オラリオに求めたのは再会と斬り合い   作:幾何花なまり

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エレボスのエミュとかできる人いるんですか???

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 私は今、一人で都市の巡回をしている。

 入団してからおおよそ一月程、私も【アストレア・ファミリア】の方々のおかげで、この都市にも馴染んできたと言う感じがしている。

 顔見知りもそれなりに増えたし、子供たちとも仲良くなってきた。食べ物はあまり合わないが、それでも充実した日々を送っていると言っていいだろう。

 

「ひったくりだよぉぉ〜助けてぇ!」

 

 どこかで聞いたことがあるような、男の声が聞こえてきた。

 

「財布取られたぁ〜誰か──!」

 

 その声に振り返れば、どこかでみたことのあるような男がうずくまっており、財布を奪ったであろう女がこちらに向かって走ってくる。

 

 この女がひったくりの犯人かどうかは知らないが、ひとまず捕まえておくべきだろう。疑われるような行動をする方が悪い。

 

 走ってきた女に足をかけ、転んだところを取り押さえる。

 この女が冒険者かどうかは知らないが、縄で縛ったところで引きちぎられてはたまらない。抑えたまま関節を外し動けないようにする。

 

「ふむふむ…………お、これですかね?」

「いやーお兄さん助かったよぉ…………って夜切じゃないか。久しぶりだね」

「ええ、お久しぶりです。これエレンのですか?」

「そう! 千ヴァリスしかない財布だったけど助かったよ」

「千ヴァリスあれば色々できますから、取り返せてよかったですね」

 

 エレンに断ってから、私と取り押さえた女の姿を精霊を用いて隠す。

 割と簡単に取り押さえられたことから、神の恩恵(ファルナ)を持っているとは思わないが、それでも関節を外されたことで動けない女の服を脱がし、背中を確認する。

 

「ああ、あなたは恩恵なかったのですか」

「ううっ、ないわよ! そんなもの! それよりこんな所で脱がさないで!」

「元気がいいですね? 治療しなくてもよろしいでしょうか? それに一応は、周りからはみられないようにしています」

「いや!! 治してちょうだい! 私が悪かったわ!」

 

 そうやってすぐに抵抗を諦めるなら、最初からしないでもらいたい。治療をして、縄で縛り動けなくする。精霊で隠していた姿を明かす。

 

「これでよし。【ガネーシャ・ファミリア】に引き渡して私の仕事は終わりですね」

「お前らがとっとと闇派閥(イヴィルス)を捕まえないから! 私みたいなやつはこんな事しなきゃいけないのよ!!」

「はい? 何を言っているのか分かりませんが、言い訳は【ガネーシャ・ファミリア】の方が聞いてくださいますから。そこで話してくださいね」

 

 これは音まで遮断しておいた方が良かっただろうか。

 まぁ、今更言っても遅いな。

【ガネーシャ・ファミリア】がくるまで少し時間があるはずだ。これ以上騒がれないように、持っていた手拭いを口に詰めて黙らせておく。

 

「よ、夜切さん? ぼくぅそこまでしなくてもいいかなぁって思うんだぁ」

「そうですか? これ以上騒がれても面倒なので、これで問題ありません」

 

 あくまで私は彼女を拘束し、【ガネーシャ・ファミリア】に引き渡すことが仕事だ。

 

「ほら、その、彼女の主張もあるだろうし」

「それは【ガネーシャ・ファミリア】の方々が尋問してくださいます。エレンも気になるなら付いて行ってみては?」

「む! むー! むーむー!」

「うるさいですねぇ」

「と、取ってあげません?」

 

 エレンがあまりにも言うので、仕方なしに取ってやった。

 私も随分とオラリオに適応してきたものである。

 神の財布を取った上に、治安維持に貢献している私に対しての暴言。極東であったら間違いなく斬り殺されている。

 そんな人間を斬り殺してはいけないなど、私としては面倒臭くて仕方がない。

 

「騒いだらどうなるかわかっていますね?」

「わかってる、わかってるわ!」

「ならよろしい……これでいいでしょう」

「あ、うん。いよ、それで」

 

 良かった。神の願いであるとは言え、これ以上拘束を緩めるのは私の立場上よろしくない。

 

「夜切はさ、さっきの言葉……どう思うんだい?」

「はて? 唐突にどうなさいましたか?」

 

 ヘラヘラと笑いながら尋ねてくるエレンを見返す。

 

「聞いたよ。【正義の派閥(アストレア・ファミリア)】に入ったんだってね」

「はい、その節はどうもありがとうございます。お陰で何とか辿り着けました」

「いいよ。気にしないで」

 

 エレンは、先程と変わらず軽薄な笑みを浮かべたまま私の肩を叩いた。

 

「【アストレア・ファミリア】に入った君に聞きたい。君たちがさっさと取り締まらないからオラリオの治安が保たれない。その言葉に対して君は何を思う?」

「はぁ? 質問の意図が読めませんが」

「気にしなくていい、ただの好奇心さ」

 

 思うがままに答えてくれ。そう一切の嘘は許さないとばかりに、目を細めこちらを鋭く見つめる。

 

 ふむ、この都市へ来て一月やそこらの私が言えることなど何もないと言うのが正直な所である。

 治安はいい方がいいと思うが、何としてでも平和を! などと言えるほどこの都市に思い入れはない。それに極東なら、そんな人間はさっさと首を落として終わりだ。

 

「そうですねぇ……強いて言えばあなた達も神の恩恵(ファルナ)を授かればいいのでは? と言う所です」

「ほう?」

「別に私はダンジョンに潜れと言っているわけではなく、恩恵があれば闇派閥(イヴィルス)の襲撃があろうと、市民の方々が無抵抗に殺されると言うことは無いのではないかと」

 

 無論、問題は多いので実現は難しいとは思いますがね。と締めくくる。

 何もしないで主張だけ通そうとするなど、笑止千万といったところ。極東の農民は恩恵があろうとなかろうと、強訴するときはする。鍬や鋤を持って戦うのだ。

 地方官の館が焼かれたと聞いた時には、心底驚いたものである。

 それを鑑みれば、オラリオの市民は少々甘やかされていると言わざるを得ない。

 

「なるほど面白い意見だ」

「そうですか? 誰でも思いつくけれど、現実的では無いからやらないと言うだけだと思いますよ」

「いいんだ。僕は意見を聞きたかっただけ。君が何を言おうと、僕は友として肯定した」

 

 だったら聞かなくていい質問だろう。そう言う都市の政治的なことに興味はないのだ。聞くならアストレア様やらガネーシャ様に聞いてほしい。

 

 

「あ、私からもいいですか?」

「おっ、なんだい? 僕なんでも答えちゃうぜ」

「アルフィアさんに、病を治す気になったら教えてくださいと伝えておいてもらえますか?」

「…………アルフィア? 誰の事だかわからないなぁ」

「はい? かつて【ヘラ・ファミリア】に所属していた方で、実は私先日お会いしたんですよ」

「えぇ〜? 僕には関係ないよぉ?」

 

 ふむ、誤魔化したいと? 

 何故関係を隠そうとするのか。

 

「……まぁ、それならそれでもいいです」

「なんのことかわからないけどそうしてくれると助かるよ」

「なら、えっと毒を浴びたであろう方にも、いつでも治すと伝えておいてください」

「…………何を言っているんだい?」

「以前アルフィアさんの治療をした際に、毒が付着していました」

「それが?」

「今エレンに着いている毒と同一の毒です」

「…………すれ違っただけじゃないかな?」

 

 軽薄な態度はそのまま、こちらを観察するように見てくる。

 ふむ、アルフィアさんと毒の方との関係を隠したがっているのは、以前言っていた仲間だからであろうか。いや、わざわざ隠そうとする意味がわからない。

 …………まあ、いい。エレンが何をしようとしていようとも、どうでもいい。アストレア様やアリーゼさんが言うには、アルフィアなる人が都市に仇なす可能性はないらしいから。

 

「【ガネーシャ・ファミリア】だ!」

「おや、いらっしゃったようですね…………ほら、立ちなさい」

「ちっ!」

「あなた…………なかなか気概がありますね」

 

 これ見よがしに私へ向けて舌打ちをし、連行される女。極東に生まれなくて良かったな。極東なら何度も首が飛んでいた。

 

「さて、私はこれで。連絡さえくだされば、ありとあらゆる毒に病、怪我を治しに行きますから。毒に侵されている方にどうぞお伝えください」

「…………ああ。もし知り合えたらしっかり伝えておくよ」

「ええ、そうしてください」

 

 エレンに手を振り、見送る。

 さて、私も見回りに戻るとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーむ、ここのところやけに犯罪が多いですねぇ」

 

【ガネーシャ・ファミリア】に連行されていく盗人を眺めつつ、ひとりごつ。

 エレンと会った後から立て続けに数件。私が都市に来た時よりも明らかに多くなっている。それに加えて闇派閥(イヴィルス)の襲撃頻度も高くなってきていた。

【アストレア・ファミリア】の方針なのかなんなのか、殺しを止められているので戦いづらい。そう言う訓練だと思えばやらないことはないが、あの様な面倒な奴らなど殺してしまってもいいと思うのだが。

 

「私一人で闇派閥(イヴィルス)襲撃してしまおうか……」

「あらあら夜切様。そんな事をおっしゃってはいけませんよ?」

「輝夜」

 

 いつのまに隣に来たのか、輝夜が声をかけてきた。どうやら独り言が聞かれていたらしい。

 

「わたくしでよければ、聞いて差し上げますよ」

「…………闇派閥(イヴィルス)の襲撃にいい加減苛立っていましてね」

「ええ、わたくしも心底あのゴミ虫共にはうんざりしております」

「ですから次の襲撃の際には、何人か逃してそれを追跡。逃げ帰った拠点を焼き討ちしようかと」

 

 我ながら悪くない作戦ではないだろうか? 本拠地ではなくとも闇派閥(イヴィルス)の拠点であることは間違いない。少しは戦力を削れることに加えて、何より冒険者の憂さ晴らしにもなる。

 

「はぁ……極東ならそれで良かったのかもしれませんが、ギルドに朝廷ほどの力はございません」

「はぁ? ……この都市の政治はどうなってるの」

「少なくとも、ギルドと有力【ファミリア】の賛成を得なければ……難しいと思いますけどねぇ」

「…………いっそのこと二人でやりません?」

「やるわけ無いだろ馬鹿者」

「ですよねぇ」

 

 極東なら全会一致で即座に焼き討ちである。オラリオのやり方は随分と手緩い。見せしめに幹部の何人かを晒し首にしておけばいいものの……。

 ああ、闇派閥幹部(ヴァレッタ程度)を捕らえられていないのか。

 

 はぁ、とため息をついて輝夜が言う。

 

「お前の考えていることはわかるが、オラリオは本来モンスターと戦う冒険者達の都市だ。極東の頭のおかしい奴らとは違って対人経験が多いわけじゃ無い」

「こんな時代に、どうしてそんな事を言っていられるんですかねぇ」

「私に言うな。都市最強派閥様に言ってやれ」

「後で【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】を焼き討ちに行かなくては」

「その冗談全く面白く無いぞ」

「ちょうど都市最強がどの程度のものか、気になっていたところなんですよ」

「やるなよ?」

「ええ、いきなり襲うなんてことはしませんよ」

 

 オラリオ風に言うのなら、アポを取ってからに決まっている。

 

「私は節度を持っていますが、師匠なら都市最強と聞けば斬り殺しに行きそうですね」

「お前も大して節度を持っていない」

「師匠なら闇派閥(イヴィルス)に襲われた次の日には本拠地まで攻め入って全滅させてますよ」

「あの人ならやりかねん…………いや絶対やるな」

「ね? 私は節度があるんですよ」

「最底辺と比べたところで意味はない」

 

 私の師匠を馬鹿にしたな! …………まぁ、何も言い返せることはない。

 

 取り留めもない話を二人でしつつ、ホームへと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

「魔石製品工場に闇派閥(イヴィルス)の襲撃! 行くわよ!」

 

 帰ってすぐにこれか。

 …………ヴァレッタ、貴様は私が必ず殺す。精々今のうちに愉しく襲撃の指示でもしていろ。次会った時がお前の最期だ。仕事が終わったと思わせてからもう一仕事増やすなど、万死に値する。

 

「月咲さん行きますよ」

「ええ、行きましょう」

 

 

 

 私たちが工場に着いた時にはすでに建物は炎上していた。

 

「月咲さんは熱いかもしれませんがいけますか?」

「…………ええ。精霊に身体の周りの温度を調整してもらいます」

 

 正直な事を言えば、炎が上がる中、態々なんの情報も持っていない愚物共を、殺さず無力化させなくてはならない仕事などしたくない。

 しかしながら、私とて【正義の派閥(アストレア・ファミリア)】の一員である。市民の為に……いや、子供達の為に峰打ちして差し上げようじゃあありませんか。

 

「良かったな夜切」

「何が良かったんですか?」

「焼き討ちだ。したいと言っていただろう」

「私は焼いて討ちたいのです。焼かれるのは面倒で仕方がない」

 

 そんな会話をしつつ、工場へ突撃する。

 

 そこかしこから火が上がっている。精霊に頼み鎮火しつつ進んでいく。

 ああ、私や師匠が破壊した拠点を、死んだ目で鎮火していたあの人たちはこんな気持ちだったのか……。

 いや、切り替えよう。

 

「ぐあぁああ!」

 

 ライラさんがブーメランという武器を投げ、闇派閥(イヴィルス)団員を切り裂く。血が吹き出し男が崩れるのを横目に、戻ってきたらブーメランを危うげなく掴み叫ぶ。

 

 私はその間に恩恵のないであろう人間は峰打ち、ありそうな人間は四肢を刎ねて傷口をヨミで癒して放置する。回復する価値もない塵芥を回復している分、ライラさんよりも私は優しいと思う。

 

「アリーゼ三番倉庫押さえた!」

「そのまま四番まで制圧! イスカとマリューに指示! ライラは先の区画、押さえて!!」

 

 ふむ、皆さんどうやら先へ進む様である。

 私は動けなくなっている者の持ち物でも漁るとしようか。

 

 ちょうど近くに倒れている男が着ているものを剥がし、何か持っていないか調べる。以前ヴァレッタに投げつけられた閃光手榴弾でも持たれていたら、事故が起こり得る。

 

 そう思って身ぐるみを剥がすも…………何もない様だ。

 抵抗する者を黙らせてから、男女問わず十数人程度調べてみたものの、誰一人として閃光手榴弾の様なものは持っていなかった。

 

「幹部の人間でないと持っていないのか……それとも今回は使いどきではないと見たか」

 

 まぁどちらでも構わない。

 しっかりと動けない様に(四肢切断)してアリーゼさんらの方へ向かう。どれが誰の手足かはわかる様にしてあるので、再び装着可能だ。

 ヴァレッタを逃してしまった際の反省点をしっかりと活かせている。

 

 奥へ向かう道中、人が氷漬けにされていたり、割と深く切られていたりしていた。私に色々言っているが、切られた人間の傷は輝夜によって付けられたものだった。

 私は四肢を削いだ上で癒しているから、人を切って捨て置く輝夜の方がよっぽど恐ろしいと思う。私を見習って欲しいものである。

 

「お、おのれぇえええええええええええ!!!」

 

 叫び声と共に、恐ろしい爆撃が工場内に炸裂する。

 確か向こうはアリーゼさんがいるはず。

【ファミリア】内にも回復師はいるものの、未だ担当区画の制圧は終わっていないかもしれない。そう思い、速度を上げ爆発の起きた方向へ向かう。

 

 おそらく爆発の原因であろう男は肩で息をしている。握られているのがおそらく『魔剣』と呼ばれいる代物であろう。なんでも魔法と同じ事を剣を振るうだけでできるとか。

 私からすれば余計な機能をつけた剣など無粋も無粋だと思うが。

 

 その『魔剣』によって生み出された炎の海を割って、人影が歩み出てくる。

 

「む……無傷? 馬鹿な……?!」

 

 戦慄に震える男の視線の先には、炎を背景に結えている赤髪をかき上げるアリーゼさんの姿が。

 

「【紅の正花(スカーレット・ハーネル)】の二つ名を持つ私に爆撃なんて、笑止ね! 清く美しい私には、悪者の炎なんて効かないんだから!」

「アリーゼ、お前服燃えてんぞ!! 笑止じゃなくて焼死すんぞ?!」

 

 胸を張って決め台詞を言ったアリーゼさんに、ライラさんから鋭いツッコミが刺さる。

 背中が燃えている事に気がついたアリーゼさんは、火を消さんと全力の疾走を始めた。

 

「………………ふぅ。まぁ、こういう時もあるわよね! 失敗はいつだって明日の糧! これで私はまた理想に近付いたわ!!」

「すっげえ力技で誤魔化そうとしてんぞ、アタシ等の団長……」

「前向きで都合の悪いことは全てもみ消す立ち振る舞い、わたくし達も見習わないといけませんねえ」

「輝夜、アリーゼを侮辱するな! アリーゼはただ、その、少しアレなだけです!」

「庇ってやれよ、そこは」

 

 萬歳の様なやり取りをしている少女達を横目に私は、なるほどと頷く。輝夜の言が確かなら、私もアリーゼさんを見習わなければいけないらしい。

 

「つまり私は誰を切っても治せば問題ないと」

「問題大有りだ馬鹿者」

 

 はぁい。

 




【アストレア・ファミリア】は人間を殺した事あるんですかねぇ?どっちとも取れる描写あって、明言されてないから私にはわからん。

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アーディちゃんについて

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