オラリオに求めたのは再会と斬り合い   作:幾何花なまり

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毎度、誤字報告に感想ありがとうございます!
とても助かってます!

ヴァレッタさんの逃走した経緯を書きました。
別人が書いたんじゃないかと思うくらい下手くそなんですが、これで他者視点とか書けるのか……?



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「ここに君を呼んだのは他でもない、仕事を頼みたかったからなんだ」

 

 ギルドのとある一室。辺りに人気はなく、制服を身に纏った二人の男女が密会を行っていた。

 

「これはギルド長と【ガネーシャ・ファミリア】団長シャクティ・ヴァルマの署名だ」

「はい」

 

 手渡されたのは一枚の書類。

 受け取った男が視線をそれに落とせば、女が言ったように二名の名前が記された命令書のようだ。

 確認したことを見てから女は再び話を始める。

 

「その二人から、昨日捕えられた【殺帝(アラクニア)】ヴァレッタ・グレーデを尋問するように指令が出ている」

 

 女は男の肩に手を置いて、一言一句正しく言えているか確認するように伝えていく。

 

「私はまだ()()が残っているからいけない。これを【ガネーシャ・ファミリア】へ届けてくれたまえ」

「承知しました」

「よろしい。さぁ、行け」

 

 

 

 ───

 ──────

 ─────────

 

 

 

「ギルドから昨日捕らえたヴァレッタ・グレーデを、尋問するよう指令が出ました」

 

【ガネーシャ・ファミリア】にギルドの職員が現れる。

 

「我々は団長から指示を受けていませんが」

 

 唐突な訪問に懐疑的な団員。しかし、職員は毅然とした態度のままそれに応えた。

 

「問題ありません。貴【ファミリア】のシャクティ団長からも既に許可は下りています」

 

 そうして取り出したのは、確かに二人分の署名が記された命令書。

 

「確認していただいて構いません。ギルドとしても急な指示となってしまい申し訳なく思っておりますので」

「配慮いただきありがとうございます……確かに団長の筆跡と同じように見えますね」

 

 ギルド長の方はどうかはわからないが、少なくとも自身の【ファミリア】の団長の筆跡は間違いないように思われる。

 しかし、今回の相手はあの【殺帝(アラクニア)】ヴァレッタ・グレーデだ。【妖魔】の二人と並んで、都市の人間を最も殺したと言っても過言ではない闇派閥(イヴィルス)の幹部。

 何かの手違いで逃してしまうなんて事態は、他の何よりも避けなくてはならない。

 

「でしたら───」

 

 と続けようとする職員の言葉を遮り、ヴァレッタを任されている団員は断りを入れる。

 

「ギルドを……あなたを疑うわけではありませんが、万が一ということはあります。ガネーシャ様の前で指示の詳細を語っていただきたい」

「それで、【ガネーシャ・ファミリア】から疑いが晴れるのならばいくらでも話しましょう」

「書類はこちらで預からせていただきます」

 

 その言葉一瞬ギルド職員の男は渡すのを躊躇うが、それも一瞬だ。すぐに表情を和らげると、よろしくお願いしますと言って書類を手渡した。

 そんな様子に訝しむような視線を送った【ガネーシャ・ファミリア】の団員だが、ガネーシャ様に尋ねていただければ問題ないと判断して指摘することは避けた。

 

 団員によって案内されたのは、【ガネーシャ・ファミリア】の本拠地である『アイアムガネーシャ』。主神のガネーシャと対面するように座らせられ指示に嘘がないか、調べようというところである。

 

「君がギルドからの遣いか!」

「はい、本来ならば上の人間がくるべきなのですが……いかんせん、前日の闇派閥(イヴィルス)の襲撃による処理が溜まっておりますので」

「うむ! 気にする必要はない! 俺もその件は知っている、眷族(子ども)達も復興に加わっているからな!」

「ギルド職員として感謝いたします」

 

「俺達も君を本気で疑っているわけじゃない。あくまで万全を期するための問いかけである故、固くなる必要はないぞ!」

「承知致しました」

 

 うむ! と大きくガネーシャは頷く。そしてスッと顔を上げると、男の全てを見透かすような視線に、一切の虚偽を許さないとばかりに圧を加える。

 

「本当にシャクティとロイマンは尋問するように指示をしたんだな?」

「はい。間違いなく」

「「…………」」

 

 若干神の力(アルカナム)を感じられる空間。重圧が重くのしかかり、恩恵を受けている【ガネーシャ・ファミリア】の眷族ですらかなりの息苦しさを感じるほどだ。

 数分か数十秒か、定かではない時間が過ぎる。誰かが息を呑む音がした。

 

「よし! 嘘は付いてないみたいだな!」

 

 がはは! という笑い声と共に、圧が一瞬にして消え去り重苦しい空気は霧散する。

 

「ご協力いただきありがとうございます。これで私どもと致しましても、憂なく職務を真っ当できます」

「いえ、この程度でよろしいのでしたら、いくらでも協力させてください。ギルドも皆様とは友好な関係を築いて行きたいと考えていますので」

 

 

 

「本当に大丈夫ですか?」

「はい。尋問した内容を記録することも私の仕事ですので、問題ありません」

 

 ただの囚人一人を捕えるにはあまりに過剰なアダマンタイト製の扉を前にして、辛くなったらいつでも退出していただいて構いませんからね。と団員は告げると、固く閉ざされた扉を開ける。

 いくつかの扉を開けながら進んでいく。

 

 現れたのは、ぼろぼろの女。

 冒険者や市民を恐怖に陥れ、飄々とし人を馬鹿にした態度を取り続けていた女は、見る影もない。

 

「精霊さんよろしくお願いします」

 

 声がかかると同時に、どこからともなく光が溢れる。それは一瞬にしてヴァレッタを覆い隠した。光がまとわりついてしばらくすると、ふっと前触れなく消え去る。

 ヴァレッタの容体をみてみれば、直前まで残されていた暴力の痕跡は一つ残らずなくなっており、傷一つない。砕かれた顎も、手脚も全て元通りだ。

 

「これは……」

「すごい回復力だな……これは夜切さんが問題ないと言うわけだ」

 

 光が止んでから、すぐに精霊の気配は感じられなくなった。

 

「では、これより尋問を始め───っがあっ?!」

 

 開始の宣言に答えたのは、ギルドの人間ではなかった。

 突然に痛みに、胸を貫いている腕を認識する。それと同時に勢いよく引き抜かれ、栓の壊れた蛇口の如く血があたりに一面に撒き散らされる。

 一瞬の空白。

 黙ってその光景をみていることしかできなかった団員は我に返り、怒声と共に武器を抜いて切り掛かる。

 

「【殺帝(アラクニア)】っ!」

「拘束はどうした?!」

「我々が抑えている間にあなたは、地上に戻ってすぐにギルドに連絡をっ!」

 

 ギルドの遣いに逃げるよう叫び、自らも武器を手に取る。Lv3とLv5、隔絶した差があるが、それでも人一人を逃すくらいには時間が稼げる。

 

「がっ?!」

 

 しかし、遣いの返事は刃であった。

 まさかギルドの職員が攻撃してくるなどと、露ほどにも思っていなかった団員は、なんの抵抗もなく後ろから首を一突きにされ殺される。

 

「おい! どうした───なんだ、何が起きている?!」

「バーカ、雑魚がよそ見してんじゃねぇよ!」

「ぐっ、ぐああああああ!!!」

 

 仲間が倒れたことに意識を割かれてしまった事により、ヴァレッタの攻撃を防ぐとこすらできずに上半身と下半身は泣き別れする。

 残された一人も、最後の抵抗として剣を振るうがヴァレッタを傷つけることは叶わず、無念に沈む。

 

「…………ヴァレッタ様」

「あぁ、ムカつくぜ。あのクソガキ、オレをコケにしやがって」

 

 自身を縛っている鎖を引きちぎり、拘束を外す。

 八つ当たり気味に、死体を殴り、蹴り、踏み潰しミンチへと変える。もはやその血肉骨は混ざり合い、誰のものであるか判別することは不可能となった。

 

「で、オレが捕まってから何があった?」

 

 咽せ返るような血の匂いが充満する室内で、ヴァレッタは拘束されていた一日弱の出来事を確認する。

 

「はい、一時的に指揮系統が乱れましたが、タナトス様のお声がけによって立て直しました。現在はギルド内で対策会議が始まったところです」

「はっ、一日じゃその程度か」

 

【ガネーシャ・ファミリア】に遣わされたギルドの人間が、ヴァレッタを解放したことによって、ギルドに仕込んでいた『信者』がいることが割れてしまったのは、かなりの痛手だ。すぐに神を使った『信者』の炙り出しが行われるだろう。

 面倒なことになったなと、一人心中で舌打ちをする。

 

「お前の仕事はここで終わりだ」

「はっ」

「だから───死ね!」

「えっ? ……ぎゃあああっ?!?!」

 

 血の海に沈んだ事を確認して、ヴァレッタは部屋を出る。

 今は自分が脱獄したという情報をギルドに届けさせないことが重要か。

 次に向かうのは、他の囚人が捕えられている牢屋だ。

 

 

 

「てめぇら、オレが逃げ切るまで時間を稼げ」

「お、お前は……!」

「解放してやるから好き勝手暴れろ。文句がある奴はここで殺す」

 

 オラリオにいる人間ならば誰でも知っている殺人鬼の登場に、混乱する囚人。突然解放すると言われても、動揺するばかりで答えを出すことはない。

 

「オレは苛立ってんだよ、あのクソガキにやられてなぁ?!」

 

 ぐずぐずとして返事のない囚人に対して叫ぶと同時に、すぐ近くにいた囚人の首を掴むと一握りで潰し、顔を殴り飛ばして壁に叩きつけることで真っ赤な血の花火を作り出す。

 

「わ、わかった! わかったからやめてくれ!!」

「お、おお俺達は何をすればいい?!」

 

 言外にさっさとしないと次はお前たちだと伝える瞳に、絶叫して答える囚人達。自分たちも殺人、強姦、強盗、凶悪犯罪の類は行ったが、それは相手が自分よりも弱いと確信していたから。己よりもはるかに強い人間に逆らうことなど、彼らにできるはずもなかった。

 

「なぁに、簡単なことだ。ここから出してやるから殺せ。奪え、犯せ、暴れろ! 好き勝手にやればいい!」

 

【ガネーシャ・ファミリア】に捕えられていた、全ての囚人が地上へと解放された。

 

 

 

 

「随分と手ひどくやられたようですねぇ?」

「黙れ顔無し。殺すぞ」

「おぉ、怖い怖い。臆病な私では敵いそうもありません」

 

 傷は全て治っているもののボロボロの状態で現れたヴァレッタに、肩をすくめるヴィトー。

 

「やめろヴァレッタ。我々は既に同志。余計な争いをする必要はないだろう」

「チッ、うっせーなオリヴァス。雑魚がしゃしゃってくんじゃねぇよ」

 

 中を取り持とうとしただけなのに、罵倒されるオリヴァス。相当ヴァレッタが苛立っていることがわかる。

 

「最悪だぜ。ギルドに放った間者はこれでバレる。この会議で、なんなの情報もなかったら、このあとが面倒だ。クソが、あのガキは絶対殺す」

 

 吐き捨てるように言った。

 そこにオリヴァスの声がかかる。

 

「ヴァレッタ、いい知らせだ」

「あん?」

 

 通信機を差し出し、その場にいる人間全てに聞かせる。

 

「敵の『掃討作戦』は……三日後」

「は、ははっ! でかしたぜ! あの(アバズレ)! 闇派閥(イヴィルス)の『信者』様々ってな〜!!」

 

 ヴァレッタの表情は歓喜に彩られていた。

 ギルドに仕込んだ密偵の炙り出しによって、情報を得るのは難しいと考えていたのにこれだ。あの場にいた人間を殺し、囚人を解放したことによってそちらを抑えることを優先した結果、ギルドに情報が伝わることが大幅に遅れたらしい。

 襲撃日時に時間、兵力まで完全に把握できた。

 

「ようやく、宴が始められるぜ」

 

 

 

 深夜。

 ヴァレッタの下を尋ねてくる小さな人影があった。

 

「ここにくれば、……先生と弟達に会えるって……聞いて、来ました」

 

 

 声のした方を見て、ヴァレッタは醜悪な笑みを浮かべる。

 

「おう、よく来たなぁ?」

 




神様の虚偽判定能力をハイパー読心術としました。
ガネーシャ出し抜いたのは一応こんな感じ。
A「これはギルド長と君のところの団長の司令だからよろしくね」(本当は違うけど)
B「わかりました!しっかり持ってきます!」

B「尋問しろとの司令です」
神「うーん、怪しいなあ。それ本当にギルド長と団長言ってる?嘘わかるからね?」
B「(Aは言ってたって言ってたし間違いない!)言ってます!」
神「嘘じゃないみたいやな。ほな尋問していいんやで」


ヴァレッタ脱走の流れ
主人公が敵幹部をボコボコにして捕える。
顎腕粉砕、脚切断の状態で引き渡す。

幹部の襲撃でボロボロになった街の復興には人手が必要だな。

回復すれば問題ないね

尋問を始める前に完全回復できるよう、引き渡し先の指示に従う精霊をつける。

ギルドの遣いが来て尋問の司令

尋問できるように回復させる

実はギルドの使いは偽物だった

尋問官は不意打ちで殺される

逃げる


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正義失墜の視点

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