光を支えるもの   作:黒の眷属

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今回は普段より短めかも





烈火の将

~シグナムSide~

 

 

 

 

 

私は今、ヴィータの張った結界内で黒衣の少女と対峙していた。

ヴィータがサイフォンが居ない内にこの街の大きな魔力反応を狙うと言っていたため、その援護に来たのだ。

 

向こうはどうやら上手くいったようだが、恐らく魔力蒐集に時間がかかっているのか、その場を動こうとしなかった。

 

そんな中、別の大きな魔力反応がヴィータの居る方に向かおうとしていたのでこうして足止めに来たわけだ。

 

 

「これより先へは――通せんな」

 

「――っ!」

 

目の前の少女は我等が主とそう変わらぬ年頃に見えた。

だが相対して感じるこの魔力。決して油断はできない相手だろう。

 

 

「……。こちらは時空管理局の嘱託魔導士です。街中での大規模な結界魔法。これは貴女が?」

 

「……」

 

時空管理局――

次元世界における大規模な組織だ。闇の書の魔力蒐集をしている以上、いずれ相見えるとは思っていたがまさか目の前の少女がそうだったとは。

 

私は警戒をより一層強め、直ぐに動けるようレヴァンティンを構え直した。

 

 

「――っ!何か事情があるのでしたらお話を聞かせてください。どうか武装を解除して、同行を――」

 

「残念ながらそれはできん相談だな!」

 

「くっ!?」

 

サイフォンが戻ってくる前に終わらせなければいけない以上、あまり時間をかけてはいられないし、ヴィータの邪魔をさせるわけにもいかん。

それに目の前の少女から魔力を蒐集すれば、闇の書の完成が更に早まるだろう。

 

私は少女が言い終わる前に距離を詰め、一気に斬り込んだ。

 

だが相手はこちらが動き出すと同時に即座に距離を離して、その場を離脱していた。

 

そして魔力スフィアを複数展開すると、それらを全て射出してきた。

 

 

《Photon Lancer》

 

「レヴァンティン。私の甲冑を」

 

《Panzergeist!》

 

「――っ!……撃ち抜け――ファイア!!」

 

打ち出された魔力の槍は一直線に私に向かってきたが、それらは直撃した瞬間に全て霧散した。私の展開した魔力の甲冑を突破することができなかったからだ。

だが――

 

 

「――ほう?」

 

「はああああああああああ!!」

 

 

相手は発射したスフィアとは別方向から回り込むように斧のような刃を持つデバイスで直接攻めてきたのだ。

 

私の展開したPanzergeist(パンツァーガイスト)は魔力攻撃に対してはかなりの防御力を誇るが、物理的な攻撃に対してはあまり効果がない。

それを分かった上で攻めてきたのならたいしたものだ。

 

しかし――

 

 

「ベルカの騎士に一対一を挑むには――まだ足りん!!」

 

「くっ!?――バルディッシュ!!」

 

《Blitz Action》

 

私は横凪に払われたデバイスの一撃を受け流し、その勢いを利用して身体を回転させ一閃した。

放たれた一撃を少女は高速移動魔法で避けていたが――甘いな

 

その距離はまだ私の間合いだ!

 

私は少女との距離を一気に詰め、肉薄すると得意の接近戦に持ち込んだ。

一瞬で距離を詰められたことに相手は驚愕の表情を浮かべていたが、こちらの攻撃に直ぐに対応していた。

 

「はっ!――てやぁっ!」

 

「ぐっ!ふっ!――はあっ!」

 

そのまま2合、3合と打ち合い続けると、少女の攻撃の癖に気が付いた。正面から数合打ち合うと、直ぐに高速移動魔法で避けてこちらの死角へと回ろうとするのだ。

自身の速さを活かした動きは悪くないが、些か正直すぎるな。

 

私は数合打ち合うと、身体をずらしてわざと死角を作った。すると案の定、少女はその位置から攻撃を狙ってきた。

 

 

「そこ!」

 

「甘いっ!」

 

「そんな!?――うっ!」

 

予想通りやってきた攻撃を避けると、力任せに放った一撃で少女をビルに向かって吹き飛ばした。

 

そしてその様子を確認していると自身のバリアジャケットに傷が付いていることに気が付いた。

動きは読めていたが、まさか食らいついてくるとはな……

 

 

「うむ、魔導士にしては悪くない剣技か」

 

《Jawohl!》

 

幼いながらも筋は悪くない。余程良い師に恵まれたか、日々の鍛練の賜物か。今後が楽しみではあるが手心を加えるわけにはいかんな

 

私は高所にいる利を維持し、少女の次の動きを待っていたが

 

 

「なのはあああああああああああ!!!!」

 

「なに?」

 

突然何かを叫んだかと思うと、此方には目もくれずヴィータの居る方に向かっていったのだ。

 

恐らく魔力を蒐集されている白い少女を見つけたのだろう。反応を見るに知り合いなのかもしれないが、戦場でその行動は命取りでしかない……!

 

ヴィータの元に行かせる訳にはいかない私は、上空から少女の頭上に急降下して渾身の一撃を放った。

 

 

「うわああああああああああああああああ!!」

 

「レヴァンティン!」

 

《Explosion!》

 

「はっ!?」

 

「紫電――一閃!!」

 

炎を纏ったレヴァンティンによる攻撃は少女のデバイスを真っ二つに切り裂いた。

だが、相手もさることながら真っ二つになったデバイスの斧部分を使い此方に切りかかってきた。

 

しかし冷静さを欠いた攻撃は隙だらけでしかなく、私は容易くそれを避けると反撃に転じた。

以外にもその攻撃は狙った位置に対してピンポイントでバリアを張り防がれたが、完全には防ぎきれなかったようで体勢を崩していた。

 

その一瞬の隙を付き、私は再度レヴァンティンに魔力を送り込み止めの一撃を放った。

 

 

「叩っ斬れ!!」

 

《Jawohl!》

 

「きゃああああああああああああああ!!」

 

デバイスの張った自動防御をが砕け、少女はそのまま地面へと墜落し、地面に小規模なクレーターができる程に叩き付けられていた。

 

あれではもう動くこともできまい

 

ヴィータの方を一瞥すると、向こうも蒐集が終わったのか闇の書を閉じていた。

 

 

『ヴィータ、此方で魔導士を1人倒した。闇の書を渡してくれ』

 

『ああ。でも急いでくれ、不味いことになった』

 

『どういうことだ?』

 

『サイフォンに今日の事がバレるとかなりやばい。詳しくは後で説明するから、サイフォンが戻ってくる前に何とかしてアタシらが魔力蒐集した証拠を隠さないと』

 

『何やら分からないがサイフォン絡みなのだな。こちらもできる限り急ごう』

 

『頼んだ』

 

闇の書を受け取った私は魔力を蒐集するべく先ほどの黒衣の少女の元に向かうと、戦闘不能に追い込んだというのに地面を這いながらもヴィータが魔力蒐集していた白い少女の元に向かおうとしていた。

 

 

「驚いたな、まだ動けるのか」

 

「うっ……くっ……あ、ああ――っ!」

 

此方の声は届いてないのか、黒衣の少女は白い少女を呆然と見つめていた。

助けに行こうとしていた辺りやはり知り合いなのだろうか?

 

 

「あの子はお前の――家族か何かか?」

 

「友達だ……」

 

「――っ!」

 

「ずっと会えなくて――やっと会えた……友達なんだ!!」

 

振り絞るように声をあげ、こちらを見つめる少女の目からは涙が溢れていた。

それだけあの白い少女の事を大切に思っているのだろう

 

罪悪感が無いと言えば嘘になる。――しかし、我らにも譲れないものがある

私は闇の書を手元に呼び寄せると、満身創痍な少女に向けて魔力を蒐集するべく向けた

 

 

「そうか――すまなかったな……だが我らにも、為さねば成らぬことがある」

 

「っ!?ぐっ――うっ……ああああああああああああああああああああああ!!!」

 

露出したリンカ―コアから闇の書は魔力を吸い上げると、そのページを徐々に埋めていった。

少女からは苦悶の声が漏れており、私はそれをただじっと見つめていた。

自らの行い()を目に焼き付けるかのように

 

そしてリンカーコアが徐々に収縮していき、やがて黒衣の少女は意識を失いその場に倒れ伏した。

 

これで蒐集は完了した。後はシャマル達の方だが――

 

 

『シグナム、こっちの方にいた守護獣みたいな子を倒したわ』

 

『ああ、こちらも今しがた蒐集が完了したところだ。そちらに闇の書を送る。それと、彼女達を安全な場所に転送して治療を頼む。そのままにしておけば騒ぎになるだろうからな』

 

『分かったわ』

 

『シャマル、急いでくれ。早くしないとサイフォンがいつかえってくるかわからねぇ』

 

『ええ。ヴィータちゃんとシグナムは周囲を警戒しつつ、直ぐに撤退できるようにして』

 

『『ああ(わかった)』』

 

会話を終えると闇の書と共に先程までいた2人の少女の姿が目の前から消えた。シャマルが転送させたのだろう

 

するとヴィータがどこか焦ったような表情で此方に降り立った。恐らく先程言おうとしていたサイフォン絡みの事だろう

 

 

「シグナム。サイフォンとさっきの白い奴の事なんだけど実は――」

 

「待てヴィータ……嫌な感じがする」

 

長年闇の書の守護者として戦ってきた私の勘が脳内で激しく警鐘を鳴らしている。

 

――その時だった。頭上から……結界の外。その更に上から巨大な魔力反応を感じたのだ。

それと同時にピリピリと肌で感じる程の、殺気が結界内に向けられていた。

 

まずい、遅かったか……!

 

 

「おいシグナム。これって……!」

 

「ああ。どうやら間に合わなかったようだ」

 

サイフォンがどこまで把握しているかは分からないが、魔力蒐集をする気はないと伝えていた手前、鉢合わせれば間違いなく面倒なことになる。

 

 

「ヴィータ!直ぐに結界を捕縛用から防御用に切り替えるんだ!離脱までの時間を稼がなければ」

 

「もうやってる!」

 

ヴィータは結界の術式を切り替え、今度は侵入者を拒む結界を張り巡らせた。

結界の方はこれでいい。多少は足止めになるはずだ。後はシャマル達だが、シャマルの治療魔法はかなりの腕前だ。恐らく先程の少女達の治療は終わっていると見ていいだろう。

後は探知妨害の魔法を織り混ぜつつここから離脱するだけだ

 

だが、現実はそう甘くなかった。

 

 

 

――――ドゴオオオオオン

 

 

突如として上空から激しい激突音が鳴り響き、結界内が激しく揺れたのだ。そして感じるのは先程よりも大きく膨れ上がった魔力反応

 

今もなおその大きさは増しており、結界の上空からはそれに比例するかのようにバチバチと魔力同士がぶつかり合う激しい音が鳴っている

そしてヴィータの方を見るとその表情は歪み、額には玉のような汗をかいていた

 

 

シグナム駄目だ!もうもたない!!

 

その叫び声と同時にガラスが割れるような音が辺りに響き渡った。ヴィータの結界が破られた……!

 

そして、結界が破れると同時に先程の魔力反応が此方に真っ直ぐと向かってきていた。

 

 

『シャマル、転送はまだできないのか!』

 

『準備はできてるんだけど、サイフォン君の守護獣らしき子に邪魔されちゃってて!ザフィーラが応戦してくれてるけど、このままじゃ転送できないわ!』

 

まずいな。結界が破れた今、このままでは管理局にも補足される可能性がある。事情を説明して何とか見逃してはくれないだろうか

 

 

「シグナム、今の内にさっきの事を伝えておく。魔力蒐集をした白い奴は多分サイフォンの知り合いだ。魔力蒐集中にサイフォンの名前を呼んでいたんだ」

 

「なんだと!?」

 

「アタシらがこんな街のど真ん中でバリアジャケット着て結界まで張ってたんだ。魔力蒐集のことは直ぐバレると思う。腹括んねぇと……」

 

先程の黒衣の少女は白い少女を友達と言っていた。ということはあの少女もサイフォンと知り合い、或いは友人関係かもしれない。

 

くっ……ヴィータの言う通り、ここは腹を決めねばならんか

 

覚悟を決めレヴァンティンを握る手に力を籠めると、件の人物が私達の目の前にゆっくりと降り立った。

 

 

「いよぉ。随分とまぁ物騒な格好してんじゃねぇか」

 

「サイフォン……」

 

その目に激しい怒りの感情を湛えたサイフォンが……我等が主の大切な人物。そして我等の友人がそこにはいた

 

 

 







次回からオリジナル展開交えつつ進んでいきます。
次回作の構想練ってたり、やりたいことやってたりで遅々として進んでませんが、気長にやってこうと思います。


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