長いこと空きましたが気ままにやってるので不定期なのは悪しからず。
黒ずくめのイメージを書き忘れてましたが某キングダムの機関みたいなコート着てる感じです。
オリジナル設定多めになってくのでご容赦をば
~サイフォンSide~
「セフィリアス……なのか?」
突如として部屋内に現れた黒ずくめの人物に俺は困惑しながらも声をかけた。
対照的に彼女――セフィリアスはフフンと自慢げに腰に手を当てこちらを見つめていた。
俺の記憶違いでなければ彼女こそが俺を元居た世界からこの世界へと連れてきた人物に他ならない。
困惑する俺をよそに彼女は楽しそうな雰囲気を纏いながらこちらに近づこうとしていたが、使い魔達がそれを阻むように間に割って入っていた。
「あれま」
「いきなり出てきてなにもんだいアンタ!」
「お父様には指一本触れさせないわよ!」
「貴女はあの時の……いったい何をしにここへ――いえ。そもそもどうやってこの場にこれたのです!」
「も~、そんなカッカしなくてもいいのに。別に争いに来たわけでも邪魔しに来たわけでもないのよ」
「質問に答えてください!さもなくば――」
「落ち着けリニス。とはいえ、俺としてもどうして俺達に気付かれることもなくここに来れたのかは聞いておきたいところだな」
俺は睨むように目を細めセフィリアスを見据えた。
この工房内には侵入防止や探知妨害の為の結界が幾重にもかけられている。それこそ、グレアム達も認めるレベルの物だ。それを容易に突破し、俺達に気付かれることもなく転移してくるというのは
「ああ、そんなこと。
「うん?」
「「「はい?」」」
俺は彼女の言っていることが一瞬理解できなかった。いや、理解したくなかったが正しいか
彼女は俺の張った結界をあろうことか、無いのと一緒扱いしたのだ。
使い魔達は俺同様訳が分からないといった顔をしており、グレアムもその表情を驚愕の色に染めていた。
「そうだなぁ。君達にも分かりやすく言うと、私はサイフォンの出会った
「「「「「!?」」」」」
「おっと、さっきも言ったけど私が来たのは別に君達と争うためでも邪魔するためでもないから。寧ろ助力しに来たの。だからそう怖い顔しないでよ~」
あの黒ずくめ並の力がある。もしそれが本当なら俺の結界を易々突破できたのも納得できる。
だがそれは同時に彼女が俺達に敵対した場合、この場にいる誰も太刀打ちできないだろうということでもある。
幸い彼女に敵対する意思はなさそうなんだが……
「信じていいのか?」
「ひっどいなー。私これでもサイフォンの命の恩人なんだけどなぁ。なのはちゃん達も助けてあげたし」
「命の恩人……?」
「あー……そ、そういえばなのは達を助けた黒ずくめの女性らしき人物がいるって聞いたがおまえさんのことだったのか。あの子達を助けてくれてありがとうな」
セフィリアスの言葉に反応したリニスが物凄いジト目でこちらを見つめてきた。そういえば彼女は俺が元の世界で1度死んでセフィリアスによって
――というか俺の過去の話は能力の事と別世界からきたこと以外殆どしていないような……
リニスのことだからこちらを気遣って、無理に聞き出そうとしていないだけかもしれないが
俺は軽く物思いに耽り、リニスの方を向くとバッチリと視線があってしまった。
そしてリニスは私の知らないところでまた危険な目にあっていたんですか!――と、抗議の目線を送ってきていたので、俺はそれから逃げるように話題を変えることにした。
「と、ところで助力しに来たってのはどういうことなんだ?」
「そのことだけど――サイフォン。私が貴方と会った時にお願いしたこと……覚えてる?」
「ああ、覚えてるぞ」
「なら駄目じゃない
「だが他に方法は無いだろう?現状打てる手としてはこれが最善だ」
俺はなんの躊躇いもなく自らを犠牲にすることを口にするがリニス達はその言葉に眉を顰め、セフィリアスはため息をつきながら眉間に指を当てていた。
実際問題はやてを危険に晒すグレアムの計画に賛同できない以上、俺にはその選択肢しかない
「はぁ~。他にもやりようは幾らでもありそうなのにどうしてそう自己犠牲に走ろうとするのかしら……。まあいいわ。サイフォンが死ななくてもいいように私が何とかしてあげる」
「なんとかって……具体的に何をするんだ?」
「貴方の
「分割って……まさか!?――いや、だが……」
「「「「???」」」」
セフィリアスの言った言葉の意味。その意味を理解した瞬間沸き上がるのは、本当にそんなことが可能なのかという疑問。
当然ながら事情を知らないリニス達は置いてけぼりで、頭に疑問符を浮かべているような状態だ。
「サイフォン。貴方リニスちゃんにはどこまで話してるの?」
「俺が別世界から来たことと俺自身の能力――ジョブのことくらいだな」
「成る程ね。なら分からないわけだ」
「セフィリアスさんでしたか。貴女はいったい何を知っているんですか?サイフォンの分割された力とはいったい――」
「そうねー。
そう。俺の
そして世界を分割した際に世界中の人々の力や知能、魂までもが同時に分割されてしまったのだ。
それ故に古代人達に比べると俺達は遥かに弱く脆い存在だった。
俺はその内の原初世界出身で、原初世界では過去に13ある鏡像世界の内の6つが原初世界に統合されており、その際に分かたれた力や魂も元に戻っている。
セフィリアスは残った力を元に戻すと言っているが……。
それに俺の生まれを知っているだって?なら俺の本当の両親のことも――
聞きたいことは山程あったがこっちの気も知らず、セフィリアスは先程と変わらぬ調子で話を続けていた。
「サイフォンが前の世界での力を完全に取り戻せば魔法の反動で死ぬなんてことにはならない筈よ」
「そうか。そいつはありがたい話なんだが――1つ聞きたいことがある」
「何かしら?」
「お前さんはいったいなにもんなんだ?初めて会った時のこともそうだが、あの黒ずくめの男みたいな常軌を逸した力があるなんてどう考えても普通じゃない。もしかしてこの世界の神様みたいなもんなのか?」
彼女の力量はおおよそ只の人間とは思えない。元の世界で蛮神なんて存在がいたんだ。それこそこの地球の伝承なんかにある神のような存在だと言われた方がまだ信じられる。
そう思い質問したのだが当の本人はキョトンとした表情をした後に、初めて会った時のように鈴を転がすような声で笑っていた。
「ふふふっ、私はそんな大それた存在なんかじゃないよー。そうだなぁ――私達は自らを
「世界を滅ぼす……か。大層な名前だが冗談を言ってる感じでもなさそうだな。因みに、理の外に在るっていうのはどういうことだ?」
「うーんとね、私は今貴方達のいるこの世界の理――謂わばルールから逸脱している存在なの。もう少し分かりやすく――貴方達も知ってる例で言うと私は
「「「!!?」」」
「なっ!?」
「そんな……では貴方もサイフォンのようにエーテルを扱えるのですか?」
「彼の世界にあったエーテルは使えないわ。けど、エーテルみたいにこの世界の理の外に在る別の力を使えるのよ。虚数空間は魔素を分解して無にする空間。魔素によって生み出された貴方達の魔力はその影響を受けるけど、魔素由来の力じゃないエーテルと私の力は問題ないってわけ」
エーテルはこの世界由来のものではない。それが意味するのは――
「つまり……
「ご明察~。貴方は私がこの世界に連れてきた、別世界の住人よ。――んー、ここみたいに次元を越えて世界を渡るところだと紛らわしいわね。便宜上私や彼が居たところは異世界と呼びましょうか」
我ながら名案~、なんてセフィリアスが呑気に言ってるとそれまで聞きに徹していたグレアムが神妙な面持ちで彼女を見ていた
「あら、そんなに情熱的な視線を向けられると照れるわね。どうしたのかしら、
「っ!?――どうやら私の事も調べ尽くされているようだな」
「あくまで調べられる範囲でだけどね~。少なくとも記録に残っているようなものはあらかた知ってるかな」
「そうか――セフィリアスさん……だったかな。君に確認したいことがある」
「良いわよ~。何かしら?」
「君の話す私達の世界とは異なるルールがあると言う異世界……そして界滅者の存在。そのようなものは時空管理局では聞いたことがない。恐らく無限書庫にもその手の情報は無いのだろう。こればかりは私の勘だがね」
「まあ無いでしょうねぇ。この世界に干渉するのは私が初めてだったからね~。それで、本題は?」
「
その言葉に再び場に緊張が走った。リーゼ達はグレアムを庇うように前に出ており、俺も直ぐにリニスを護れるよう全身に魔力を張り巡らせた。
俺達の様子とは正反対に、セフィリアスはのほほんとした空気のまま苦笑していた。
「さすが時空管理局のお偉いさんね。でも最初に言ったとおり、私は貴方達に敵対する気はないからそんな身構えないで大丈夫よ。精々ここでの会話を他の人に話せないように簡単な封印を施すだけよ。今回のことを他人に話せなくなるだけで他に害はないから」
「そうか……。それを聞いて安心したよ」
「それじゃあ、貴方達の不安を解消したところで話をまとめましょうか。闇の書に対する計画はサイフォンの案を採用するってことでいいかしら?懸念点である防衛プログラム殲滅用の魔法でサイフォンに生じる反動については、さっきも言ったように私が何とかするわ。ついでに防衛プログラムとの戦闘時には、街へ被害がでないように私が周辺に結界を張っておいてあげるわよ」
なんでお前さんが仕切ってるんだと言いかけたが、一旦は口をつぐむことにした。力の件も結界もこちらにとってはメリットしかないし、態々文句を言って彼女の機嫌を損ねることもないだろう
「俺は元よりそのつもりだったからな。異存無い」
「マスターの身に危険がないのであれば私も構いません」
「サイフォン達はオッケーね。それで、貴方達は?」
「アタシ達はお父様の決定に従うわ」
リーゼアリアが意思を示すと、それに追従するようにリーゼロッテも頷いていた。すると自然とグレアムに皆の視線が集まる。
彼は暫し瞑目していると、やがて覚悟を決めたのか真っすぐにこちらを見据えてきた。その瞳に迷いはなく強い意志が感じられた。
「――私も賛成だ。サイフォン君の計画に乗るとしよう。虫のいい話ではあるが、あの子を犠牲にしないで済む道があるのならばそうしたい。私に協力できることがあれば何でも言ってくれ」
「うっし!これで決まりだな!それならセフィリアス、早速俺の力を元に戻してくれないか?」
「慌てない慌てない。勿論この後それはやるけど、その前におじ様達と貴方の使い魔に封印処理を施すから」
俺は左の掌に右手の拳を打ち付けて気合を入れたが、そんな俺とは対照的に彼女はのんびりとした所作でリニス達に片手を翳していた。
その手からはミッド式やベルカ式でもない小さな魔法陣と共に淡い光が溢れ出し、リニスやグレアム達を包み込むと幾何もしないうちに消えていった。
「特に変わったところは無いように見えるが、もう終わったのか?」
「ええ、そうよ。試しにリニスちゃん。理の外に在るものについて今の貴女の理解でいいからどういったものか話してみてもらってもいいかしら?」
「わかりました。では――。……?――っ!?」
セフィリアスの言うとおり恐らくリニスは理の外に在るものについて話そうとしているのだろう。だがリニスは何か言葉を発しようとしているが声が出ないようで、その表情を驚愕の色に染めていた。
その様子はかつてシャーレアンの哲学者議会の人間が終末のことについて話そうとした際に、言葉を発せなくなっていた様子に酷似していた。
それを見たセフィリアスは満足げに頷いて翳していた手をおろした。
「上手くいったみたいね。とはいえ失敗することなんて殆どないんだけどね~」
「驚きました。本当に話せなくなるのですね」
「私達もどうやら話せなさそうだ。どの様な魔法なのか聞きたいところだが、恐らく教えては貰えないのだろう?」
「それは勿論、異世界の魔法だからね。さて、それじゃあサイフォンの力を元に戻してあげる為にも少し彼を借りていくわね」
「借りていくって……この場ではできないのですか?」
リニスは警戒した様子で俺を連れて行かせまいと腕をガシッと掴んできた。余程力が入っているのか指が腕に食い込んで痛い……
「リニスさんや……腕が痛いんだが」
「す、すみません……」
「心配性ね~。この場でやると力を元に戻した時に発生する衝撃で多分この工房が消し飛んじゃうわよ?」
「そんな!?」
「おいおい、そりゃ困るぞ」
「でしょう?それに異世界の力の反応を
なのは達の身に危険が迫るかもしれないと聞き、俺は思わず殺気立ってしまった。あいつとは、セフィリアスの言っていた界滅者――あの黒ずくめの男のことで間違いないだろう。
そんなことを聞かされては選択の余地はなかった。
「わかった。それなら力を戻すためにも俺を連れていってくれ。リニスもそれでいいな?」
「――わかりました」
「賢明な判断ね。それじゃあサイフォンの力を元に戻しましょっか。時間がかかるからこの場は解散でいいんじゃないかしらね」
「そうか――それならグレアム。お前さん達とはどうやって連絡を取ればいい?今後計画のことについてやり取りすることもあるだろうし連絡手段を確保しておきたい」
「それならば君にこれを渡しておこう。アリアとロッテにも渡している秘匿回線用の通信機だ。これを使えば私がミッドチルダに居てもやり取りができる。傍受される心配もないから安心してくれたまえ」
「助かる。何かあれば連絡する。当面はヴォルケンリッターの魔力蒐集が邪魔されないよう支援しつつ、闇の書の完成を待つ。完成時にどう立ち回るかの詳細はまた後日話させてくれ」
「ああ。それでは私達はこれで失礼するよ。改めて、よろしく頼むよサイフォン君」
「こちらこそ、よろしく頼む」
グレアムと軽く握手を交わすと彼は使い魔を伴ってその場を後にした。
そして工房内には俺とリニス、そしてセフィリアスの3人が残った。
俺はまだ不安げに腕を掴んでいるリニスの手を外し、安心させるように彼女の頭を撫でつけた。
「リニス、大丈夫だ。俺はちゃんと帰ってくるから少しの間留守を頼む」
「マスターがそういうのであれば……。セフィリアスさん、時間がかかるとのことでしたがどれくらいかかるのでしょうか?」
「そうね~……少なくとも今日1日はかかりそうね。明日にはちゃんと無事に連れてくるから安心して」
「そうですか……。マスター、どうかお気をつけて。留守の間はお任せください」
リニスの表情は真剣そのもので、とてもではないがどうせ明日には帰るんだからそんなに気張らなくてもとは言えなかった。
これからはもう少し心配をかけないように気をつけるか……
「それじゃあセフィリアス、頼む」
「なら早速場所を移しましょうか。転移は私がするからサイフォンは何もしなくても大丈夫よ。それじゃあリニスちゃん、また明日ね~」
セフィリアスはリニスに呑気に片手を振りながら喋っていると、もう片方の手に魔法陣を展開した。
すると瞬く間にサイフォンとセフィリアスが眩い光に包まれた。
光は直ぐに収まったがそれと同時に2人の姿は工房からいなくなり、主の無事を祈るリニスだけがその場に残されていた。
次回はサイフォン関連の設定やら詰めていければなと。
どうにか今年中には次回作進められるように頑張りたいところ