前後編で分けてるので多少短くなってます。
次回は長くなりそうかも
~サイフォンSide~
――翌日
準備は滞りなく終わり、俺とリニスはリーゼアリアとその主達が来るのを工房の入り口で待っていた。
「なのはさんやフェイト達には悪いことをしてしまいましたね」
「今はあの子達と接触することで事態が悪化することを避けたいからな。割りきるしかねえさ」
昨日から俺のケータイにはひっきりなしになのはやフェイト、クロノ達から連絡が入っていた。だが状況が状況だったこともあり、あの子達には悪いと思いながら俺はそれを全て無視していた。
家の方には故郷の方に用事があり、少しの間留守にすると伝えてある。そのためなのはが家に来ても誤魔化しは効くと思いたいが、あの子は聡いから直ぐに嘘だとバレそうだ
「まあ闇の書の問題が解決したら何か埋め合わせでも考えておくさ。あの子達にはやてのことも紹介してやりたいしな」
「ええ。その為にも先ずは今日の交渉を成功させましょうか」
「そうだな――っと、来たみたいだな」
魔力の揺らぎを感じた俺はそこに目を向けた。すると少しの間を置いて、その場にはリーゼアリアと同じ格好だが容姿が違う女性が一人。そして主と思われる管理局の制服に身を包んだ男性が一人いた。
その男性は穏やかな表情とは裏腹に歴戦の戦士を思わせる風格を漂わせており、かつて対峙した大魔導士プレシア・テスタロッサ以上の魔力を感じる。
やはり彼が主と見て間違いないだろう
「時間通りだな。アンタがリーゼアリアの主か」
「ちょっとアンタ!父様に向かってなんて口の利き方を――」
「いいんだよ、ロッテ。君がサイフォン君だね。アリアから話は聞いているよ。私は時空管理局で顧問官を務めている
「俺は
「わかった」
――ギル・グレアム
顧問官となった今でも時空管理局内では彼を英雄視している者が多く、11年前の闇の書事件においても
リーゼアリアのような使い魔を二人も使役している辺り主は相当な実力の持ち主だとは思ったが、まさかこんな大物が出てくるとはな……
俺は三人を促し工房の中に入ると、昨日と同じ様に交渉の席に着いた。全員が席に着いたのを確認し俺はすぐにでも話を切り出そうと思っていたが、そこでふとグレアムがこちらを興味深そうに見つめているのに気付いた
「どうかしたのか?」
「いやなに。君は随分と若いのにアリアに聞いた通り優秀な魔導士のようだと思ってね。これでは確かに
「さすがに気付いたか。ま、そういうことだ」
「???」
工房には様々な結界を張っているがその中には転移妨害用の結界も含まれており、部外者を中に入れるには昨日のようにテレポストーンを渡して使ってもらう必要があったのだ。
結界の数が多いせいで感じ取れる魔力が複雑で、どういった結界が張られているのか判別するのはそう容易いことではないんだが、どうやら
因みにロッテと呼ばれていた使い魔はついていけてなかったのか困惑したような表情をしていたが、それを見かねたリーゼアリアが耳打ちして教えていた。
昨日素直にテレポストーンを受け取っていたあたり彼女も気付いていたのだろう。
「俺のことはどうでもいいんだ。それよりも俺達には話すべきことがあるだろ?」
「闇の書のことだね。アリアから大体の話は聞いている。君達が私達と協力関係を結びたいこと。そして君にはアレをどうにかする方法があると」
「ああ、そうだ。とはいえ、俺達は闇の書――夜天の書の管制人格とその主を救うために行動している。プランについてもそれを前提としているが、アンタらの目的はなんなんだ?リーゼアリアの様子を見るに闇の書を使って何かを企んでるようには感じなかったが、何のためにはやてや俺達を監視したりヴォルケンリッターを助けるような真似を?」
「……」
グレアムは沈黙したまま何かを考えこむように目を閉じると、その様子を二人の使い魔が心配そうに見つめていた。
暫くの間その場を沈黙が支配していたが、やがてグレアムは目を開け真っすぐに俺を見据えた。こちらを見つめるその瞳には強い覚悟のようなものが感じ取れた。
「私達の目的は――闇の書の永久封印だ」
「封印……ね。ちなみにその方法は教えてもらえんのかね」
「その場合は君達のプランとやらも聞かせてもらうことになるが、それでも構わないかい?」
「こっちは元よりそのつもりだったからな。いいぜ」
「わかった。私達がやろうとしている闇の書の封印方法だが――」
この時俺はヴォルケンリッターを助け、闇の書を完成させようという動きから俺達と似たような内容なんじゃないかと淡い希望を持っていたが、そんな甘い考えはすぐに崩れ去ることになった
「闇の書を完成させ、暴走が始まるまでの間に
「――は?」
「「――っ!!」」
「サイフォン!落ち着いてください!」
「ロッテ。アリアも落ち着きなさい」
グレアムが言った言葉を皮切りに部屋内には濃密な殺気が充満していた。発生源である俺はあらん限りの殺意を込めてグレアムを睨みつけた。
その様子にリーゼアリアやリーゼロッテは立ち上がり戦闘態勢に入ろうとしていたがグレアムは手で制しており、リニスも不安そうな表情で俺の両肩を掴み必死で宥めようとしていた。
それを見て俺は一触即発の空気の中、無理やり怒りの感情を押し込めると努めて冷静に言葉を紡いだ。
「それはあの子を……はやてを犠牲にして闇の書を封印しようとしてるってことでいいんだな?」
「――両親を亡くし、身体の不自由だったあの子を見て心は痛んだが……運命だとも思った。孤独な者であればそれだけ悲しむ人は少なくなる」
「ふざけるな!!!!」
俺は立ち上がると同時に目の前のテーブルに拳を叩きつけた。握った拳からは血が滲むほど力が籠められ、テーブルには赤い雫が零れ落ちていた。
「あの子がいったい何をしたっていうんだ!!自らの境遇にもめげずに今を懸命に生きている優しいあの子が――闇の書の業を全て背負って犠牲になるのが運命だと?そんなもんクソくらえだ……!」
「……」
「それにな、アンタらのその方法は問題を先送りしてるだけで根本的な解決には至ってない。歴代の闇の書の主の様な輩が出てこないとは限らないからな。そういう奴らは例えどんな手を使ってでも、己の欲望を満たすために闇の書を探し求めるぞ」
「では君は闇の書に対してどうするというのだね?完成前に手を出せば転生して逃げ出し、ひと度完成すれば破壊の力を撒き散らし無限に再生を繰り返す、人の悪意の固まりともいえるあのロストロギアを相手に」
「いいぜ。なら話してやるよ。俺達のやろうとしていることをな」
それから俺はリニスと共に計画している内容を話していった。
闇の書を完成させるところまでは同じだが、俺達は闇の書の主を――はやてを決して見捨てないこと。
そして夜天の書の管制人格を救い出すためのデバイスやプログラムを用意していることを伝えた。
そこまでは向こうも感心したように話を聞いていたが、やはり問題は防衛プログラムに対する対応手段だった。
リミットブレイクについては超威力の魔法を撃つということでぼかしているが納得はしていなさそうだった
「君は確かに強い。アリアからの話しもあるし、何よりジュエルシード事件においての君の戦闘の様子や、リンディ提督に提供していた謎の人物の張った結界を攻撃した時の記録もある。君はその時の結界を破ったと聞いたが、同時に君自身も無事ではなかったと聞いている。もし君がその時に使った魔法を当てにしているのだとしたら、そう何度も撃てるものではない以上、君一人でどうにかなるとは思えないな。第一、それ程の威力の魔法であれば魔力も枯渇するだろう」
「そいつぁごもっとも。だがそれについては術式やデバイスも改良しているし、俺自身もあの時より強くなっている。必要魔力についてももう既に数ヵ月ものあいだ毎日溜め込んできたから問題ない。後は俺が文字通り
「君は――」
グレアムは驚き目を見開いていた。俺の放った言葉の意味を理解したのだろう。
だがそれは隣にいたリニスにも伝わったようで彼女は険しい表情をしながらこちらを見上げていた。
彼女には本当のことを言わず大丈夫だとしか言ってなかったからな。
こりゃ後でお説教だなー
そんなことをぼんやりと考えている中、
「
「「「「!?」」」」
「誰だ!!!!」
突然今までの雰囲気に似つかわしくない間延びしたような女性の声がしたのだ。それも今この場で話していた
俺はすぐに部屋の回りを見回すと、いつの間にか部屋の隅にフードを目深に被った黒ずくめの人物が壁に背を預けてこちらを見つめていることに気がついた。
いったいいつの間に……。いや、そもそも何で誰も気付かなかったんだ?
疑問に思っていると謎の人物は俺に向かって手を振ってきた
「ハロー、サイフォン。久しぶりだね」
「アンタは――」
その声を聞いた瞬間、俺の脳内にはある光景がフラッシュバックした。あれは確か俺がこの世界に来る直前の出来事だ。
謎の空間で見知らぬ誰かと会話をして、この世界を見守り導いて欲しいとか意味の分からないことを言われたりしていた。
そして意識が薄れゆくなか聞いた彼女の名は――
「セフィリアス……なのか?」
その名を呼ぶと彼女は何故か自慢げに腰に手を当てこちらを見つめるのだった。
ようやく出せましたセフィさん。初期登場時となのは達と会った時や今とで口調が違うような?
そんな彼女が何者なのかとかの設定周りを次回入れられたらいいなーとか思ったり