オラリオに求めたのは再会と斬り合い   作:幾何花なまり

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評価をつけてくださった方ありがとうございます!
評価がついたとき嬉しすぎてニヤニヤしてしまいました……!!

続きが書けましたので投稿します!


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 エレンと別れて歩くことおよそ1時間。ようやくギルドに到着することができた。

 なんだかギルド、とても遠くないですか? 

 気になるのはここへくる途中に何度も私を追い越していったあの馬車たちだ。ここギルドに着くまでなるべく考えないようにしていたものの、

 薄々気が付いてはいたのだ。

 こんなに遠いのに移動手段とかないのかな? とか、一人でとぼとぼ歩いている私をみて街の人がヒソヒソしていたのを。おそらくだが、あの馬車がこの都市の移動手段なのだろう。間違いない。極め付けは、ここへ来る途中の道で馬車を呼び止めて「ギルドまで」とか言ってる人がいたことだ。

 なぜここまで歩き続けるなんて真似をしたのだろうか、お金がないわけではないのに……ここまで来たら歩いてギルドまで行かなければと、いう無駄な意地を張ってしまったばかりに無駄に過ごしてしまった。

 というか、そもそも御者に住所を伝えれば連れていってくれたのではないだろうか? 

 

 …………あまり考えないようにしよう。考え出すと私の行動全てが無駄に思えてしまう。

 

 オラリオの人々の暮らしをなんとなく見ることができたのでよしとしよう。

 あー早く輝夜に会いたい。会うのが目的でここへ来たというのに、なかなか会えない。

 

 切り替えてギルドへ入ってみようかと、思ったものの自分の知らない場所に入っていくというのはどうにも緊張してしまう。

 これが山や森、渓谷等ならばほどよい緊張感で過ごすことができるのでいいのだが、ギルドの様な人と関わらなければならない場所へと行くにはそれとは違った緊張感がある。人によっては新しい環境の新しい出会いに高揚するのだろうが、私はむしろ…………と言ったところだ。

 

 彼女の所属をわざわざギルドで聞く必要もないだろうが、せっかくここまで来たのだ。物は試しというし、受付で尋ねてみよう。

 冒険者をしていると言っていたし、もしかしたらこの中で会えるかもしれないし。

 

 意を決してギルドの扉を開けなかへと入る。

 

 荒くれ者が多いと聞いていたので、ギルドの中もそれなりに荒れているものかと思っていたがそんなことはなかったようだ。

 綺麗な内装に広めの内部。奥に見えるカウンターで受付をしているようだ。報酬がどうとか、ナンパとかしている声が聞こえる。

 それはともかく、そのくらいの高さのカウンターは一般人でも簡単に乗り越えることができると思うのだが問題はないのだろうか? 冒険者の報酬もそこで渡しているらしいが、買取額低くないか? とか凄まれたら危ないように思える。まぁ、本当に暴れられたら壁があろうとなかろうと変わらないのか。そう考えたら合理的? なのだろう。

 

 カウンターには未だそれなりに列があるため、入ってすぐにあるベンチにでも座って待っていよう。空いてきたら並べばいいだろう。別に私は急ぎではない───あまりにも遅くになってしまうと流石に彼女の仲間たちに迷惑になるだろうが───ので割と余裕があるのだ。

 …………歩いてここまで来なければもっと余裕があったのだけどね。

 

 そんなことを思いなつつカウンターの方をぼんやりと見つめていると、奥の扉が開いて数人の人間が出てきた。

 金髪の美少年、翡翠色の髪をしたエルフの美人、しっかりとした体つきのドワーフの老人の3人組。

 ギルド内がざわめいたのでおそらく彼らは有名人なのだろう。今日オラリオに来たばかりの田舎者である私は知らない。……せっかくここへ来るのならもう少し情報収集すればよかったかな? 

 輝夜に会えばとりあえずどうとでもなると思っていたせいで、なんの準備もしていなかった。その輝夜とも未だに会えていないのだが……。

 

「おい、見ろよ【ロキ・ファミリア】の幹部じゃねか」

 

「個室で何話してたんだろうな?」

 

「やっぱ、闇派閥のことだろ? 【ロキ・ファミリア】が遠征したとも聞かねえし。それにあいつら、【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】がいなくなってからかなり暴れてるからな」

 

 なるほど、彼らは【ロキ・ファミリア】というところに所属しているのか。おそらく十二にもなっていないだろう少年もファミリアの幹部らしい。つまりかなりの実力があるということ。故郷でも思ったことだが、やはり

 神の恩恵(ファルナ)は恐ろしい。それを授かり発展させる才能が必要だとはいえ、ただの人間ではかなり過酷な鍛錬を積まなければ至ることのできない領域まで簡単に行けてしまう。さすが誰でも簡単に超人になれる時代である。

 冒険者以外の一般市民も皆恩恵を授かれば、労働がかなり効率良く動くと思うのだがそれは難しいのだろうか? 一柱の神がたくさんの眷属を持つのは問題があるのか? それとも、戦わない民衆とはいえ超人となったら暴れられると面倒だからか? 

 まぁ、なんにせよ民衆が力を持つと抑えるのが大変なんだろう。そう考えると冒険者に絞られて恩恵が授けられている現状は都合がいいのだろう。

 

 そう思考を終え、席を立つ。

 ちょうど立ち上がり列へと合流する途中で、【ロキ・ファミリア】の幹部である3人を私が追い越すと突然表情を歪めて少年が親指を押さえ始めた。

 ? 怪我をするようなことでもあったのだろうか? 私が見ていた間は特に荒事が起きた様子もなかったはずだ。

 いくら彼がファミリアの幹部だからと言っても、幼い少年が指を痛めている様子をそのままにしておくのは良くないだろう。

 エルフの人もドワーフの人も少年の様子に少々焦っているようである。今の所他の冒険者たちは気がついていないようだ。

 自分よりも年少──たとえ歳が上だとしても───の少年をを診てやるくらいの医療の心得を私は持っている。そんな私が彼を放っておくのは褒められたことでないだろう。

 

 私は追い抜いたばかりの彼らの方へと戻った。

 私が近づいていく中、その間も少年の表情は歪んでいく。だんだんと痛みが強くなっているのだろう。冒険者である彼がそこまで痛そうにするのだから相当な痛みなのだろうと思う。恩恵を授かった人間がそこまで苦しむようなものは流石に今すぐ治すことは難しいなと、思いながらも声をかける。

 

「こんにちは、突然お声がけしてしまい申し訳ありません。そちらの彼がすぐれない様子でしたので、医療の心得がある私は何か力になれることは無いかと思いまして」

 

 少年の前に大人二人に軽く断って、軽く屈んで少年に目線を合わせる。

 

「こんにちは、私は月咲夜切と申します。あなたの指を少し見せていただけますか? 酷く痛むようですから」

 

 すると少年はひどく驚いたような表情になってこちらを見た。

 …………私はそんなに怖い顔をしてないと思うのだけど、怖がらせてしまったのだろうか? そうしたらとても申し訳ない。

 そう思いながら少年の目を見つめ返す。

 

「あ、ああ平気さ」

 

 なんとか声を絞り出したかのように少年が答える。

 

「あまり良いとはいえそうも無いですね。無理なさらなくていいんですよ」

 

「いや、もう大丈夫さ。たまにこういうことがあるんだ。ありがとう」

 

 本当に痛みがなくなったようで、少年の顔にはさっきまでの辛そうな表情がなかった。

 たとえ多くなくとも、あれほど顔を顰めるような痛みが襲ってくるのはなかなかに大変そうだ。どうにも力になれそうにない。痛くなったりならなかったり、それが突発的に起こるということは何か理由があるのだろうけどどうにもすぐにわかるものではなさそうである。

 

「おや、本当に痛みがなさそうですね。余計なおせっかいになってしまったようです」

 

 それはともかく痛みが引いたのは何よりだ。

 

「いや、そんなことはないよ。僕はフィン・ディムナ、よろしく夜切」

 

 フィン少年は自己紹介と共に感謝まで伝えてくれた。

 なんと、さすがファミリアの幹部である。故郷の稚児らとは違うな! 

 それはともかく挨拶をしてくれたのに返さないのは良くないだろう。

 屈んでいた体を伸ばして三人に向き直す。

 

「ええ、よろしくお願いします。改めまして、私は月咲夜切と申します。夜切とお呼びください。そちらのお二人もどうぞよろしくお願いします」

 

「私はリヴェリアだ。よろしく頼む」

 

「儂はガレスじゃ、さっきはフィンが世話になったのう!」

 

 ガハハと、ガレスが笑いながらいう。

 エルフの人はリヴェリア、ドワーフのご老人はガレスというらしい。

 美人に美少年、筋肉老人。なんとも覚えやすい三人組である。

 

「夜切は、ギルドに何をしにきたんだい? 武器を持っているからファミリアを探しに来たということかな?」

 

「私は今朝この都市に入ったばかりでして……友人に会いにきたのですが、待ち合わせの約束をするのを忘れてしまったせいで探しているんですよ。友人はファミリアに所属しているらしいのでファミリアを探しに来たというのも間違ってはいません」

 

 なんとも間抜けな話である。せめて彼女からの返事を待てばよかった。おそらく彼女なら、そういうことに気がついてうまいこと待ち合わせ場所を教えてくれていたはずだ。

 

「それは……」

 

 リヴェリアさんに若干呆れられてしまったようだ。フィンくんも苦笑いしているし、ガレスさんは……ふつーに笑っている。

 

「ま、まあ友人の住所は知っているので、そこへの行き方を教えてもらおうとギルドに来たというわけです」

 

「そうか、そうか! なんじゃ儂らが手伝ってやろうかと思ったがそれなら必要ないようじゃな!」

 

「そうだね、僕らができることはなさそうだ。何かお礼をしたいと思っていたんだけどね……」

 

「いえ、お礼をされるようなことはしてませんよ。私が何かする前に痛みも治ったようですしね」

 

 何もしていないのにお礼をもらってしまったら逆に困ってしまう。だからお礼なんていらないである。

 

「友人の家を訪ねるためにまずはギルドで場所を教えてもらわなければなりませんので、私はこの辺りで失礼します。しばらくはオラリオにいる予定ですので、どこかで会いましたらそのときはまたよろしくお願いします」

 

「夜切、良ければ僕たちが君の探しているホームに案内しようか?」

 

 別れの挨拶をして受付の列に並び直そうとしたが、フィンくんに呼び止められた。

 うーん、今日はよく新しい知り合いに呼び止められる日だ。それも友人関係で。名前の次は住所か…………流石に輝夜に悪い気がしてきましたねぇ。名前の時点で申し訳なさを感じていたのに住所はまずい。私も勝手に住所を教えられてたらかなり不快だ。名前くらいなら別にいいんだけどね。

 

「それはありがたい申し出なのですが、ご遠慮させていただきます。住所を私が断りも得ずに伝えてしまうのは友人に申し訳が立たないので…………」

 

「それもそうだね。気にしないでくれ僕が勝手に言っただけだ」

 

 フィンくんはあまり腹を立てた様子もない。

 いや、本当にありがたいんだけど住所はまずい。ファミリアのホームならマシだろうが、彼女が一人暮らし───あるいは同居人がいる──なら知り合いでもない人間に知られているというのは決して愉快な気分にはならないだろう。

 

「いえ、気にしていただいただけですので」

 

「おいフィン、そろそろ行くぞ。夜切、私たちにできることがあったら次に会った時にでも言ってくれ」

 

「リヴェリア……そうだね、もう行くとしようか。君も友人に会えるといいね」

 

「儂らにできることならなるべく力を貸すぞ。じゃあの夜切」

 

「ええ、それでは」

 

 彼らがギルドをでるまで見送る。

 よし、ようやく彼女の家をきける。ここまでくるのにとても時間がかかった気がするが、気のせいだろう。

 

 …………ギルド内にいらっしゃる方々からのこの視線もおそらく気のせいだろう。

 

 

 ───────────────

 

 ガレスさんらと別れた後冒険者や受付の方々の視線を浴びながらも、どうにか彼女のホームがわかった。

 

 どうやら我が友人は【アストレア・ファミリア】というところに所属しているらしい。なんでもファミリアの主神であるアストレア様はとても善良な方であるらしい。定期的にスラム街での炊き出を行ったり、孤児院へ赴き子供たちの相手をされているという話をギルドの受付で聞いた。

 アストレア様の眷属は女性だけで構成されているとも聞いた。彼女らはオラリオの警備をガネーシャファミリアというファミリアと共同で行なっており、オラリオの人々は彼女らに感謝しているらしい。

 

 どうやら私の友人は良いファミリアに所属することができたようだ。手紙にもあったが本当に良い人と巡り会うことができているようで私は自分のことのように嬉しいよ。

 

 それでは、馬車(たくしーと呼ぶらしい)を呼び止めて向かおうじゃないか! 【アストレア・ファミリア】へ! 

 

 

 

 

 ───────────────────────

 

「ここが、【アストレア・ファミリア】ですか」

 

 今朝もオラリオを前にして言ったような気もするが、まぁいいでしょう。

 それにしても、彼女はなかなかいいところに住んでいるようですねぇ。私は故郷にいた時ですら微妙に古ぼけている神社で寝泊まりしていたというのに……。

 

 それはともかく、ここはしっかりと挨拶をして伺いましょう。

 女性だけのファミリアと聞かなければもう少し気持ちが楽だったのですが……。言っても仕方がないことでしょう。

 

 コンコンコン

 

 扉を叩いて声をかける。

 

「御免ください。私は、月咲夜切と申します。友人の輝夜に会いに来たのですがどなたかいらっしゃいませんか?」

 

 うーん誰も出てこない。

 

「ギルドの受付では人がいると伺ったのですが……いらっしゃらないのでしょうか?」

 

 誰もいないなら少しこの辺りを散策しようかな? 

 さすがに扉の前でじっと待っているのは嫌だ。そもそも、刀を持った男が家の前に立っているなど家主も嫌だろう。

 うん、人が出てくる様子もない。大人しく出直そう。日が暮れる前にもう一度来れば一人くらいいるはずだ。それでもいないなら私が怪しすぎて入れたくないということだろう。……私はそんなに怪しくないと思うが。

 

 そう考えて、扉から離れ辺りを散策しようとすると

 

 

「───このファミリアになんのようだ?」

 

 後ろから声がかかった。

 …………やはり今日は後ろから声をかけられる日なのだろうか? エレンにフィン、それに加えて目の前の少女。こんなに後ろから声かけされることはないぞ。

 だが、ようやくこのファミリアの人間に会えたのだ。輝夜ともそろそろ会えるはずだ。

 

 

「こんにちは。私は月咲夜切。輝夜の友人ですよ」

 

 ───お名前を伺っても? 

 

 




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