の実力なら試験も余裕だろうし、僕も良い訓練相手ができて助かるんだ。期待してるよ』

 

『さいですか』

 

『用件はそれだけかい?』

 

『ああ。そう――』

 

『……?どうかしたかい』

 

『いや。何か視線の様な物を感じた気がしたんだが……気のせいみたいだ』

 

『そうか。それじゃあ僕はこれで失礼するよ。またなサイフォン』

 

『おう。またなクロノ』

 

以前の事件でできた友人にへの通信を切り、俺は先程感じた視線について考えた。

 

 

(可能性があるとすれば2人の黒ずくめのうちどっちかだが……どちらも直ぐに接触してきそうだしな。とすればまた別の勢力か?)

 

クロノと話している間に視線の主は消えていたらしく、今は何も感じなかった。

 

 

(こっちも気にかけておいた方が良さそうだな。はやて達に何かあっても困るしな……。あとは管制人格の彼女のことだが、本が動き回ってたし意識はあるんだろうか?可能ならコンタクトを取りたいが……難しいのかねぇ)

 

黒ずくめの連中に謎の視線、夜天の書と闇の書の謎にフェイト達の裁判。事件が終わって一段落と思いきや、まだまだやることは多そうだ。

 

 

 

 









今作の終わりをどうするか悩み中。Strikersで区切ろうとは思いつつ、他作品のクロス混ぜたかったり次回作も書きたいとかいう寝ぼけたことも考えてたり

時間も無いしやりたいこともあるしで悩ましいね
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